Fate/Destroyed Order   作:防要塞 唯我

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前回から1ヶ月強たちましたが、本日のジオウにまた士が出てきたのでその記念的に第2話です。よろしくお願いします。


第二話 「世界の破壊者(門矢士という男)

「もしかして……あなた門矢士?」

 

 そのリツカの呼びかけに対して怪訝そうな表情を浮かべた男だったが、彼女の姿を見て、その表情が固まる。

 

「お前は……なるほど。そういうことか」

 

 男はそう小さく零す。その内容はリツカには聞こえなかったらしく彼女は聞き返した。

 

「え、今なんて……」

 

「だいたい分かった、それだけのことさ。どうやら、今回の俺の役割はあんたのサーヴァントって所らしいな」

 

「門矢士が……私のサーヴァント!?」

 

 リツカは思わず声を上げる。彼女からすれば、これまで焦がれてきたヒーローが、自分の使い魔となるのはそれだけの反応があっても無理もないことではあったが、その声に反応してスケルトンの群れから一部が彼女たちの方に向かってくる。

 

「ひぃぃ! 藤丸、何やってるのよ!」

 

「どうやら……詳しい話はこいつらを倒してからの方が良さそうだ。マスター、準備は良いか?」

 

「え、私?」

 

「お前以外に俺のマスターはいないだろう? 戦闘に移るが、良いな?」

 

「う、うん。 やっちゃって!」

 

 マスターと呼ばれたことに困惑しつつも、藤丸はサーヴァントを名乗る男に戦闘を命じる。

 

「それじゃあ、軽く蹴散らしてやるか」

 

 そう呟きながら、男は懐からバックルを取り出し腰に当てる。するとベルトが伸び、腰に巻き付けられた。バックル部を引いて中央部を90度傾ける。そして、ベルトに取り付けられているホルダーからカードを取り出し顔の前に掲げる。

 

「変身!」

 

KAMEN RIDE

DECADE

 

 その掛け声と共にバックル部分に取り出したカードを挿入。再び中央部を元の位置に戻すことで認識音声が響き、男は一瞬のうちへ「仮面ライダー」へと姿を変えた。

 

「い、一体何がどうなってるの? このサーヴァントは何者なのよ?」

 

 困惑する所長にリツカは誇らしげに語る。

 

「彼は、門矢士は仮面ライダー。日本に伝わる正義の味方です!」

 

 ホルダーを剣の形に変形させ、「仮面ライダー」はスケルトンの群れに迫る。そして、近づくや否やそれを横に振りかざしスケルトンを薙ぎ払った。そのまま別のスケルトンにも斬りかかり、次々にそれらを蹴散らしていく。そして一度ホルダーを腰に戻したかと思うと、一言つぶやく。

 

「全く、雑魚ばかりだな。直ぐに片付けるとするか」

 

 スケルトンをいなしながらそう告げて、ホルダーから一枚のカードを取り出して、ベルトに読み込ませる。

 

ATTACK RIDE

BLAST

 

 読みあげる声が聞こえたかと思うと五体の骸骨兵は爆発四散し、辺りに骨の残骸が無造作に散らばった。

 その様子を見ながら、リツカは感嘆の声を上げる。

 

「すごい……本当に仮面ライダーはいたんだ!」

 

「これが……仮面ライダー……」

 

 オルガマリーが呆気にとられる中、戦いを終えたマシュと「仮面ライダー」は2人の元へと戻ってくる。

 

「先輩、所長、やりましたね。なんとかこの場を凌げました。そちらのサーヴァントの方もありがとうございます。宜しければ名前をお伺いしても?」

 

 戦闘の中で興奮したのか、マシュが早口で話しかけたのに対して、「仮面ライダー」はその変身を解いて彼女の問いに応じる。

 

「門矢士、仮面ライダーディケイドだ。一応クラスはライダーってことになってる」

 

「士さん……ですね。改めまして先輩と所長を助けてくれてありがとうございます。貴方がいなければ恐らく我々は全滅してました。あ、申し遅れました。わたしはマシュ・キリエライトと言います」

 

「マシュ・キリエライトか。覚えておこう。なに、マスターを守るのはサーヴァントの務めってやつなんだろ? 俺もそれをしただけさ」

 

