ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト   作:hirotani

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異説 シャゼリア☆キッス 24.7
第1話 Ready to Go, Count ZERO! シャゼリア☆キッス‼


 

   1

 

「こちら桜、敵は撤退したわ」

 虚空に告げた声はすぐに溶けていくが、彼女たちにしか聞こえない周波の返事が脳裏に響いてくる。

『こちらブルー、皆はもう基地に帰ってきてるよ』

「了解、わたし達もすぐ戻るわ」

『こちらレッド、迎えは必要ですか?』

「大丈夫、みかんもそんなに疲れてないみたいだから」

 ちらりと流される視線に、わたしはいつものようにおどけた笑みで応えてみる。彼女は苦笑し、「それじゃ」とチャンネルを切った。

「本当に大丈夫?」

 と彼女はわたしの顔を覗き込んでくる。「ぜーんぜん」とわたしはとぼけて、凸凹な地面を拙い足取りで歩き出す。

「うわっ」

 地面に横たわっていた「それ」に躓いて転びそうになったけど、すぐそばにいた彼女に支えられ事なきを得た。

「気を付けて、疲れてるんだから」

「うん、ありがとう」

 がらんどうに応えながら、わたしは足を取られた「それ」を見下ろす。機械じみた装甲に覆われた、肘から先だけになった誰かの右腕を。一見すればロボットに見えるし、そうであってほしい。でも切断面から滴るのは潤滑オイルなんかじゃなくて、真っ赤な紛れもない人間の血。随分と乱暴に千切られたみたいで、白い骨が突き出している。

 近くに持ち主がいるかもしれない、と不謹慎にも思ってしまったわたしは辺りを見渡してみるけど、それは無駄な行為でしかなかった。視界を広げてみればわたし達の周りには、ばらばらになった機械や肉片が散らばっているのだから。腕、足、頭と細かくなったものもあれば、上半身や下半身が丸々残っているものもある。五体満足なものは見当たらない。手足が1本だけ欠損したものが、最も状態が良いんじゃないだろうか。

 ちゃんと弔ってあげたい。そんな慈悲を持ったところで、わたしにはここにある数多の死者たちを連れて帰ることさえできない。できたとしても、粗末に焼かれてその辺りの山にでも埋められるのは目に見えている。これから帰る先にとって、この機械仕掛けの装甲を纏った人々は憎むべき敵でしかないからだ。

「ねえ梨子ちゃん」

 センチメンタルな気分に囚われたわたしはうっかり普段の呼び名を言ってしまう。でも当人は特に咎めることなく「何?」と返した。

「わたし達のしてきた事って——」

 途中まで言いかけたところで質問が無駄だった事に気付き、わたしはかぶりを振った。

「ううん、何でもない」

 「千歌ちゃん………」と梨子ちゃんもいつものように呼んだけど、それ以上は何も言わずわたしの肩に手を添えて、

「帰ろう、皆待ってるわ」

「うん………」

 鼻いっぱいに息を吸い込むと、早くも()えた臭気が辺りに漂い始めている。海が近くにあるはずだけど、潮風はこの臭いを洗い流してはくれない。ついさっきまで爆音やら銃声やらで鼓膜が破れそうだった耳を澄ますと、遠くから波の音が聞こえてくる。

 故郷と同じ音に少しだけ気分の安らぎを覚えると、わたしは死体を踏むのも仕方なしに足を急がせる。

 

 

   2

 

――人は、アギトを受け入れるだろう。人間の無限の可能性として――

 

 可能性を信じた神の使徒は、かつて主に宣言した。

 その宣言を受けた神はわたし達人類にしばしの猶予を与え、使徒はその命を光の中へと溶かしていった。人間は手を取り合える、という希望を抱きながら。

 結果として、使徒の祈りが実ることはなかった。それは滑稽なほどあっけなく。希望なんてものは掌に収まるほどちっぽけなもので、簡単に握り潰されてしまうほど脆く儚い。

 アンノウン

 正体不明という名で呼ばれていたその怪物が人類を脅かしていたのは、もう過去の話になりつつある。人間では決して有り得ない超常的な力で人々を殺めてきた怪物たちは、数年前の戦いを最後に人類の前から姿を消した。

