ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
1
ホテルオハラのスイートルームに運ばれた木野は、ベッドに寝かせしばらくすると目を覚ました。手ひどく痛めつけてやったつもりだったのだが、回復の早さはアギトの力の恩恵というべきか。
重そうに目蓋を開けた木野はベッドの傍らに立つ鞠莉、果南、ダイヤ。そして最後に涼の姿を認め、半開きだった目を剥いて体を起こす。打撲の痛みがまだ響くようで、苦しそうに腹を押さえつけながら声を絞り出した。
「何故だ、何故俺を助けた?」
「分からない、俺にも。だが、1度はあんたと共に戦おうと決心した。あんたは、俺の心に火を灯した人間だ」
ふん、と木野は嘲笑する。
「甘いな。俺はお前の命を狙ったんだぞ」
「裏切られる事には慣れてる」
その返しは予想外だったのか、木野は無言のまま涼を見上げている。確かにあの時、涼は怒りのあまり本気で木野を殺すつもりだった。でも、過ぎてしまったことを悔いても何も変わらないことは、涼自身が身を以って知っている。
止めてくれた鞠莉には、本当に感謝している。まだ幼い彼女たちに、血生臭い様なんて見せたくない。お前たちの待ち受ける未来が、俺と木野のような残酷なものだなんて。
それに、木野が出会ったばかりの頃に語っていたこと。涼の戦い生きる指針となった彼の意志に、嘘偽りはなかったはず。木野が本当に裏切ったのは、涼でも鞠莉でもない。
「だが、あんたは自分で自分を裏切った」
「黙れ、お前に……お前に何が分かる………!」
声を荒げたせいで傷に響いたのか、木野は痛みに呻いた。
「ああ、分からないさ。人の心なんてな」
彼が何故、自分以外のアギトの存在が赦せないかなど、涼の知ったことじゃない。知ったところで、彼の心に救済を与えることなんてできない。いくらアギトだからといって、本質的には人間だった頃と変わりないのだから。
「これからあんたがどう生きていこうが、あんたの自由だ。覚えているか? 前に俺に言ったっけな。敵はアギトになるかもしれない人間を狙っている。なら、俺たちと同じ運命にいる人たちを助けたい、と」
そう語っていた木野薫は死んだのかもしれない。涼の目の前にいるのは、理想を捨て欲望に歪めた、アギトの力を持つだけの人間なのかもしれない。死んで結構。これ以上危害を加えられるのは御免だ。また命を狙うというのなら相手をしてやる。ただし今度は容赦しない。また鞠莉たちを襲うというのなら、迷うことなく葬る。ただ、この男の全ては死なせない。
「あんたの意志は、俺が継ぐ」
告げる涼から、木野は目を逸らす。自分の右手、死んだ弟から移植された掌を見つめながら、うわ言のように呟いていた。
「俺は……俺はもっと強くなりたかっただけだ。もっと……、もっと………」
2
「翔一君のことどう思う、て?」
朝食の席で、志満が当人からの質問を反芻する。あまりにも突拍子がないからか、志満は思わず笑いながら、
「どうしたの急に?」
翔一は皆の席に湯呑のお茶を並べながら、
「何か俺、頼りないかな、て」
「うん、かなりね」と味噌汁を啜った美渡が言ってのける。あまりのデリカシーの無さに千歌は細めた目で次姉を一瞥するも相手にはせず、
「そんなことないって。翔一くんやるときはやるし。ねえ志満姉?」
まあ、その「やる」時のアギトの姿を姉たちは知らないのだから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。高海家の家事を一身に請け負っているとはいえ、定職に就かない翔一は世間一般から見たらあまりイメージが良くないのは千歌にも否定できない。一応、怪物から人々を護っているのだけれど。
箸を置いた志満は「うーん」としばし考え、
「そうね。私の中の翔一君のイメージはマメ、てことかしらね」
