チートな能力を使って、世界を救う筈が……!(改訂版)   作:いんてぐら

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にじふぁんの規制に引っかかって削除した作品です。加筆修正、誤字脱字などをして再投稿していきたいと思います。

更新速度は一週間を目安で考えています。


では、プロローグ。どうぞ~。


プロローグ 神のミス

大学四年生の春。オレは最後の大学生活を満喫しようとしていた。単位は問題なし、内定も地元の中小企業だがしっかりと確保した。つまり卒業後の備えは無問題。

 

 ならばこの一年、オレは何をすべきか。語るまでもない。遊んで遊んで遊びつくす! そしてあわよくば心底惚れて、惚れられた彼女をゲットする! それがこの一年の目標だ。

 

 時刻は八時半。優雅で気楽な長い春休みが終わり、今日から大学が始まる。オレは講義で使う教科書数冊とノートを鞄に放り込み、家の玄関の扉を開けた瞬間――――世界が一変した。

 

 「はあっ?」

 

 我ながら、なんとも間抜けな声が出たと思う。だが、目の前の状況は、そんな声が出ても仕方ないだろう。一人暮らししているマンションの玄関を開けた。そこには見慣れた廊下がある筈だった。なのに今、自分の目に飛び込んでくる光景は、ただただ真っ白い世界。地平線なんて存在しない。本当にどこまでも白い世界が広がっている。

 

 「はっ? はい?」

 

 あまりの出来事に、眼をぱちくりさせて辺りを見回した。まったく理解できない。一体全体、何が起こったのでしょうか――?

 

 「あー……やっちまったわぃ……」

 

 オレの背後から声がした。振り返ると、そこには見慣れた玄関のドアは当然なく、真っ白い背景に――神様が立っていた。

いや本当に、オレの表現に間違いはない。真っ白い、ゆったりとしたローブ。十分に蓄えた白い髭に眉。右手には樫の杖。「あちゃー」と言うばつの悪そうな顔をしているが、刻まれた皺はある種の貫禄と愛嬌をかもし出している。

「なにこれ……なんてテンプレート……」

色々と突っ込みどころはあるが、今はこの状況が知りたい。

 

 「あー……爺さん。悪いけどがここどこ? それとアンタだれ?」

 

 「う~む……おかしいの。座標は間違っていなかった筈なのじゃが……何故、選ばれた者と違うのじゃ? 誰かのミスか? いや

書類はちゃんとチェックした筈なのじゃが……」

 

 ぶつぶつと呟きながら、爺さんはローブの裾から取り出したクリップボードを見つめている。ってか、無視ですか?

「お~い、爺さん~」

 

 「んっ、おおすまんすまん。完璧に手違いじゃ。すまんの少年。早く帰して……ん?」

 

 申し訳なさそうな表情から一変、爺さんの顔からだらだらと冷や汗が流れ始めた。何か、良くないものを発見したらしい。

「えっ、と……爺さん。大丈夫か? 何か汗が出ているみたいだけど?」

 「い、いや……その、ちょっ、ちょっと待ってくれぬか?」

爺さんはくるりとその場で反転。再びローブの裾に手を突っ込み、何かを取り出した。携帯電話だ。それもかなり古いデザイン。たぶん、携帯本体より、電池のほうが重い時代の骨董品。へぇ、まだ動くんだ。ってか、持ってる人いたんだ。今の時代、スマートフォンだよ。

「あー、もしもし。どういうことじゃ。何か勝手に起動しておるぞ? ――なぬ? そんなバカな話があるか。それ以前に選定者とはちが――いや、待て、ちゃんと確認――」

何か酷い厄介ごとらしい。オレは一先ず電話が終わるのを待つ事にした。それにしても、ここはどこなのだろうか。空も地面も全て真っ白。こんな空間、地球上にあるんだろうか?

しばらくして、爺さんが携帯電話を閉じた。そしてくるりっとオレに向き合い、とんでもないことを言い出した。

「すまん少年よ。君は死んでしまった」

 「――――はい?」

 

 深刻そうに、それでいて申し訳なさそうに言う爺さん。オレが死んだ? じゃあ、ここにいるオレは何? 何言ってんのこの爺さん。痴呆症か? ボケたか?

 

 「玄関を出た直後に震度三の地震が発生し、落ちてきた玄関灯が頭に直撃。頭蓋骨陥没による脳挫傷で死亡……すまん。完璧にこちらの手違いじゃ……本当に申し訳ない」

 

 頭を下げる爺さん。全然、状況が見えない。と言うか、なに、その死に方? そんなバカな死に方したのオレ? 

