結局あの日屋上で東郷に本当の勇者システムの仕組みに説明されてから何の進展も無いまま数日が過ぎた、園子とは逃げた日から顔すら合わせていない。そして今も時間を潰すために誰も居ない勇者部の部室で考え事をしていた
大赦もそこはかとなく見て回ったけど先代勇者なんていなかったし.....やっぱり臨時で来てたって事なのか?東郷はともかく風はあの話を聞いた時から様子が変だし.....せめてなにか新しい情報でもあれば
そんな事を考えていると、ガラガラと部室のドアが開いた。何者かと振り向いて確認すると風だった
「ん?奏?なんで部室にいんの?」
「なんて言うか....ただの時間潰しかな?」
「ふーん、ま別に良いけどしっかりと戸締りはしてよね~」
「おいコラちょっと待て」
普通に部室を出ていこうとしている風の腕を掴み引き止める
「.....離して」
「最近は様子が変だったけど.....流石に今の状態は見過ごせないな、何かあったんだろ?」
「離してって言ってるでしょ!」
無理やり手を振り払われる、その時に、風の顔を見た。その頬には涙が伝っていた
「......ほっといてよ、明日には元通りにしてるから」
「なんでそんな顔をしてるのか教えてくれたらほっといてやるよ」
「........」
......まぁそんなに簡単に教える訳ないか、それが風だもんな
「じゃ、樹に聞いてくればいいか?」
「っ!ダメに決まってるでしょ!?」
「だろうな、なら教えろ」
「......随分と強引なのね」
「そうでもしないとお前は話さないだろ?」
風には悪いと思っているが、樹を使わないと恐らく風は絶対に話したりはしないだろう、犬吠埼風とらそう言う奴だという事が分かっている
「.......さっきね先生に呼び出されたの、樹の事でね」
「?なんか樹がやらかしたのか?」
「ううん、違うの、樹は何もして無いんだよ.....けど声が出ないから授業に影響が出てるんだってさ......ねぇ樹が何かした?どうして樹がこんな目に合わないといけないの?私達世界を救ったんだよ?なのにどうしてこんな、こんな目に合わないといけないの?」
「風.....」
「ゴメン.....私部長なのにね、明日には普通通りにするから」
そう言って部室を出ていこうとする風に手を伸ばし、引き止め無かった、いや引き止められなかった、あの日風と別れた日の顔と重ねてしまった.......きっと追わなければ行けなかったのだろう、だが俺には追えなかった、今の風を1人にしてはいけないと分かっていたのに.....
本編とは全く関係ありませんが、園子様のドレス最高すぎひん?