 ぶっきらぼうにそう告げる士に対して、マシュはその人間性を把握したのか、思わず微笑んだ。

 一方のリツカとオルガマリーだが、混乱しているオルガマリーを後目に、リツカは先程ポケットからこぼれ落ちた玩具のライダーカードを持って士の元へ駆け寄り、一言。

 

「とりあえず、サイン貰えませんか?」

 

「は?」

 

「へ?」

 

「えぇ……」

 

「フォウ……!?」

 

 それは混乱していたオルガマリーを含めその場に居た三人+一匹が全員困惑する発言であった。しかし、リツカは至って大真面目である。憧れのヒーローに会ったのだ。サインのひとつくらい貰っておきたい。そう考えるのは当然の帰結ではあった。

 

「とりあえずサインは後だ、マスター。事態が解決したらいくらでもしてやる」

 

 妙な空気を破るべく士が口を開いた直後、彼らの前にベージュのフェルト帽を被った男が現れる。

 

「ディケイド、少女達を救ってヒーロー気取りか?」

 

「鳴滝。まさかお前までここに来てるとはな」

 

「士さんのお知り合いですか?」

 

「あぁ。こいつは鳴滝。俺の行く先々に現れて邪魔をしてくるやつだ」

 

「おのれディケイド! もっとまともな紹介の仕方は無かったのか!」

 

 鳴滝と呼ばれた男は士へのあたりが厳しいということは会って間もないマシュやオルガマリーにも伝わっていた。一方リツカは、鳴滝の方に近づき頭を下げながらこう告げた。

 

「とりあえず、サイン貰えませんか?」

 

「節操なしかお前!」

 

 士の時と同じようにサインを強請るリツカ。耐えきれなくなった士が思わず突っ込むと、そこには割と上機嫌でサインを書いている鳴滝の姿があった。

 

「お前もノリノリか!」

 

「サインを求められたら応える、それの何が悪い!」

 

「お前そんなタイプだったか……?」

 

 柄ではないとは思いながらも思わず突っ込んでしまう士であった。そして、サインのくだりがつつがなく終えた後、神妙な顔持ちで鳴滝は告げる。

 

「藤丸リツカ。君はディケイドを召喚してしまった。ディケイドは世界の破壊者、それを君は分かっているのかね?」

 

「もちろん知っています。それでも、仮面ライダーディケイドは私にとってヒーローだから、私は彼を信じます」

 

「それは、いずれ後悔するかもしれないとしてもかね?」

 

「はい。そうだったとしてもです」

 

「どうやら、君の意思は硬いらしいからこれ以上止めることは出来ないな。だが、覚えていて欲しい。ディケイドが現れた時点で世界は破壊され、奴がいる限り世界は破壊され続ける……!」

 

「知ってますよ。ディケイドは確かに世界の破壊者かもしれない。でも、その破壊はきっと悪じゃない。私はそう信じてます。だって私──」

 

 そこでリツカは一度口を閉じてから鳴滝に微笑みかけながら告げる。

 

「貴方達のファンですから」

 

「なっ……」

 

 鳴滝もその返答は予想してなかったのか、一瞬虚をつかれた用に固まってから、被っているフェルト帽の位置を整えながら彼女に語りかける。

 

「その返答は予想できなかったな。私は行くが、君にまた会いたくなった。──だから教えておこう。ここに君たちの敵の──つまるところ狂ったサーヴァントが近づいてきている。もしその襲撃を乗りこえ、堕ちたサーヴァントを一掃してこの特異点を無事脱出することが出来たのなら…………また会おう。人類最後のマスター、藤丸リツカ」

 

 そう言って鳴滝はどこからともなく現れた時空の歪みのような所へと消えていった。その様子を見届けた士は少し口角を上げる。

 

「鳴滝のやつ……どうやら相当驚いたらしい」

 

「彼は一体何者なの……? いえ、そんなことより今重要なのは彼の去り際の言葉ね、私の聞き間違いじゃなければサーヴァントが迫ってるとか言ってなかった!?」

 

 オルガマリーがあたふたし始めた瞬間、どこからともなくナイフが飛んでくる。その存在に気づいたのは士だけだった。

 

「マシュ! 盾をその女に!」

 

「えーと、はい!」

 

「フォウ!?」

 

 士の咄嗟の判断に、マシュは困惑しながらもデミ・サーヴァント化してオルガマリーの前に盾を展開する。その防御は辛うじて間に合い、盾はナイフを弾いた。

 

「敵襲ですか!?」

 