 どこから生まれどこへ還るのかも分からずじまいだった怪物たちの目的は何だったのか。あくまで予想でしかないが、否定する者もいない今は確定事項としてわたし達は認識している。

 その活動目的とは、人類から産まれる新しい生命体アギトと、アギトに覚醒する可能性を持った人間を根絶やしにすること。僅かでも力を顕現させた者は赤子だろうが老人だろうが抹殺される。未来に災厄となりえる因子を消し去るために。

 アギトになる可能性を持った人間は、俗にいう超能力を得る。その力を極限まで高めると、人ならざる黄金の角と赤い目を持つ異形への変身を遂げる。

 つまり、アンノウンたちが殺めてきたのは一見すれば無力な人間なのだけど、その裡にはアギトという可能性を持っていた人たち。

 いくら力を持っているとしても、多くがその力を思うように扱えるわけじゃない。異形になったことに戸惑うし、中には人間でなくなった事に絶望してしまう人もいる。アンノウンの存在はある人にとっては悪魔だけど、ある人にとっては運命から解放してくれる天使でもある。

 世間の大半に気付かれることなく繰り広げられた怪物との戦いは、異形になっても絶望しなかったアギトと人間によって終止符を打たれた。その戦いからアンノウンは現れなくなったけど、戦いそのものは終わる事を知らず際限なく血だまりの波を広げ続けている。

 アンノウンという狩る存在がいなくなったことで、世界中でアギトの力を顕現させる人は増えていった。それはもの凄いスピードで、各国政府の対応が追い付かなくなるほどに。

 まず、その経緯について詳しく説明しようと思う。

 最初、確認されたその力はアギトという神話由来の物々しさなんかなくて、昔からあるオカルト話の超能力が実証された程度の認識だった。力のスケール自体、手を使わずに紙切れを浮かせるくらいの、何の役に立つのか分からない程度の力だった。

 でも超能力が実在するという事実が社会に認められてから、世界各地で自ら名乗り出たり、または他人からの告発によって能力を持つ人たちが超能力者と確認されていった。まだ平和に報道がされていた頃、ピークで超能力者は世界人口の1割にも上ったらしい。

 世界中の人々が人類の新しい可能性に歓喜したのは、最初のうちだった。自分達にはまだ無限の可能性が秘められている。超能力について解明できれば、これまで人類が抱えていたエネルギーやら食料やらの難しい問題が一気に解決できるのでは、と。かねてから存在を確認していた日本警察の公表で、超能力者=アギトという認識が世間に広まったのもその頃だ。

 世界中を沸かせた歓喜を冷めさせたのは、ほんの些細な事件だった。とある国で銀行強盗事件が起きて、現場の銀行は行員とお客の全員が、まるで巨人に捻り潰されたかのような凄惨さで殺害された。機動隊によって射殺された実行犯は、たったひとりのアギトの力を顕現させた少年だった。

 この事件は世界中でセンセーショナルに報道され、人々の恐怖を煽ることになる。増え続けるアギトたちの能力は簡単な念力だとか千里眼だとか、最も関心を集めたものでも数秒先の未来を予知する程度の人畜無害な能力ばかりだった。これからアギトの力は進化を遂げていくにしても、それには長い時間を要する。アギトたちの進化に伴い人類も社会設備を順に整えていこう、と考えられていた矢先の出来事だった。

 アギトの存在は、まだ人類には早すぎた。とある政治家だか専門家が、そう述べていた気がする。

 かつて人類を護るために振るわれた力が恐怖の対象になるのに、そう時間は掛からなかった。アンノウンに次ぐ脅威はアギト。裡に植え付けられた人々の恐怖はアギトへの差別意識へと変わり、中にはアギトを対象としたテロ行為まで世界各地で頻発した。かねてから紛争の絶えなかった某国では、アギトと認定された人々を広場に並べ端から順番に頭を撃ち抜き、死体を焼きながら神の御言葉を唱える虐殺が横行したらしい。

