ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
翔一君はニートではありません。言うなれば住み込みの家政夫さんです!
1
練習着に着替えて屋上に場所を移し練習。そのはずだったのだが、花丸が曜の操作するPC画面に釘付けになっているせいで始められない。梨子が溜め息をついていることは、花丸の眼中に入っていないことだろう。
「おお! こんなに弘法大師空海の情報が!」
どうやら空海について検索しているらしい。確かに沼津にある
「ここで画面切り替わるからね」
「凄いずらあ」
曜が簡単な操作を説明している。痺れをきらし梨子は告げる。
「もう、これから練習なのに」
「少しくらい良いんじゃない?」と呑気なことを言ったのは翔一だった。何故彼がここにいるのかというと、千歌が家に忘れてきたタオルを届けに来たからだった。ついでに差し入れとしてミカンのはちみつ漬けなんて持ってきて皆で試食する始末だ。
「どうかなルビィちゃん?」
「美味しいです」
薄く輪切りにされたミカンを食べながらルビィが屈託なく笑っている。花丸曰く究極の人見知りのルビィが。この人は本当に打ち解けるのが早いな、と梨子は思った。
ミカンを飲み込んだ千歌が言う。
「それよりランキングどうにかしないとだよね」
「毎年スクールアイドル増えてますから」とルビィが補足する。ランキングで確認できる数だと、全国でスクールアイドルは約5千組。これからも増える可能性があることから、競争率は上がっていくことだろう。全国各地、様々な土地と様々な学校でアイドルが結成されている。
千歌はあちこちを指さしながら、
「しかもこんな何もない場所の地味、アンド地味、アンド地味、なスクールアイドルだし」
梨子はまだ移住して間もないから全てを知っているわけじゃないが、お世辞にも沼津は華やかな土地とは言い難い。観光名所になるのは内浦から臨む富士山と駿河湾くらいだ。でも土地柄なんて関係あるのだろうか。梨子は尋ねる。
「やっぱり目立たなきゃ駄目なの?」
「人気は大切だよ」と曜が言った。「確かに」と翔一も腕を組んで唸る。この人はちゃんと理解しているの、と思ったが敢えて言及しないでおく。翔一と同じように千歌も腕を組み、
「何か目立つことか………」
すぐに名案が浮かぶわけじゃない。梨子は取り敢えず思い浮かんだことを何気なく投げかける。
「例えば、名前をもっともっと奇抜なのに付け直してみるとか?」
すると千歌は不敵に笑って、
「奇抜って、スリーマーメイド? あ、ファイブだ」
しまった、と後悔後に立たず。ルビィが「ファイブマーメイド………」と目を輝かせている。その路線で行くなら人魚のように脚にヒレを付けてプールでシンクロナイズドスイミングのように踊るということか。いや、考えては駄目だ。そもそも梨子が提案したとき却下されたはずなのに。
「何で蒸し返すの⁉」
噛みつくように言うと「良いねえ、それ!」と翔一も便乗してきた。
「良くないです!」
「て、その脚じゃ踊れない」と千歌が思い至ると今度はルビィが、
「じゃあ、皆の応援があれば脚になっちゃう、とか」
「おお、何か良いその設定!」と千歌が言う。まさに話に尾ひれがついてきた。かと思えば今度は曜が目を細め、
「でも代わりに声が無くなるという………」
「ダメじゃん!」と喚く千歌の胸倉を掴んで「だからその名前は忘れて、って言ってるでしょ」と揺さぶる。その頭からマーメイドという単語を弾き出そうとばかりに。後輩ふたりと翔一の前でなんてことを暴露してくれるのか。
翔一は言う。
「悲しい話だよねえ、人魚姫ってさ」
「でも」と曜が補足する。
