ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
終わったああああああああああアアアアアアアアアアアアッ‼
いや本当、マジでこの作品は大変でした。
はいすみません。ここから真面目な文面になります。
皆さんこんにちは、hirotaniです。
多くの人々の支えと、読者様から応援を頂いたおかげで、約2年と8ヶ月を経てこの『ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト』が完結となりました。
『ラブライブ! feat.仮面ライダー555』に続く『ラブライブ!』と『仮面ライダー』のクロスオーバー第2弾となった本作ですが、執筆は困難を極めるものでした。
執筆の経緯としては、『サンシャイン』2期のアニメが放送されていた時期から二次創作を書きたいと考えており、クロスするライダーが『アギト』になるのも早い段階から決めていました。最初は前作『feat.555』同様に『サンシャイン』をアニメ準拠、『アギト』を後日談として構想したのですが、『アギト』が完璧な結末だったため続編を作る余地がなく難航しました。それでもプロットを組むことはできたのですが、とても『アギト』と銘打つには程遠い内容で読者様に受け入れてもらえそうなものではありませんでした。そもそも前作と同じ形を繰り返してしまうのも面白くないと感じ、両方の原作準拠という形に落ち着きました。
オリジナル要素はクロスオーバー化に伴う矛盾を補完するために留め、『アギト』と『サンシャイン』のストーリーやキャラクターを損なうことなくひとつの物語としてまとめるという、整理すべき物事が多すぎる作業でした。原作通りに描けばいい、と軽く考えていましたが、それは私の文章力次第では読者様に原作に対する誤解を生みかねないことであり、原作の宣伝ところかイメージダウンを起こしかねない危ういことだった、と今更ながらに思います。
何故これほど大変だったかというと、それは『サンシャイン』と『アギト』が、キャラクターひとりひとりの物語をしっかりと描写していたからです。Aqoursのメンバー達、仮面ライダー達それぞれに人生があり、信念があり、迷いがある。彼女らと彼らの心を隙間なく描写しなければならない、と強く思っていました。映像から読み取れるキャラクターの動きや表情、台詞から内面を想像し、限りなく「本物」に近付け文章に起こすことが本作で最も重視したものです。クロスオーバーでありながら、いわば2作品のノベライズという形を目指しました。
正直なところ、書いておきながら「何が面白いんだろう」という疑問が常にありました。原作で物足りなく感じた部分を解消するのが二次創作なら、原作準拠という本作は原作の物足りなさをそのまま媒体移しにしているようなものです。クロスオーバーすることでどんなストーリーになるのか、キャラクターはどう改変されるのか、という醍醐味もなく読者様の予想通りの展開が続き、予想通りの結末を迎える。そんな何もかもが予想できてしまう作品を世に出す価値があるものか、という葛藤がありました。そんな本作はある意味で挑戦的だったと思います。
それでも本作をこのような形にした理由は、『サンシャイン』と『アギト』を小説という媒体にすることに可能性を感じたからです。先程も述べたように本作は両作のノベライズであることに拘りました。映像として出された原作に深みを見出し、それを文章に起こすことで読者様に新しい発見のできる『サンシャイン』と『アギト』をお届けできるのではないか、と思いました。沼津という世界の片隅で起こった戦いが人類の未来を左右するほどにスケールが膨れ上がり、その戦いを目の当たりにしながら青春を駆け抜ける少女たちが自分たち、ひいては人間の持つ力の根源とは何か、という問いに向き合っていく。アギトとは、人間とは何か。このテーマを打ち出すには、異形の出現を描いた『アギト』と青春を描いた『サンシャイン』を組み合わせ互いに補完させなければ実現できなかったことでしょう。
本作はクロスオーバーという性質上、Aqoursメンバーに『アギト』の超能力者という設定を組み込みましたが、高海千歌だけは終始「ただの人間」として描くことに重点を置きました。正直なところ千歌に超能力設定を付与すれば書くのが楽になる場面が多々あったのですが、『サンシャイン』の「輝き」というテーマを打ち出すためにどうしても許容できないことでした。『サンシャイン』とは普通の少女がスクールアイドルという特別な存在を目指す物語であり、Aqoursメンバー全員に超能力設定を持たせることで、彼女たちが輝けた理由が「アギトだから」と片付けたくはなかったのです。
原作遵守を一貫してきましたが、『アギト』サイドの終盤はほぼ私のオリジナル展開とさせて頂きました。特に沢木哲也の最期はどうしても入れたかった一幕です。彼の行動原理が雪菜の救済であり、そのためにアギトという種の生命を肯定するのであれば、翔一に自由であることを告げ、アギトの可能性として虹の彼方への旅立ちを後押しすることは必然と考えました。
最終章のラストですが最初の頃から決めていた展開でした。というより、本作はあのエンディングを実現させるために書いたといっても過言ではありません。メンバー達が去り行く主人公を連れ戻すという構図は実は『feat.555』でやりたかったものなのですが、やむなく断念しました。なので本作は前作のリベンジと、人間もまたアギトと同じ境地へ往けるという意味合いも込め、千歌のアギトへの変身を盛り込んだ形となりました。原作準拠を謳いながら最後は書き手の色を出す結果となりましたが、私が『サンシャイン』と『アギト』で感じ取ったもの、また『feat.555』で提示されたテーマのアンサーを描き切れたので悔いはありません。
最後にはなりますが、幼い頃に憧れたヒーロー達、大人になって荒みかけた私の心を躍らせてくれたAqoursの物語をこの場で書かせて頂いたことを、大変嬉しく思います。『ラブライブ! サンシャイン‼』と『仮面ライダーアギト』の制作に携わっていただいた皆様と、本作を見届けていただきました読者の皆様、また私の辛い時に支えてくれた家族と友人達に、深く感謝御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
本作を読んでキャラクター達のように強く逞しく生きて、などと上から目線で皆様に求めることは何もございません。青春て良いな、ヒーローって良いな、と思って頂ければ私が本作を書いた意味があるのだと思います。ただ叶うのなら、この長いマラソンのような物語を見事に完走いただけた皆様には、Aqoursのメンバーとライダー達に「頑張ったね」と優しく微笑んでいただければ幸いです。
本作があなたに原作を手に取るきっかけとなり、また輝きをもたらす作品でありますように。
2020年12月7日 hirotani