「これからどうしようか奏君」
「う~ん.....そうさなぁ」
あの後風は今日は色々と整理したいから、という事で自宅に帰って行った。流石にあの状態の風を1人で返すわけには行かないと思い送って行こうとしたが結局1人で考えたいという事で見送った
「取り敢えず皆に伝えよう」
「え?でも風先輩は......」
確かに俺や風はまだ皆には黙っておいた方がいいとは言ったが、風はあの調子ではしばらくまともに物事を考えられないだろうし、皆にいつまでも隠して置くわけにはいかない
「殆ど確信に近い事だし、いつかは言わないといけない事だ、ならむしろ変に治るって言う期待を持たせない方がいい.....って供物を捧げてない俺が言った所でな....悪い」
「ううん、奏君だって精神を精霊に侵食されたんでしょ?」
確かに東郷の言う通り自分も八咫烏に精神を侵食され、敵に大しての異常な破壊衝動はある、がそれは戦闘時のみだ他の皆に比べれば軽い方だろう
「それに、逆に考えれば1番奏君が今冷静に物事を考えられる人材だと私は思うわ、その奏君がそう決めたならそうしましょう」
「.....そっか、東郷がそう言うならそうしよう、てか逆に東郷の方が冷静に物事を考えられてるんじゃね?」
「自殺を10回もしようとした人が冷静だと思う?」
「......確かにそう言われればそうだな」
「ふふふ、そうでしょ?私が冷静でいられるのは今奏君が側に居てくれて、私が間違っても注意してくれるからよ。もしも私だけだったら何をしでかしていたかわからないわ、最悪大赦に殴り込みに行ってたかも?」
......うん、東郷だったらホントにしそうだなって思ったのは胸の奥に秘めておこう
「今奏君、東郷だったら冗談じゃなくてホントにやりかねない、みたいな事を考えているでしょ?」
「なぜバレたし!?」
「あら?ホントに考えていたのね、私悲しいわ.....」
およよよ、と両手で顔を埋めて泣き出してしまう東郷
「ちょ、ゴメン!ゴメンって!だ、大丈夫だからそんな事にならないように俺も頑張るから!」
「ホントに?ふふふ、それなら安心ね」
「.....ホントにいつもの調子に戻った様で何よりです」
「お陰様で♪」
.....この様子を見る限り東郷は平気....では無いだろうけど何とかなりそうだな、問題は風だけど....俺が踏み込む訳には行かないし、それとなく樹辺りにでも任せるか
「それで、どうするの?皆に一斉に知らせる?」
「いや、1人ずつ説明してこう、最近いきなり3人混乱した場合大変だしな。最初は友奈辺りからでも話してみよう」
「了解したわ、じゃ明日の放課後にでも呼んで見ましょうか」
「ん、頼んだ」
するとふよふよと、青坊主が東郷の端末をどこからとも無く持ってきた
「にしてもこんな精霊が勇者をお役目に縛り付ける、ねぇ.....」
「これは本当に私の希望的な予想なのだけど、精霊自体は本気で主を守っているだけなのでは無いかしら、それを上手く利用もしくはそう言う風に作られるだけ....とか?」
確かに牛鬼や、青坊主、義輝に犬神、木霊と八咫烏からは邪気の様な物は感じない、寧ろ人懐っこく愛らしい
「確かに....それだったらいいな。いいか青坊主お前がどう言うつもりで東郷を守ってるかは知らないけど、東郷はたまにあんな風に無茶したりするし、これからも東郷の事を全力で守ってくれよ?」
するとビシィ!と敬礼をしてくる青坊主、すぐさま隣に刑部狸、不知火、川蛍が並び敬礼した(手の無いモノもいたが)
「ははは!頼もしいなってうぉ!?」
八咫烏も端末から勝手に飛び出し奏の目の前に出現する、少し機嫌が悪そうだ
「なんだ?もしかして他の精霊が俺に頼られてるから妬いてるのか?」
図星だったらしく、機嫌が悪そうに頭をゴリゴリと押し付けてくる八咫烏
「イタタタ!痛いってそんなにヤキモチ妬かなくてもお前の事は信頼してるよ、相棒」
ピタリと止まりこちらを見上げる八咫烏の頭を撫でてやる
....ホントに東郷の言う通りだったらいいなぁ
精霊たちはきっと全力で主を守ってるだけなんですよ!つまり精霊に罪はない!だが神樹様テメェはダメだ