「人魚姫は泡になっちゃうんですけど、その後は風の精に生まれ変わるんですよ」
それは初めて知った。「曜ちゃん詳しいね」と翔一が感心すると曜は照れ臭そうに笑う。
「千歌ちゃんのお父さんが聞かせてくれたんです」
今日こそは学校へ行こう。
善子がいきり立って家を出たは良いが、そう簡単にいくものじゃない。いざ登校となると足がすくみ、駅前のゲームセンターで気分転換という名目で油を売っているうち、ようやく浦の星女学院の門を潜ったのは放課後になってしまった。
放課後になっても部活や委員会で校内に生徒はいる。この期に及んでまだ知り合いと遭遇したくない善子は屋上へ向かった。屋上で適当に時間を潰して、全生徒が帰ったあたりを見計らって自分も帰ろう。
学校で屋上は唯一誰もいない場所というのが定番と思っていたのだが、浦の星は例外だったらしい。
「何でこんなところに先客が………」
ドアの陰に隠れながら独りごちる。鍵が施錠されていない時点でおかしいとは思ったのだが。一体どこの部だろうか。何やら談笑していて練習はまだ始まっていないらしい。善子の存在に気付いたのか、談笑している集団のひとりがこちらを向いた。
「ずら丸⁉」
思わず声をあげてしまい、咄嗟に覗かせた身を隠す。善子へと向いたのは間違いなく国木田花丸だった。幼稚園が一緒だった、この浦の星では唯一の顔見知り。何とも間が悪い。善子はそそくさと校舎へ潜り込んだ。
いきなり屋上から堕天してしまった。
屋上以外で人のいない場所として善子が選んだ、というより選ばざるを得なかったのは廊下にあるロッカーだった。狭いが身を屈めれば入れないこともない。まるでかくれんぼでもしているみたいだ。ある意味で当たっているかもしれない。
これじゃ何のために登校してきたのか分からない。中学時代の醜態を知る者がいない、沼津市街から離れた浦の星を受験してせっかく入学したというのに。
不意にロッカーの戸が開かれる。中を覗き込んできた花丸が悪戯っぽく笑っている。
「学校来たずらか?」
咄嗟に飛び出し、善子はしどろもどろに口を動かす。
「き、来たっていうか、たまたま近くを通りかかったから寄ってみたっていうか………」
「たまたま?」
家から散歩して通りかかるような距離でもないだろう、という指摘をされる前に「どうでもいいでしょそんなこと!」とまくし立てる。
「それよりクラスの皆は何て言ってる?」
「え?」
「わたしのことよ! 変な子だねえ、とか。ヨハネって何、とか。リトルデーモンだって、ぷふ、とか!」
「……はあ」と花丸は気のない返事をする。
「そのリアクション、やっぱり噂になってるのね。そうよね、あんな変なこと言ったんだもん。終わった、
善子はロッカーに戻った。戸を閉めると闇が包み込んでくれる。このまま闇に溶けてしまおう。そんなことを考えるも、戸を挟んで聞こえる花丸の声が否応にも現実を認識させる。
「それ生きるか死ぬか、って意味だと思うずら。というか、それも気にしてないよ」
「でしょう………、え?」
花丸の微笑が聞こえた。
「それより、皆どうして来ないんだろうとか、悪いことしちゃったのかな、って心配してて」
「………本当?」
「うん」
戸を僅かに開き、花丸をじっと見つめる。
「本当ね? 天界堕天条例に誓って嘘じゃないわよね?」
その条例は何、と訊きたげだったが、花丸は追求せず「ずら」と首肯する。
「よし!」と善子は戸を勢いよく開け放った。驚いた花丸が尻もちをつくが構わず、
「まだいける、まだやり直せる! 今から普通の生徒でいければ!」
自分の高校生活はまだ希望がある。友達を作って仲良く談笑して、素敵な彼氏を作って甘いデートを――後者ほどの贅沢は望まないとして。