 ……何がなんだか本当に分からない。でも、分かった事が一つだけある。

「爺さん……病院行こうか?」

 

 目の前の爺さんがボケていると言う事だ。まぁ、服装がおかしいのはそのせいだろう。オレは警戒心を抱かせないように、自分に出来る最高に優しい笑顔を浮かべた。老人介護の仕事をしている親戚の姉ちゃんから聞いた事がある。痴呆症、呆けているご老人には、まずは笑顔を向ける事が大切なんだってさ。

 

 「……かーっ! 少年、お主は儂をボケ老人と見ておるのか! 不届きな奴じゃ! 儂はボケておらんわ!」

 

 「いやいや爺さん、程良くボケてるよ。訳の分かんない事言ってるし、服装もおかしい。ボケ老人決定。安心してよ、オレの親戚の姉ちゃんが老人ホームの仕事してるから、最悪紹介して―――――」

 

 「ええいっ! 儂をボケ老人扱いするなっ! 儂を誰と思っておる!?」

 

 「神様ルックのコスプレをしている可哀想なボケ老人」

 

 「違うわい! 儂は神じゃ!」

 

 ……痛々しい。何て痛々しいんだ。オレは目に涙が浮かびそうだった。

「あーはいはい。おじいちゃん。掛かり付けのお医者さんから何か貰ってないかな? 電話番号とかお薬とか?」

 

 「かーっ、信じよ。本当にワシは神なんじゃぁー!」

 

 涙目になってるよ自称神様……まぁいいか。ここは頭ごなしに否定せず、まずはお話を聞くんだったよな姉ちゃん。

 

 「あー、分かった分かった。信じるよ神様」

 

 「優しい笑顔で語りかけてくるなぁー! まるっきり信じておらんじゃろ!」

 

 「ううん。おじいさん。僕は信じているよ」

 

 「口調が変わっとるじゃろうがぁ! ええい。もうよいわ! こうなってしまった以上、主に行って貰うしかないな!」

 

 そう言って、クリップボードの上の紙にさらさらと何かを書き込む自称神様。ん? 電話番号かな?

 

 「よいか。主はこれより、多元世界の安定と秩序を守る為に、ある世界に行って貰う。その世界は、人類が宇宙からの外敵によって、滅亡の危機にある。主はこの危機を回避し、滅亡のシナリオを書き換えなければならん」

 

 「うんうん。それで?」

 

 優しい笑顔をキープ。自称神様、半泣き。

 

 「……その世界に行くに当たって、主には幾つかの能力を付与させる事が出来る。これがその能力の一覧じゃ。好きに選べ。ただし最初に付与できるのは二つまでじゃ」

 

 と、自称神様が持っていたクリップボードがふわふわと宙に浮き、オレの手元に舞い降りてきた。――――驚いたよ自称神様。アンタ、ボケる前は手品師だったんだな。

 

 とりあえずオレはクリップボードに書かれている紙に目を通した。そこにはこんな項目が書かれていた。

 

 

 操縦技術:S

 

 機械技術:S

 

設計・開発:S

 肉体強化:S

 

 精神強化:S

 

 高性能専用兵器所有

 

 高性能サポートメカ。

 

 本拠地強化。

 

 初期ポイント一〇〇〇〇〇pt。

 

 なんじゃこりゃ? それが第一の感想。まったくもって意味不明だ。オレはちらりと自称神様に視線を向けると、神様は「はよせい!」と睨んでくる。いや、その前に説明を……まぁとりあえず前の二つにマルを付けた。

 

 「決めたな」

 

 再びクリップボードがふわふわと浮いて、自称神様の手元に。

 

 「むっ……驚いたわ。本拠地やポイントに眼を向けず、自身に還元できるモノを選びおったわ。ふ~む、これは興味深い」

 

 唸る自称神様。何が興味深いんだか……さっぱり分からん。

 

 「よし、では、主の注文どおり、存在情報を書き換えておく。あとは経験を積めばいくらでも強化できるからな。詳しいやり方も主の頭に書き込んでおく。それじゃあ出発じゃ。第一五八四七四三九番多元世界。通称、マブラヴオルタネィテブの世界へと――――」

 

 「――――ストォーーーープ!!」

 

 聞き覚えのある単語に反応し、オレは声と共に、動作でも「ストップ」を促した。

「な、なななんじゃ!? 急に大声を出すな。心臓が止まるかと思ったではないか!?」

 

 「……爺さん。今、何て言った?」

 

 聞いた事のある単語だ。オレは腕を組み、眉を傾げながら尋ねた。

 