 この暴力に、アギトたちも虐げられてばかりではなかった。元が人間を超越した存在なのだ。対抗するかのように強力な能力を得た個体が現れ、やがて異形への変身能力を備えた者までが続々と現れた。当然、その力は自分達を虐げる者たちへの報復に行使された。

 こうなってしまうと、暴力の応酬は際限がない。各地でのアギトによる抵抗がいかに恐ろしいかを報道するのにメディアは躍起になり、力を持たざる人々の反アギトという機運は青天井に昇っていく。

 とうとう政府も重い腰を上げざるを得なくなり、アギトを敵性生物と断定し討伐する法案が各国で次々と可決されていった。アンノウンとの戦いから数年が経ち、警察や軍隊は公然とアギトへ銃を向け発砲している。相手が抵抗しようが無抵抗だろうが、変身できようができなかろうが関係なく。日本でも、かつてアギトと共にアンノウンと戦っていたG3システムを雛型にしたG3-Mildが配備され対処にあたっている。

 もはや、人類にとってアギトは悪魔でしかない。かつて使徒が夢見た生命体の持つ無限の可能性を、人類は自ら根絶やしにすることを選択した。強力な力は混沌をもたらす。力を持たざる者こそ平和であり、清浄とばかりに。

 でも、本当に恐ろしいのはアギトの力だろうか。わたしはこれを読むあなたに問いたい。わたしにとって、人間もアギトも同じだ。どちらも同じくらい弱く、恐ろしい生き物。身近な例を述べよう。とある政治家がいて、その人は反アギトの政策を掲げていた。でもその政治家に能力が顕現しアギト認定されると、すぐさま市中引き回された末に神の子のごとく磔にされたところを腹に槍をひと突きされ、全身の血が流れ切るまで放置された。

 どうだろう。この話を聞いても、人間がか弱く清浄と断言できるだろうか。

 いや、無為な論述はよそう。わたしはここに事実を綴るだけだ。わたしを取り巻く世界と、その世界でわたしが何を感じていたのかを。この手記を読んで今の世界をどう捉えるかは、読み手のあなたに委ねる事にする。

 

 

   3

 

 ぴちゃぴちゃ、という音が、ブーツの底に纏わりつくように鳴っている。まるで何かの舌に舐められているみたいで気持ち悪い。

 わたしは海辺の街で生まれ育ったけど、この水音ばかりはどうしても好きになれない。もう使われなくなった地下水路だけど、たったの数年では水は絶えることなく溜まっていくばかりだ。何より嫌なのは、陽の光もないところで腐った水の悪臭。戦場に漂う饐えた臭いを煮詰めたみたいで、通る度に吐きそうになるのだ。

「あと少しよ」

 梨子ちゃんの言葉を受けたわたしは気力を取り戻し、首に巻いたバンダナを口元に押し上げて歩くペースを速める。灯りも何も無い暗闇の中、梨子ちゃんの背中をただ追いかけていく。梨子ちゃんは唐突に足を止めて、右耳に手を添えた。きっと、テレパシーで「門番さん」に到着したことを伝えているんだ。

 わたし達の通信手段はもっぱらテレパシーだ。アギトに覚醒した人たちの間では結構初歩的な能力で、会得にはそれほど苦労しない。携帯電話とかだと敵に電波を傍受される危険性があるけど、テレパシーは電波なのか解明されていないからこちらを使うようにしている。携帯電話はわざと敵に傍受させる陽動作戦に使用されるのみだ。

 右手のコンクリート壁が崩れ出した。立体パズルみたいにブロックが壁から零れ落ちて、わたし達ふたりが潜れるくらいの空間が開かれる。出来上がったトンネルを進んでどれくらい経っただろう。少なくとも、戦闘後の身体であまり疲労を感じないから長距離ではなさそうだ。出口から僅かだけど光が漏れていて、わたし達はその光に向かって自然と足を速めていく。

