そして一色いろはは過去と向き合う。   作:秋 緋音

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いつもご拝読頂いている皆さん

お久しぶりでございます。

いよいよこのお話も終盤に差し掛かりつつあり
より書くのが大変だなって思ったら
めっちゃ期間が空いてしまいました。
申し訳ありません!


それでは第13話です!


第13話

 

 

 

[一色いろは]

小町ちゃん、ひっさしぶり~(o^∀^o)

 

 

[小町ちゃん]

いろはさん!!

ご無沙汰してます♪♪

 

[一色いろは]

卒業以来だね!

急なんだけど、今晩会えないかなー?

 

[小町ちゃん]

わぁい!会いたいです(*´ω`*)

あまり遅くてならなければOKです♪♪

 

[一色いろは]

もちろん!小町ちゃんまだ千葉だよね。

じゃあ18時にららぽでいい?

 

[小町ちゃん]

がってんです(*`・ω・)ゞ

 

 

 

 

 

ゆい先輩、戸塚先輩と別れてすぐ、小町ちゃんに連絡を取った。事は早く進めた方がいいしね。

 

 

さて、小町には今日、同窓会の件を伝えて、学校に旧奉仕部の部室の使用許可を、学校に交渉して…………、せんぱい、来てくれるかな……。まぁ、小町ちゃんと戸塚先輩が来るとなれば、断る理由がない……はず……、なんか理由としては納得しかねるけど。

 

時計を見ると、約束の時間から1時間ほどしかないため、急いで千葉へと戻った。

 

 

 

「お待たせしましたー! お久しぶりですね、いろはさん!」

 

「久しぶり、小町ちゃん! 今日は急に呼び出してごめんね~」

 

「いえいえ、いろはさんに会えるのなら、地球上のどこへだって!」

 

「あははっ!ありがとう~。 とりあえず、お店入ろっか!」

 

 

再会の挨拶を交わし、小さなレストランへと移動する。大学生になった小町ちゃんは、高校生の頃と変わらぬあどけなさかと、少し伸びた髪をゆるく巻いた大人っぽさ、その中間の絶妙なバランスが、以前よりさらに魅力的に見える。

 

レストランで軽い料理を注文し、食べながら卒業してからの話などで盛り上がった。小町ちゃんは現在、東京の大学へ通っているが、お父さんとせんぱいが「あんなところで小町を一人にはさせん!!」と下宿を猛反対したせいで、実家から通っているらしい。「まったく過保護ですよね~♪♪」なんて小町ちゃんは言う。

 

 

食事を終え、デザートと紅茶が来たところで、本題を切り出す。

 

「…………それでね、小町ちゃん。今日来てもらったのは、ちょっと話があってね…………」

 

「ふっふっふ。小町にはわかりますよ~。 お兄ちゃんのことですね?」

 

「へっ!? な、なんでわかったの!?」

 

「だっていろはさん、お兄ちゃんの話になると、あからさまに緊張した表情になるんですもん」

 

「あ、あはは~。そんなに顔に出ちゃってたかぁ……」

 

「小町にはなんでもお見通しですよッ!」

 

小町ちゃんは昔から、変に鋭いんだよなぁ。わたしが分かりやすかったのもあるけど、お兄ちゃんの事となると、ほんと鋭い。仕方ない、ありのまま全て話そう。

 

まず、わたしが先輩と偶然再会したこと、そらから今日、ゆい先輩と戸塚先輩と会って、奉仕部を取り戻すために、みんなで集まるという計画のこと。そのために、小町ちゃんに協力して欲しいということ。

 

「───って事なんだけど……、どうかな?」

 

「っはぁー、なるほど。そういうことでしたか、こまち納得ッ☆!」

 

いちいちあざとい!