 「心臓が……」

 

 「その前。マブラヴとか言わなかったか?」

 

 「言ったの」

 

 「――――オレにどこに行けと言った?」

 

 「マブラヴオルタネイティヴの世界に――――」

 

 「……すまん。全然理解出来ない。マブラヴの世界に行け? あれはゲームだろう。いや、そもそも行けってどういうこと?」

 

 マブラヴオルタネイティヴ。

 

 確か、友人がしつこく勧めてきた18禁のギャルゲーだ。オレはあんまりこういうの興味無かったんだが、あまりにしつこく勧めるんで仕方なくプレイしてみた所――――見事にハマった。コレでもかと言うぐらいにハマッてしまった。元々スーパー○ボット○戦やエースコ○バッ○、アーマー○コ○、天元突破グラ○ラガ○などの熱いゲームが好きなオレは、このマブラヴの壮大なストーリーにハマりにはまった。桜花作戦出撃前のインド人? 司令官の演説なんて胸に手を当てて聞いていたぐらいだ。そしてまりもちゃんの――ぎゃあー、思い出しただけでも鬱になるぅ!

 

 「ゲームじゃと? 誰がソレを決めたんじゃお主? いや、そもそもどうしてソレがゲームであると決め付けるのじゃ?」

 

 「はっ? だってあれはゲームじゃ……」

 

 「お主の世界ではそれがゲームにすぎないだけじゃ。世界は無限、可能性は果てし無い。数多に存在する世界の一つに、そのゲームと同じ世界があってもおかしくはなかろう?」

 

 ……並行世界。パラレルワールドの理論か? 

 「……まぁ百歩譲ってそれが現実の……一つの世界だと認めよう。で、行けってどういうこと? あの世界にオレが行くの? 主人公の白銀 武みたいに?」

我ながら、何て馬鹿なことを口走っていると思う。常識を疑う話だ。誰かに話しても、信じてもらえないだろう。いや、むしろ可哀想な人として見られるだろう。

 

 「……そういえば、その様な異端な存在がおったな……。まぁ、概ねそんな感じじゃ。詳しく言うとなぁ……」

自称神様の話はこうだ。

世界とは、二つの意味がある。大世界と小世界と言う二つの世界だ。小世界とはオレ達が住んでいる世界の事で、大世界は無限に存在する小世界を内包する外枠らしい。分かりやすく例えると、無数の飴玉が入ったガラス瓶。飴玉が小世界で、ガラス瓶が大世界。

それで飴玉、つまり小世界は無限に生まれ続けていて、大世界にも内包できる限界量が存在する。ある程度、小世界は自然消滅するんだけど、時たま、自然消滅せずにそのまま存在し続ける場合がある。その場合、自称神様……いや、神様が直接手を下して、その小世界を消して、大世界の限界量を超えないように調整するそうだ。

しかしそれはあくまでも、初期の段階でしか実行できず、タイミングを逃すと、神様の手でもその不必要な小世界を排除できなくなる。放っておくとその不必要な小世界は肥大を続け、他の小世界を飲み込み、さらに肥大、最後には大世界の貯蔵限界量を超えてしまう。そうなれば、大世界と言う器は割れ、世界は無に帰するそうだ。

大世界の破壊。そして数多の小世界の安定は、全てにおいて優先されなければならない。神様の管理を離れた不必要な小世界を調整する最後の手段、それが「転生者調整システム」だそうだ。他の小世界の人間を、不必要に肥大した小世界に送り込み、調整する。そしてそれを円滑に、確実に行う為に、神様が支援を行うそうだ。

「――つまり、オレはその「転生者調整システム」に間違って選ばれた……と?」

「そうじゃ。何らかの問題が発生して、選ばれたはずの選定者とは別に、少年。君が選ばれてしまった」

なんて途方もない話だ。誰もが一度も思った事があるだろう。ゲーム、アニメ、ドラマの世界に飛び込んで見たいという欲求。それが今、オレの目の前にある。

「マジかよ……」

正直、かなり興奮している。だが、飛び込む先があの滅亡フラグ、欝フラグ、死亡フラグ満載のオルタナティヴ世界とは……どうせならマブラヴのほうがよかったよ。あんな明るい高校生活は羨ましいからな。

 

 「元の世界に戻す方法はないのか? そもそも、間違いなんだから戻せるんじゃないのか?」

 

 「元の小世界に帰してやりたくとも帰してやれないんじゃ。「転生者調整システム」が何故か、起動し、お主のいた小世界の情報は書き換えられてしまった。もしこの状態で戻せば、お主は幽霊と言うことになってしまう。元の小世界に戻すには一度、別の小世界にお主の存在情報を書き加え、改めて、元の小世界に書き加えなければならない」

 

 「……なるほど。じゃあ行った瞬間に書き換えればいいじゃないか」

 

 「無理じゃ。そう直ぐには出来ん。第一、お主は「転生者調整システム」の選定者に選ばれておる。この役目を全うしない限り、転生は行えん」

 

 ……OK。つまりなにか。あの圧倒的兵力を持つBETAを相手にして、絶望的な戦況をひっくり返してようやく元の世界に帰れると?