「ずら丸」と善子は未だ立ち上がれない花丸に顔を近付ける。怯えながら「な、何ずら?」と声をあげる花丸に更に詰め寄り、
「ヨハネたってのお願いがあるの」
生徒の同居人とはいえ、翔一は学校にとっては部外者になる。でも学校の教員たちは何度も千歌の忘れ物を届けに訪れる青年に対しては寛容で、廊下ですれ違うと「あら翔一君、こんにちは」と挨拶を交わすほどだ。
「学校かあ、何だか良いよね」
千歌が玄関まで見送る道中、初めて来たわけでもない校舎を物珍しそうに眺めながら翔一が言う。そもそも翔一だって学生時代はあったはずだ。本人が思い出せないだけで。
「調理師学校もこんな感じかな?」
「それは分からないけど、もしかして志満姉の言ったこと気にしてる?」
千歌が訊くと翔一は「うーん」と首を傾げる。
「志満さん、俺が家にいるの迷惑なのかな?」
「そんなことないよ。志満姉も美渡姉も翔一くんのこと大好きだよ」
志満が言ったように、高海家の家事は全て翔一に一任している。十千万の仕事がある志満としては大助かりだ。翔一の考案した新作料理が宿泊客の夕飯として採用されたことだってある。もはや高海家にとってかけがえのない家族の一員だ。家族と思えるからこそ、翔一の将来を案じて志満は専門学校の資料を取り寄せたのだろう。
「でもさ、志満姉の言いたいことも分かるかな。ほら翔一くん言ってたでしょ。皆の居場所を守るために戦いたい、って。それって人のためだよね。何か自分のための夢とかないの?」
「夢?」
まるで考えたことがない、というような口ぶりだった。裏表のない翔一のことだから、志満に言ったことも本心だろう。記憶が戻っても戻らなくてもいい。ただ日々を高海家で過ごせれば。
とはいっても否が応でも身の回りに変化が訪れるのが人生だ。できれば千歌もあまり考えたくはないが、翔一が高海家から離れる日が来るだろう。
「毎日毎日記憶喪失になりたいかな」
不意に翔一はわくわく、といった調子で言う。「ええ?」と千歌は困惑を漏らした。
「毎日記憶喪失になりたい、ってどういうこと?」
「例えば朝目が覚めるじゃない。で、昨日のこと何も覚えてなければさ、見るもの全てがすごい新鮮なわけよ。そんな風に毎日生きていけたら良いなあ、って」
「何それ、わけわかんないよ」と千歌は言う。翔一にとっては毎日が発見に満ち溢れた日々かもしれない。でも、それは千歌と今まで築き上げてきたもの全てがリセットされるということ。そんなのは寂しすぎる。
玄関に着いて翔一が靴を履き替えているとき、ふと千歌は気付いた。玄関先に停まっているバン――きっと学校に掃除用具を貸し出している業者だ――に荷物を積んでいた女性の視線に。千歌が駆け寄って声をかけるまで、その女性は翔一をずっと凝視していた。
「あの、翔一くんに何か用ですか?」
「あ……、何でもないの」と女性はしどろもどろに笑顔を繕う。
「どこかで会ったような気がしたものだから」
「翔一くんに?」
「翔一くん、ていうんだ」
「はい、津上翔一くんです」
女性はじ、っと翔一を見つめるとまたぎこちなく笑みを零し、
「ごめんね。多分私の勘違いだわ」
荷物をそそくさと車内に納めて、女性は運転席へ乗り込もうとドアを開ける。「あ、ちょっと待ってください」と千歌は呼び止めてポケットからスマートフォンを取り出す。
「千歌ちゃん、どうしたの?」と翔一が訊いた。「決まってるでしょ」と千歌は答える。
「何か思い出したら連絡してもらうの。もしかしたら翔一くんの過去知ってるかもしれないし」
2
事はその日のうちに動いていた。
翔一は帰宅してすぐ畑で実り始めたキャベツを収穫していた。そこへ翔一に、学校で千歌と連絡先を交換した女性から電話が来たという。