「もう来てる!?」

 

「どうやらそうらしい。敵の姿は見えないが、確実にこの近くにいるはずだ」

 

 マシュとリツカの口から零れた問いに応えたのは既に変身を終えたディケイドだった。その姿を見て四人と一匹は臨戦態勢に入る。

 

「敵性個体、所在不明との戦闘を回避します。マスターと所長、フォウさんは下がって──」

 

「待ちなさい」

 

 マシュの言葉を遮ったのはオルガマリー。動揺した際の瞳ではなくどこまでも冷静な魔術師の眼をしていた。

 

「敵のサーヴァントはおそらくアサシン。暗殺者のクラスよ。私の事を狙ってきたことから見るに、次も戦闘能力が低い私か藤丸をマスターと踏んで攻めてくるはず。だから貴方は私達の防御に専念して」

 

「は、はい!」

 

 淡々と状況分析を行い指示を出し始める彼女の姿に、マシュは困惑しながらもどこか嬉しそうな表情をしている。

 

「藤丸もマシュから離れないこと。そして──カドヤとか言ったかしら? 貴方には1人でアサシンと戦ってもらいます。アサシン自体の戦闘能力は高くないのでおそらく貴方の力があれば十分突破できるでしょう。問題はアサシンの持つ気配遮断という隠密行動用のクラススキルだけれども……」

 

 説明中に二本目のナイフが飛んできてマシュが再びそれを弾く。そして、言葉が途切れたタイミングで、リツカが呑気そうに手を挙げてオルガマリーに質問をする。

 

「あのー、所長? その気配遮断って、自分の居場所を悟られにくくするとかそういう感じの能力ですか?」

 

「ええ、そうよ。攻撃の瞬間以外は認識が難しいと考えてもらって構わないわ。それがどうかしたの?」

 

「士さん、それならペガサスフォームで何とかならない?」

 

「……あぁ、なるほど。だいたい分かった。多分大丈夫だ」

 

 二人の間のやり取りは、他のメンバーにはよく伝わらなかったらしく、皆一様によくわからないと言った顔をしている。

 

「よく分からないけど、対応策があるってことなのよね? そこは貴方たち2人を信じます」

 

「フォウフォウ!」

 

「どうやら組織のお偉い人らしいからな、ここで俺の実力をしっかりと見せておくのも──悪くない」

 

 そう言ってディケイドは腰のホルダーから1枚のカード──体の緑色が特徴的なボウガンを構えた戦士が描かれているもの──を取り出し、ベルトに挿入する。

 

「変身!」

 

FORM RIDE

KUUGA PEGASUS

 

 読み上げ音の後、ディケイドの姿は全く別の仮面ライダ──―緑の戦士と呼ばれる仮面ライダークウガのペガサスフォーム──へと変貌を遂げていた。

 そして彼は地面に足をつき、出現したボウガンを構える。

 一秒、二秒と緊張のまま膠着する状況。それを破ったのは、三度飛来するナイフだった。

 

「そこだ!」

 

 緑の戦士(ペガサスフォーム)の力により研ぎ澄まされた超感覚で、一瞬の動きから敵の位置を特定したディケイドクウガ。一切のブレなく、正確に敵のいる座標へと狙撃を放つ。飛んできたナイフはマシュによって、彼にあたる前に防がれる。

 

「ぐわあぁ!?」

 

 狙撃を放った先から断末魔ともに爆発音がする。

 

「反応がない。どうやら仕留めきれたようだ」

 

 そう言いながら、士は変身を解く。マシュも、デミ・サーヴァント化を解き、その場にへたりこんだ。

 

「それにしても、よく俺に攻撃が来るってわかったな?」

 

 士は、あまり驚いたような様子はなく、マシュに尋ねる。

 

「もしわたしがあちら側だった時のことを考えたんです。二人を守る能力を見せて、そちらに専念している以上、向こう側からしたら先に無防備な士さんを攻撃しようと思うのが当然です」

 

「お前……今日初めて戦ったとは思えないくらいに飲み込みが良いな」

 

「そうですかね? お役に立てたのなら嬉しいです」

 

 そう言って無邪気に頬笑みを浮かべるマシュから、士は直視出来ないと言った様子で目をそらす。

 

「まあ、俺一人でも大丈夫だったが……」

 

