「で、どうした東郷、急に呼び出したりして」
ある日突然東郷に風と共に東郷の家に来るようにメールが来た
「風先輩と奏君に見てもらいものがあってね」
「ん?なんか情報でも仕入れたか?」
「まぁ.....情報と言えば情報、かしら?」
そう言って東郷は机の中から何か取り出した、それは小太刀の様だった。その小太刀を引き抜いた
「と、東郷?その小太刀って何に......」
次の瞬間に東郷は小太刀で自分の首を切り裂いた.....がその刃は首には届いていなかった、なぜなら東郷の精霊である青坊主がバリアを張り東郷を守っていた
「っ!なにやってんのよ!アンタ今精霊が止めなかったら!」
「止めますよ、精霊は確実に.....私はこの数週間で私は10回以上自害を試みました、切腹、首吊り、飛び降り、一酸化炭素中毒、服毒、焼死......全て精霊に止められました」
止められた小太刀は刑部狸が取り上げ、奏達の近くにあった机に置いた
「今私は勇者システムを起動していませんでした、それでも.......」
東郷の言葉は最後まで続かなかった、そこには東郷の目の前に立ち右腕を振り抜いた奏の姿と、何が起こったか理解できていない東郷。そう奏が東郷の頬を平手で叩いたからだ
「奏、君?」
「.......さっき言ったことぜんぶ試したのか?」
「え?」
「全部試したのかって聞いてんだよ!!!!」
返事は無い、それが答えだろう
「馬鹿かお前は!確かに精霊は俺達を守るのかも知れないけどな!もし、何かの不具合でバリアが張られなかったり、その中に精霊でも守れないものがあったらどうする気だったんだよ!!!!」
車椅子に座って呆然としている東郷を抱き締める
「そんな無理をしないでくれ.....!頼むから......」
「....ごめんなさい、そうね軽率だったわ」
「いや、俺の方こそごめん.....ひっぱたいたり、怒鳴ったりして」
「アンタ夏凜の顔面ボコボコにしといてよう言うわよ.....」
「むむむ、確かにそれを言われると痛いな......」
「ふふふ、奏君この間聞いた話だと友奈ちゃんもぶつ勢いだったって聞いたわよ?」
どうやら東郷はいつもの調子を取り戻した様だ
「ま、まぁ取り敢えず話の続きをお願いしますよ東郷」
「ええっと.....どこまで話したかしら?」
「東郷が勇者システムを起動していなかったって所辺りまで」
「あぁ、そうでしたね......それで奏君は勇者システムを起動していなくても私達を守ってくれる精霊、コレをどう考える?」
「普通に考えればよっぽど上手く出来た防護システムだけど......」
ただ今までの情報を整理すれば、恐らくそれだけのシステムでは無い事ぐらいは容易に想像がつく
「勇者を無理やり生かしてお役目に縛り付けるため.....とか?」
「さ、流石に考えすぎじゃない?」
「いえ、私も奏君も同じ意見に辿り着きました.....そしてこの考えがあっているなら私が大赦であった先代勇者の言っていた事が本当になります」
「勇者は決して死ねない......」
いや、死ねないだけならいいけど、問題はそこじゃない.....
「そして、皆の後遺症はもう.....治らないって事か」
「えぇ、しかも先代勇者の例があったのだから大赦は満開に後遺症があったのは分かっていたはず.....私達は何も知らされずに騙されていた」
「そん、な......」
その場に崩れ落ちる風を慌てて支える
「お、おい風」
「知らなかった....知らなかったの、人を救う為身体を捧げて戦う、それが勇者?私が樹を勇者部に入れたせいでこんな、こんな......」
いやほんと、友奈の扱いどうしよ?あんまり友奈の事を考えないで話進めてたから今になって困るって言うね