安森奏は試作型防人である   作:ゆゆゆい

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申し訳ありません!最近上手く時間が取れず投稿が遅れてしまいました......代わりと言っては何ですがいつもより長くなっております


第101話 乃木園子の追憶(終編)

アモりんが学校に行き始めてから数週間、何故か物凄くウキウキしながら帰ってきた、それはもうこれまで見た事も無いぐらいで

 

「随分嬉しそうだね〜、何かいい事でもあった?」

「そうか?いつも通りだと思うけどな」

「それでいつも通りって言われてもね〜どうしたの?告白でもされた?」

「......園子さん感がいいですね、もしかしてエスパーですか?」

 

どうやら当たっていたらしい、まさか本当に告白されているとは思わなかった

 

私と会ってから見た事の無い顔だ、きっと私にはこんな顔をさせるのは出来ないんだろうな.....まぁこの身体じゃ仕方ないか〜、でもほんの少し勇者部の皆が羨ましいかな......

 

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でもそれから数日経った日、今日は犬吠埼風さんとのデートって聞いてたけど、アモりんは予定の時間よりも早く帰宅してきた、しかもとても体調が悪そうだ、話を聞けばデート中に倒れてしまったらしい

 

デートしてるだけで立って居られない程の頭痛や吐き気に襲われた?なんでそんな事が......まさか満開の影響?でもアモりんは神樹様に造られたのに、わざわざそんな散華の影響を残したまましないよね?だとしたらこれも大赦のしわざ?

 

けど大赦の人達も予想だにしていなかった自体の様で、大分焦っていた調べても理由が分からないんだとか、正直信じられないけど今更私に隠したりしないだろう

 

「アモりん何か覚えは無いの?」

「いや、ごめん分かんない.....」

「ううん、私こそゴメンね今日はもう寝た方がいいよ」

「いや、でもご飯作らないと」

「こんな時に何言ってるの、私は大丈夫だから今日は寝た方がいいよ」

「.....ごめん、じゃぁ今日はお言葉に甘えさせて貰うよ」

 

それからアモりんは何度か犬吠埼風さんとデート等をしたけど結局1度も成功しなかった、その都度検査等をして身体に異常が無いか確認したけどどこにも異常は見当たらないらしい。けど恐らくアモりんは誰かを愛する事が出来ないのだと思う、非現実的ではあるけどアモりん自体が神樹様に造られた人間なんだ、何があっても不思議じゃない

 

「園子は大丈夫なのになんでだろうな?」

「なんでだろう、身近に居すぎるからかな?」

 

何故か私相手には体調が悪くならないらしい、わっしーが相手でも意識すれば体調が悪くなるらしい、という事は2年前の戦いとは関係無いと思う

 

でもアモりんが私相手に体調悪くならないからこうしてずっと話していられるし、体調が悪い時は私に甘えてくれるのは嬉しいんだけど、もしかしたら私の事を異性として認識してないのかな?.....ううん、こんな身体なら仕方ないかな、身体が動かなくてそもそも片腕しか残ってない女の子なんて興味無いよね......

 

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私と今のアモりんが初めて会ってから大体2年が過ぎた、勇者部には犬吠埼風さんの妹の犬吠埼樹ちゃんが入部したらしい、彼女も姉と同様で高い勇者の適正があるらしい

 

遂に今日か....勇者が4人と試作型の防人が1人、後からもう1人勇者が派遣されるらしいし、全部で6人か.......私達の頃だったら十分過ぎる戦力だけど、ヤツらも進化する。最初は良くても後々満開無しじゃ無理だろうな

 

「やっぱりアモりんには満開と散華の事を言うべきかな?大赦も今から戦いが始まるって前にアモりんを消したりしないとは思うけど.....ううん、大赦なら本当にやりかねない、いざと言う時は私の言う切り札が残ってるんだし......」

 

やっぱり下手に動く訳にはいかない.....もしかしたら敵だってそうそう進化もしないかもしれないし.....

 

結果的に初陣は上手く行ったようで、特に怪我もせずにアモりんは帰ってきた、聞いていた通り、試作型の防人システムも勇者システムと能力的な差は殆ど無いようだ

 

防人、量産型の勇者か.......今は実地テストと戦闘訓練をしてるらしいけど、星屑相手でも苦戦する様なものが戦力になるとは思えないし、下手に犠牲者を増やすだけじゃない?大体アモりんの試作型だってデータの採取にしては性能が高過ぎる、大赦が何を考えてるか分からないなんて今に始まった事じゃ無いけど、最近は大赦も2つの勢力に別れてる見たいだし......

 

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今日はアモりんはお出かけしている、お出かけの内容を聞いて私は今まで生きてきた中でも1番驚いた、必死でいつも通りの表情を装ったけどアモりんには気づかれて無いかな?

