ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト   作:hirotani

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第2話

   1

 

「凄い声援だ! お客さんもいっぱい」

 いち観客としてショーを楽しむ千歌の声は、耳を澄まさなければ観客の熱気溢れる声援に掻き消されてしまいそうだった。

 メインアリーナの観客席は薄明りでよく見えないが、ひしめき合うように光るサイリウムで満席だと分かる。空いているのは、Aqoursにゲスト用として割り当てられた2階席の1画のみだった。ステージに近い席だから、ステージのみならず観客席の様子も見渡せる。

「観客席から見ることで、ステージ上の自分たちがどう見えているか、どうすれば楽しんでもらえるかも、勉強になるはずですわ」

 ダイヤが言うと、千歌は「だよね」と一層熱心にステージと観客席を見渡す。流石お姉ちゃん、と思いながらルビィも会場を見渡した。この北海道への旅は、観客としての視点を知る絶好の機会として決められたものでもある。

 そろそろ大会も中盤に差し掛かる頃だ。彼女たちの出番は近いはず。

「Saint_Snowさんは?」

 ルビィが訊いた。「確か次のはずだけど……」と梨子がプログラムシートを確認したところで、次の曲が流れる。スポットライトの光も変わって、会場の雰囲気が早変わりする。

「あ、始まるずら」

 花丸がそう言ってすぐ、会場に一際大きな歓声が響き渡る。役者の姉妹は既にステージで、背中合わせに立っていた。

 鞠莉が拳を上げ興奮を声に出す。

「It`s Showtime!」

 いよいよ始まるんだ、とルビィは固唾を飲む。彼女たちは言うなれば、この地区大会のメイン。

 テンポの上がっていくリズムに乗って、Saint_Snowのふたりは踊り出す。

 

 誠を沼津病院まで運んだ後、医師から容態を聞いて診察室を出たところで、制服を着た男女ふたりがつかつか、と靴音を立てながら涼たちのもとへ歩いてきた。制服の方にあしらわれたエンブレムからすると警察らしい。

「津上君」

 女性警官に呼ばれ、「あ、小沢さん」と翔一がその姿を認める。

「どうなの、氷川君の具合は?」

「はい、命に別状はないみたいですけど。ただ頭を強く打っちゃって、詳しく検査したほうが良い、て」

 この間の水のエルとの戦いだろうな、と何となく予想はついた。高所から落下して、マスクが割れるほどに強く顔面を打っていたのだから。警察が作ったG3-Xとやらも、岩のように固いわけでもないらしい。

「そう。悪いわね、色々と面倒かけちゃって」

「いえ、そんなこと」

 小沢の目が涼へと向いた。

「こちらは?」

「あ、紹介します。葦原涼さん。何て言うか、只者じゃない、ていうか」

「ええ、聞いてるわ氷川君から」

 ということは、この小沢という警官も涼の正体を知っているということか。正直、良い印象は持てない。警察には手ひどくやられたことがある。無言のまま視線を交わしていると、翔一が沈黙を破る。

「こちらが、氷川さんの上司にあたる小沢澄子さん」

 「よろしく」と小沢はそっけなく言う。まあ、愛想よく挨拶されたところで涼も応えるつもりはないが。

 これまで黙っていた涼は、ようやく口を開いた。

「確かG3-Xだったか。あれがどれ程のものかは知らないが、もうこれ以上俺たちの戦いに関わらないほうがいい。所詮ただの人間の力ではどうにもならない。多分な」

「確かあなたもアギトと同じ力を持っているんだったわね。あなたの力がどれ程のものか知らないけど、人間を侮らないほうがいいわ。結局、最後に勝つのはただの人間なんだから。多分ね」