 

「納得って、いったい何が?」

 

「いえいえ、こちらの話です! そうですか、もう一度あの奉仕部を……。それなら小町も皆さんのために、人肌脱ぎましょう!」

 

「ほんとッ!? ありがとう小町ちゃん!」

 

「ただし! 先程のいろはさんの話では、小町からお兄ちゃんを誘い出すという手筈でしたが……、それはいろはさんにお願いします」

 

「えええっっ!わたしがせんぱいをッ!? むりむり!!」

 

だって、もしせんぱいの過去を掘り返して、気に触って、嫌われたら…………。怖い。

 

「いえ、大丈夫です!小町を信じてください!」

 

「その自信はどこからくるの!?」

 

「誠に遺憾ながら、小町はあのごみぃちゃんの妹ですよ? 小町にはわかるんです。 というか、ついさっき分かりました」

 

「ついさっき? どういう事?」

 

「おにぃちゃんが前回実家に帰って来た時、小町は驚きました。おにぃちゃんの目の腐り具合が、軽減されてたんです!」

 

「く、腐り具合って……」

 

「高校を卒業し、大学へ進学し、中退して就職をして。その間もちょくちょく帰ってきてたんですが、相変わらず死んだ魚のような濁った目をしてたのに、一体この数ヶ月で兄の身になにがあったのか……」

 

「それってもしかして────」

 

「はい、いろはさんと出会った、ちょうど数ヶ月前です。なにがどういう理屈かは知りませんが、あのおにぃちゃんが良くなったというか、少し前向きになったのは、いろはさんのお陰です!小町が断言します! だから、いろはさんから、おにぃちゃんを引っ張って来て欲しいんです」

 

いつもの小町ちゃんとは違う、強い決意といつもの優しさを帯びたその目、表情で、ぺこりと頭を下げられた。

せんぱいの雰囲気の違いなんて、わたしには分からなかった。相変わらず濁った目をしてるなぁ~、くらいに思ってた。そんなせんぱいが、わたしのお陰で変われたと。前を向いたと。血を分けた妹の小町ちゃんが、そう言うのなら─────

 

 

「分かった。わたしから、せんぱいに話してみる。ちょっと怖いけどね」

 

「大丈夫です。もし、いろはさんからのお誘いを断わるようなら、そんなごみぃちゃん、わたしが成敗してやりますよ!」

 

「ふふっ、ありがとう小町ちゃん!」

 

 

 

 

「では、いろはさん! 今日はありがとうございました! 小町も同窓会、楽しみにしてま~す♪♪」

 

「うん、こちらこそ! またね!」

 

 

小町ちゃんと別れて、いつもの自宅への帰路へ着く。頭に浮かぶのは、せんぱいのこと。小町ちゃんは、自信を持って断言してくれたけど……、やっぱり怖いな。もし、嫌われたらって。でも、今のまま変わらないことも、嫌だ。決めたんだ。ちゃんと過去と向き合うんだって。変わらなきゃいけないのは、わたしもなんだ!そして信じよう、せんぱいのことを。

 

緊張、不安、戸惑い、そんなものが心臓を張り裂けそうなほど激しく打たせ、呼吸すらままならない。家に帰る道を、そのまま素通りして一つ隣、せんぱいのいるアパートの階段を、鉛で出来た靴を履いたように、重たい足取りで、一段一段登っていく。近付くにつれて、鼓動も速く、激しく鳴る。

 

せんぱいの部屋の前に立ち、目を閉じ、大きく息を吸い込み、深呼吸をする。そうしていると、瞼の裏に思い描くのは、やはりあの頃の記憶。いつも生徒会やサッカー部の練習を抜け出し、用もなく通っていたあの部屋。だだっ広い教室の中央に、ただ一つの長机といくつかの椅子が並び、端で片手で文庫本を弄ぶせんぱいと、もう片方の端で百合百合しい空間を広げるゆい先輩と雪ノ下先輩。少し開け放たれた窓から、紅茶の香りを乗せてそよぐ風。あの優しい空間。

 

 

 

ゆっくりと目を開けると、不思議と心臓の鼓動は鳴り止んでいた。意を決してインターホンを鳴らそうとして───────

 

「あ? なにしてんだ一色」

 

「うひゃあッ!!」

 

鳴り止んでだ鼓動が、ついに止まった。

 