 

わっしーとデートかぁ、わっしーはあくまで買い物って言い張ってるらしいし、アモりんもそう思う事にするらしいけど多分今回もダメなんだろうな。わっしーずるいなぁ......ううん、確かに昔抜け駆けはしないって約束はしたけど今のわっしーはあくまで東郷美森さんなんだから関係無いよね.....私もいつまでも東郷美森さんをわっしーと思うのは止めよう

 

今回のデートは成功したらしいけど、結局アモりんは倒れちゃったらしい、ちょうど通りかかった三好夏凜さんに助けて貰ったらしいけど、アモりんは物凄く落ち込んでいる

私はそんなアモりんを慰めて上げることも満足に出来ない、攻めて頭を撫でてあげられれば少しぐらい慰められるのに、私に出来るのは精々寄り添って貰う事だけ、それだって半分は私の為だ

 

誰かを好きになれない、か......まるで呪いみたい、でもそのお陰でアモりんは......

 

途中まで考えていた思考を振り払う、最低だ......いくら私には何も無いからって『アモりんが誰かを好きになれないお陰でずっと私を見ていてくれる』なんて考えるなんて......

 

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アモりんは敵の進行してきても勝利を重ねて行ったけど、4度目の襲撃で遂に満開を使ってしまった、皆はまだ身体の異変については特に怪しんだりはして無いみたいだけど.....

 

でもそのうちにアモりん達だって気がつく、そうすれば大赦だって黙っては居られない筈.....

 

「ただいま、悪い遅くなった」

「おかえり〜、大丈夫だよってどうしたのその顔!何があったの!?」

 

アモりんの顔はボコボコに腫れたり、所々切れていたりしていた

 

「あぁ、えぇっとコレはだな」

「もうちょっとよく見せて!....これ転んだとかじゃないよね、誰にやられたの!?柄の悪い人たちにでも怪我させられたの!?どんな人だった!?顔は?せめて服装ぐらい覚えてない!?」

「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいませんさ園子さん?」

「落ち着いていられないよ!アモりんをそんなにしたのはどこの誰!?なんとしても.....」

「大丈夫!大丈夫だから!ちょっと友達と砂浜で友情を確認し合っただけだから!」

「え?」

 

話を聞けば何でも、最近勇者部をサボり気味になっていた三好夏凜さんを連れ戻すために、グダグダ悩んでいたから剣で語ってきた、らしい......

 

いくらアモりんから仕掛けたとは言ってもここまでしなくてもいいんじゃないかな?三好.....確か大赦のあの若いお兄さんが三好って苗字だったよね、ていう事は兄妹?アモりんを怪我させたの罪は重いよ?

 

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今日から2日間アモりんは勇者部の人達と一緒に旅館に行っている、何でも大赦が敵を退けたご褒美として勇者部を招待したらしい

 

たまには大赦もいいことをするね〜、ってそんな訳ないよね

多分これも捧げ物って事なんだろうね、勇者部の皆はわかってないんだろうけど......それにしてもアモりん大丈夫かな、最近なんか体調が悪そうだし、それにしても海かいいなぁ〜私も大赦に頼めば連れて行って貰えるかな?

 

.....いや、やめておこう多分言えば連れて行って貰えるけどそれじゃアモりんに迷惑をかけるだけで終わっちゃう、それなら最初から行かない方がいい

 

考え事をしていると部屋に大赦の人が入ってきた

 

「園子様、ご夕食の準備が出来ました」

「.....いらない」

「ですが.....」

「元々私はご飯なんて要らない身体なんだよ、アモりんだからご飯を食べてたけど、貴方達のご飯なんて要らない。それ下げて」

「.....かしこまりました」

 

あぁアモりん早く帰ってこないかな、1人は退屈だよ

 

それから私は新しい勇者システムの適合テストを開始した、なんでも勇者部の戦闘データを元に私の勇者システムを強化するらしい、新しい精霊を追加するらしい、その為に精霊の精神をリンクさせる

 

戦う事が出来ないのに戦力だけ増やすなんて、大赦はどこまで慎重なんだろう、それに何か精霊との精神のリンクって気持ち悪い......

 

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やっとアモりんが帰ってきたけど、真っ先にアモりんは黒髪の女の子と、赤い髪の女の子に覚えないか?と聞いてきた

 

多分、わっしーとみのさんの事だよね?この間も似たような事を聞いていたし......もしかしてアモりん記憶が戻ってきた?

いや、神樹様の力がそんなに軽い筈ない、か......それに仮に思い出したとしても、アモりんはきっと苦しむだけだし、だったら忘れたままの方がいいよね......

 

それはそうと、アモりんは中々いい思いをしてきた様だ

 

私も少しぐらいアモりんに異性として見られたいなぁ.......ピッカーン!閃いた閃いた!閃いちゃった!!取り敢えず、いつものアレをやってもらおう、それから後はこっそり胸元開けたりして......