 随分と強気な女だ、と思った。よほどG3-X、もとい誠に想い入れが強いらしい。

「そうなると良いがな」

 鼻で笑い、涼は歩き出す。忠告はした。それでも首を突っ込むというのなら好きにすればいい。取り返しのつかないことになっても知った事じゃないからな。

「じゃあ氷川さんのこと、あとはよろしくお願いします」

 そう小沢に言ってから、翔一が追いかけてくる。待合室には木野が待っていた。サングラスで目元を隠した彼は、感情も隠すように何も込めない声で尋ねる。

「彼の具合は?」

「大丈夫みたいです」

 翔一が答えると、木野は何も言わなかった。救急車が来るまでの間に誠を診ていた彼なら、容態がどれ程のものか大体は分かっていたのかもしれない。

 出口へ向かおうとする彼を「待ってください木野さん」と翔一は呼び止め、

「実は俺、ちょっと訊きたいことがあるんです。ほら、あかつき号のことです」

 その名前を聞いた瞬間、涼は呼吸すらも忘れ翔一の顔を凝視した。木野も驚いている、と分かるほどに息を呑んでいる。

「俺がアンノウンに襲われて海に落ちて、あれから何があったのか」

「お前、思い出したのか? 過去のことを………」

「はい」

 

 

   2

 

「びっくりしたね」

「まさか、あんな事になるなんて………」

 放心した意識を取り戻そうとするように、曜と梨子が口々に言う。全てのグループが出番を終え、エントランスの液晶には決勝進出の上位3組の名前が表示されている。その中に、あの姉妹の名前はない。大方、予想はついてしまっていたのだが。

「これがラブライブなんだね」

 曜の言葉に鞠莉が首肯し、

「1度ミスをすると、立ち直るのは本当に難しい」

 「1歩間違えればわたし達も、てこと?」と訊く善子に「そういう事ずら」と答えた花丸もどこか震えているように見える。決して他人事じゃない。何が起こるのが分からないのがラブライブ。無名グループが上位に昇ることもあれば、優勝候補と目されたグループが下位に転落することもある。そういった予想できない展開があるからこそ観客は盛り上がるのだが、ステージに立つ側としては恐怖で足がすくんでしまう。

「でもこれで、もう決勝に進めないんだよね。Saint_Snowのふたり」

 結果の全てを告げた千歌の言葉に、ルビィは思わず足を止めてしまった。一応挨拶に楽屋へと向かっているが、何と声をかけたら良いか分からない。辛い現実はAqoursも散々味わってはいるが、だからといって他人に現実の乗り越え方を教授できるほど、悟りを開いているわけでもない。

 最後尾にいたルビィに気付くことなく先を行くメンバー達を追いかけた。楽屋に着くと千歌がドアをノックする。「はい、どうぞ」とドアの奥から来た返事は、聖良の声でも理亜の声でもない。

「失礼します」

 恐る恐るドアを開けた千歌は、部屋に1歩入ったところで足を止めた。戸惑う彼女に、楽屋にいた別グループの少女たちが告げる。

「Saint_Snowのふたり、先に帰られたみたいです。この後、本戦進出グループの壮行会あるんですけど………」

「控え室で待ってる、て聖良さん達言ってくれたのに………」

 覗き込むと、出番前に姉妹のいた化粧台のあたりは、綺麗に片付けられていた。衣装を詰めていた大きなバッグも、応援してくれた人々からの差し入れも。

 少女たちは言う。

「今日は、いつもの感じじゃなかったから。ずっと、理亜ちゃん黙ったままだったし」

「あんなふたり、今まで見たことない」

 先ほどのステージでの光景は、まだルビィの目蓋の裏に貼りついている。

 尻もちをつく聖良と、ステージの床に倒れる理亜。

 歓声の一切が消え失せ、沈黙する観客席。

 会場の様子などお構いなしに流れ続ける曲。

「あれじゃ動揺して、歌えるわけないよ」

「それにちょっと、喧嘩してたみたい………」

 ほんの些細な、接触による転倒だった。でも立ち位置とは、たった1㎝のズレでもダンスの見栄えに綻びを生じさせてしまう。あの姉妹のような失敗は、その最悪のケース。ふたりは何とか持ち直してパフォーマンスを続行したのだが、彼女たちの裡は観ているルビィにも分かってしまうほどに、散々なものだった。歌もダンスも均整がなく、取り留めのないバラバラなもの。コンビネーションなんて欠片もなかった。