「ななななにしてんですかせんぱいビックリするじゃないですかなんですなストーカーですかわたしを殺す気ですか!!!」

 

「いやビックリしたのはこっちなんだけど!? こんな時間に他人の家の前でなにしてんだよ!てか他所の人に誤解されるような事、大声で叫ぶなよ! まじで通報されるだろうが」

 

「あっ、いや、その~、すみませんでした。せんぱいこそ、こんな時間にどうしたんでふか?」

 

「あ? いや、俺は平塚先生と飲みにいってたんだよ」

 

「あ、ああそうだったんですね~あはは」

 

「んで、お前こそどうしたんだ?」

 

「それは、その……お、おはなしを……」

 

「…………、まぁとりあえず入れよ」

 

「はい……お、お邪魔します……」

 

相変わらず飾り気のない鍵を回し、ドアを潜り入室するせんぱいの後を、おずおずと続く。前に来た時と代わり映えのしない部屋だが、机の上には仕事の資料らしき大量の紙と、ノートパソコンが、ぐちゃぐちゃに広げられていた。

 

「もぅ、せんぱい! せっかくわたしが綺麗に掃除してあげたんですから、ちゃんと保たせてくださいよ~」

 

「おう、悪い。ここんとこ企画会議だなんだと、少し立て込んでてな。すぐ退けるからその辺でくつろいでおいてくれ」

 

「退けるなんていって、どこかに押し込むだけでしょ! わたしに任せてください!」

 

「いや……まぁいいか、頼むわ。コーヒー淹れてくるわ。飲めるか?」

 

「あ、はい。ミルクだけお願いします」

 

「はいよ」

 

 

 

 

 

 

「さんきゅーな、ほいコーヒー」

 

「あ、ありがとうございます」

 

淹れたてでほわほわと湯気を立てるマグカップがひとつ。え、せんぱいの分……あぁ、まだ飲んでるんだ、それ。わたしのコーヒーを机に置いて、すぐまたキッチンへと戻ったと思えば、冷蔵庫から例の毒々しいビジュアルの缶コーヒーを持ってきた。

 

「相変わらず好きですよね~それ」

 

「おう、千葉県民ならみんな好きだろ? マッ缶だぞ? 千葉のソウルドリンクだぞ?」

 

「いやいや、全千葉県民を巻き込まないでくださいよ……。あ、いただきます」

 

「ゴクゴク……、はぁぁ。やっぱ酔い気味の身体に、この甘さが染み渡る……」

 

「余計気分悪くなりそうなんですけど。てか、せんぱいあんまり酔ってないですね」

 

「まぁ店ではそれなりに飲んだんだが、ちょっと考え事しながら歩いて帰ったから、酔いも覚めちまったな」

 

「へぇ~考え事ですか……」

 

「それより、早く本題に入れよ」

 

「へ? あ、ああ!そうでしたね」

 

「おはなしって言ってたけど、どうしたんだ?」

 

 

 

やばいやばいやばい!

どうやって話を切り出そうとか、それとなく話を持っていこうとか、ここに来るまでに色々考えてたのに!全部飛んだ!どうしようっっ!

同窓会のこと、ゆい先輩と雪ノ下先輩のこと、戸塚先輩のこと、小町ちゃんのこと、ええ~っと、ああああどうしよ。せんぱいが訝しむような目してる!

 

 

「ええっとですね、その…………お願いが────」

 

お願いがあるんです。そう切り出そうとした瞬間に、心の底、記憶の底に沈殿した物が舞い上がるように、ひとつのフレーズが浮かび上がり、そのまま口から吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「せんぱい、ひとつ依頼がしたいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







これ最初の1行を書いてから何ヶ月立ったんだろ……。

とうとう八幡といろはが、過去に向き合います。
どうなることやら、筆者にもわかりません!!!←

また少し期間が空いてしまうかもしれませんが
次回をお待ちください。

感想・評価・お気に入り大歓迎です\( ´ω` )/

またお会いしましょう◎
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