「お帰り」

 出口に立つ恰幅のいいおじさんが、わたし達を出迎えてくれる。この人が門番さん。強力な念力の使い手で、大きな岩も軽々と持ち上げてしまう。その腕を買われて、コンクリート壁の破壊と修復を手掛ける門番の役目を務めてもらっている。

 わたし達が穴を潜ると、門番さんは早速壁の修復に取り掛かった。ブロックに分解された瓦礫が瞬く間に元の位置に戻って、境目も接合されていく。壁を壊す程度なら誰でもできるけど、元通りに戻すにはかなり精密な能力が必要とされる。壊すのは割と誰でもできるものだけど、直すとなると門番さんにしかできない技術だ。真新しく仕上げては駄目。元通り、少し汚れて経年劣化の質感を出さないといけない。それはとても神経を擦り減らす作業だそうだ。

 気を散らしてしまうのも悪いから、わたしと梨子ちゃんは光が漏れ出している奥へと進んでいく。

 かつてはショッピングモールとして使用されていたこの地下が、わたし達の帰る拠点。わたし達以外にも多くの人々がここを街や家として暮らし、慎ましやかな生活を営んでいる。ここ以外にも人々が潜っている地下集落(コロニー)は珍しくない。というより、わたし達のようなはぐれ者扱いされた人たちは大抵が地下に潜って、互いに不足した物資を補い合っている。もっとも、他所へ物資の交易に行くにも命懸けになってしまうのだけど。外では四六時中G3-Mildが警備の目を真っ赤に光らせているから。いくら力があるからといっても、流石にミサイルや爆弾を立て続けに浴びせられたらひとたまりもない。ここにいる人たちは普通の人より多少は頑丈だけど、それだけだ。銃で頭や心臓を撃ち抜かれれば当然死んでしまう。

 わたし達の前を、子供たちが元気に笑いながら横切っていく。とても微笑ましい光景なんだけど、ぼろきれのような服にやせっぽちの身体を見るとやるせない気分になる。本当ならこんな息苦しいコンクリートに囲まれた地下じゃなくて、外の高原で思いきり遊ばせてあげたい。でも、それを実行してしまったら人間たちは容赦なくあの子たちを射殺してしまうだろう。あれくらいの子供、まだ能力の片鱗すら見せていないのに。

「あ、来た!」

 広場に着くと、曜ちゃんの声が飛んできた。わたしと梨子ちゃんを囲むように皆が歩いてくる。当然だけど、皆の顔にも煤や疲労の色が張り付いていた。それもそうだよね。満足に戦えなかったわたしでさえ今にも倒れそうなんだから。皆も休みたいはずなのに、わたし達を待ってくれて。