「マメ?」と翔一は食卓に並ぶ煮豆の小鉢に視線を落とし、
「お豆さんですか?」
「そうじゃないわ。炊事、洗濯、掃除。何でもござれでしょ。これはもう立派な取り柄よ。きっと、良いお嫁さんになるわ」
お嫁さん、て。頼り甲斐から更にイメージがかけ離れた気がする。面白がる美渡に至っては翔一を肘で小突きながら、
「良い相手に貰ってくれるといいね翔一」
調子の良い翔一は「お嫁さんですか」と笑うのだが、すぐに深い溜め息と共に頭を垂れた。
志満姉と美渡姉こそ早く相手見つけないと行き遅れちゃうよ。
そんな姉たちへの皮肉が出かけたが、後が怖いので喉元に押し留めた。
「昨日は済みませんでした。つい取り乱してしまって………」
冷静になってみれば、上司に向かって何て態度を取ってしまったのか。せめてものお詫びとして昼食にラーメンを奢ることにしたものの、謝罪にしては安い気もする。
「良いのよ気にしなくて。隠してた私も悪かったんだし」
小沢はそう言って麺を啜る。誠もレンゲでスープをひと口啜った。この屋台に来るのも久しぶりというほどでもないが、色々と立て込んでいたからか舌に馴染んだ味が懐かしく感じる。沈んだ気分への皮肉とばかりに美味だ。食欲はあまり沸かないが。
尾室が呑気に口を開く。
「でも驚きましたね。津上翔一、て確か前にG3-Xを装着した人ですよね。アギトである上にG3-Xまで装着して、何かズルい、ていうか羨ましい、ていうか」
「あんたは黙って食べてなさい。ほら、これあげるから」
と小沢は尾室の丼にナルトを入れる。誠は箸で麺をつまむが、啜る気にもなれずスープに浸す。
「でもまさか津上さんがアギトだったなんて。未だに信じられません」
「まあ、そうでしょうね」
「僕が想像していた人物とあまりにもかけ離れていたので。もちろん津上さんは悪い人ではないですが、何て言うか少しお調子者でいい加減な感じがして………」
「そんな事ないわよ。ああいうタイプだから理解するのは難しいかもしれないけど、器の大きな人間だわ」
「そうでしょうか………。いずれにせよ、僕には分からないんです。これから津上さんと、どう接していけばいいのか」
少なくとも、これまでのようにはいかないだろうな、と思った。ひとまず、今まで助けてくれたお礼は言わなければならない。
「どうしました? また何かあったんですか?」
店主が会話に入ってくる。「ちょっとね」と小沢が言葉を濁すと、店主は「どれどれ」と誠の丼を覗き込む。
「何よ、またナルト占い?」
「ええ。私に言わせりゃね、ナルトは
店主は誠のナルトを凝視すると、
「あ、こりゃ駄目だ。あんた尊敬してる人に裏切られる。間違いなし」
「やっぱり……」と誠は頭を垂れた。「そんな事ないわよ」と小沢は誠を肘で小突きながら、
「こんな占い信じてどうすんのよ」
「いや、ここの占いは当たるような気が………」
流石の小沢もかける言葉が見つからないのか、「あんたも何か言いなさい」と尾室に振るが、まともに聞いていなかった彼に上手い事が言えるわけもない。
「ほら、あんたが食べなさい」
と誠のナルトを尾室の丼に移すのだが、かといって占いの結果が尾室に転嫁されたとも思えない。このナルトが誠に割り当てられた時点で運勢は決まってしまっているのだから。
麺はすっかり伸びていて、食べる気になれなかった。
3
聖良と話したことで、千歌の中に沸いた疑問がある。その疑問はスクールアイドルを始めてからずっと抱えてきたものだけれど、いつか分かる、いつか分かる、と先延ばしにしてきた。
その「いつか」は、先延ばしにしたままでは永遠に来ない気がする。今向き合わなければ、答えは出ない。だから、皆にも問いを向けることにした。
「Aqoursらしさ?」
屋上で練習前のストレッチをしているメンバーの中で、善子が千歌の問いを反芻する。千歌は頷き、