 そして照れ隠しのように言ったその言葉は既にマシュには照れ隠しだと気づかれているので、マシュは更に笑顔になっていた。

 

「あー、そう言えば。お前、なんて言う名前なんだ?」

 

 耐えきれなくなったのか、士は話題を変えるようにオルガマリーに質問を書いする。

 

「……自己紹介が遅れました。私はオルガマリー・アニムスフィア。人理継続保障機関カルデアの所長をしています。先程の二度の戦いで貴方の実力は分かりました。今回の協力に感謝します。改めましてよろしく。仮面ライダー」

 

「門矢士だ。さすがに仮面ライダーという呼び方はしっくり来ないから変えてくれ」

 

「それじゃあ門矢、よろしく。ところで、さっきはありがとう。貴方の判断が無ければ、今頃私はここにいなかったかも知れません」

 

「よせ。お前がいないと今後マスターが困るかもしれないと思っただけだ。それに、さっきの状況判断は的確だった。ま、俺ほどではないがな」

 

 そう言って不敵に笑う士を見て、リツカとマシュは顔を見合わせ笑う。戦場での異常事態が続いてるとは思えないほど、穏やかな空気が流れていた。

 

「おうおう、戦場だと言うのに呑気そうじゃねぇか」

 

 突如声をかけられ、一同動揺する。いち早く声の方角に目を向けたリツカが見たものは、フードを被った杖を持つ男であった。

 

「貴方は一体……?」

 

「フォウ?」

 

「オレはキャスター。この聖杯戦争に呼ばれた七騎のうちの一騎だ」

 

 そう自己紹介を終えた彼の様子を見て、マシュは驚きを隠せないと言った表情をする。

 

「先輩! あれは、()()なサーヴァントです!」

 

「おうとも、他の奴らは既に呑まれちまったが、オレはまだだ。一人でひっそりと抵抗を続けてるってわけさ」

 

「……キャスター、我々カルデアと共闘しないかしら。見たところマスターも居ないようですし、目的は一致すると思うのだけれど」

 

 オルガマリーが申し出た提案を聞いて、キャスターはその言葉を待っていたと言わんばかりの表情をする。

 

「そいつは悪くねえ。だが、オレは素性も知らない奴といきなり共闘するってのはあまり好きじゃなくてね。特にそのライダーからはあまり良くない気配がするからな」

 

「俺か。相変わらず、随分嫌われたものだな。マスター、こんな奴と共闘する義理はない。こんな事件、俺が一人で片付けてやる」

 

 暗に信用ならないと言われた士は、自嘲気味に笑いながらキャスターを挑発する。その場に緊張した空気が流れる中、キャスターは埒が明かないとばかりに切り出す。

 

「その言い方──どうやら、ようやく役者が揃ったらしいな。とりあえず手合わせと行こうぜ、ライダー。アンタの判断は実際に戦ってするさ」

 

 挑発を受けて、臨戦態勢に入るキャスター。それを見た士はやれやれとため息をつきながらバックルとカードを取り出す。

 

「そういう事だマスター。とりあえず、戦闘するが良いな?」

 

「仕方ないかな……それにしても本当に誤解されやすいんだ……」

 

「それで共闘の可能性があるというのならやむを得ません。カドヤ、お願い出来るかしら」

 

「血の気の多い奴はこれだから困る。──まあ、少し遊ぼうか。変身!」

 

KAMEN RIDE

DECADE

 

「サーヴァント、キャスター。オレは割と手強いぜ?」

 

 そうして、二騎のサーヴァントの戦いが始まるのだった。

 

次回、Fate/Destroyed Order

 

「アンタの手数、どんだけあるんだ?」

 

「俺、参上ってな」

 

「お次は龍だ。倒せるかな?」

 

「■■■■■――!!」

 

「そろそろ終わりにしようか、狂戦士!」

 

「仮面ライダーは負けません。私達が信じる限り」

 

 

 

 

第3話 「破壊された聖杯戦争」

全てを破壊し、全てを救え! 




ここまで読んで下さりありがとうございます。
宜しければ、感想・お気に入り登録・評価など頂けると非常に嬉しいです。

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前回から1ヶ月かかっちゃいました。出来れば2週間に1度くらいのペースで更新したいものですね……

それでは、改めましてここまで読んでくださってありがとうございました!

士のキャラブレあります?

  • ちゃんと士できてる
  • 少し違和感が.......
  • こいつは士じゃない
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