Fate/Destroyed Order 作:防要塞 唯我
大変遅くなりまして申し訳ありません……
まだこの作品を読んでくれる人、楽しみにしてメッセージをくれた人がいたのでなんとか続けられてます。
それでは本編をどうぞ!
「ここだったら多分安全だ。見張りもしておいてやるからゆっくり休ませてやれ」
突然倒れた藤丸リツカ。唯一のマスターである彼女を置いて特異点攻略を進めることも出来ないため、一行は現地で出会ったサーヴァントであるキャスターの案内で廃ビルに身を隠すことになった。
「キャスター、アナタの好意には感謝します。ですがどうしてそこまで? アナタの目的は結局何なんですか?」
その都合の良い事態を訝しんでオルガマリーがカルデアトップとしての固い口調でキャスターに問いかける。先程サーヴァント同士の戦いを目撃し、生身でその驚異を感じたのもあってか、彼女の手は僅かに震えていた。
「オルガマリー、そう怯える必要はないだろう。乱入で有耶無耶になったが、つまるところ合格ってことで良いんだろ、キャスター」
「ま、そういうことだ。ライダー、疑って悪かったな。アンタ、生きにくいだろ、そんなもん持ってたら」
「まぁ、ずっとこれだからな。流石に慣れる。ところでキャスター。お前──どこまで知ってる?」
見かねた士が間に入り、やり取りを行うがその様子は腹の探り合いにしか見えない。
「先輩を奥で寝かせてきました。──もしかして、お取り込み中でしたか?」
その時、丁度よく奥の部屋にリツカを寝かせてきたマシュが戻ってきた。
「そんなことは無いぜ。ライダー、さっきの質問への答えだが、マスターの嬢ちゃんが起きてからで良いか? オレの持ってる情報をとりあえず一通り教えてやるよ。会った時にも言った通り、オレもこの状況は好ましくねぇからな。何とか解決したいとは思ってるのさ」
そう言って少し口元を緩めるキャスター。彼の目に悪意はなく、ずっと戦い続きだったカルデア一行はここでようやく安心して一息つけるのだった。
「──以上が、これまでの状況の報告よ。なにか質問はあるかしら?」
『特にありません。それにしても、所長が居てくれてほんとに助かりました。ボク以上の権限を持つスタッフは全滅。今後ボクが所長の役割を代行してカルデアを仕切る事になるのか……とか思ってたりしたので』
リツカを目覚めるのを待つ間に、オルガマリーは廃ビルの一角でリツカの持っていた通信機を用いてカルデアと連絡を取っていた。応答したDr.ロマンと話す中でオルガマリーは事態が相当に危ういものであることを再認識する。
「わたしも本来ならアナタがトップだなんて認めたくないわよ! でもアナタしか居ないならしょうがないじゃない。わたしが帰るまでカルデアをなんとか維持してちょうだい。それと、もし万が一わたしに──」
『おっと所長、それ以上はなしですよ。──キミの事だから恐らくかなり無理をしているんだろう。でもそんな弱音を今は吐かないでくれ。どちらにしろ、その特異点をなんとか修復しないと人類に未来はない。だから、どうか無事に帰ってきてくれよ、マリー』
弱音を吐きかけるオルガマリーを静止して、ロマニは彼女を激励する。
「──そうね。幸いサーヴァントの召喚や、協力の取り付けにも成功した。なんとかなる可能性は十分ある。弱音を吐いている場合では無かったわね」
『その意気さ』
「──ロマニ・アーキマン。あなたをカルデアの所長代理として任命します。所長が帰還するまで、どうかカルデアを、人類の砦を守るように」
サーヴァントの闘いで身の危険を身近に感じたからか、はたまたヒーローという概念を知ったからか。どちらにせよ、1日前の彼女からは出ないであろう言葉を聴いたロマニは驚いたように一瞬押し黙り、それを悟られないようにおどけてみせる。
『やれやれ、人使いの荒い所長だなぁ。まあそれはそれとして、確かに拝命しました。どうか無事にお戻り下さい、所長』
とは言え、真剣に発せられた言葉には誠意を見せる。ロマニの声色がそれを物語っていた。
「とりあえずはできる範囲で良いから観測を続けて何かあれば随時報告してちょうだい。それと、マシュと藤丸のバイタルチェックもしておいて。あの二人は特異点攻略の要よ。万が一が起きないように優先的に見ておいて」
『分かりました。とりあえずこちらもまだ収拾が着き切っていないので一度通信を切ります。マシュとリツカちゃん、それと仮面ライダーによろしくお願いします』