「わたし達の道を歩く、てどういうことだろう。わたし達の輝き、て何だろう。それを見つけることが大切なんだ、てラブライブに出て分かったのに、それが何なのかまだ言葉にできない。まだ形になってない」
わたし達はまだ、自分たちの何を観客に届けられるのかを知らない。応援してくれる人たちが、わたし達の何から輝きを感じてくれているのかを、わたし達自身がまだ分かっていない。
「だから形にしたい。形に………」
答えられるメンバーは誰もいない。皆が俯き、懸命に答えをこの場で探している。すぐに答えが出るものじゃないことは理解している。前からずっと探し続けてきたし、今だって答えを見つけるために曲を作って、練習している。
肌寒い沈黙を破ったのはダイヤだった。ただし、答えではない。
「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて運命ですわ。あれ、話しますわね」
「え……、でもあれは――」と果南が逡巡する。ダイヤ達は知っているのだろうか。輝きとは何か。そこに至るまでの標を。
「それ何の話?」
「2年前、わたくし達3人がラブライブ決勝に進むために作ったフォーメーションがありますの」
「そんなのがあったんだ」と千歌は身を乗り出す。
「凄い、教えて!」
その秘蔵とも言えるフォーメーションを今回の曲に組み込めば、多くの観客の票を集められるかもしれない。入学希望者を増やせるかもしれない。鼻息を荒げる千歌から逃れるように果南は顔を逸らし、
「でも、それをやろうとして鞠莉は脚を傷めた。それに、皆の負担も大きいの。今そこまでしてやる意味があるの?」
「何で?」
千歌は果南の手を取った。驚いて目を丸くする果南に更に訊く。
「果南ちゃん、今しなくていつするの? 最初に約束したよね? 精一杯あがこうよ。ラブライブはすぐそこなんだよ。今こそあがいて、やれることは全部やりたいんだよ」
それが答えに辿り着くのかは分からないけど、やらなければ辿り着かないことだけは分かる。全力を出し切る。その時その時の全力を出し切って、次に繋げたい。
「でも、これはセンターを務める人の負担が大きいの。あの時はわたしだったけど、千歌にそれができるの?」
「大丈夫。やるよ、わたし」
振り解かれそうになった手を強く握り、千歌は告げる。
「決まりですわね。あのノートを渡しましょう、果南さん」
ダイヤに言われ、果南は視線を泳がせる。果南でも躊躇するということは、よほど難しいパフォーマンスだと理解できる。でも千歌にとって、そんなことは些末でしかない。
できない理由を探すんじゃない。できる理由を探す。まずはそこから。
「今のAqoursをbreakthroughするためには、必ず越えなくちゃならないwallがありマース」
「今がその時かもしれませんわね」
千歌は皆の顔を見渡す。誰も無言のまま。でも誰の顔にも、反対の意は見えない。どんなに壁が高くたって、皆で乗り越えてみせる。皆でなら乗り越えられる。
果南が深く溜め息を吐いた。
「言っとくけど、危ないと判断したら、わたしはラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね」
屋上の隅に固めて置いてある鞄のもとへ行くと、1冊のノートを手に戻って千歌に差し出す。水に濡れたのか、ノートはひどく皺だらけで表紙のインクが滲んでいる。
無理はしない。その約束は守る。でも、絶対に成功させてみせる。
裡で自身に言い聞かせながら、千歌はノートを受け取った。
4
どすん、と天井から音が響いた。振動で湯呑の中でお茶が波紋を広げている。
「さっきから何かしらね」
テレビを観てくつろいでいる志満が、眉根を動かさずに言う。「さ、さあ」と応じながら、翔一はお茶請けに用意した皿をそう、とテーブルに置く。菜園で採れたカブの酢漬けの感想を聞きたいのだが、とても聞けそうな状況じゃないことは分かる。
