■<天妖精の森> 【大死霊】メイズ
──ついに、準備が整った。
全ての事柄が上手く行き、私は苦渋の敗走をした<死霊王の霊廟>へと戻ってきた。
「5000年分の命のアンデッド化」、「【怨霊のクリスタル】の作成」を達成し、【
<クルエラ山岳地帯>で率いていた「ゴゥズメイズ山賊団」も今やゴゥズを除きアンデッドと化している。
かつて私たちを撃退した<マスター>がいないことを確認し、その最下層の転職クリスタルへ辿り着いた。
「これで、よおやく超級職だなぁ」
「あぁ、お前には悪いと思っているがな、ゴゥズ」
「いいってことよぉ。【超闘士】も【超力士】も埋まってはいるがぁ、まだ空いている派生職はあるじゃぁねぇか」
<死霊王の霊廟>の転職クリスタルは死霊術師系統の他にも【呪術師】や【
光の嵐が吹き荒れ、部屋内を埋め尽くす。
その光が薄れ景色が戻った時──目に映る景色は一変しているように感じた。
「これが【死霊王】の力……」
思わず呟いてしまう。
実際に景色が変わっている訳ではないがアンデッドとしての全身を駆け巡る全能感、気配だけで手近な怨霊を従えられる征服感を覚える。
今ならかつて私たちを退けた<マスター>も物の数ではないだろう。
まさに、
「それでメイズよぉ。次は何処でやるんだァ? 流石にこの遺跡で賊は無理だろ?」
「……あぁ。次、か」
【死霊王】になって終わりではない。スタートに立っただけだ。
死霊術を極めて、不死不滅の存在となり、そして──
「次はカルディナもいいかもなァ。あそこのはたらふく溜め込んでテ・・・・・・?」
巨体を誇るゴゥズが崩れ落ちる。
その身にかかっている【拘束】【呪縛】【脱力】の状態異常によって自力で動くことはできないだろう。
呪詛系状態異常の対策を怠って来たからだろうな。そう仕向けたのも私だが。
「め、メイズ・・・? どうしテ……」
「お前には本当に悪いと思ってるいるんだがな、ゴゥズ」
同時に仕掛けられた【死呪宣告】のカウントダウンに怯えた声を上げるゴゥズ。
しかし、これは死霊術の研鑽の果てに【死霊王】となったらすると決めていたことだ。
だって──
「負の感情が、恐怖させて怨念を溜めた方が良いアンデッドになるのだからな」
「メイズ、メイイイイイイィズッ!!」
ジョブレベルカンストの猛者であるゴゥズを筆頭に怨念を基にして最強のアンデッド軍団を作る。
そして<マスター>さえも駆逐して築き上げるのだ、私の国を。
──不死者の王国を。
「今回はレジェンダリア遠征ですの? 同じ西方だしカルディナよりはマシだと思うけれど……あそこは政争真っ只中なのでオススメはできませんわよ?」
『クラウディアが言うと説得力が違うのぅ……』
『今回は所用があって一緒に行けないが、代わりに国境まではフィガ公に送ってもらうことにしたメカクマー』
「一緒に戦う事はできないけど少しは案内できるかな。僕はレジェンダリアスタートだったし、ギデオンは王国南端だからあちらにも少し知り合いはいるからね」
諸国漫遊を再開する<デス・ピリオド>、次に赴くのは幻想の地レジェンダリア。
「【死霊王】メイズの討伐?」
「はい、王国でも山賊団として活動していたが最近になってレジェンダリアに戻って超級職に就いたらしいです」
「<デス・ピリオド>以外にも冒険者ギルドで依頼を受けたマスターが集まっていますね。どうか請けてもらえないでしょうか?」
悲劇を止めるために力を合わせ、霊廟に挑む。
「っ、どれだけアンデッド量産してるんだ!」
「アンデッドだと【魅了】も効かないよー!」
『制圧型同士の相性が響くのぅ。《ショウタイム・マイン》は……』
「こんな乱戦じゃ使えないわよー!?」
「《シェイプシフト》──
「あれは……バルドルの!?」
不死の軍団を覆したのは、無貌の紋章。
『何なのだ、貴様は……!』
「さて、顔見世程度のつもりでしたが……
「一体何者だ……?」
「おや、失礼。シュウのいない間に話を進めるのもどうかと思いまして」
無貌のマスターが導く先にあるものとは──
「【
「──<デス・ピリオド>の皆さん、私たちの王国に所属しませんか?」
これは、<Infinite Dendrogram>における大いなる岐路の一つ。
第八の国、
<Infinite Dendrogram>二次小説、「並行世界の系統樹」
第五章 不死者の王国
2045年7月16日 投稿開始
う そ で す(五回目
1D6の期待値は3.5だから仕方ない。
何故か続いたこの嘘予告ですが、今回で終わりとなります。
これまでのご愛読ありがとうございました!
「Infinite Dendrogram総合掲示板」もよろしく!
M
( ゜ ゜)<ぷるぷる。この私はキングスライムだよ
( ̄(エ) ̄)<とっくに知ってるメカクマ