体調崩して昨日は1日死んでました、
秋 緋音です。
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めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます。
それでは、第4話です。
「おい、大丈夫か?……あ、すみません。お冷ください」
「かしこまりました~」
「大丈夫です、すみません」
あれから小一時間ほど、先輩がトイメーカーに
就職した経緯や、久しぶりに実家に帰ると
自分の部屋が物置と化していたこと。
わたしの跡を継いで総武高の生徒会長を
務めていた小町ちゃんのこと。
積もる話をいくつも交わしているうちに
かなりハイペースでアルコールを摂取し
珍しく酔いが回ってしまった……。
意識ははっきりしてるし、吐き気もない。
華の大学生にあるまじき粗相はしませんっ!
先輩がいるから、つい油断しちゃったのかな……。
「んじゃ、そろそろ出るぞ」
「せんぱ~い、おぶってくださいよぉ……」
「は?やだよ。恥ずかしい」
「え~っ……」
即答での拒否に頬を膨らませる。
きっとここでまた、あざとくアピールすると
先輩は頭を掻きながら「しょうがねぇな」なんて言って
甘やかしてくれるのだろう。
でもさすがに悪い気がしたので自重する。
「じゃあ、仕方ないですね」
「……お、おう」
「おや? なんですか? もしかして……おんぶ、したかったんですか~?」
「ばっか、ちげーよ! どうせまた、上目遣いでお願いします……とかあざとくアピールしてくると思ってただけだよ」
「だから、あざとくないですし! あと、そのモノマネきもいです」
顔を背けた先輩は横から見ても顔が赤くなってる。
やっぱりおんぶしてもらえばよかったかも……。
そんな先輩をからかってやってから
席に着いたままお会計をする。
「えっと……いくらですか?」
「いや、いいから。仕舞っておけよ」
「えっ…………はっ!?な、なんですか口説いてるんですか?久しぶりの再会で二人っきりになったからっていいとこ見せて男らしさアピールですか?すみません不覚にもちょっとてかかなりトキめいてしまいましたけど今はまだ心の準備ができてないので無理ですゴメンなさい!!」
「お、おう……数年ぶりに聞いたな……。俺はお前に何回振られりゃいいんだよ……」
少し引き攣った顔をしながら、先輩は二人分の料金を財布から取り出す。
あの先輩が、ほんとの先輩ぶりを発揮して
不覚にもドキッときたぁ……。
もはや定番ともいえるゴメンなさいも
まだ少しふわふわした頭でよくスラスラと
言えたものだと、わたしも驚いている。
しかも、今はまだとか言っちゃってるし……。
「ありがとうございます、先輩っ♪♪」
「……おう、今回だけだぞ」
今回だけ、ということは……
次回があるってことですか!?
「ごちそうさまでしたー」
「あっ、ごちそうさまでしたー!」
「んーっ……はぁ、気持ちいい」
お店の外へ出ると、少し冷たい夜の空気が頬を撫でる。
外の空気を目一杯吸い込み、蹴伸びをする。
「一色、俺は電車だけど、お前は?」
「あ、わたしも電車ですね」
「ほーん、そうか……」
素っ気ない返答をすると、先輩は駅へと向き歩き出す。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ~」
慌てて後ろを追いかけるが、人通りが多く
離れないようと、懸命に後を付いていく。
んんっ……、アルコールのせいで、なんかふわふわする……。
千鳥足では決してないが、足が少しおぼつく。
駅に近付くにつれ、駅から出てきた人の波が
私たちを押し返すように流れ出てくる。
人波に逆らいながら歩き、駅へと進む中
時々視界を遮られ、先輩とはぐれそうになる。
離れないようにと、先輩の腕に伸ばした手は……
数時間前は勢いでしてしまったのが
急に恥ずかしくなってしまい
コートの袖をちょこっと摘むだけに留まった。
「せ、先輩……」
「どうした、大丈夫か?」
「はい……その、袖……掴まっても、いいですか?」
「いや、もう掴まってんじゃねぇか……。 ほら、はぐれんなよ」
「……ッ! はい」
押し返す人波から、立ち止まった私たちの
傍から見れば桃色な世界を
邪魔そうな、はたまた微笑ましいように
視線を向けながら横を通り抜けていく。
「…………はぁ~、着いた」
「おつかれさん」
「あっ……ありがとうございます」
やっとの思いで駅へ到着した……。
駅構内に入るとさほど人も多くなく
泣く泣く先輩のコートの袖から手を離した。
改札に向かいつつ電子定期券を取り出す。
「一色、お前定期持ってんの?」
「はい!通学の範囲内なので」
「そんじゃ、俺は切符買うから。またな」
「え、先輩っ!!」
言うが早いか、先輩は券売機の方へ歩き出し
人混みの中にズラッと長い列に並んでいった。
「…………もう少し話していたかったのにな……」
先輩に短い別れの挨拶を告げれ
わたしは定期券で改札内へ進入し
エスカレーターの無い階段を
重い足取りで一段一段登っていく。
結局肝心なことも聞けなかったし……。
ていうか、連絡先……!?
でも先輩のことだ、携帯なんてそうそう変えなさそうだし
意外と番号とかメアドも変わってないのかも。
先輩、少し大人っぽくなってたなぁ。
あの時は悪態をついたが、スーツも綺麗に着こなし
よく似合っていた。
うん、スーツ……イイッ!!
でも、やっぱり先輩は先輩で……
なにも変わってなかったな、ふふ。
これからもまた、会いたいけど。
わたしから先輩に連絡するのは
かなりの勇気が必要だけど……
また、会いたい……!!
向こうはもう社会人なんだし
休日とかに頑張って連絡してみようかな。
小さな決意を胸に、やってきた電車へ乗り込む。
はい、というわけで第4話でした。
コメ付き評価にて、「いろはす可愛い!」
そんなお言葉をいただきました。
ちょっと泣きそうになってしまう。
八色書いてみて良かったと思いました。
これからも頑張って書いていきます!
感想、評価等いただけると嬉しいです◎