 壮行会にはAqoursも誘われたのだが、丁重に断り手配されたホテルに向かうことにした。正直、あの会場にいる意味はもうないような気がした。

 夕方の函館を走る路面電車はルビィたちしか乗客がいなかったが、誰も談笑する気にもなれず、誰もが顔を俯かせている。

「まだ気になる?」

 様子を察した果南が訊いた。「うん」と千歌が頷き、隣に座る梨子が呟く。

「ふたりでずっとやってきたんだもんね」

 確か聖良のほうは3年生だったはず。今季の大会が最後だから、今まで以上に練習を重ねてきたことは想像に難くない。

「それが最後の大会でミスして、喧嘩まで………」

 曜が言った。夏季で逃した優勝という結果を今度こそ、というふたりの努力が、あんな形で潰えてしまうのはあまりにも寂しすぎる。

「やっぱり、会いに行かないほうが良いのかな?」

 千歌の問いに、善子がはっきりとした口調で「そうね、気まずいだけかも」と応じる。

「わたし達が気に病んでも仕方のない事デース」

 鞠莉の言う通りだ。「そうかもね」と果南も同意している。Aqoursだって、決勝に行けるからといって気を抜いてはいけない。優勝すると決めた。優勝して、浦の星の名前をラブライブの歴史に残すと。敗退してしまった者に情けをかける余裕なんて無い。

「あのふたりなら大丈夫だよ」

「仲の良い姉妹だしね」

 曜と梨子が口々に言った。「じゃあ」と鞠莉が明るく、

「この後はホテルにcheck inして、明日は函館観光ね。晴れるみたいだし」

 ルビィはちらり、とダイヤを見やった。函館の景色を眺めていた姉はこちらの視線に気付くのだが、ルビィは咄嗟に目を背けてしまう。

「では、この地のリトルデーモンを探しに――」

「それは無いずら」

「待てーい!」

 善子と花丸のやり取りは耳に入らなかった。ルビィの脳裏にあったのは、出番を待っていた理亜の震える拳。あの震えが寒さのせいでないことは気付いていた。ただの緊張でないことも。直接話したことはないけど、理亜は姉とのSaint_Snowというグループに自信を持っている。

 姉とふたりなら大丈夫。不安なんてない。姉という存在がもたらしてくれる安堵は、ルビィにも理解できた。

 あがり症のルビィが今までステージに立てたのは、ダイヤがいてくれたから。

 お姉ちゃんが居てくれる。守ってくれる。産まれた頃からずっと一緒に居てくれた存在が、これからも傍に居てくれる。幼い頃は無条件に信じられたその錯覚も、少しばかり成長した今は薄れつつある。

 Saint_Snowの終わりが、ルビィに決定的な現実を突き付けた。

 ルビィの夢の終わりも近付いていることに。

 

 

   3

 

 できるだけ静かな場所で話したい、ということで、翔一たちは沼津港に移った。あまり人が多い所で話せるようなことじゃない。それに、あかつき号と聞いた涼は翔一に掴みかかる勢いで質問を飛ばしてきたから。

