朝起きると腕の中に園子が眠っていた。時計を見るとお昼頃。
.....もしかしてそのまま寝てた?
「ん、アモりんおはよぉ~」
「悪い、昨日そのまま寝たみたいだな」
「別にいいよォ、寧ろアモりんの方が寝ずらくて大変じゃ無かった?」
それがそんな事もない、寧ろいつよりも調子がいい。体調は完全に治ったようだ。
「全然、寧ろいつもよりも体調がいいっぽい」
「むむむ、確かに顔色も普通だね。昨日見たいなアモりんだと甘えてくれるから少し嬉しいんだけどね」
「こっちはめちゃくちゃダルいっての...」
って言ってもホントに身体が軽い、前回同じ様な事があった時は、1週間ぐらいは調子悪かったのに。
「もしかして、園子と寝るとリジェネ効果があるとか?」
「ほほぅ....」
あ、やっべぇ墓穴掘った....
「じゃぁ今日から一緒に寝よう!アモりんの体調良くなるなら私は大歓迎だよ!!」
「だが拒否します!」
「なぜぇ!?」
「何でもない時に抱き着いたままマトモに寝られると思うか?」
「私は大丈夫!」
「俺が大丈夫じゃ無いんだよなぁ....」
ドキドキして寝れるかボケィ。
「何だよ何だよ、根性無しめ~」
「なんとでも言ってくれ、俺は絶対に寝ない!」
「む~」
「む~、じゃないほらどけ、メシ作るんだから」
「ご飯要らないからこのままがいい~」
「ダメです、ほら退いたどいた」
駄々をこねている園子を退かし、飯を作る為に調理場へ向かった。
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「ちょっと出掛けてくる」
「いきなりだね」
「さっきメシ作ってる時に気づいたんだけど、全く材料がない」
少なくとも今日の夕飯の分はない。
「それは一大事だね」
「せっかく俺も今日何も無いのに悪いな」
「大丈夫だよ~」
「じゃ一旦風呂入ってから出掛けてくる、そんなに時間はかからないと思う」
「はいは~い、行ってらっしゃい」
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「晩飯何にすっかな~」
と歩きながら献立を考えていると、見知った姿がみえたので声をかけてみた。
side樹
「樹?」
後から普段よく聞き、そして私の苦手な人の声が聞こえた。
「な、な、何でしょう奏先輩」
ギギギギっと壊れかけのロボットの様な動きで振り返る。
「よぉ、1人か?何してんの?」
「ちょっと買い物に...,」
「そっか」
「そうです...」
「....」
「.....」
会話が進まない、普段避けているせいで何を話せばいいんだろう....と言うか、話さなくても良いのでは?
「じゃ、じゃ私はコレで...」
「ちょ、ちょい待ち!」
「な、何ですか?」
せっかく違和感なく帰れると思ったのに....
「え、えぇと、樹昼飯食ったか?」
「まだ、ですけど....」
「奢るからさ、良かったら一緒にどうだ?」
「遠慮します」
即答してしまった、奏先輩も落ち込んでいるようだ。
「そっか、何か予定とかあるとか?」
「まぁ、そんな所です...」
「じゃぁしょうが無いな、またな」
「はい、さようなら」
挨拶をして先輩と別れ帰路につく。
それにしても驚いた、まさか奏先輩に会うなんて。実際奏先輩が嫌いと言うわけでは無いけれど、苦手だ。と言うか男性全般が苦手だ。
いつからだったかな、確か.....お姉ちゃんが彼氏さんと別れて落ちこんでからかな?
「あいた」
考え事をしながら歩いていたせいで歩行者とぶつかってしまう。
「あ、何だ嬢ちゃんしっかり前見て歩けよ!」
「ご、ごめんなさい!」
「ごめんなさいで済むなら警察は要らねぇんだよなぁ」
ぶつかってしまったのはガラの悪い3人組で絡まれてしまう。
「病院行くから慰謝料はらえや」
「いやいやお前、こんな女の子に慰謝料払えは可哀想だろ」
「あ、何言ってんだお前?」
「慰謝料払えないんだから、身体で払って貰おうぜ?」
「そいつはいい、おいちょっとコッチきな」
と、手を引っ張られ路地裏に連れていかれてしまう。周りの人は我関せずど、無視をして通り過ぎていく。
「この辺でいいか?」
「ま、充分だろ」
「や、止めて、ください....」
「あぁ?嬢ちゃんからぶつかって来たんだろ?それを慰謝料無しで済ましてやろうってんだからさ~」
「寧ろ有難いと思ってくれないと」
と言いながらガラの悪い3人組が私に手を伸ばす、背後には袋小路。
どうしよう、どうしよう!逃げないと、でも何処に!?
腕を掴まれる。
お姉ちゃん!
「あぁ、ちょっといいですかお兄さんがた?」
先程も聞いた、聞き覚えのある、私の苦手な声が聞こえた。
遅れました!ゴメンなさい!夜にもう1話出すのでなにとぞ!!!