並行世界の系統樹   作:レイティス

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つづいてしまった



第二章 イースター・エッグ

 

 □■???

 

 「お邪魔するよー」

 

 上下の区別なく、無数の情報ウィンドウが行き来する奇妙な空間。

 とある事情により管理AIの作業場に訪れていた管理AI十三号チェシャは目当ての人物に向かって声をかけた。

 その声に振り返ったのは二人の人物。

 銀物の眼鏡をかけた少年と大きなヘッドフォンを付けた双子と思しき二人、管理AI十一号、トゥイードルダムとトゥイードルディーだ。

 

 「こちらの時間で二二一五時間四十二分一七秒ぶりだ、十三号」

 「お久しぶりチェシャ~。今日はどうしたの~?」

 「掲示板のチェックをしてたら例の件について大分盛り上がっていたからね。その件について聞きに来たのさー」

 

 挨拶と同時に放たれた問いにチェシャは己の要件を答える。

 管理AIはそれぞれ特性にあった役割で業務を分担しており、十三号たるチェシャはその中でも分割処理が得意で雑用を担当している。

 【猫神】たるトム・キャットの操作、マスターのチュートリアルの担当、他管理AIの補助……そして外部サイトの監視も作業の一つである。

 外部からのクラッキング等に対してはセキュリティ担当たる管理AI十号、バンダースナッチが当たっているがあくまでそれは受動的。

 特に違法ハッキングを仕掛ける訳ではない情報サイトや掲示板などの監視はチェシャが担当していた。

 

 「各国で起こっている()()()()()のことなら確かに【超記者】から相談を受け、<DIN>として檄文を出す了承を出した」

 「イースター(復活祭)イベントの前にこんなことされて迷惑だしカラスちゃんの提案は渡りに船だったの~」

 「あぁ、やっぱり。……結構大規模になりそうだけど平気なのかい?」

 

 チェシャが気にしている情報はとある<Infinite Dendrogram>の大型掲示板で計画されていた大討伐の話だ。

 最近各国で起きている初心者狩り、その首謀者に対し同時攻撃を仕掛けることを掲示板の管理人が企てていた。

 その人物は<DIN>の所属だったので二人なら事情を知っているだろうと思ったのだが……

 

 「ハンプティダンプティとアリスも随分ご立腹だったからな」

 「カラスちゃんも気遣ってかイースター前に終わらせるように組んでくれてるし、大掃除なの~」

 「ハンプティダンプティはともかく、アリスも?」

 

 その情報はチェシャにとって少し意外だった。

 エンブリオ担当のハンプティダンプティが怒り狂っているかもしれないという予測はしていたが、アリスもとは。

 

 「カルディナでは【暴食魔王(ロード・グラ)】が暴れているからな」

 「ドライフでは【屠王(キング・オブ・ブッチャー)】が暴れているからなの~」

 「それは……なるほど」

 

 双子の言うジョブは今各地でこの件に加担している中でも二人のティアンを指したものだが、その特性から何が言いたいかを彼は察していた。

 それなら確かにあのアリスも怒髪天だろう、とも。

 

 「ともあれ、そういうことなら今回はマスターに任せて僕はいつも通りってことで良いかな?」

 「肯定する。襲撃日の当日は」

 「コロシアムで試合でもしてるといいの~」

 

 【猫神】トム・キャットは古参の王国マスターには運営側と知られている存在であり、今回の出来事には不向きだ。

 マスター増加前に、()()()()()()()()に対し行ってきていた手法は取れないのだから。

 

 「全く厄介な連中だ」

 「まるでマスターが人魚族みたい~」

 「誰が広げたのか」

 「どうして広がったのか~」

 

 「「──第0形態のエンブリオを食べれば、ティアンが<マスター>になれるだなんて与太話」」

 

 これは異なる系統樹の枝葉の一端。

 世界(<Infinite Dendrogram>)に隠された、真実の一片を解き明かすための一葉の話。

 

 

 

 「【機戦士(ギア・ファイター)】?」

 「【獣戦士(ジャガーマン)】の逆……《人機一体》により搭乗者のステータス分だけ機体性能を上乗せするジョブだ」

 「お前の第二形態、"黒鏡盾"には合ってるだろ?」

 

 皇国での縁は彼に次なる道を指し示す。その道上に置かれている石に頓着せずに。

 

 

 「つまり、簡単な護衛かのう?」

 「そういうことだねぇ。こちらから誘おうとしていたらまさか友達と一緒に始めるなんて予想外だったからねぇ、()()()()()()()()()

 「あれ? 戦闘班の皆は?」

 「班長を含めた主要な面子は初心者狩りの解決に向かわせてるし、──リアルの知古の初顔合わせがAR・I・CAだとねぇ」

 「あぁ…………納得」

 

 託されたのは一通の招待状。

 

 

 「レイは、ティアンがマスターについてどう思っているか知っていますの?」

 「クラウディア……?」

 「嫉妬、羨望、諦念、警戒……色々ありますけど、()()してる連中に碌なのはいませんわ」

 

 ティアンとマスター、二者の間に横たわるものとは。

 

 

 「ボクはマリー・アドラー、<DIN>からの特派員でこの"初心者狩り"を追っている者です」

 「いやな天使たちの気配がするよ! 気を付けてね、ルーク、レイ!」

 

 役者は集まり、舞台を鮮やかに彩る。

 

 

 「ソニア、なにを……!?」

 「逃げて、ユリア! ……こいつらの狙いは、貴方よ!」

 

 「皇国のため、飢えたる民を救うためぇ……」

 「お前のエンブリオ(可能性の卵)を、寄越せェ!!」

 

 手が届く神秘の果実を前に、人は何を想うのか。

 

 「──【薄氷乙女 コキュートス】。ますたーのこころのこえにおうじていま、すいさん」

 

 主の危機に目覚めた純白の氷獄。

 これは、天罰と地獄の乙女(メイデン)が世界の真実に挑む物語。

 

 

 

 <Infinite Dendrogram>二次小説、「並行世界の系統樹」

 第二章 イースター・エッグ

 2045年4月16日 投稿開始

 

 

 




う そ で す(二回目

二次が増えると作者も嬉しい。
神造ダンジョンで転職する【魔王】とか全く出てこない「天使」とかマスターの才能(冒涜)に色々思うところがあるティアンとかネタとしてすごい面白そう。
新情報がどんどん出てくる、そんな「Touch the GAME OVER」
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