「じゃあ、お前もあかつき号に乗っていたのか?」

「はい」

「一体何があったんだあかつき号で。頼む、教えてくれ」

 教えたいのは山々だが、翔一もあの船での全てを知っているわけじゃない。

「それは、俺も木野さんに訊きたいんですけど」

 自分のバイクに寄りかかっていた木野は、翔一たちを見ることなく告げる。

「思い出したのなら、それが全てだ。お前が変身し海に消えた後、アンノウンもまた姿を消した。俺たちに起こったことは決して口外してはならない、と言い残してな」

 木野は、どこか肩の荷が降りたかのように語り続ける。でもその顔は未だに重々しく、とてもあの日の呪縛から解き放たれたようには見えない。

「あの時、謎の人物がお前にアギトとしての力を与えたんだ。あの光の余波を浴び、俺たちもまたアギトとしての宿命を背負わされたんだ」

「覚えてます。でも、何者だったんですか? 俺たちをアギトにした人、て」

 あの白い青年。彼は全てを見通しているようだった。彼が消えた後、水のエルが襲いに来ることも。こうして今、アンノウン達がアギトになろうとする人々を襲い始めることも。

 最後の力、と彼は言っていた。となると、彼はもう世界のどこにもいないのだろうか。自身の消えた後のために、翔一たちをアギトにしたのだろうか。人の未来を脅かすアンノウンと戦う尖兵とするために。

「分からない。分かりたくもない」

 うんざりしたように、木野は言う。

「それを知ったら、人間である意味を見失うような、そんな気がする」

 そんな怯えのような言葉を吐く木野は初めて見るものだった。俺たちはアギトという「力」を植え付けられた。そこに「知恵」まで授かったら、今度こそ人でなくなってしまう、と。

「お前は俺が過去に生きている、と言ったな。その通りだ。だからこそ俺は生きていられる」

 未来ではなく、過去こそが生きる糧。記憶を失っている間も、取り戻した今も未来へ進もうとする翔一を、木野は諭す。お前のような生き方ばかりが全てじゃない、と言うように。失った過去を取り戻そうともがくのも、人生の形のひとつだ。それが決して何も得られない、愚かな行為と分かっていてもな。

「俺だけじゃない。あの1件以来、あかつき号のメンバーは皆、以前の自分ではいられなくなった。皆あの事件を忘れようとして、人生を変えた。だが、鞠莉だけは違った」

 そう言うと、木野は遠くを見やる。

「あの子は事件のことを忘れた果南とダイヤを守ろうとした。親友たちが未来へ進めるようにな。彼女は強い子だ。俺なんかよりも、ずっと」

 だからか、と翔一は今までの鞠莉に得心した。以前会った翔一をついさっき知り合ったばかりのように振る舞っていたのは、果南とダイヤに船での恐怖を思い出させないために。翔一が何も思い出さないまま、あの日から続く嵐が過ぎ去るのを、彼女はひとり怯えながら耐え続けていた。

「でも俺たちはあいつをやっつけることができたじゃないですか。もしかしたらあいつがアンノウンのボスだったのかもしれませんよ。なら、もう全て終わった、てことないですか?」

 もう嵐は去った。鞠莉も怯える必要はない。木野だって、そろそろ未来へ踏み出しても良いじゃないか。

「………だと良いがな」

 釈然としない返しをして、木野はバイクに跨る。終わったように思えないのは、あまりにも日常の変化が乏しすぎるからだろうか。それとも、木野の裡にあるアギトの力がそう告げているのか。

 正直、全てが終わったと思えないのは、翔一も同じだった。水のエルが全ての元凶だったとして、あの海の怪人を倒してこれから目覚めようとするアギト達の未来は護られたのか。

 変わらないのならそれでも良い。アンノウンによるアギト狩りがまだ続くとしても、翔一は戦い続けるだけだ。本来の翔一を代わらず受け入れてくれたあの家族と、この街を守り続けるために。

 

 バイクで去って行く木野を見送った後、涼は翔一からあかつき号のことを全て聞いた。船での他の乗客たちの事と、彼がアギトになった経緯を。

 沢木哲也という本名が父の手帳になかったのは、彼が行方不明になっていたからだろう。あの名簿は船の仲間と連絡を取り合うために書き残されたものだったのだろう。いつか脅威が訪れたとき、皆で抗うために。

