「お帰りなさいませ、奏様」
今日の出迎えはいつもの女性では無く、たまに出てくる男性の方だ。
「ただいま、園子は?」
「まだ眠って居られます」
「そっか、今から飯作るけどアンタも食べていきます?」
「いえ、私は御役目がありますので」
「知ってた、言ってみただけですよ」
そう言って園子の部屋に入っていく。
園子はいつも通りにベットで眠っていた、鼻ちょうちんを大きく膨らませていた。
「鼻ちょうちんて...おぉい園子起きろ〜」
肩を掴み軽く譲って起こすと、パァン!と鼻ちょうちんが割れて園子も目を覚ます。
「ん、うぅんおはようアモりん、あれ?この場合はこんばんわ?」
「迷うくらいならわざわざ挨拶しなくていいだろ」
「えへへ、それで今日のご飯は何?」
「今日はハンバーグだ、今から作るから起きてな」
そう言って料理を作るために1度園子の部屋を出た。
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「出来たぞ園子、ちゃんと起きてるか?」
「起きてるよ〜?いい匂いして来るから私もうお腹ペコペコだよ〜」
園子は左手は残っているが、動かす事が出来ないのでいつも奏が食事を手伝っている。
「そう言えば、今日の御役目は大変だったでしょ?ゴメンね疲れてるのに...」
「いや、これは俺の義務だからさ」
ん?ちょっと待てよ?
「園子、俺が大赦の御役目やってたの知ってんの!?」
「知ってるよ、実は私も大赦では結構すごい人なんだから」
ムフー、とドヤ顔を決めてそんな事を言ってくる。
「へぇ、どの位までのこと知ってんの?」
「アモりんが防人で他の勇者と一緒にバーテックスを倒して東郷美森ちゃんは変身出来なかった位かな」
「全部知っとるやん...」
思ったよりも知っていて驚いたけど、確かに乃木家って大赦の力強いらしいし、聞けば教えてくれたりすんのかね。
「あ、そう言えばアモりんちゃんと端末に入ってる説明読んだ方が良いよ?防人は勇者ほど簡単なシステムじゃないし、アモりんのシステムは試作型なんだから」
「え?そうなの?じゃあ俺だけ皆より弱いとかある?」
「確かに性能は少し下だけど気にするほどでも無いと思うよ?それに防人システムは勇者システムよりも汎用性がきくしね」
これからも戦って行かなきゃいけないし、確かに自分の使えるものは知り尽くしてた方がいいよな。
「じゃ園子も一緒に見てくれないか?多分俺だけじゃ理解しきれないから」
「良いよ〜でもそのかわり条件があります!」
ビシィ!っともしも腕が動かすことが出来たなら指を突き付けて来そうな勢いだ。
「条件?俺に出来る範囲でならいいけど」
「じゃあアレやってアレ!」
「アレって...えぇぇアレハズいんだけど」
「良いよ別に、アモりん1人で全部理解出来るならね」
くそうコイツ、ニヤニヤしやがって俺が嫌がるもの楽しんでやがるな...
「...はぁ、分かったやるから教えて下さい」
「やったぜ!」
喜んでいる園子を1度持ち上げる、俗に言うお姫様抱っこという奴だ。
そのままの状態で奏が先にベットに座り園子を膝の上に座らせる。
「えへへ〜特等席だ〜」
「へいへいそりゃようござんした」
園子の髪の毛から女性特有の香りが鼻をくすぐり、赤面してしまう。
「アモりん顔真っ赤だよ?あ、もしかして照れてる〜?」
「うっせ、早く説明してくれよ」
「うふふ、否定はしないあたりがアモりんらしいね〜」
くそ、園子の手のひらでいい様に転がされてる、何とかやり返したいな...
そう考えたが自分の膝の上でウキウキとしている園子を見て。
....まぁ、仕返しするのは後でもいいか。
と言うことで園子様には弱い奏くんでした!
園子の口調とか上手く書けたが不安ですケドね...