「そっちも気をつけて。このわたしが頼んだのだから、完璧にこなすこと」
『はい。それではまた後ほど』
そうして通話が終わる。二人とも聡明であり、お互いの口にしなかったこともある程度推測がついていただろう。だが、そこには言及しない。相手の意地も気遣いも分かった上で口に出さない方が良いと二人は共に判断したのだ。
「所長! 先輩が目を覚ましました!」
通話が終わるや否やというタイミングで、マシュがオルガマリーの元へやってくる。リツカの覚醒を伝える彼女はこれまで見たことの無いような喜びの表情をしており、オルガマリーは彼女の急な成長に驚く。
「そう、分かったわ。すぐに行きます」
「士さんにも声をかけてきますね!」
「ええ。先に行ってるわ」
駆けて言った彼女を見てオルガマリーは独り言を零す。
「わたしも彼女も、一日もしない間に変えられてしまったのかもしれないわね」
その表情は明るく、炎が広がる特異点には似つかわしくないものだった。
「ごめんなさい、心配かけちゃったよね」
「えぇ、全くよ。おかげで足止めを食らっちゃったわ。わたしたちには時間が無いんだから」
「所長、何もそんな言い方をされなくても──」
オルガマリーから発せられた言葉が刺々しかったこともあり、マシュは思わず反駁するが、それを遮るようにオルガマリーは語る。
「マシュ。意見をストレートに言えるようになったのは良い傾向だけど、人の話は最後まで聞くことよ。──だから藤丸、このミスは貴方の頑張りで取り返しなさい。貴方はここにおける唯一のマスター。挽回のチャンスはいくらでもあるわ」
「所長……はい、藤丸リツカ、未熟ながら世界を救うために頑張ります!」
憑き物が落ちたかのように冷静な言葉で鼓舞ができるようになった所長を見てリツカも勢いよく返事を返す。
「だからと言って気負いすぎないように! さっきみたいに少しでも身体が可笑しいなと思ったら直ぐにわたしに報告すること。分かった?」
「い、イエッサー!」
指揮官としての威厳を発揮した所長に対して不自然にかしこまったリツカを見て、そのやり取りを見ていたマシュの口元にも自然と笑みが浮かぶ。
「あー、そろそろ良いか? マスターの嬢ちゃんが目覚めたんだろ?」
「フォウ!?」
「キャスターさん!?」
フォウが驚いた様子で鳴いた方を見るといつの間にかそこにはキャスターが現れていた。
「おいおい、そんなに驚くことねーだろ。ただの霊体化だ。ずっとここにいたさ」
「サーヴァントの霊体化……話には聞いていましたがそこまで気配を消せるのね。これは想定以上だわ」
「だろうな?」
「きゃっ!?」
オルガマリーが驚きの表情を浮かべながら後ろを向くと、そこには士の姿があった。流石のオルガマリーも二度目は想定外であったらしく、驚きのまま尻もちを着いてしまう。
「門矢……アナタってサーヴァントは……!」
「悪い悪い、まさかそこまで驚くとは思ってなかった」
「あー、そろそろ始めていいか?」
状況を見かねたキャスターが話を切り出す様子を見てオルガマリーは顔を赤くしながら立ち上がり、仕切り直しと言わんばかりに咳をした。
「──見苦しい様子でごめんなさい。じゃあ、始めましょうか」
「おう。じゃあまずはお互いの状況確認と行こうぜ。まずは……カルデアだったか? そっちの状況を聞かせてくれ」
「所長、ここはわたしが説明します」
「いいでしょう。キリエライト、アナタに任せます。説明後に足りない情報はわたしの方から補足しましょう」
そして、マシュによるカルデアの状況報告が行われた。カルデアの目的、発生したトラブル、特異点突入後から現在までの経緯。それと一行のプロフィール。それらの情報を一通りキャスターに伝える。
「なるほどねぇ、『特異点』ときたか。ま、そっちの事情は理解した。オレもその解決に力を貸してやるよ。という訳でそこのマスターと仮契約と行きたい訳なんだが、さっきの様子を見るにそんな簡単に仮契約して良いものか悩みどころだよな」
「そう言えばキャスター、藤丸が倒れた原因についてアナタ何か心当たりがあるようだったけど、知っていることがあるのなら教えて貰えないかしら」
オルガマリーはキャスターが、リツカが倒れる直前に、マスターの状態が悪くなっていることを言い当てていたことを思い出し、彼に問いかける。
「そうだな、それにはこの聖杯戦争の異常性について説明するところから始めないといけない。ちょっと長くなるか良いか?」