夕飯の食卓で電話を対応した美渡から顛末を聞くと、志満は「そう」と感慨深そうに応える。千歌は翔一がいつも座っている席を眺める。今日の夕飯に翔一はいない。畑で物思いにふけっているようだ。
「じゃあ翔一君の過去を知っていそうな人が現れたってことね」
志満にとっては願ってもないことだろう。過去を知れば、翔一の将来を考えるヒントになるかもしれない。
美渡が期待を込めた口調で言う。
「その人に聞けば、翔一の正体が分かるってことね」
まるで珍獣みたいに、と思ったが的を射ているかもしれない。その三浦という女性に会えば分かるかもしれない。
翔一がどこで生まれ育ち何をしていたのか。
翔一がいつどこで金色の戦士に変身する力を得たのか。
翔一が戦う怪物は一体何なのか。
事は進むのが早く、翔一が三浦と会う約束をしたのは明日の午後1時、沼津港近くの千本浜公園だ。夜が明けたら全てが分かるかもしれない。
「にしても――」と美渡は視線を落とし、
「夕飯のおかずがキャベツの千切りだけって………」
今日の夕飯は白米とインスタントの味噌汁とキャベツの千切りのみ。何かの付け合わせに使うつもりだったのか、冷蔵庫にあったものを更に持ってドレッシングをかけただけ。物足りないが、お客用に用意した料理に手を出すわけにもいかない。そう自身を納得させて千歌は言った。
「仕方ないよ。翔一くん作る気ない、って言うんだから」
千歌は裏庭のほうを見やる。翔一にかけるべき言葉が見つからない。きっと大丈夫、心配することない。そんな上辺だけの言葉を並べたところで、全ては明日になってしまえば明らかになるかもしれない。きっと翔一にとって良いほうへ働くはずだと思いながらも、千歌は願わずにはいられない。
どうか三浦の勘違いであってほしい、と。
細く切られたキャベツを眺めながら、志満がぽつりと呟いた。
「翔一君も、自分の過去を知るのが怖いのかもね」
3
花丸の言った通り、誰も善子の失態は気にも留めていないようだった。学校の門を潜った善子をクラスメイト達が視線を送ってくるが、善子が慎ましやかなに微笑して「おはよう」と挨拶すれば「おはよう」と返してくれる。
こんなことならもっと早く復学しておけばよかった。下手に口を開かなければぼろが出ることはない。
朝のホームルームが終わるとクラスメイト達が一斉に善子の席へと集まってくる。
「雰囲気変わってたからびっくりしちゃった」
「皆で話してたんだよ。どうして休んでるんだろう、って」
口々に述べられるクラスメイト達の声から歓迎されていると確信し、善子は「ごめんね」と微笑む。
「でも今日からちゃんと来るから、よろしく」
「こちらこそだよ」という反応から、このキャラクターで好感触らしい。いける、と善子は机の下で見えないよう拳を握った。今はぎこちなくても時間を経ていけば慣れる。そうすれば自然とクラスメイト達に普通の女子高生として認識されるはずだ。
「津島さんて、名前なんだっけ?」
申し訳なさそうに尋ねられた質問に善子は肩を微かに震わせる。
「確か、よ……よは――」
「善子!」と遮る。口調が思わず強くなってしまい、クラスメイト達が少しばかり驚いた。
「わたしは津島善子だよ」
「そうだよね」と皆が笑った。笑いながら善子はこちらを遠巻きに眺める花丸をちらり、と一瞥する。大丈夫、花丸がついている。昨日頼んだのだから。
気が緩むと堕天使が顔を出す。だから危なくなったら止めてほしい、と。
それにしても、普通の女子高生は疲れる。ただ笑って会話するだけでも冷や汗が滲む。
「津島さんて趣味とかないの?」