またどすん、と天井が軋みをあげた。場所からして千歌の部屋だろう。「ちーかー」と美渡の声まで聞こえてくる。恐る恐る志満を見やると、テレビを観ながらお茶を啜っている。
「さあて、俺菜園の様子見に――」
言いかけたところで、上から聞こえたふたり分の悲鳴で遮られた。
「ちいいいかああああああああっ‼」
「ごめん! 美渡姉ごめん、て!」
「おんどりゃああああああああっ‼」
どかどか、と盛大な足音を立てて、階段から千歌が駆け降りてくる。それも何故か練習着姿で。続けて降りてきた美渡はぬいぐるみやらお菓子の空き箱やらを投げつけ、疲れたのか足を止めたのだがまだ怒りは収まらないらしい。
「どうすんのよ襖!」
「美渡落ち着けって」
肩で息をする美渡をなだめようとしたところで鶴の一声が、
「お客様の迷惑よ美渡」
その志満の声はとても穏やかなものなのだが、察したのか美渡は「はーい」と上ずった声で応じた。
「ほら美渡、襖なら俺が直すからさ」
飛び火は勘弁だから、美渡の背を押して階段へと誘導していく。階段を上がっている途中で、美渡は青ざめた顔を翔一に向けた。
「怒ってる?」
「かなり」
誰もいない夜の砂浜で、千歌はひとり練習に励んでいる。ノートは今日渡したばかりだから、すぐに成功するはずもなく失敗して砂地に腰を強打する。しばらく痛みに悶絶していたが、すぐに起き上がりまた挑戦し、やはり失敗して同じ箇所をぶつけてしまう。
あの子のことだから死に物狂いで練習するだろうな。そんな果南の予想は見事的中した。それが良いのか悪いのかは分からないが。
考案した果南が今すぐにでも彼女のもとへ駆けつけコーチしてやるのが最善なのかもしれないが、敢えてそれはしない。方法は全てノートに書いてあるし、どこかで千歌が諦めてくれれば、と淡い期待を抱かずにいられない。
一緒に淡島から出てきた鞠莉が訊いてくる。
「心配?」
「やっぱり、こうなっちゃうんだな、て」
「あれ、やりたかったね。わたし達で」
「それなら、何で千歌たちにやらせるの? まるで押し付けるみたいに」
「チカっちならできる、て信じてるから。今のAqoursなら、必ず成功する。果南だって信じてるんでしょ?」
その問いに答えることはできなかった。正直、果南でも自分の気持ちが分からない。果たしてフォーメーションを完成させたいのか、それとも諦めたいのか。千歌でも駄目なら、自分たちには無理な話だった、と踏ん切りはつくだろうか。それとも成功の可能性をずるずると後になっても引きずってしまうのか。
分からなくて、怖かった。自分の迷いが、千歌を壊してしまいそうで。
「ねえ果南、こう考えたことない? 今のわたし達なら、アギトの力があるんだからできるんじゃないか、て」
そんなことを訊かれ、果南は応えに窮した。自分の中に眠るアギトの力が、どんな難しいパフォーマンスを可能にするほどの身体能力をもたらすかなんて、考えもしなかった。変身した翔一や涼や木野のように、目に見えて体が強くなった感覚なんて無いのだから。
それに、アギトの力が決して好都合じゃないことは、嫌というほどに見たばかりだ。
「確かにアギトは重すぎるかもしれないけど、わたし達も涼みたいに運命を乗り越えられたら――」
「もしそうだとしても、千歌は………」
アギトの力が呪いじゃなく福音になれるのなら、果南だってその未来に行ってみたい。でも千歌はどうだ。千歌だけは、Aqoursの中でアギトという可能性が最初から奪われている。
鞠莉は言う。全ての希望を託すように。
「チカっちは証明したいのよ。アギトじゃなくてもできる、て」
この日も北條は、行きつけのフレンチレストランで夕食を摂っていた。昼食のラーメンは殆ど喉を通らなかったから空腹のはずなのだが、沼津随一のシェフが腕を振るった料理の匂いが鼻孔をくすぐっても、誠の食欲は沸かない。
