※タイトルに深い意味はありません。
訓練室。唯一学園内での星座術の使用を許可された場所にて三人の男性が構えていた。軽くステップを刻みながら構えるシロー、シローとは反対に岩のような不動の構えで二人に警戒するシグルド、ノーガードで両手を広げるザイツェフ、同じAクラスの三人が戦闘準備を整え、カウントが始まる。
『レディ………………ゴー!!』
「
始まると同時に先手必勝とも言うべき早さで展開したザイツェフの星座術である『
「あっぶね!?」
降り注ぐミサイルを間一髪で回避するシロー。爆発して黒煙が舞い上がる中からシグルドが現れ、内蔵されているマシンガンと星座術で取り出した拳銃をザイツェフに狙いを定めて撃つ。
「目標補足……
「ぬおっ! つぅあ!?」
実弾ではなくゴム弾なので、当たっても死なないがかなり痛い攻撃にザイツェフは避けたが、拳銃のゴム弾にはかすってしまい、痛みに顔を少し歪める。
「おらよ!」
「……くっ……!」
シグルドの後ろの黒煙からシローが現れて襲撃する。とっさに避けたものの切り返しの後ろ蹴りに蹴り飛ばされ、ダメージを負ったシグルド。
「なんの! オレっちのミサイル愛をなめるな!」
その二人にザイツェフが小型ミサイルを大量に出現させ、二人に狙いを定めた。
「ミサァァァイル―――ファイァアァァァアアアア!!」
大声と共に飛来するミサイル。シグルドは自身の星座術で大盾を取り出し、シローはミサイルを掻い潜りながらザイツェフへと走り出した。
ミサイルはシローに向けて豪雨のように降り注いで黒煙が立ち込める。勝利を確信したザイツェフだが、不自然に黒煙が揺らめき、中から服がボロボロだが無傷のシローが現れた。
「そっちこそ――」
「ぬえっ!? がぁ!!」
咄嗟に反応できなかったザイツェフはシローのボディブローをまともに受けてダウンする。
「――俺を甘く見るな」
倒れたザイツェフに一瞥しながら言うシローは大盾を戻したシグルドに視線を向ける。
「そちらこそ、油断しているのではないか?」
「は、どの口が言う」
シグルドの言葉に反論して懐から拳銃を取り出す。自身が持ってた拳銃だと気付いたシグルドはいつの間に取られた事に舌を巻いた。
「むぅ……いつの間に……」
「これが、戦い方の一つってやつさ」
そう軽口を叩くがお互いの空気はピリピリと肌に刺さり、動きを見逃さんと牽制する。
「…………」
「…………」
この前テレビのロードショーで見た映画を思い出すシロー。内容がカザリアのような荒野の環境でガンマンの物語でそのワンシーンが今の状況と似ているな思いながら、シグルドに警戒すると不意にシグルドの指が動いた。
「……!!」
反射的に銃を構え、引き金を引こうとするシロー。タイミングもスピードもこちらが上だと判断する。
「……は……?」
だからこそ、自身の視界がいつの間にか宙を浮いている事に反応が遅れてしまった。
「……言ったはずだ」
そして、先手を打ったのは自分ではなく相手だと認識した瞬間、ボシュゥウ、という音と共にシグルドの右手が飛んだ。
右手が、飛んだ。
「はぁ!? あべし!」
俗に言うロケットパンチに驚くと自身の顔にめり込む形で殴り飛ばされるシロー。クルクルと回転しながら地面に叩きつけられ、倒れる。その様子を見たシグルドは飛んだいった腕を――正確には腕に繋がっている鎖を自動的にかつ高速で体内に収納し、腕を元に戻した。
「……『油断しているのではないか?』とな」
「そこまで!」
その一言で勝負を終了させたのはクラメイトであるクトゥーとビデオカメラを構えたヴァイスだった。
「ミス・シュリュズベリィ、ミスタ・アルカード、戦闘記録の保存にご協力感謝する」
「気にするな。おかげでいい物が見れた」
シグルドの礼にクトゥーは気にする様子を見せず、ヴァイスも黙っているが首を縦に頷いた。
「あの、飲み物持ってきました」
「ありがとうカグラちゅわぁぁぁん!!」
三人の鞄から飲み物を見つけて取り出し、渡そうとするカグラにシローは先程の調子が嘘かのように元気になってカグラに対してデレデレし始める。
「貴様は相変わらず女性に目がないな……それをマジメな方向に目を向ければ多少はマシになるじゃないのか?」
その様子にシグルドは呆れたような目線を向け、バカにされたと思ったシローが睨む。
「なんだとザ○もどき。ビグ○ムに変えてやろうか?」
「やるなら初号機で頼む」
「○ヴァンゲリオンでもねぇよ!」
「そーいやさ、あんなのを何時から武装してたんだよ」
仲が良いのか悪いのかわからない掛け合いに後から来たザイツェフが飲み物を飲みながらシグルドに質問する。
「武装……ロケットパンチの事か?」
「そうだよ! あんなロマン武器があるなら是非、オレっちの作った武器も搭載してくれよ!」
首をかしげながら聞くシグルドにザイツェフは加工問屋としての血が騒いだのか少し興奮しながら肯定し、その様子に他の四人は苦笑いする。
「悪いが、法律の問題で許可されない」
「そんなぁ!?」