 

効果はてきめん、アモりんは顔を真っ赤にしながら私のはだけた着物を直してくれた。私がこんな身体になってしまってからはアモりんのこんな顔を見たの初めてだった

 

ふふふ、いいもの見〜れた、よかったこんな身体でもアモりんは私を女の子だと思ってくれるだ.......

でも勇者部の皆は普通に過ごしていればこんな事簡単に出来るんだよね?

 

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あぁ......最近気分が悪い、モヤモヤすると言うかイライラすると言うか、新しい勇者システムのテストをしてからだと思う

 

大赦の人達は関係無いとは言ってたけど.......他に身に覚えなんてあるかな?強いていえばアモりんと最近会う時間が減ってきた、とか?でも流石にそれは関係無いしなぁ〜

 

しかも大赦から勇者部に満開の事について説明しろって言ってきた、ついこの間まで喋るな、と言っていたのに随分な変わりようである、正直今更喋るなんて面倒だ、大体なぜ私がそんな事をしなければならないのか.......

 

別に言ったって変わらないんだし、説明する必要も無いと思うけどな〜まぁやれって言うならやるんだけど、テキトー誰か読んでその人だけに説明でいいよね?みんな呼ぶと面倒くさくなるかもだし

 

説明するのは敵側の残党を倒した後らしいから、終わったら学校の屋上じゃなくて大橋の所に呼べばいいかな

 

取り敢えず残党との戦闘が終わったと同時にテキトーに1人大橋の社に呼び出した、たまたまわっしーだったのは驚いたが、私は何でもいいから早く終わらせる為に必要最低限の事だけを伝えて、わっしーを追い返した

 

貴方の名前は?か......もう完全に忘れちゃってるんだわっしーは、まぁ別にいいか、私にはアモりんがいる、アモりんなら大赦とは私を見てくれる、優しくしてくれる......だったら私にはもうアモりん以外必要無い

 

でもアモりんは帰ってくるなり、私をまるで化け物でも見たかのような目で私を見て、逃げ出して行った

 

なんで?どうして私から逃げるの?どうして私から離れるの?

そっか、私が悪いんだよね?今度あったらちゃんと謝らないと、そして治さないと、アモりんに嫌われちゃう.......そんなのダメだよ、私にはアモりんしか居ないんだから

 

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アレから数日アモりんは私の部屋に来てくれない、なんで?どうして?アモりんは私に会いに来てくれないの?

......そんなの決まってる、勇者部だ勇者部の皆が私からアモりんを引き剥がしてるんだ

 

私にはアモりんしか居ないのに......大体アモりんのアモりんだよ、私の事は放ったらかしにして勇者部の皆と一緒にいるなんてさ、あぁそっか!勇者部の皆とずっと一緒に居るからアモりんは変わっちゃったんだ!!なら簡単な事だよね、アモりんから勇者部を切り離せばいいんだ!!

 

そんな時、ふと大赦の人達が話しているのを耳にした、何でも最近勇者部の皆が大赦の事を不審に思っていて邪魔になって来たんだとか

 

「ははは!ナイスタイミング!」

 

私は大赦の人達に提案をした、「何なら私が勇者部を始末して上げようか?」と、大赦は二つ返事でOKを出してくれた、だが始末するにも何かしらの理由が必要らしい

 

面倒臭いな......そんなの大赦の権力を使ってねじ伏せればいいのに、でもまぁ、理由を作るだけなら簡単だよね1番不安定な犬吠埼風を煽れば簡単に暴走する筈だ、他の勇者部の人達だってソレを黙って見過ごしたりは出来ないはずだし、全員集まった所で私はそれを始末すればいい。細かい所は大赦にいい感じに変えてもらえばいい

 

あぁそうだ!どうせならアモりんもここで殺しちゃおう!どうせまた神樹様に造り直されるんだし、ならまた最初からやり直せば良いよね、私しか知らないアモりんに.......!

 

それからは思い通りに事が進んだ、流石にミノさんが生きているのは予想外だったけど、そんなの関係無い私の邪魔をするなら誰だって敵だ

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

目が覚めると、どうやらアモりんに餓者髑髏を引き剥がされた影響で気絶してしまっていたらしい、勇者部の皆が太陽の様な球体に吹き飛ばされる瞬間だった、遠くには壁に大穴が開いているのが分かる、アレは恐らく私の攻撃のせいだろう、うろ覚えだが私は皆を本気で殺そうとしていた、餓者髑髏に精神汚染されていたとは言え、紛れもなくアレは私の感情だった......

 

私のせいで皆が.........それだけじゃない、このままじゃ世界そのものが.......!私のせいだ、私が、私が何とかしないと!!!




思ったよりも長くなってしまいました.....

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