男たちは空き地に残された壁などに取りつくと、それを遮蔽に銃撃を加え始める。
夜の闇に銃声が響き渡り、互いに銃火が交わされた。
互いに……
そう、
火炎ビンの炎により照らしだされ、夜目が利くという利点を覆されて一気に不利に陥った
その内の一人が倒される。
(マスター、どうします?)
ファルナが困惑した様子で
(パーティーが始まっちまったか。共倒れを狙いたいところだが、時間がかかると
可能なら両者が争って数を減らしてくれた後に目的のものを奪いたかったが、状況はそれを許してくれそうになかった。
(そうでしたわね)
仕方なくファルナは銃を構える。
幸い敵はまだ彼女に気付いていない。
ファルナから丸見えの位置でマスケット銃に銃口から
(見ていてくださいな、少し大きめの花火を上げてさしあげますわ)
そして
電撃変換能力を持つサンダラーにより、
超高密度に圧縮されていた力が銃口を飛び出した途端、直径がファルナの背丈ほどもある閃光へと変化。
雷のように加速し目標を襲う。
それを受けた男が声も無くのけぞった。
例え意識を保てたとしても筋肉が痙攣を起こし、しばらくの間、身体が自由に動かせなくなるのだ。
だから一撃で倒れ伏し行動不能に陥る。
ファルナは素早く音を立てないように見つけておいた次の狙撃地点へと移動する。
それは自分の位置を暴露することになる。
やはりと言うべきか、次の瞬間にはファルナが元居た位置に銃弾が叩き込まれる。
新たな狙撃地点から密かに見下ろすと、襲撃者の内一人がファルナの射撃に反応して空き地に残された壁を遮蔽にして銃を撃ち込んでいた。
Cランク相当の
しかし、
「反応速度は悪くありませんが、対応が教本どおりなのが今一つですわね」
ファルナの言うとおり、撃ったらさっさと動かないと位置が丸わかりだ。
上を取られているから物陰に身を寄せても隠れきれていないし、ファルナの
今の状況に対して、遮蔽を頼りにその場にとどまって銃撃を続けるのは悪手というものだった。
一方、残りの二人は突然の出来事に反応できていなかった。
見たところ、この二人には
瞬時にそれだけを見て取ると、ファルナは再びサンダラーを構える。
戦いに際して彼女の力は圧倒的だ。
通常、人体に入れられる
ファルナは自分からの攻撃に対応できていない襲撃者の一人を狙うと、再び
夜の闇には花火が良く似合う。
戦いのための牙を研ぎ澄ました戦士。
それが魔装妖精だった。
「鴨撃ちですわね、これは」
倒れる相手を尻目に、更に次の狙撃地点に移動しサンダラーを構える。
眼下を見渡すと形勢不利と見たのか襲撃者の内、
ファルナの
「まさか……」
そのまさかだった。
飛び出した男に
男が使ったのは第十二肋骨の周囲に刻まれ、副腎髄質に作用しアドレナリンを任意に分泌させる
一時的に心筋収縮力の上昇、心、肝、骨格筋の血管拡張、皮膚、粘膜の血管収縮、消化管運動低下、呼吸器系の効率上昇といった身体機能の強化、更に痛覚の遮断を起こす。
効果時間が限られていること、使用後は反動が出ることから常用はできない。
しかし、いざという時には有効な手段だった。
そいつが囮となって
(おあつらえ向きだな。そのまま見逃してやれ)
(了解です、マスター)
ファルナは銃を構えながらも、わざとそれを見送った。
迂回していた男が鞄をひっつかみ、急いでその場から逃げ出す。
囮となった襲撃者が頑張っているため、
逃げ出した男はファルナのサンダラーの射程からは遠ざかるが、彼女が焦ることはなかった。
(狙いどおりですね。わざわざ見逃しておいた甲斐がありました)
こうして賽は投げられた。
これが吉と出るか凶と出るかは、ブツの確保を担当する俺たち次第だ。
そしてファルナは静かにその場から離脱する。
戦い続けている