樹のノートパソコンにあったオーディションと言う名前のファイルには、名前通りオーディション用の音声データが入っていた。もう二度と本人から聞くことは出来ない、その声で......
「あぁぁ....うぁ.....!」
自然と嗚咽が漏れる、樹は自分の夢を叶えることで自分を変えたいと言っていた、そして姉である私の後ろでは無く横に並んで進んで行きたいと、だがそれを他ならぬ私が樹の夢を奪ってしまった.....そう私が樹を勇者部に誘わなければこんな事にはならなかったはずなのに
「私が.....私が樹を勇者部に誘ったばっかりに......!」
悲しみと共に自分自身への怒りが込み上げてくる、それと同時に端末に連絡が入った先程大赦に送った連絡の返事だった
『満開の後遺症についてですが、犬吠埼様の言う通り我々は満開に後遺症がある事は知っておりました。犬吠埼様が仰る通り満開の後遺症が治る事はありません。人類が世界を救う為には些細な犠牲は必要な事だったのです、寧ろこの程度の後遺症で済んだことは喜ばしい事だと思います』
「些細な犠牲?喜ばしい?」
色々な感情が渦巻いている、自分への怒り、樹の夢を奪ってしまった悲しみ、もう二度と満開の後遺症は治らないと言う哀しみ、満開の後遺症を黙っており些細な犠牲と言った大赦への怒り。そんな様々な感情を抑えきれずに嗚咽を漏らしながらフラフラとリビングまで歩いていき、テーブルの足にしがみつきながら崩れ落ちた
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「これが私の知っている事全てよ」
「そん、な......それじゃぁ皆の身体は.....」
呆然としている夏凜、無理も無い私も東郷から聞いた時同じようになったのだ、だが今はそんな夏凜の世話を見ている暇はない。端末を拾い上げ勇者システムを起動する
「風?アンタどうして勇者に......」
「そんなの決まってるでしょ.....大赦を、潰すためよ」
「大赦を潰す!?アンタ本気で言ってんの!?」
「私は本気よ、こんなシステムを作り出しておいて私達には何も言わない大赦を潰す」
それをやってしまえば取り返しのつかない事ぐらい今の私にだって分かる、だが知ったことかどんな事があろうとも私は大赦を潰す徹底的に全てを.....その為だったら何だってやる
「冷静になりなさいよ!そんな事したら.......」
「私はいたって冷静よ、それでアンタはどうするの?私を止める?止めるなら容赦はしないわよ、私は何があろうと大赦を潰す。邪魔する奴も容赦しない、たとえそれがアンタであってもよ夏凜」
「私は.....」
返事は無い、それならそれで別にいい私だって好きで夏凜を攻撃したくは無い。夏凜に背を向けて窓に向かって歩いていく
「っ!!待ちなさい!私も!私もアンタと一緒に行くわ!!!」
「.....そう勝手にしなさい」
恐らく夏凜は責任を感じているのだろう、自分だけが満開の後遺症が無く無傷で居ることに、その事で悩んでいた私の力になれなかった事に、恐らくその罪滅ぼしという形で私の手伝いをするつもりだろう。それならそれでいい、私の敵にならないなら万々歳だし寧ろ協力してくれるなら利用できるだけ利用しよう
「じゃ、行くわよ」
そう言って大赦を潰すために勇者の力を行使し飛翔した
本編よりも冷静?な風先輩でした、理由は奏君の存在と夏凜ちゃんに1度説明した事で頭も多少冷えているからです......よく考えれば本編よりも酷い状態なんじゃ?