そして一色いろはは過去と向き合う。   作:秋 緋音

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初めまして! 秋 緋音(あき あかね)です!

「八色が書きたい!!」と思って書いてみました。

これが初投稿になります。

投稿の仕方からもうあたふたしてます。

どうか温かい目で読んでいただけると幸いです。




本編
第1話


ジャァァァァァァァァン…ズダダンッ!!

「「「うおおおおおおおおお!!」」」

 

ここはいま、6月の暑い夏、とある大学の文化祭。

ステージの上では軽音サークルのメンバーが

ライブをしていて、演奏が終わると同時に

会場にいる観客が大きな歓声を上げた。

 

わたし、一色いろはもその軽音サークルの

一員として、ステージ脇で待機中。

 

「ありがとうございましたー!!」

 

ボーカルがマイクに向かって挨拶を済ませ

メンバー達と一緒に捌けていく。

それと同時にわたしはステージへ

次のバンドの準備設営に取り掛かる。

 

なぜわたしがこんなことをしてかというと

大学へ入ってすぐに仲良くなった女の子が

一緒に入ろうよ、と誘われたものの

別にバンドがしたかった訳でもないので

バンドを組まずこうやって雑用を

しているのである。ちょーめんどい。

 

設営を終えて、再度ステージ脇へと下がると

後ろから駆け足でタタタッと誰かが近付いてくる。

 

「いーろはーっ!」ダキッ

「うぉあッ!? なにッ!?」

 

いきなり後ろから抱きつかれて

前のめりに倒れそうになる。

もう声で誰かわかっているが、振り返るとそこに

雨音 乙葉(あまと おとは)がいた。

「うぇ……、きたない」

たった今ステージを終えた乙葉は

少し汗ばんでいるので早々に引き離す。

 

「いろは! どうだったどうだった!?」

 

引き離された勢いでくるッとターンして

満面の笑みを浮かべ、下から顔を覗き込むような

姿勢で聞いてきた。

 

乙葉は同じ大学の同期だ。黒髪のショートヘアに

赤のメッシュが入っている。小柄な体型に

ダボッとした黒を基調とした服装に

シルバーアクセサリーを着飾っている。

ロック調のライブ衣装に相まって、

可愛らしい整った顔が少しかっこよく見える。

 

「はいはい、すごく良かったわよ…「ありがとーッ!!」…ってだから引っ付くなって!!」

 

言うやいなや、またも抱きつこうとしてきたので全力で押し返す。

 

「じゃあね、いろは! また後で!」

その後、乙葉はバンドメンバーに呼ばれ

手をブンブン振りながら去っていく。

 

準備していたトリのバンドがステージへ上がり

ギターソロから演奏を始める。

その演奏に耳を傾けながら、頭では別の事を考えていた。

 

乙葉が言っていた"また後で"とは

このあと開かれる打ち上げの事だろう。

正直行きたくないんだよね……。

バンドを組んでない自分にはあまり

居場所もないし、大学生特有のウェーイみたいなノリも

あまり好きではない。みんな某先輩みたい。

もちろんわたしは持ち前の接客スマイルで

その場を楽しそうに乗り切るのだが……

「いろはちゃん、お疲れ様」

 

たった今脳裏に浮かんでいた、打ち上げに

行きたくない理由のひとつでもある男が後ろから声をかけてきた。

 

軽音サークルの部長、相葉 優(あいば まさる)

顔は爽やかなイケメンに部類され

面倒見の良い先輩という印象がある。

しかし、ある先輩からは女癖が

悪いという話を聞いた。

入学当初の歓迎会や過去の打ち上げなど

飲み会の席で必ず近くにいて

くどくどと話しかけてくる。

正直、ちょっとうざい……。

 

「あっ、相葉先輩! お疲れ様で~す!」

 

振り返る間の0コンマ数秒で仮面を被り

可愛い後輩スマイルを向ける。

 

「このあとすぐそこの居酒屋で打ち上げするんだけど、いろはちゃんも来るよね?」

「ああー……えっと」

 

人差し指を口元に当て首を傾げて考えてるアピール。

行くか否かではなく、断る理由を。

 

「バンドを組んでなくても、いろはちゃんはうちの大事な部員だからね」

 

にっこり微笑む相葉先輩。

打ち上げなんて行きたくないので

いやぁ~とか、えっと……と言って

のらりくらりと躱してみるが

曖昧な相槌を打っている間もグイグイ押して

Yesを引き出そうとしてくる相葉先輩。

 

「わ、わかりました~♪」

 

若干引き気味になってしまったが

接客スマイルを崩さないよう努めて

承諾してしまった。

 

「良かった。楽しみにしててね」

「はーいっ! ………はあぁ」

 

相葉先輩が見えなくなってから盛大に溜息を漏らす。

 

一度は脱ぎ捨てた仮面だったのに。

あの紅茶の香る小さな教室で、あの人たちに

囲まれてた時の素のわたしは今はいないから。

 

あの人たちが卒業したその日、あの出来事を目の当たりにした時

わたしはまた、仮面を身に付けた。

 

「「「うぉああああああああ!!!」」」

 

背後から大きな歓声に意識を呼び戻される。

トリのバンドも演奏が終わったらしい。

この後の憂鬱は一度頭から消し去り、ステージの片付けを始める。

片付けが終わるとサークルのメンバーが

一度集合し、毎度恒例の一本締めで

文化祭ライブを締めくくった。

 

「それじゃあ打ち上げに行く人は付いてきてー!」

 

打ち上げの会場は大学から徒歩数分の小さな居酒屋。

毎年この居酒屋で行われるらしい。

 

「いろは! 打ち上げ行くよー!」

「ちょっ、わかったから引っ付くなぁ!」

 

ひっつき虫の乙葉を引っ張られて

打ち上げの会場へと移動する。

 

 

 

 

密かに暗い気持ちを抱いているわたしはこの後

一年振りの再会を果たすのだ、あの人と。

 

 

 




はい、というわけで大学生になったいろはすでした!

いろはを軽音サークルに所属させたのは
100%作者の趣味です!

次回、あの男が登場します……!

感想、評価等いただけると嬉しいです◎

それではっ!
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