「え、ギアヒトの武装に法律ってあったのか?」
シグルドの否定にショックを受けるザイツェフにシローはシグルドの言葉に驚く反応をみせた。
「……お前はギアヒトなのに知らなかったのか?」
「え、えっと……俺は剣とかを拳とかを振り回すだけで充分だったからあまり……」
「……念の為に教えておこう」
どこか視線をずらしながら呟くシローにシグルドはため息ではないが息を吐き、ギアヒトの武装について説明する。
「ギアヒトは確かに武装を許されているが、あくまで護身用の範囲までで、それ以上は罪に問われる。簡単に言えば刃物は果物ナイフまで、銃を扱う場合はゴム弾が絶対的な条件になる」
「……ロケットパンチは例外に入るのか?」
「入るが、採用している者は少ないだろうな」
「何でだ?」
ロマン武器だが、シグルドの言葉に疑問を浮かべるクトゥー。その様子にシグルドは指を三本立てて説明する。
「主な理由は三つになるが、一つは自身の体の一部を飛ばすから不利になる」
その言葉に五人は納得する。戦闘中にロケットパンチをすれば隙だらけになる上に避けられたら片手で戦わなければならない不利な状況を自分から作ってしまうのだ。
「二つは回収に時間がかかってしまう事だ」
「え? アニメで見るような勝手に戻ってくるんじゃないの?」
「あくまで
カグラの言葉にシグルドは首を横に振りながら説明する。数人がシグルドの説明で掃除機の本体についているボタンを押すと収納される電源コードをイメージした。
「メーカーによってはアニメみたいに飛びながら相手を追尾して攻撃し、自動的に戻ってくるモノもあるが高級でコストが高くてな……学生の身である私には遠い品物だ」
……思ってたより夢がないなぁ……
まるで現実にぶつかる研究家のような様子に苦笑する五人。その様子に気付いたシグルドはわざとらしく咳をしてから、最後の説明を始める。
「三つだがこれが大きな理由だ……壊れた時の保険が効かない」
「保険ってあるの!?」
予想を超えた発言に思わず大声で反応するカグラ。その声には自分も驚き、目を点にするクトゥーとザイツェフ、ヴァイス、親指を立てて謎のサムアップを見せるシロー、表情がわからないが目を点にしているのであろうシグルドに自身が恥ずかしくなってカグラは俯く。
「……腕を飛ばすのは自己責任とされる……私は修理ができるが応急処置のレベルだ。本格的な修理は専門の業者に頼んで安くはない金額の修理費を払わなければならない」
なかった事にして説明を続けるシグルドだが、やはり夢がない事にひきつった笑みを見せる五人だった。
「じゃあ、何でお前は採用してるんだ」
「不意打ちに役立つからだ。予想を越えるから不意打ちには効果はあった」
シローの言葉にシグルドが答えると納得する。事実、空中にいたシローはロケットパンチを見て度肝を抜かれて動きが硬直していた。
「すまないがミスタ・アルカード。手合わせをお願いできるだろうか」
「……わかった」
「もう一度、俺も戦う」
「ミスタ・ツヴァイストン。申し訳ないが戦闘記録を頼む」
「いいぜー!」
今度は接近戦の戦闘を記録するのかザイツェフからヴァイスにメンバーを変えてまたフィールドに向かうシグルドとシロー。不意にシローがシグルドに話しかける。
「そういや、動物に好かれる体質ならアニマジンの女性にモテるのか?」
「それはデマだ。アニマジンの本質は人間と同じで、動物的な特徴を持った外見の理由は生活や資源採掘での過酷な環境に適応する為に進化したからだ」
「じゃあ、Dクラスの一人は何でモテるんだよ」
「……人徳の差ではないのか?」
「ケンカ売ってるんだな? そうなんだよな?」
「……フ……」
やはり、どこか仲が良いのか悪いのかわからない会話にヴァイスはどこかおかしそうに小さく笑いながら二人の後ろを歩く。
「やれやれ、騒々しいな」
「でも、仕方ないと思うよ」
「だな! むしろ騒々しい方が気合い入るだろ!」
クトゥーが騒々しい二人に呆れた視線を送るとカグラとザイツェフは二人の仲に悪くはない評価を送る。
クトゥーは不意に窓に映る夕焼けに小さく呟いた。
「学年別トーナメントか……」
残り一週間をきった学年最初の行事に波乱が起こるであろう予感をしながら、目の前で始まるであろう戦いに集中した。
~どのように戦いますか?~
銀河系ザク「迅速、かつ的確な判断で撃ち抜く」
狼青年「……ヒットアンドアウェイ」
ぶっ飛びミサイル「ミサイル開幕ブッパ」
甘党スネーク「くびりこ……切り刻む」
ナンパ戦士「女だったら不戦勝。男だったら真剣に戦い、傷ついた体に鞭を売ってスピカすぅわんとロマンすぅわんのお膝下目掛けてヘッドスライディングして癒してもらう」
合法ロリ「後半の奴らはマジメに答えろ! 特に最後のヤツ!」
ナンパ戦士「俺は本気だ!!」
合法ロリ「こ、こいつ、無駄に真剣な表情で言いきっただと……!?」
次回は序章みたいなモノをしてから、新章の『学年別チームトーナメント編』を執筆します。