夏凛の作った
「ホントに大丈夫?」
「あぁ、歩いて帰る分には何とか大丈夫」
「....そんなに無理して帰る様なの?」
「まぁ、やらなきゃいけない事があるからさ」
園子が待っているからな、あんまり待たせるわけには行かないからな。
「んじゃありがとな、ホントに助かったわ」
「ホントに正直ね、弱ってるからかしら?」
「それは、あるかもな」
「こんなに正直ならずっと弱ってた方がいいんじゃない?」
「そんな事言ってくれるな....」
ニヤニヤしながらしてやってやったぜ、みたいな顔しやがって....
「ま、気をつけて帰んなさいよ?」
「了解了解、当分合わなかったら察してくれ」
「縁起悪い事言ってんじゃないわよ!」
軽口を言い合いながら夏凛と別れて、大赦に帰る途中で弁当を買って帰る。
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side園子
特に何も考えずにボーッとしている。身体を動かす事ができなくなってからボーッとする事が増えた。元々ボーッとする事は得意な方だったが、流石に2年間も奏がいなかったらどうなっていたか分からない。
ガラガラと、扉が開くと奏がはいってくる。
「あ、お帰り~どうだった....ってその顔色を見れば分かるね...」
「あ、やっぱ分かる?」
「まぁ、流石に....」
コレで自分大丈夫だよ~って言われて信じる人は流石にいないだろう。
「ゴメンな、今日弁当でいいか?」
「私は大丈夫だよ、寧ろ無理させてゴメンね」
「いいんだよ、俺がやりたくてやってるんだから」
そう言ってお弁当を私に食べさせてくれるアモりん。
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食事が終わり、いつもなら今日の出来事を話すが....
「今日のは話さなくてもいいよ、辛いでしょ?」
「....ゴメン」
「ん、大丈夫その代わりお願いがあるんだけど」
「何だ?俺に出来ることな何でもいいぞ?」
「いつもの
「そんなんで良いのか?」
「うん、それでいいよ」
ただ今回のは私の為じゃ無いけどね。
「じゃ持ち上げるぞ?」
「どうぞ~」
いつもより辛そうに持ち上げるアモりん、どうやら私を持ち上げるのも辛いらしい。そのまま私をアモりんの足の上にのっける。
「よっと」
「ゴメンね重かった?」
「....ちょっとだけ」
「素直だね」
「....ゴメン」
前回も同じような事があった時よりも辛そうに見える。
「いいよ、気にしてないし」
「....ありがとうな園子」
「許した事?」
「....さぁな」
はぐらかすアモりん、そのまま後から抱き着き、私の肩に顔を埋める。こんなことをしてくれるのは去年、彼女さんと別れた時と今ぐらい。アモりんは基本的に私に弱い所は見せてくれない。
あぁあ、せめて片腕だけでも動けば頭をナデナデしてあげるぐらいは出来るのになぁ....
そんな事を考えていると、寝息が聞こえてくる。
誰かを好きになれば頭痛と嘔吐感に襲われる、アモりんはそう言ってた、アモりんは誰かを好きになる事が出来ない。私は多少平気らしいけど.....それはそれで恋愛対象として見られて無いだけなのかもって思うと少し落ち込んじゃうな。
とは言え、自分がこの体でアモりんを好きだと言っても、迷惑になってしまうだろうが。
けど、アモりんはこんな気持ちにすらなれない、まるで何かの代償か、呪いの様だ。
奏くんだって彼女ぐらい作ります!
にしても、自分の体の事で誰かを好きになるのを遠慮する女の子と、誰かを好きになる事すら許されない男の子、複雑ですね~