「お帰りなさい」

 そう労ってくれるダイヤちゃんの綺麗な黒髪は乱れ切っている。といっても、髪が乱れているのは皆同じなんだけど。

「怪我はない?」

 と果南ちゃんに訊かれ、わたしと梨子ちゃんは所々破れた服を見下ろす。別に痛いところはない。

「大丈夫、だと思う」

 なんて煮え切らない返事をわたしがすると、皆はくす、と笑みを零した。張り詰めていた気分が緩まると、思い出したように空腹を覚える。

「お腹空いたあ」

 そうごちると、皆は一様に気まずそうに顔を伏せた。「ああ、うん」と曜ちゃんは歯切れが悪そうに、

「ふたりの分も用意して待ってたんだけど………」

 勢いよく、仕切られていた一画のカーテンが開け放たれた。中から出てきたのは、わたし達の中では比較的状態の良いコートを着た長身の青年。

「スープのおかわり、貰えるかな?」

 冷たい声で言い放ち、彼は近くに居たルビィちゃんに空になったお皿を差し出す。「ピギッ」と小さく悲鳴をあげたルビィちゃんを庇うように花丸ちゃんが肩を抱く。

「あんた、それ千歌たちにとっておいた分じゃない」

 そう臆すことなく噛みつく善子ちゃんに続いて果南ちゃんも、

草加(くさか)さん。あなたの食事、わたし達の何日分か分かってるんですか?」

 草加さんは、まさに刃みたいに鋭く冷たい視線を果南ちゃんに向ける。

「俺は君たちの何人分も働いているんだ。食事くらい良いだろ」

 と果南ちゃんの腕にお皿を押し付け、わたし達ひとりひとりへ舐め回すような視線を向ける。

「シャゼリアキッス、ねえ」

 その名前を呟くと、草加さんは「ふっ」と鼻で笑う。

「アイドル気分も大概にしておいたほうがいい。戦場に居るのは観客ではなく敵だ。俺たちも、君らのアイドルごっこに付き合っている暇はない」

 容赦のない言葉に怒りを露わにしたのは、草加さんの胸倉に掴みかかった鞠莉ちゃんだった。

「ごっこ、ですって……!」

「事実だろう。戦場でこれまで、君らの歌を聴いてくれた奴がいたかな? それとも歌う事で、津上翔一が戻ってくるとでも?」

 怒りで震えていた鞠莉ちゃんの手が、徐々にその力を緩めていく。まるでゴミでも払うように鞠莉ちゃんの煤で汚れた手を退けて、草加さんは乱れたコートの襟を正す。

「奴の事は諦めたほうがいい。所詮奴は俺たちを見捨てひとり逃げた男だ」

「違うよ!」

 とわたしは声を荒げた。何も知らない人に、彼の事を好き勝手に言われるのは我慢ならなかった。

「翔一くんは逃げたんじゃ――」

「逃げたんじゃないなら、何なんだ?」

 草加さんの投げた問いに、わたしは口をつぐんでしまう。いくら真実を並べたところで、現にわたし達のもとに彼がいない事実は変わりない。逃げた。それが皆の認識であり、真実なんだ。

 ふう、と草加さんは深く溜め息をつき、

「ま、今更戻ってきたところで戦えるとは思えないけど。津上翔一も、葦原涼も必要ない!」

 地下にいる皆に宣言するかのように、草加さんは声を張り上げる。にやり、と粘っこい笑みを浮かべ、囁くようにわたしの耳元で告げた。

「救世主は、この俺だ」

 耐え切れなくなって、わたしはその場から逃げるように駆け出した。「千歌ちゃん!」と呼ぶ梨子ちゃんの声も無視して、ひたすらにコンクリートの冷えた通路を走っていく。

 ようやく足を止めたのは、月光が射し込む壊れた天窓のある区画だった。外との連絡区画で人間に見つかりやすいから、不用意に近付くことは禁止されている。

 耳を澄まし風で揺れる草の音しかしないことを確認する。外も地下も、今は無人らしい。わたしは月光の下に立ち、割れた天窓の奥に広がる四角く切り取られた夜空を見上げる。今日はよく晴れていて、星がよく見える。いつか、皆で一緒に星を見に行った日の事を思い出した。

 夜空を駆ける流星群に、わたしは輝きが見つかることを願った。わたし達の、輝きを求める日々がこれからも続いていくことを信じて。

 あの頃にあったものは、ことごとくわたし達のもとから離れていった。ラブライブなんて当然戦禍の中で潰れてしまったし、浦の星もなくなってしまった。人間たちの社会では、まだスクールアイドルは残っているのだろうか。

 今のわたしのもとに残っているのは、シャゼリア・キッスと名乗るAqoursの皆。それだけでわたしにとっては大きな支えだけど、ふとした時にどうしようもない寂しさが胸を締め付ける。菜園で土に触れて、いつも食事を作ってくれた彼はいない。あの大きな背中が消えてしまってもう2年が経とうとしているけど、裡にぽっかりと空いた穴のような空虚は埋まる気配がない。

 彼は今、どこで何をしているのだろう。ちゃんとご飯は食べているのかな。あの笑顔は失われていないのかな。

 会いたいよ、翔一くん――

 






 次回予告(千葉さんボイス)

 アギトと人が戦う混沌に満ちた世界ッ!
 その世界で彼女たちは何故、戦う決意をしたのかア!

 次回 シャゼリア☆キッス 24.7
 いま語ろう! 燦々と輝くその軌跡‼
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