そして一色いろはは過去と向き合う。   作:秋 緋音

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どうも、秋 緋音です!

最近どうもリアルが忙しくなってきたせいで
なかなか集中することが出来ません……。

今回、いつもより更新が遅くなってしまい
申し訳ありません(´・ω・`)

先日、誤字報告をいただきました。
たぶん訂正できたと思います。
もしまた見つけたら教えて頂けると助かります!


それでは第10話です。


第10話

 

「「ごちそうさまでしたー」」

 

 

パンっと手と手を合わせる。

 

 

「……あぁ、美味かったわ。こんな手作りのご飯なんて、正月に実家に帰った時以来だな」

「ふふ、お粗末様でした♪♪ 喜んでもらえて、嬉しいです!」

 

満腹感に浸るように、ふたり並んでソファーの背もたれに身体を預ける。

 

 

 

 

「さて先輩、お茶入れますね~」

「あぁ、さんきゅ。」

 

こういうやりとりが、なんか夫婦みたい……//

先輩も少し元気になったみたいで良かった♪♪

 

二人分の食器を洗い場に持っていき、電気ケトルでお湯を沸かす。

 

コポコポと心地よい、お湯が沸騰する音を立て目盛りの部分からお湯が暴れているように沸き立つ。

 

カチンッと終了を告げる音が鳴ったら

夕食の買い物の時に買っていた、ティーパックの

ほうじ茶を二人分淹れて、リビングへ持っていく。

 

 

「はい、お待たせしました~」

「ありがとさん」

 

先輩の前に置いた湯呑みを、先輩は手に取り、ふーっふーっと冷まそうと息を吹き掛ける。

 

「そんなに冷まさなくても、ちゃんとぬるめにしていきましたよ♪♪」

 

猫舌な先輩のために、少し水を入れて飲みやすくしておいた。

 

「……お、おう……よく猫舌だなんて知ってたな」

「そりゃあ知ってますよ~♪♪ あれだけいつも一緒に紅茶を……飲んで…………」

 

 

しまった!

つい、口にしてしまった、あの頃の話を。

 

あわわわわどうしよ……どうしよう!

 

恐る恐る横を向くと、先輩はこちらも向いて

目を丸くして驚愕の表情。

一瞬とても儚げに、遠い昔を懐かしむように微笑むと、すぐに前を向いた。

 

 

 

部屋の重力が増したのかと思うように、どんよりした空気と静寂。

 

わ、話題変えた方が……いやでも、いま聞いてみて

いやいやいや、まだ無理怖い。

あの先輩の表情から、決して良くはない思い出も

フラッシュバックしたに違いない。

 

結果、先輩と目を合わせず、なにも言葉を発することができない。

 

 

 

 

 

 

「……一色、今日はありがとな。まじで助かったわ。身体もだいぶ楽になったし、明日から仕事行けるわ」

 

「い、いえいえ!こんなことで良ければ、いつでも頼ってください!」

 

先輩は目を合わさないまま、前を見つめて言った。

 

「さぁさぁ、先輩はお薬飲んで寝てください。いまお白湯入れてきますね」

 

さっき沸かしたお湯がいいくらいにぬるくなっているので、それをまた湯呑みに注ぎ、薬と一緒に差し出す。

 

 

「……ゴクゴク……ふぅ」

「じゃあ先輩、明日に備えて早く寝て下さいね」

「おう。 お前はもう帰るのか?」

「……先輩が寝たら帰ります」

 

まだ、やることもあるしね……。

 

「お、おう……? まあ、気を付けてな」

「はい! おやすみなさい、先輩」

「おやすみー」

 

 

就寝の挨拶を交わした先輩は、また寝室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとりになったリビングに、音はない。

 

本当ならば、これから少しお片付けをして、明日の朝ごはんを作り置きしておく予定なのだが、ソファーに置物の様に座り込んだまま動けない。

 

あの時の先輩の表情は、なにを想っていたんだろう。

答えの出てこない問いが、頭の中を侵食するよに

頭が痛くなってきた。

 

しばらく頭を抱えてうずくまっていると

 

 

 

ブーッブーッ!

