「奏様、やはりまだ何か問題が?」
「あぁいえ、大丈夫です」
聞くべきか?貴方は俺の手料理を食べた事がありますかって?今日初めて顔を合わせた人に?.....馬鹿らしい、そんな事聞いた所である訳ないって言うのは目に見えてる
「そうですか、それで奏様に何があったのかを詳しく聞かせて頂け無いでしょうか、あまり思い出したくは無いでしょうが......」
「いや、まぁ説明するのはいいんですけど......」
先程の戦闘中にあった事を思い出すが、覚えているのは敵を全て殺すと言う感情とソレに呑み込まれてしまい、自分が自分で居られることに自信が無くなってしまったこと
アレを言葉にするってなるとなぁ.....
「なんて言うか、破壊衝動的なものが押し寄せてくると言いますか.....」
「なるほど、やはり.......」
「やはり、なんですか?」
「原因は精霊との融合だと思われます」
「精霊との融合が原因?八咫烏がですか?」
名前を呼ばれて反応したのか、端末から八咫烏が飛び出し奏の膝の上に乗り何とも無害そうな顔つきでコチラを見上げてきた
「......コイツが原因とはとても思わないんですけど?」
「正確には八咫烏自体が原因と言う理由ではありません、ですがこの様な愛らしい見た目でも精霊は神樹様の使いです、そんな精霊と融合となると、やはり普通の人間では荷が重いのです」
「じゃぁそれが原因で破壊衝動的なものに呑み込まれる、と?」
「はい」
「なんでまたそんなモノを.....」
「実は元々精霊との融合は大昔に勇者システムに切り札として搭載されていた機能なのです、ですがその力を行使するには使用者の精神に重大な負荷がかかってしまいました、そのため新たに作られたシステムが」
「満開システム?」
「その通りです、ですが満開システムは使用者の肉体に重大な負荷がかかってしまいます、なので今の技術なら精霊との融合をデメリット無しで行使出来る、我々はそう思い試作型として奏様の勇者システムに組み込みました......それが慢心でした結果精神負荷を消す事は出来ずに奏様にご迷惑を掛けてしまいました、申し訳ありません」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
深々と頭を下げる眼鏡の女性、それを慌てて制止し頭を上げて貰う
「それって彼女達の満開システムを無くすためにやった事なんですよね?なら謝る事なんてありませんよ」
「ですが結果的は奏様を......」
「まぁ確かに自分が自分じゃ無くなるみたいで怖かったのはホントですけど、彼女達の為を思ってやった事を責める事は出来ません」
「.......ありがとうございます奏様」
実際怒ってない訳じゃないけど流石に友奈達の負担を軽くする為にやった事だし、それにここまで深々と頭を下げられたらな.....
「1度端末の中にあるデータを確認したいのですが端末をお借りしてもいいでしょうか?」
「大丈夫ですよ、ほらお前も端末に戻りな」
未だに膝の上に乗っている八咫烏を端末に戻す様に促すが、プイとそっぽ向いてしまった
こ、コイツ....
「駄々こねて無いで端末に戻れよ!大赦の人が困るだろ!」
「八咫烏がいなくで問題ありませんよ、データを見るだけですし」
眼鏡の女性の言葉にほら見ろ!の様な顔でコチラを睨みつける八咫烏
「では失礼します」
眼鏡の女性が部屋を出ていき、部屋には八咫烏と奏だけになる
「ったく」
膝の上に乗っている八咫烏につんつんとちょっかいをかけるがいつもなら翼で払ったり、クチバシでやり返したりするのになされるがままにされている?
「もしかして反省してる?」
つーんとそっぽ向く八咫烏
「ははは、なんだよ拗ねるなって今度うどん作ってやるから」
バサ!羽を大きく広げて喜ぶ八咫烏に自然と笑が零れた
つまり何が言いたいのかと言うと八咫烏は可愛い、それは忘れちゃいかんぞ?