何気なく質問される。仲を深めるのなら利かれて当然なのだが、自分の趣味を隠さなければならない善子は「と、特に何も……」とおずおず応える。いや、とすぐに思い直した。これは上手くクラスに溶け込む絶好のチャンスじゃないか。ここで好感度を上げられれば、友達に恵まれた高校生活が決まったようなものだ。
「う、占いをちょっと………」
善子が言うと「へえ」という期待に満ちた声が沸いた。皆占いには大なり小なり興味があるらしい。
「本当? わたし占ってくれる?」
「わたしもわたしも!」
口々に希望されて「もちろん」と応じる。
「今占ってあげるわね」
「やった!」という小規模な歓声に包まれながら、善子は鞄から必要な小道具を取り出す。魔法陣の描かれたマルチクロスを床に敷いて黒のローブを身に纏い、更に黒い羽をシニヨンに挿す。その出で立ちにクラスメイト達は目を丸くしたまま沈黙しているのだが、気付かない善子は燭台に立てた蝋燭にマッチで火を点けて占い、もとい儀式を開始する。
「天界と魔界に蔓延るあまねく聖霊。煉獄に落ちたる眷属たちに告げます。ルシファー、アスモデウスの洗礼者、堕天使ヨハネと共に――」
そして善子は大きく両腕を広げ、
「堕天の時が来たのです!」
宣言の後に沈黙が教室を満たす。クラスメイト達の怯えた表情を見て、ようやく善子は冷静になることができた。
――やってしまった――
4
北條と入れ替わりに部下として配属された誠に、河野は昼食をご馳走してくれた。訪れたのは沼津駅近くに軒を落ち着けるラーメン屋台で、誠にとって見るのは初めての移動式店舗だった。数十年前はリアカーもしくは軽トラックでラーメンを売り歩く光景は多かったらしいが、現代ではもう姿を見ることが殆どない。九州地方ではまだ営業している屋台も多いそうだが、それはラーメンが名物の現地が保護する観光名所みたいなもので、自治体が条例を整備したおかげで成り立っている。
すっかり常連なのか、河野は挨拶のように「おやじ、醤油ふたつ」と店主に告げると誠を背もたれもない粗末な椅子に促す。屋台のカウンタースペースは詰めても3人が限界で、すぐ目の前の厨房スペースも鍋や食器類が所狭しと並んでいる。こういう店はラーメンがどういう工程で調理されるかが間近で見ることができた。
「なあ、これ以上聞き込みを続けても無駄なんじゃないか?」
ラーメンを待っている間、河野が言う。
「アンノウンによる被害者たちが超能力者だったというお前の説は、まあ俺としては面白いと思うんだが」
捜査一課に配属されてからも、さしあたり誠の捜査内容はあまり変わっていない。アンノウンに殺害された被害者たちが超能力者だったという証明。被害者遺族を訪ね、河野と共に根拠を探っている。被害者は生前、不思議な力を使うことはなかったのか、と。こんな奇天烈な推理に付き合わせてしまって河野には申し訳ないと思うが、何もしないわけにはいかない。アンノウンの謎を探る根拠としては、今のところ超能力の存在しかない。
「もう少し頑張ってみます」
誠が言うと、河野は特に否定を口にすることなく飄々と頷く。そこへ「へいお待ち」と店主が目の前にラーメンの丼を置いた。「おお来た来た」と頬を綻ばせながら河野が誠に割り箸を手渡す。「どうも」と箸を割って麺を啜ると、醤油味の奥からエビの香りが鼻から抜けていく。海鮮出汁のスープとは港町の沼津らしいラーメンだ。
「北條のやつはひとり屋でな。こういう店には付き合わなかったが、お前はどうだ?」
「美味しいです」
「そうか」と河野は嬉しそうに笑った。こういう外で食べるラーメンもなかなか風情がある。味も申し分ない。
河野のスマートフォンが着信音を鳴らす。「はいもしもし河野ですが」と食事を中断して応答した河野は「何? 分かった」と通話を切り誠へ告げる。
「殺しだ」