「構わない、聞かせて欲しい。私も私の身体に何が起きてるか気になるし、それにこんな地獄のような光景が出来てしまった理由を知らないといけないと思う」
リツカの決意を秘めたような目を見て、キャスターも感じいる所があったのか、姿勢を正して話を始める。
「じゃあ、この狂った聖杯戦争の話を始めるぜ。──その前に、オレの名前はクー・フーリン。かつては“クランの猛犬”なんて呼ばれたが、今は
そして、真名を明かしたキャスターことクー・フーリンは語り始める。本来の歴史から遥かに歪んだ聖杯戦争の記録を。
「──ってな感じで、マスターは全員どこかに消え、オレ以外のサーヴァントは全滅し、さっき見たような、最早英霊としての誇りすら失った姿になっちまったわけだ。オレはその事態を解決するためにこうして動いてたんだが、さすがに多勢に無勢でね。アンタらが来てくれて助かったってのが正直なところだ」
「なるほど、状況はだいたい把握しました。少し質問があるのだけど、良いかしら?」
「いいぜ、と言いたいところだがその質問は聞くまでもないな。アンタが聞きたいのは、
オルガマリーの質問にキャスターは予想通りという様子で話を続ける。まるでその質問が来ることが分かっており、聞かれるのを待っていたと言わんばかりの様子で。
「ええ、話が早くて助かります。一体どういうことなの? 本来聖杯戦争は七騎で行うものでしょう? エクストラクラスが召喚されたという話もなかった以上、元々この聖杯戦争は六騎しかサーヴァントが存在しなかったということにならないかしら?」
「アンタの察しの通りさ。この聖杯戦争にはライダーが存在しなかった。もちろん代わりの
「なるほど、そういう事か。大体わかった」
キャスターの含みのある言い方に、これまで口を挟むことの無かった士が事態を把握したと言わんばかりの口ぶりで告げる。その発言はリツカの目を輝かせていたのだが、それは彼女がただ仮面ライダーが好きだからである。
「ああ、そうだ。アンタは七騎目だよ、ライダー」
キャスターが告げた言葉でリツカを除く全員が事態を把握したという様子で考え込む仕草を始める。聖杯戦争に対する知識が薄い上に士の発言で、上の空状態だったリツカだけが全く自体を呑み込めていなかった。
「……なるほど、そういう事ね! だから藤丸はさっき倒れることになった、確かにそういう状態なら納得が行く……」
「詰まるところさっきの召喚はカルデア式ではなかった……だからこそ士さんが召喚されたのですね。納得しました」
「フォウ、フォウフォウ!」
「え、ちょっと待って。これもしかして私だけ分かってない感じ? フォウ君すら分かってるのに私だけが分かってない感じだよね?」
「どうやらそうらしいな、嬢ちゃん。まあ簡単に言うとだ、そこのライダーはアンタらカルデアのシステムじゃなくて
「あ──、なるほどそういう事ね? わかった、私分かった」
明らかに分かっていないだろうが、恥ずかしさからそれが言えないのか、リツカはわざとらしくごまかしにかかる。それは誰の目から見ても明らかで、隠すのが下手という次元ではなかった。
「まあ、詰まるところ、キミと門矢の契約は直接結ばれているから、カルデア式と違って短時間に魔力を使いすぎると、身体に送り込む魔力が間に合わなくなるってことよ。令呪から通じてるパスのおかげで魔力自体はカルデアから供給できるけど、カルデア式よりも魔力を流すのに手間がかかるってことね」
それを察して、気を遣ったオルガマリーが(彼女なりに)分かりやすく説明を行ったが、残念ながらリツカには理解が追いつかなかった。墓穴を掘ることを恐れ始めた彼女は最早コクコクと頷くだけの機械になってしまっている。
「で、結局オレは仮契約出来るのかね? 所長さん、アンタシステムに詳しいみたいだし、判断頼むわ」
「結論から言うと問題ありません。アナタとの仮契約はカルデア式で結べば特に藤丸に負担が行くことも無く、魔力供給もある程度は行えるでしょう」
「お、ラッキー。それじゃ早速頼むぜ、リツカ」
「あ、うん。──所長、仮契約ってのをやれば良いんですか?」
「そう言えばまだ、アナタはちゃんとした契約を落ち着いてした経験すらなかったわね。手順は教えてあげるからその通りにやりなさい」
「じゃあ、仮契約の傍ら、ここに残ってる敵対勢力についてオレが分かってる情報を教えるか。ま、バーサーカーほど細かく知ってる訳でもないんだがな、無いよりはマシだろうさ」