 

「ッ!!」

 

 

 

 

思考の泥沼から一気に引き出されたその音は、

目の前から発されたものだった。

 

目の前の机の上に置かれた、先輩の携帯がひとりでに震えていた。

どうやら電話が掛かってきたみたいだ。

 

その画面に映し出された名前には、白黒の星が交互に並ぶその中央に、ひらがなで"ゆい"と書かれていた。

 

これって……、ゆい先輩、だよね?

 

先輩の携帯に登録される人間なんて、限られるだろうし。

このちょっと……ゆい先輩らしい名前が、なによりの証拠。

 

じっとその名前を見つめている間も、携帯は机を鳴らし震え続け、不意に鳴り止む。

 

 

 

携帯が震えている間に溜め込んだ息を、ふぅ~と吐き出す。

 

これは今でも先輩とゆい先輩が、連絡を取っているってことなのかな。

もし先輩がいまこの場にいたら、電話に出ていたかな。

もしかしたら、居留守を使ってずっと無視しているのかな。

 

またわたしの思考は泥沼へ沈んでいく。

 

 

 

 

ブーッブーッ!

 

「ひゃあッ!!」

 

へ、変な声出ちゃった……。

 

またゆい先輩から!? と思ったが、先輩の携帯は

微動だにせず、バイブ音の発信源はわたしの鞄だった。

 

鞄の中から携帯を取り出すと、そこには今朝大学の教室に置き去りにしていた、友人の名前が表示されていた。

 

 

『………もしもし、乙葉?どうしたの?』

 

『どしたの、じゃないよー。急に教室から飛び出していってから、なんの連絡もないし。LINEも返信ないし、心配したんだよ?』

 

え……、ほんとだ。めちゃくちゃLINE来てる。

 

『あー、ごめん……。ちょっと、忙しくって……』

 

『…………いろは、なんかあった?』

 

っ! 相変わらず乙葉は、そういうとこ鋭いな…

 

『まぁ……ちょっとね』

 

『そう……話してみなよ』

 

『いやぁ……うん、ありがとう。実はね……』

 

 

そこからわたしは、今日わたしが先輩の看病をしていたこと、先輩にあの頃の話題を振ってしまったこと、ゆい先輩から先輩に電話が掛かってきたこと、全てを話した。

 

『……なるほどね~。それでゴールの見えない思考に、陥っているわけか』

 

『うん……。わたし、どうしたらいいんだろ』

 

『どうっていわれてもね……。私は基本的に、来るもの拒まず、去るもの追わない主義だしなぁ、あはは』

 

確かに、割とサバサバしてるしね、乙葉は……。

わたしには、追いかけてきたけど。

 

『……でも、本当に好きな、大切な相手なら、とにかく追いかけるよ!追いかけて、ちゃんと話をして、それでもダメならちゃんと決別する!』

 

そうだろうね。たぶん、わたしがあの時本当に乙葉を拒絶していたら、潔く諦めてたんだろうと思う。

初めから距離を置くんじゃなく、結果が同じだとしても、ちゃんと決別するんだ。

 

『そっか……、そうだよね』

 

『うん、そうだ!』

 

『わたしも……、わたしも追いかけてみる』

 

『うん、え、その先輩じゃなくて?』

 

『先輩もそうだけど、その奉仕部にいた先輩方みんなが、わたしは好きなの。だから、ちゃんと会ってみるよ』

 

そうだ、わたしはあの空間が、あの紅茶の香るあの教室が、あの温かい人達が、大好きなんだ。

このまま、終わらせたくない!

 

『そっか。頑張ってね、いろは』

 

『てことで乙葉、明日の出席票よろしく♪♪』

 

『え、えっ!? 明日会いに行くの!?』

 

『もちろん!思い立ったらすぐ動かなくちゃ!んじゃ、よろしくね!』

 

『お、思い切りがいいなぁ……。よし、行ってこい! 骨は拾ってやる!』

 

『不吉なこと言わないでよっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

乙葉との電話を切ったわたしは、携帯を操作し一通のメールを送信した。

 

 




はい、というわけで第10話でした。


乙葉、いい奴だなー(棒)

ようやくまた、あの頃の時間が動き出すのでしょうか。

既存キャラってすごく難しくて苦手なんですが
次回、あの人が登場しますよ~。




前書きにもある通り、しばらく多忙につき
更新が遅れるかと思います……(´・ω・`)

どうか気長にお待ちください。

感想、評価などいただけると嬉しいですd('∀'*)

では、第11話でまた会いましょう♪♪
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