目が覚めるとそこは見た事のない天井が広がっていた、身体を起こそうとするけど、ピクリとも動かない
そうだ、私満開したら身体の何処かがおかしくなって.......
「お目覚めになりましたか園子様」
「貴方は、もしかして安芸先生?」
大赦の人達が付けているお面を付けているから顔は見えないけれど、その声には聞き覚えがある、私達の担任でピーマンの嫌いな安芸先生だ
「いえ、私はその様な人物ではありません」
「でも......」
「違います」
「........」
声は私の知っている安芸先生だけれど、その声には全くと言っていいほど抑揚が無かった、まるでロボットの様に
「私アレからどうなったの?」
「園子様は全てを敵を撃退する事に成功しました、他に何か聞きたいことはございますか?」
「そうだ!わっしーは!?わっしーは無事なの!?」
「須美様は無事でございます、今は他の部屋で眠っております」
「そっか.....良かった、ねぇアモりんは?」
「.....申し訳ございません」
アモりんは死んだ、それは分かっていた、だって私が看取ったんだから、でも認めたく無かった、信じたく無かった、夢であって欲しかった.......
「アモりん......アモりん.....うぁぁぁぁん!!」
私は泣いた、一生分泣いたのでは無いかというぐらい泣いた
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目が覚めると窓から眩しい光が差し込んでいた、1晩寝てしまっていた様だ、どうやら泣き疲れて眠っていたらしい
やっぱり身体は動かないな.....満開をしたら身体の何処かがおかしくなるのは戦ってる最中に気がついたけど......コレって治るのかな?もしも治らなかったら私、一生寝たきり?
「そんな......そんなのって......」
ドアが開くと私のいる部屋に何人もの人が入ってきた、でも全員がお面を付けている、その人達は私のベットの前に並ぶとそのまま膝を折り曲げ、その場に姿勢よく座り込み頭を垂れた。まるで何かを祀るように、ひれ伏すかのように
「おはようございます園子様」
「な、なに?どうしたの?」
確かに私の家系は大赦ではかなり力の強い家系らしい、けどここまでされるような程凄い家系では無いはずだ
「ねぇ、色々聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
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それから私は色々な事を聞いた、今わっしーはどうしているのかとか、私のこの身体は元に戻るのかとか、大赦は私達が満開したらこうなるって分かっていて新たな勇者システムを私達に渡したのかとか
その全ての問にいい答えは帰って来なかった、だがその中でも1番に悪い答えは.....
「神樹様への供物?私達が、満開をすることで.....?」
「はい」
「っ!!!ふざけないで!!!!供物?なにそれ、その口振りからすると貴方達は知っていて私達に新しい勇者システムを渡して満開させたの!?」
「その通りでございます」
「そんな....なんで、なんで何も言わなかったの!?私達だって満開にそんな影響が出るって分かってれば......!」
「満開せずに勝つ事が出来た、と?」
「それは.........」
正直、満開を使わないで前回の戦闘に勝つ事は出来なかったかもしれない......アレだけ満開してギリギリ勝てたんだし......でも
「それでも、私達だって満開の事を聞いてればもっと.....!」
「我々も勇者達に満開の事について話すべきか意見が別れました、ですがいくら勇者と言えど皆様はまだ幼い、そんな貴方方に話すのはあまりに酷かと思いまして、ご両親への説明はしておりますが」
「え?」
家族は知っていた?知っていて止めずに、私達に戦わせたの?
「なに.....それ、そんなのっておかしいよ.....だって、私達は世界を救う為に戦ったんだよ?それなのに......その対価がこれ?は、ははは....ははははは!!」
「そ、園子様?」
「ははははは!!ははは.......もう、何でもいい、何だっていい.....わっしーは私の事忘れちゃったし、ミノさんもアモりんも死んじゃった.....私にはもう何も無いんだ」
「しかし園子様......」
「うるさい、もう何も聞きたくない。出ていって」
「しかし.....」
「出てってよ!!!!」
「.....失礼します」
そう言って大赦の人達はぞろぞろと部屋を出て行った
私は......私達は普通に遊んで、普通に生活をして、普通に恋をする事すら許されないの?
なんだなんだ?話を面白くしようとすればするほど園子様が壊れていく......