所長の手解きを受け、リツカは無事キャスターであるクー・フーリンと仮契約を結ぶことに成功した。そして、情報交換に加えて、充分な休息と言えるかは怪しいが、行動を再会できる程度に回復を行えたので、時は急げという事で一行は廃ビルを後にしていた。
「キャスターさん、さっきの話では残りの敵対サーヴァントは二騎、アーチャーとセイバーとの事でしたが、基本的には持ち場を動かないんでしたよね?」
「ああ。セイバーは大聖杯に陣取ってやがるし、アーチャーはセイバーの守護者気取りで常に傍らに控えてやがる。こんな事態になってからヤツらが動いた所は見たことがない」
「ならこのまま大聖杯に向かって進めば良いってことね。サーヴァントの奇襲がないのならじっくり作戦が立てられて助かるわ」
キャスターの言葉を信用する一行のメンバーは、周囲に敵性反応がないか位の警戒はしていたものの、少し和やかで気の抜けた雰囲気で街を進んでいた。
「──何か来る! そこの店に隠れろ!」
「士さん……?」
そんな中一番後ろを歩いていた士が何かに気づいたかのように叫び、退避を勧める。
「急げ! ……間に合えよ!」
「フォウフォウ!」
フォウの呼び掛けもあり、慌ててリツカとオルガマリーを庇いながら壊れた店舗に向かうマシュとキャスター。迫り来る大きな一撃に備えて士はカードを同時に三枚出し、順に読み込ませていく。
士の姿がディケイドの姿に変化した後、ヘラクレスオオカブトに良く似た剣を持つ仮面ライダーの姿に変わる。運命と戦い勝利したライダー、仮面ライダー
「何とか間に合ったか……だが、さすがにこの直撃を受ける訳には行かない」
リツカ達が店内に入ったことを確認した後、追加でカードを1枚取り出し使用するディケイドブレイド。
読み上げる音が鳴り響いた後、止まっていた剣がその動きを再開し、ディケイドブレイドの体に触れると同時に爆ぜた。
「くっ、やはり使っておいて正解だったな……」
爆風が晴れると、そこには銀色に硬化したディケイドブレイドの姿があった。しかし、その姿は直ぐにディケイド本来の物へと戻っていく。そして思わず膝を着いたディケイドにリツカは思わず声をかける。
「士さん!」
「来るんじゃない……! 相手は俺たちの場所を正確に把握しているらしい」
何とか体制を建て直し変身したまま店内に転がり込むディケイド。その様子には明らかな動揺が見られた。
「アーチャーだな……アイツ、あんな
「あの攻撃、どこから撃ってるの!? 全く見えなかったわよ?」
「
「とにかく対策を考えましょう……! 先輩、何か案はありませんか?」
マシュは期待に満ちた目でリツカを見る。突如話を振られたリツカは混乱しながらも考え始めた。
「え、私? そうだな……士さん、タイム使ったのなら相手の大体の場所はわかった?」
「タイム? 藤丸、一体それは何なの?」
「タイムって言うのはさっき士さんが使ったカードの1枚で、周囲の時を一時的に操る効果があるんです。相手の攻撃が一時的に止まったのもあれのおかげです。結構負担のかかる技だから乱用は出来ないと思うんだけど……」
「確かに、やつの場所はだいたい把握したが……さすがに方角が限界だな」
「そっか……ならどうしよう──」
彼らが作戦を練っていると周囲で爆発音が起きた。アーチャーが再び攻撃を再開したのだ。それと時を同じくして、廃店舗にスケルトンが侵入してくる。
「……どうやら、のんびり話してる時間はないみたいだな!」
キャスターが炎を放ち、侵入してきたスケルトンを撃破するが、既にスケルトンが周囲を埋めつくしていた。
「マスター、どうする?」
「悩んでる時間はなさそうだね……士さん、アーチャーにタイマンで勝てる自信はある?」
「もちろんだ……と言いたいところだが、魔力の都合もあるから絶対とは言えないな」
ディケイドはスケルトンをライドブッカーで切り裂いたあと手を払いながらそう述べる。
「藤丸、門矢。魔力がどうしても必要なら令呪を使いなさい。それがあればさっきの戦闘以上に魔力を使っても倒れる心配はないわ」
「それなら、何とかしてやる!」
「士さん……よし、皆私にここを突破するアイデアがある! 理由を説明する時間が無いから、今から言う通りに動いて欲しい!」
士の返事を聞いて、リツカは腹を括った。マスターとして、この場の英霊たちを指揮し、勝利に導くのだと決意をしたのである。
「よし、行くよ! 皆手筈通りにお願い!」
「はい、頑張ります!」
「任せな!」