この時の北條は珍しく気遣ってくれて、誠の分のコースもオーダーしてくれた。ウェイターの運んできた料理に手を付けず事の顛末を話すと、北條は深く嘆息した。
「そうですか。遂にあなたも、アギトの正体を知りましたか」
「ええ………」
「私も最初は驚きましたよ。まさかあの津上翔一が………」
「そうですよね、全くです。まさかあの津上さんが………」
「で、何です? 相談事とは」
「え?」と誠は間の抜けた声を上げながら項垂れていた頭を上げる。そうだ、愚痴を零しに来たんじゃなかった。
「ええ。何故、津上さんがアギトなのかと。アギトとは、一体何なのかと」
翔一には失礼だが、世の中にはもっとアギトとなるに相応しい人間がいるはずだ。勿論、翔一だってこれまでアンノウンと戦い続けてきたのだから、その功績は認めるべきではある。
でもやはり納得はできない。何らかの意思によるものなら、何故翔一にアギトという役目が与えられたのか。
「それは、私にも分かりません。恐らく、津上翔一自身も分かっていない」
だとしたら翔一は、自分の力のルーツも知らないまま今まで戦ってきたことになる。でもあの性格だ。深く考えたことがあるとは思えない。
「だが、その謎も近い将来解かれることになるでしょう。この私の手でね」
得意げに微笑すると、北條は誠を見据え、
「氷川さん。別にアギトが津上翔一でも良いではありませんか。彼は悪い人間ではありません。第一今は、個人的感情を云々している場合ではない。津上翔一以外のアギトが存在する以上、人間という種そのものにとてつもない大異変が起こっているのかもしれない」
彼の言葉に、誠は背中に冷や汗を浮かべた。木野薫という第2のアギトによって、アギトが決して唯一無二の存在でないことが証明された。つまり、アギトはこれからも現れるかもしれないということ。いや、既に世界のどこかで第3、第4のアギトがいるのかもしれない。人類という種の中から。
「人間に、異変が……?」
「その可能性があるということですよ。それに私に言わせれば、あなたもまたアギトだ」
「僕が………、アギト?」
「ええ。G3-Xを装着したときのあなたは、アギトに匹敵する力を持っているはずだ。同じアギトとして、あなたと津上翔一。ふたりで力を合わせてアンノウンと戦っていくべきだと思いますが」
「僕がアギト………」
反芻すると、気のせいか裡から熱いものが沸いて出てくるような感覚を覚える。G3-Xのスペックはあくまで小沢の設計したものだが、装着員である誠自身もまた、アンノウンと戦うアギトに匹敵する存在。
決して追いかける側じゃない。僕は、アギトと肩を並べることができる。
「そんな風に考えた事ありませんでした。ありがとうございます。何か、ちょっと吹っ切れた気がします」
いくらアギトでも、翔一も警察が護るべき市民であることに変わりはない。今まで通りで接すれば良いじゃないか。むしろ、関係は既に築けているのだから協力して戦っていくのも難しいことじゃない。そう思うと体が軽くなって、空腹を感じられる。
「物事は大きな目で見なければいけない、ということですよ。それから、小沢さんに会ったら伝えてください。あなたに蹴られた箇所が未だに痛む、とね」
微笑すると、北條はワイングラスの水を飲む。「はあ……」と応じながら、誠も釣られて水を飲んだ。蹴った、て。あの上司はまた何があってそんな事をしでかしたのか。
それにしても、北條が蹴られた箇所とはどこなのか。訊いたところで、北條が言う訳ないことは分かり切っているが。
今更ですが高海姉妹の年齢設定について。
志満姉は(忘れているかもしれませんが)本作では小沢さんと大学の同期という設定なので小沢さんに合わせて25歳。
美渡姉は翔一君と同い年で21歳というイメージです。因みに本作で翔一君のバイクは美渡姉が短大時代に乗り回していたものを譲ってもらった、という設定です。なので美渡姉はバイクの免許持ってます。