安森奏は試作型防人である   作:ゆゆゆい

19 / 110
最近短いので後で合体させようかな....


第19話 安森奏は○○が出来ない

東郷と昼食を食べた後は水族館に向かった。

 

「綺麗ね」

「.....そうだな」

 

大きな水槽の前で魚を見ている、そんな東郷の横顔を見て答える奏。

 

「どうかした?」

「ん?東郷に見惚れてた」

「み、見惚れるって奏くん....」

 

言った本人である奏だけでなく、東郷も顔を赤らめる。ただ別に嘘は言ってない、実際に見惚れていた。

 

薄暗い所だとロマンチックになっちゃうからね、仕方ないね。

 

「ねぇ、奏く....」

「次行ってみようぜ」

 

東郷が何か言おうとしてたみたいだけどそんな事知るか!このままでいたらこっちが恥ずかしい!!!

 

東郷の車椅子を押しながら次のコーナーに2人で向かう。2人の間には微妙な空気が流れている。

 

あぁもう、どうしようかねこの空気、俺のバカ....

 

失言してしまった自分に心の中で悪態をつきつつ歩いていき、次のコーナーにたどり着く。

 

「あぁごめんちょっとトイレ」

「あ、奏くん?」

 

そう言って東郷を水槽の近くに押していき、トイレに向かう。

 

さてどうしようか....あの空気をどうにかしないとなぁ

....よっし!次に戻ったらいつも通りに接するぞ!

まぁ朝からいつも通りかって言うと微妙な感じだけどな。

 

東郷の元へ戻って行くと階段の上に東郷の姿が見えていた、恐らくいきなり消えた自分を探しに来たのだろう。

 

オイオイ、危ないぞ?その位置だったら少しバランス崩したら落ちるぞ?

 

「そんな所だと危ないぞ~」

 

階段を登りながらそんなことを言う。

 

「ごめんなさい、奏くんの様子が変だったから....私怒らせて....」

 

その時東郷がコチラに車椅子と共に落ちてくる。恐らく後から運悪く誰がぶつかってしまったのだろう。

 

反射的に身体を動かし、東郷を抱きかかえるように包み込む。

そのまま下の階まで奏の背中から落ちる、その腕の中には東郷。

 

「っ痛~」

「奏くん!?ごめんなさい!大丈夫!?」

「あぁ、うん多分、だけど...」

 

上から「すみませ~ん」と言いながら家族連れの女性がおりてきた。

その後は家族からの謝罪を受け取るが、コチラも怪我は無かったので事なき終えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ごめんなさい、本当に何ともないの?」

「あぁ大丈夫大丈夫特に怪我も無いよ」

「本当に?奏くんいつもこう言う時嘘を言うから少し見せて?」

「いやいや、大丈夫だってホントに何とも無いから」

「なら別にいいじゃない、見せて?」

「いや、だから....」

 

そこまで言って東郷を確認すると、プク~っと頬を可愛らしく膨らませてコチラを見ていた。

 

「.....はぁ、分かった、どうぞお好きに確認してくださいな....」

「はい、じゃぁお好きにさせてもらうね?家に行きましょ」

「仰せのままに」

 

そう言いながら東郷の家に向かい車椅子を押していった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「もう、ヤッパリ怪我あったじゃない!」

 

東郷の家に着くと上の服を脱がされて、背中に出来ていた擦り傷に薬を塗られている。

 

「女の子を守って出来た傷は名誉の傷です」

「何言ってるのよ、怪我をさせてしまった女の子の気持ちを考えて?」

「....仰る通りです」

 

完全に論破される奏。けれど東郷は浮かない様子。

 

「....ごめんなさい、元はと言えば私のせいなのに」

「いや東郷せいではないだろ?」

「私が大人しく待っていれば奏くんは怪我をしなかったのに」

 

あぁ....そう言う感じに考えちゃってるのね

 

「それを言えば元々俺がいきなり消えたのが悪いだろ?」

「それだって私が奏くんを怒らせてしまったからであって....」

 

怒ってた?俺が?

 

「俺怒って無いけど?」

「え?私が怒らせてしまったから消えたんじゃ?」

「違う違う、ちょっと変な空気になってたから切り替える為に、さ」

「よかった、あ!奏くんが怪我をしたのによかったは不謹慎よねごめんなさい」

 

苦笑しながら、そんな事を言う東郷をぽんぽんと撫でなる。

 

「奏くん?」

「そんな所まで考えなくてもいいんだよ、東郷は自分に厳し過ぎる、もう少し力抜きな?」

 

顔を赤くしながら俯いてしまう東郷に、奏自身も照れてしまう。

 

「ねぇ奏くん?私奏く....」

 

東郷の言葉の途中で夕暮れを知らせるチャイムが鳴り響く。

 

「そろそろ遅くなってきたし、俺は帰るよ」

「....そうね、そこまで送るわ」

 

最低だ、俺は東郷が何を言おうとしてるのか分かった上で、聞かずに帰ろうとしてる....ホント自分が嫌いになる。




一応言っておきますが、奏くんは別に東郷さんが嫌いとかそう言うのではありません!
照れているとかでもありません!ちゃんと理由があるんですよ!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。