私が大赦で目覚めてから1週間が経った、最近はまるきり身体を動かさないのにも少し慣れてきた、最初の数日こそ辛い事や悲しい事を思い出して泣いたりもしたけど、もう涙も出ない......
今わっしーは東郷美森という名前になっているらしい、そのお陰で今後は大赦や勇者とは関係無い生活を出来るらしい
でも良かった、もうわっしーは苦しんだりする事は無くなるんだ、正直な話を言えばもうわっしーとは会えないって思うと少し.......寂しいなぁ。
けれどわっしーじゃなくてこんな目に合うのが私で良かった、私は昔からボーッとするのが得意だったし、好きだった、多分普通の人じゃこんな生活耐えられない......
そんな事を考えているとふと部屋の扉が開いた
誰だろう?ノックもしないで入ってくるなんて.......
「あれ?ここも違うな......やっべぇ迷った」
入ってきたのは私と同じ位の男の子、でもその男の子には見覚えがある、その人は私が大好きで、愛おしくて、けど私の手の中で看取った人
「アモ、りん?」
「君は、俺の事知ってるのか?」
「え?」
「俺ちょっと記憶喪失みたいでさ、君は俺の事を知ってるのか?」
「奏様!!」
慌てた様子で部屋の中に3人の大赦の人達が入り込んできた
「困ります奏様、まだ検査は終わって居ないというのに.....」
「すいません.....すぐ戻ります」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ごめん、今は検査の最中なんだ.....また来るからさ」
そう言ってアモりんは大赦の人達に連れられて部屋を出ていってしまった、部屋に残っているのは私が目覚めたあの日私に説明してくれた彼女だった
「ねぇ、さっきのはアモりんだよね!?どうして?アモりんは確かに死んだはず.....!」
「園子様の言う通り、奏様はお亡くなりになりました」
「じゃぁ今の人は誰!?まさか顔が似てる赤の他人なんて言わないよね!?」
「彼は、神樹様に作られた人間、言わば神造人間と言うことです」
神造......人間?なに、それ?さっきの人はアモりんだよね?
「どういう事?だって、だってさっきのはアモりんでしょ?神造人間?何それ.....意味わかんないよ?」
「......信じられないのも無理はありません、ですが本当の事です彼は紛れもなく、安森奏様です」
「彼を......アモりんをどうするつもり!?」
「彼には、世界を救う為に戦っていただきます」
「貴方は.......貴方達はまだアモりんを戦わせようとしてるの!?」
「我々には彼の力が必要なのです」
ふざけるな......!ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!!
「アモりんはもう戦ったんだよ!戦い抜いて死んだのに、貴方達はまだアモりんを辛い目に合わせようとするの!?」
「......申し訳ありません、私には仕事がありますので」
「っ!待って!!話はまだ終わってないよ!!!」
部屋を出て行こうとする彼女を引き止める、しかし彼女は私の問には答えず部屋を出て行ってしまった
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
それからアモりんは毎日私の部屋に来るようになった、そして少しでも園子の役に立ちたいと言って私に毎日ご飯を作ってくれた
本当は満開の影響でご飯なんて必要無いし、味も感じないんだけどね.......
彼は記憶が無かったけれど、彼と過ごす事でやはり彼が私の知っているアモりんだと確信が持てた。けれど大赦からはアモりんには昔の話はするなと言われている
正直従う必要も無いんだけど......仮にアモりんが記憶を思い出したらきっと苦しんじゃう、守れなかったと自分を責めちゃう、そんな事はさせられない。昔の話をアモりんと出来ないのは寂しいけど、でもアモりんの為だもんね
「明日から学校か〜ゴメンな?これからはずっとは一緒に居られない.....」
「ううん、大丈夫だよ〜アモりんは学生なんだから学校に行って勉強して、友達を作らないと!」
「でもさ、正直な話さいくら俺の両親が大赦の偉い人だったからって、俺ばっかり良くしてもらって.......なんか悪いなぁって」
「いいんだよ、アモりんのご両親は大赦の為に凄い功績を残したんだから、それに甘えちゃっても」
「そんなもんかね〜」
「そんなもんだよ〜」
と言うか、大赦はアモりんを利用するためにここで住まわせて居るんだから、寧ろこき使っても良いのに
......本当はアモりんとずっと一緒に居たいけど、アモりんは私が引き留めていて言い訳がない、アモりんには普通に生きて普通に恋をして欲しいんだ
餓者髑髏さえ無ければ園子様はただの優しい女の子なんです.....優し過ぎるかも知れないぐらい