合図とともに一斉に店を飛び出し展開する。マシュが盾を構え、その傍らにリツカが立ち、礼装で彼女をサポートする。キャスターとオルガマリーは魔術を用いて周囲のスケルトンを自陣に近づけないようにしていた。ディケイドは、再び
「見つけた! 放つぞ!」
ディケイドクウガがアーチャーを目視し、攻撃を放った瞬間、アーチャー側からも一撃がこちらに向けて放たれていた。
「攻撃、確認しました! 持ちこたえてみせます……!」
その攻撃が放たれたのをマシュは正面から見据える。隣に立つリツカを、後ろで自分たちを守ってくれるオルガマリーやキャスターを守るために。
そして、攻撃が迫り、マシュの盾に至る瞬間。一瞬だが、光の壁が現れる。
「絶対に止めてみせます! やぁぁ!」
その光の壁で放たれた剣の威力は減衰し、マシュの踏ん張りもあって爆発を含め、盾で受け止めきることが出来た。
そして爆風の後、その場にはディケイドクウガを除く全員が健在であった。
「マシュ、良くやったわ! 今のは……宝具の片鱗ね」
「わたしが……宝具を?」
「凄いよマシュ! 今の光の壁、かっこよかったよ!」
「大したもんだぜ、嬢ちゃん。さて、後はライダーが上手くやってくれるかだな」
時は少し遡り、店舗の中に戻る。
「結論から言って、大事なのは士さんがアーチャーを見つけて、その場から離れられる前にアーチャーの元にたどり着くことだと思うんだ」
「そんなことが出来るなら今すぐにでもやってるわよ、と言いたいところだけど。何か考えがあるみたいね。言ってみて」
「はい。アーチャーを見つけることはさっきのペガサスフォームでどうにかなると思うんだ。問題はその後。こっちがアーチャーを見つけるってことは、あっちにも見つけられる可能性が高い。だから、攻撃が一発確実に来ることになる。それをマシュに何とか受け止めてもらわないといけない。で、マシュに受けてもらうならスケルトンはキャスターと所長に対応してもらわないといけないんだ。マシュが守りに集中出来るように」
リツカは思いついた作戦を語り始める。無論、素人の考えた戦法だ。本来なら通用しないはずである。だが、こちらには
「なるほどな。でもよ、リツカ。結局のところアーチャーの元まで辿り着く方法がねぇじゃねぇか」
「士さんには高速移動系の力もあるはずなんだ。アーチャーの攻撃の爆風が拡がってる間にそのカードを使用して、二発目が放たれる前に向こうまで行ってもらう、それなら何とかならないかな?」
「……どうやら悩んでる間は無さそうね。いいでしょう、その作戦で行くことにしましょう。門矢、アナタも構わないわね?」
「ああ、マスター。今度は倒れるなよ?」
「もちろん! じゃあ──合図で出発しよう!」
そして、現在。高地から射撃していたアーチャーの目の前には、銀色のボディに赤色の「Φ」を象ったような顔と、開いたような胸元のコアが印象的な仮面ライダーが居た。10秒間のみマッハ51にも達するスピードを発揮出来る仮面ライダーファイズアクセルフォーム、の姿を取ったディケイドである。ディケイドファイズがアーチャーの前に姿を現すと、【TIME OUT】という電子音が流れ、ディケイドの姿へと戻る。その姿を見た、アーチャーは何かに気づいたように言葉をかける。
「どんな手段を使ったのかと思ったが、貴様、まさか……
「俺のことを知ってるとは、この世界では俺は本当に創作物らしい。だが、お前も相当な偽物だな?」
ディケイドは相手の口ぶりや、動作を見て何かを察したらしく挑発を行う。一方、挑発を受けたアーチャーもタダでは終わらない。ニヒルに笑いながら言葉を返す。
「ふっ、察しが良いな。貴様も贋作使いか、面白い。 贋作者同士、力比べと行こう」
「贋作者か、確かに俺もそう言う口なのかもしれないな。だが、生憎と俺は破壊者だ。ちょっとお門違いって話だな」
「それは失礼。オレもかなり壊れていてね。そろそろ始めるとしようか。だが、オレの動きに貴様はついてこれるか?」
「ふっ、お前の方こそ俺に着いて来れるか?」
かくして、戦いの火蓋は切って落とされる。手始めにカードを二枚取り出したディケイド。その二枚にはメタリックな赤色に水色の瞳が特徴的なライダーの姿が描かれている。
「くっ、そのライダーは!」
使用したカードを見て顔を歪めるアーチャー、その瞬間、ディケイドはディケイドカブトへと姿を変え、そしてその姿を一瞬にして消す。
「動きが追えない……ぐっ、だが!