 

 ……ふざけんな。

 

 「ふざけんなぁージジイ! オレの明るいキャンパスライフを返しやがれぇーー!!」

 

 「ぬぉおお!? 胸ぐらを掴むな。血が、毛細血管が!? 動脈瘤が破裂するぅう!?」

 

 「無茶でもやれ無理でもやれ何が何でやれ! 神様ぁぁぁあああ!!!」

 

 「ぬっはぁああああああ!?」

 

 怒りに任せて、神様をがくがくと振り続ける事十分。

幾分かすっきりしたオレは、最後に残った怒りを大きなため息とともに吐き出し、改めてぐったりとしている自称神様に向き直った。

 

 「――――改めて確認するけど、それしか元の世界に戻る方法はないんだよな?」

 

 「う、うむ。ないの……」

 

 「――分かった。行こう。まぁ、何とかなるだろう」

 

 こういう時は前向きに考えよう。と言うか、それしかない。とりあえず目標と手段は分かったんだ。何とかなるさ……うん、ほんと……たぶん何とかなるよな……?

 

 「おおっ、行ってくれるのか?! 感謝するぞ。それと間違ってしまって本当に申し訳なかったの」

 

 「もういいさ。やってしまったものは仕方ない。次からは気を付けてくれよ――――ところで本来行く筈だった奴ってどんな奴だ?」

 

 間違ってオレが選ばれたなら、本当に選ばれた人間がいる筈だ。あんな絶望的な世界を救うんだ。何かすっげぇ屈強で意志の固い奴なんだよなたぶん。

 

 「見るか。こいつじゃ」

 

 そう言って、写真を一枚見せてくれた。その写真に移った人物を見た瞬間、オレは思いっきり口元を引きつらせ、戦慄した。

 

 「……正気か?」

 

 「正気じゃが何故じゃ? なかなか生命力がありそうな子じゃと思ったんだが……」

 

 「ふざけんな! こんな奴がオルタナティヴの世界に行ったら、一週間と待たずに人類が滅びるわ!」

 

 写真に写っていたのはでっぷり肥った中年だった。明らかに不衛生な姿でぴちぴちに張り裂けそうなアニメキャラTシャツがあまりにも醜い。神様。アンタ、本当に正気か? 頭のネジが十本ほど吹っ飛んでいないか? いや、やっぱりボケてるなこのジジイ!

 

 「……もういい。さっさと送ってくれ」

 

 「う、うむ。それじゃあ行くぞ。主が行くのは横浜基地周辺じゃ。ゲームを知っているようじゃから、最初に何をすればいいのか言わずともよいだろう?」

 

 「ああ」

 

 と言う事は主人公の白銀武と同じ行動を取るのか。あの超絶美人の香月夕呼に合えばいいのか。どうやって会おうか。まぁその辺も白銀を参考にさせてもらうか。

 

 「じゃあ頼む。世界を救うのだ」

 

 「まるで救世主だな」

 

 「その通り、主は救世主の役目を背負ったのだ。では、行って来い!」

 

 神様がこつんっと杖で地面を叩いた。その瞬間、真っ白い世界が漆黒の世界へと変わる。それと同時にオレの意識も薄れ、闇に同化した。

 

 

 

 

 

 

 

 それはまるで深い海から海面へと浮き上がるような感覚だった。徐々に全身の感覚――何か妙な違和感を感じるけど――が戻り、漆黒に支配されていた視界に光が差し、オレは目の前の状況に絶叫した。 

 

 「あうあうー(な、なんじゃこりゃあああ!!!)」

 

 「元気な子だな」

 

 「あなたに似たんですよ」

 

 見知らぬ男性と女性が、オレの顔を覗き込んでいた。二人の顔は至福に満ち溢れ、誕生した一つの命を慈しんでいる。

 

 そう――――白陵基地に行く筈が何故かオレは赤ん坊になっていた。

 

 神……じゃねぇくそじじいーーーーーーーー! さっそく一発目からミスりやがったなぁぁあ!!!

 

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