部活終わりにいつも夏凛が修行している浜辺に向かうと、いつも通り夏凛が素振りをしていた。
「よ、今日も今日とて修行か?」
「そうよ、あんた達とは違って私は最強の勇者なんだから、日々の鍛錬を怠ったりしないわ」
「最強勇者様は言うことが違うねぇ」
「で?今日はやっていくの?」
「おう、よろしく頼むな」
夏凛から木刀を1本借りて構える。
「なぁ、夏凛って元々二刀流使いだよな?」
「ん?ええそうだけど?」
「そろそろ夏凛の二刀流と戦って見たいんだけど」
「私の一刀流に完全に勝てるようになってから言いなさい、じゃぁ、行くわよ!」
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「はぁはぁはぁ......私の一刀流に勝てるように、なんだって?」
「ぜぇぜぇぜぇ......うるさいわね、今回は少し油断しただけよ!」
最近になってやって勝てるようになって来たな、てか二刀流の夏凛って実際どんぐらい強いんだよ....
「やっぱり完成型勇者は違うな」
「当たり前でしょ」
「よっし、そろそろ帰るか今日も飯作ってやるよ、今日何食べたい?」
「.....うどん」
そんなにうどん食べたいなら友奈達と一緒に食べに行けばいいのに、素直じゃ無いねぇ....
「なによ?何か言いたげね?」
「別に~ほら早く帰ろうぜ」
「.....ったく、待ちなさいよ私が鍵持ってるのにどうやって入るのよ!」
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「そう言えば久しぶりか?夏凛に飯作るのって」
「そうね、私が讃州中学に入学してからは今日が初じゃないかしら?」
そう言ってアパートに入っていき、ほぼ奏専用になった台所へ向かう。
「ん?これって」
「あ、ちょっと!」
テーブルに珍しく何かあったので手に取ってみると、それは折り紙だった。
「何勝手に見てるのよ!」
「へぇ....あんなにぶつくさ言ってた割には子供会用の折り紙の練習してんだ」
「別に!ただ子供たちに舐められるのが嫌だっただけよ!!」
「素直じゃ無いねぇ~」
「うっさいわね!私はランニングしてるから早くご飯作りなさいよ!あと、誰にも言うんじゃ無いわよ!」
「えぇ~どうしようかな~」
無言で木刀を構える夏凛。
「分かった、わかりました誰にも言いません」
「分かれば良いのよ、ったく初めからそうしなさいよね」
クソゥ武力行使とは卑怯な、しかもこっちは丸腰だって言うのに。
って言ってもなんやかんや言っても少し楽しみだったりするんだろうな、こんな事初めて何だろうし。
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「オイ夏凛出来たぞ~」
とランニングマシンでランニングしている夏凛に声をかけるとすぐにリビングに戻ってくる。
「じゃ俺は帰るから」
「今日は食べていかないのね」
「ちょっと時間が遅くなっちゃったからな」
「そう、じゃまた明日」
「じゃぁな~」
そう言ってアパートを出る。
今日は食材もちゃんとあるし、このまま帰るか、ちょっと荷物多いけど....
そんな事を考えながら道を歩いていると見覚えのある車が隣に止まった。
「奏様、お迎えに上がりました」
大赦印の高級カーだった。運転手はいつもの男性の人
「...俺電話とかしてませんよね?」
「奏様が大荷物を持っていたのをたまたま見かけたもので」
たまたま、ねぇ~?
「ま、今日はお言葉に甘えさせて貰いますよ、実際荷物も多いですしね」
ホントにたまたまで見かけるもんか?監視でもされてんじゃないだろうな?......流石に考え過ぎか
などと考えながら車に乗り込む、何度乗ってもなかなかなれない。
「そう言えば何か仕事でもしてたんですか?」
「申し訳ありません、口外を禁止されていますので」
「あ、そうですよねすいません」
「奏様はこのような時間まで何を?」
「え?えっと、ちょっと友達と交友?」
ビックリした、まさかあっちから話を振ってくるなんて、初めてだな。
「三好夏凜ですか?」
「え?知ってるんですか?」
「私が彼女に大赦からの連絡をしているので、奏様のことはよく報告がきます」
「へぇ、因みにどんな報告なんですか?」
「主に修行の経過報告です」
まあ、変に期待なんてしてませんでしたけどね、ホントですよ?
「彼女は学校で上手くやれていますか?」
「大丈夫だと思いますよ?友達も出来た見たいですし、まぁ本人が認めなさそうですけど」
「彼女の事をよろしくお願いします、彼女は少々不器用な所がありますので」
「大丈夫ですよ、無理そうだったら手を貸しますけど夏凛1人で何とかできそうですしね」
あれで結構面倒見がいいからな夏凛は、と言うか大赦の人たちもこんなに喋る事あるんだな。
すいません!本当に今回は誕生日回の予定だったんです!
でもこの話もいつかは入れる予定だったので入れるなら今かな?と....