見えない敵からの攻撃を受け続けるアーチャー。だが、彼には磨き続けてきた
「そこだ!」
「ちっ!」
高速で動いていた反動からか、攻撃を受けた際の衝撃も大きい。ディケイドカブトの変身が解除され、ディケイドの姿へと戻る。
「まさかあれを見切るとは。言うだけのことはあるようだ」
「戦闘は能力だけではない、オレがそれを教えてやろう」
「あいにくと口うるさい奴は間に合ってるんでな。さて、両手剣には両手剣……とは少し違うが、まあ良いだろう」
ディケイドは次のカードを取り出し、再び姿を変える。
紫の炎に包まれ妖を討つ鬼の姿──仮面ライダー響鬼──へと転じると手を払い、即座にもう一枚のカードを取り出す。
「とりあえずこの炎を喰らっていけ!」
現れた二本のバチ──音撃棒 烈火──を振りかざし、炎をアーチャーに放つ。無論、その威力は高いとは言え、双刀で軽く払われる。その間に距離を詰めたディケイド響鬼は音撃棒をアーチャーに振りかざす。
双刀とバチの撃ち合いが暫く続くが状況は打開しない。
「さすがに強いな、これならどうだ!」
撃ち合いの反動を利用して後ろに引いたディケイド響鬼が、すかさず一枚のカードを取り出す。──だが、いや、だからこそディケイドは気づかない。その隙にアーチャーが一本の矢を番えて放っていたことを。
「ぐっ、さすがに手強いか」
読み上げ音と共にディケイド響鬼の口元から紫の炎がアーチャーに放たれ、直撃し、彼を怯ませる。
「よし、トドメだ」
アーチャーが仰け反ったのを確認したディケイドは状況が優勢だと思い、黄色のカードを取り出した。──油断からか、彼は気づかない。背後から迫る一撃に。
「喰らいつけ、
「何!? ぐはっ!」
背後からの一撃を受けたディケイド響鬼は、呻き声とともに倒れ再びディケイドの姿に戻る。アーチャーの放つ追尾性の一撃に確実に不意を疲れた形である。
「油断したな、仮面ライダー。貴様にこの世界は救えない。あくまで貴様は虚構なのだから」
「くっ……何だと?」
「もし違うのだと言うのなら証明してみろ! この世界にだってヒーローがいると、世界を救えるとな」
アーチャーはまるで挑発をするかの如くディケイドに言葉を浴びせる。それはまるで、ディケイドに勝利してほしいと願っているようですらあった。
「仮面ライダーは倒れない。俺は数多の世界を巡りそれを見てきた! この世界に虚構しかないというのなら、俺が示してやる。何時だって、ヒーローは遅れてやってきて世界を救うってことをな!」
その言葉は、ディケイドに火をつける。かなりのダメージを負ったはずの彼は、直ぐに立ち上がり、懐より液晶の着いた端末を取り出す。
「リツカ、聞こえるか? 宝具を使う、良いな?」
『ずっと聞こえてた。いいよ、やっちゃって。
その言葉が念話で送られた直後、ディケイドの身体に大量のエネルギーが流れ込む。詰まるところ。令呪が使用された証拠である。
「どうやら、マスターからも俺は期待されているらしい。なら、せっかくだから見せてやる! 歩くライダー図鑑ってやつをな! 行くぞ、
「馬鹿な……何だそのデザインは!?」
「ロード・カルデアス。そう名付けなさい」
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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冒頭でも述べましたが、投稿がとても遅れて申し訳ありません。このペースですが、辞めることはなく続けていきたいと思いますので引き続き応援してくださると幸いです。
それでは、今度はぜひ近いうちに。
戦闘シーンで見たいものは?
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緻密な戦闘描写
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様々なカードを多用する描写
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サーヴァントとの夢の共演
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その他(あれば感想でください!)