「そうか。そんなことがあったのか、あかつき号で」

「はい。でもびっくりしました。俺があかつき号で会った葦原さんが、葦原さんのお父さんだったなんて」

「全くな………」

 妙な偶然もあったものだ。いつも笑っていたあの父なら、翔一ともすぐに打ち解けたと容易に想像できる。

「良い感じの人だったなあ。お元気ですか?」

 言うべきか迷ったが、別に隠すようなことでもない。

「死んだよ。あかつき号の事件からすぐ行方不明になってな。最後は衰弱死だったらしい」

 抗うために準備をしておきながらも、結局は何もかも足りなかったのだろう。力に目覚めかけても、涼や翔一のように姿を変えるほどに醸造させなければ、所詮はあかつき号の人々もか弱い人間に過ぎなかった。アギトの力を植え付けられたからといって、山中で霞を食べて生きていける仙人なわけじゃない。この体でも腹は減るし怪我はするし、死にもする。

 「そうですか……」と翔一は沈んだ声で応えた。

「ようやく分かった。木野が言ってたように、父もあかつき号のことから逃げようとしていたんだ。弱い人間だと責めるのは簡単だが、俺にはできない。背負いきれない現実というのもある。今の俺には、それが分かる」

 今なら、何故父が海ではなく山の中で最期を迎えたのか理解できる。父は海をまるで親のように敬い愛していたが、その海に恐怖を植え付けられた。海に現れた魔物から遠ざかろうとして、山へ籠り死んでいったのだろう。

 海を受け入れろ。そう息子に教授しておきながら、父は最期に海を拒絶してしまった。

 故郷の海岸にある祠を思い出す。祖父の代まで水葬にされた死者たちを祀る、村の漁師たちが安全を祈願する小さな祠。

 海から授かった命は、終わったら海に還さなければならない。なら、生きている間に別のものに変えられた命はどうなるのだろう。アギトの因子を植え付けられた父を、海は受け入れてくれただろうか。それに涼自身も。全てが終わった時、人でもアギトでもないギルスは還る場所があるのか。せめて、海が寛容であることを祈るばかりだ。

 全てを知っても、案外何の変化もないものだ。父が死ぬ原因を知れば少しは気も晴れるのでは、と期待はしていたのだが、これまでの苦労も無駄とばかりに何も晴れはしなかった。知らないうちに父の仇を討っていたにも関わらず、達成感なんて無い。

 それに、これからどう生きていくべきなのかも依然として分からないまま。

「それで、お前はどうなんだ?」

「何がですか?」

「記憶を取り戻して何か変わったか?」

 翔一はしばし明後日のほうを向いたが、すぐに首を傾げた。

「いやあ、別に」

 本人から明かされるまで気付かなかったほどだ。以前の翔一も今のままだった、とすんなりと受け入れることができる。

 何も変わらない。そんな翔一の在り方が真理なのかもしれない。いくら過去から引っ張られる枷を外したところで、1歩を踏み出したわけじゃない。踏み出すのは結局のところ自分次第なのだから。

「そうか。そこがお前の良い所だ」

 だからこそ、彼は船での因果に勝利できたのかもしれない。船に現れたという白い青年も、翔一のある種の強さとも取れる面を見出したからこそ、彼をアギトにしたと思える。この男なら運命を乗り越えられる、と。

「あ、そういえば」

「どうした?」

「よく考えると、俺あかつき号から落っこちて2週間くらい海の中にいたことになります。アギトになってなかったら完璧に死んでましたね、きっと。アギトになって、ラッキーでした」

 あっけらかんと言う翔一の能天気さは、果たして強さと言っていいものだろうか。やっぱりこいつはよく分からないな、と思いながら、涼は呆れ半分に言った。

「ものは考えようだな」

 自分のバイクに向かうが、そんな涼を翔一は呼び止めた。

「あ、葦原さん今日はうちでご飯食べてってください。菜園のカブがたくさん採れたんですよ」

「ああ、そうだな。頂くよ」

 

 

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