「うい~っす、安森奏到着って何そのトランクケース?」
いつも通りに部室に入ると部室には風、そしてテーブルの上には見慣れないトランクケースが置いてあった
「......みんなが来てから話すわ、それまで待っててくれる?」
「ん?まぁ別にいいけどうわっぷ!!!」
皆が来るまで椅子に座って待っていようかと腰を下ろした瞬間に何がトランクケースの中から飛び出して顔に飛び付いてきた
「な、なんだこれ!って牛鬼!?」
慌てて顔から引き剥がすと端末を大赦に回収されたっきり会っていなかった牛鬼だった
「な、なんで牛鬼がトランクケースの中から......」
牛鬼が飛び出してきたトランクケースの中を見てみるとそこには6台の端末が並んでいた、またその内の1台から八咫烏が飛び出して来て、頭の上に止まった
「風これはどゆことですか?」
「まぁ皆が来てからしっかりと話すけど、大赦から勇者システムの入った端末が渡された........察しのいいあんたなら分かるでしょ?つまりはそう言う事よ」
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「よし、皆集まったわね。じゃぁ説明を始める.....って言っても牛鬼や八咫烏が出てる時点で皆も気づいてると思うんだけどね」
因みに牛鬼と八咫烏は俺の頭の上で寛いでいる、しかも牛鬼は髪の毛を前の様にムシャムシャと......そんなに俺の髪美味しいかね?
「敵に生き残りが居て、私達の戦いは延長に突入した.....簡単に言うとそう言う事よ、ゴメンねいつもいきなりで.......」
「風先輩だってさっき知ったんですよね?それじゃぁ仕方が無いですよ」
「それに所詮生き残りだろ?油断は禁物だけど俺達は敵の一斉進行を勝ち切ったんだぞ?今更生き残りぐらいチャチャッと倒す事ぐらい訳ないって」
『\( •̀ω•́ )/勇者部5箇条!なせば大抵なんとかなる!』
お、いいねぇ樹だけじゃなく皆の士気も高いみたいだ
「ありがとうみんな!よっし、かかって来なさいバーテックス共!私達讃州中学勇者部がお相手よ!!!!」
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どうしてこうなった?
あれから数日待てども敵は攻めて来ない、そんな生活を送っていた時に、部室でふとこんな会話をした
「そう言えば樹って料理苦手って言ってたけどどんぐらい苦手なんだ?」
『(;´・ω・)言葉にしろと言われても.....』
「そりゃそうだ、ごめんごめん」
つっても仮にも風の妹なんだからそこまで下手では無いんじゃないか?純粋に風がいつも料理作ってるから作る機会がなくて慣れてないだけとか
『(*´∀`*)もし良かったら今度私の手料理食べてみてくれませんか?』
「え?いいの?樹さえ良ければ食べてみないな」
「ちょ、ちょっと奏!こっちに来なさい!!!」
アイタタあのぅ風さん?首根っこ掴んで引き摺るのやめてもらえますか?苦しいです
「どう言うつもりなのアンタは!」
「お前こそどう言うつもりだよ、わざわざ廊下まで引き摺って来て」
「質問に質問で返さない!」
「そもそも、何のことだか分からないんだけど?」
「なんで樹にご飯作らせいようとしてんのよ!!!」
え?駄目だった?いや普通に食べてみたかっただけなんだけど.....
「いや、普通に好奇心で」
「はぁ......もうあんなにウキウキしてる樹を止めるのも可哀想だし.....いぃ奏アンタが責任持って樹の料理食べるのよ?私はその日用事があるって言って家空けるから話合わせといてね!!!」
なんて言われたけど、実際そこまでじゃ無いだろ、とか思って楽しみに予定の日になったけど......なんか傍から見るだけでもヤバそう......
手つきが危なっかしいとかでは無い、言葉で説明するのは難しいが強いて言うなら生物の本能的な恐怖だろう
よく考えればあの樹大好きの風が樹の手料理食べない為にありもしない嘘まで付いて逃げれんだから、もっと警戒しておくべきだった.....怖いから手伝おうか?って言っても『(๑و•̀Δ•́)و奏先輩はお客様なんですから座っててください!』って言われちゃったからには手は出せないし.....
そんな事を考えているとプルルルと電話がなった
「樹~電話来たぞ」
とてててと電話の前まで走って行った樹だったが電話の目の前で受話器を取らずに止まってしまった
なんで電話出ないんだ?ってそうか声出せないから電話でれないのか
「良かったら俺が出ようか?」
こくりと頷いた樹を確認して受話器をとる
「はい犬吠埼です」
『あ、犬吠埼樹さんのお兄さんですか?』
「え?まぁはい」
『ヴォーカリストオーディションで1次審査を通過しましたのでご連絡致しました』
「わざわざありがとうございます、本人に伝えておきます」
『お願い致します、では失礼します』
受話器をおき電話を切る
へぇ?ヴォーカリストオーディション、ねぇ?
「樹電話の内容だけどな」
料理をしていた樹の近くまで歩いていき
「ヴォーカリストオーディション1次通過したってさ」
一瞬キョトンとした顔をしていた樹が一瞬喜び、徐々に顔が赤くなっていく
ふむふむ、やっぱり隠してたか、この調子だと風も知らなそうだな
「なんだよ、別にいいと思うぞ?ヴォーカリストの夢とかな、まぁ皆には隠しておいて合格したら発表する気みたいだったらしいけど?残念でしたもう知っちゃいました」
ぷぅ!と顔を膨らませてぽかぽかと俺の胸を叩き始める
「風にはまだ内緒か?」
こくんと頷く樹
「そっか、なら早く喉治さないとな」
こくりと満面の笑みで頷いた樹に自然と笑が零れる
さて、料理はそろそろ出来そうだ.......俺生きて帰れるかね?
よく考えれば一瞬とはいえ樹ちゃんの妹になるなんて......