ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
1
「涼、学校から電話が来たぞ。同級生の子を殴ったんだってな」
父からそう尋ねられたのは、涼の中学卒業が近付いた頃のある食卓だった。料理があまり得意でない父を気遣い、漁師仲間や隣人から貰った料理を食べる、いつもの食事風景だった。
「危うく高校の合格が取り消されるところだったんだぞ」
「どうでもいい、そんなの」
こんな会話はすっかり慣れたものだった。幼い頃から涼は怒りを抑えつけるのが苦手で、衝動的に他者に向かって暴力を振るうことがよくあった。でも、それは理由のない暴力じゃない。涼にとっては正義の拳だった。
いつだって涼は他人のため、特に父のために拳を振るってきた。この日のことだってそうだ。同級生が「君の父親はなけなしの金を積んで合格させたんだよ。自分に学が無いからコンプレックスを子供に押し付けたんだ」と口走ったから殴った。その同級生は偏差値の高い名門校を受験したが不合格で、滑り止めで受験した涼と同じ高校に入学する予定だった。
許せなかった。たったひとりで涼を育ててくれた父を侮辱されたことが。傍から見れば父子家庭とは恵まれないのかもしれない。再婚して息子に母の温もりを与えない父は良い父親ではないのかもしれない。でも涼は母がいなくても父がいてくれればそれで十分だ。本人を前にして、決してそんなことは言わなかったが。
「世の中、海のように優しくて単純じゃない。陸での歩き方を知らないと苦労するぞ」
「俺は漁師になるんだ。別に知らなくたっていい」
「まあ、お前が良いならそれで良いがな」
お前が良いなら良い。それは父の口癖のようなものだった。涼が投げやりに何かを口走っても、父は否定しなかった。そう、父はいつだって涼の意思を尊重してくれた。放任とも取れるが、子供に自分の理想を押し付けてあれこれと要求することが良い親というわけではない。父は涼をひとりの人間として認め、見守ってくれている。そんな父からの視線を涼は常に感じながら成長してきた。
だから、その日に父から言われたことは涼にとって忘れることができない。
「涼、高校に入ったら水泳部に入れ」
父が何を言っているのか分からなかった。今まで涼に何も要求してこなかった父が、初めて要求してきた。
「お前は海での泳ぎ方しか知らない。プールの泳ぎ方を知って、そこから陸の歩き方を知れ」
「何でだよ? さっきお前が良いならそれで良い、って言っただろ」
苛立ちながら涼が尋ねると、父は溜め息交じりに苦笑した。
「もう、そんな単純な世の中じゃない、ってことだ」
そう言うと父は食卓から立ち、仏壇の前に座って手を合わせた。仏壇では若くして亡くなった母が遺影の中で微笑んでいた。
「お前をしっかり育てないと、母さんに顔向けできないからなあ」
父は涼を見守ってくれていた。それは確信をもって言える。だからこそ涼は疑問を覚えずにはいられない。何故父が、涼を置いて死んでいったのか。
何故あかつき号事件が、父を死へと至らしめたのか。
2
そこは伊豆市の、どこにでもある風景の住宅街だった。スマートフォンのマップアプリの案内に従い、涼は家々の立ち並ぶ路地を1歩ずつ確かめながら進んでいく。
目的地の近くまで辿り着いたのか、アプリの案内が終わる。周囲にある玄関先の表札を見比べ、その中から「篠原」と彫られた表札を見つけ出す。インターホンへ指を伸ばしたとき、玄関のドアが開いた。若い女性が大振りのバッグを手に出てくる。女性は涼に気付くなりいかにも迷惑そうな視線をくべ、
「あら、うちに何か用かしら?」
「篠原佐恵子さんですか?」
「何かの勧誘とかなら興味ないわよ」
露骨に迷惑と告げられているのが分かるが、生憎拒絶されることには慣れてしまっている。
「いえ、自分は葦原涼という者ですが、実は――」
言い切る前に女性はつかつかと路地を歩き始め、
「あなたがどこの誰でどんな話があるのかは興味ないの。ごめんね急いでるから」
確かに急いでいるようで、女性は足早に歩いていった。
内浦からバイクを走らせて30分程度で到着した住宅街は、あまり地元との差異を感じない空気が流れている。翔一が道中に買い物に行きたいとか言い出したが、何とか強引に誘導して辿り着くことができた。
バイクを適当な路肩に停めて歩き始めると、翔一は辺りをきょろきょろと見渡している。千歌も住宅街に視線を巡らせてみると、不思議だな、という感慨が沸いた。三浦のときもそうだったのだが、ずっと謎だった翔一の過去が案外近くにあるかもしれないなんて。
「あ、ここだ」
千歌が指さした家の表札に「篠原」という文字が彫られている。でも翔一は苦い顔をして、
「違う篠原さんじゃないかな? ほら、他の家とかも見て――」
「もう、早く行くよ。せっかく氷川さん教えてくれたんだから」
強引に翔一の手を引いて玄関先に立ち、インターホンを押す。住人はすぐに出てきた。口まわりの髭が整えられた、眼鏡を掛けた男性だった。篠原佐恵子、ではないようだ。
「はじめまして、高海千歌です」
千歌が挨拶をすると隣の翔一もそれに倣い、
「津上翔一です」
すると男性は「ああ」と穏やかに笑みを浮かべた。
「篠原佐恵子の兄の
「どうぞ」と促され、千歌と翔一は家に上がった。
「妹はちょっと出掛けてるんですが、夕方までには帰るでしょう。大体の事情は刑事さんから聞きましたが、いや驚きましたよ。記憶喪失の人に会うのは初めてです」
「いやあ、普通ですけど」と翔一は照れ臭そうに笑う。照れるところなのかな、と思いながらも千歌は尋ねる。
「それで、妹さん何か言ってませんでしたか? 翔一くんのこと」
「それが……」と数樹は言葉を詰まらせ、思い出したように手で千歌たちを客間のソファへと促す。腰を落ち着かせると数樹は言った。
「実は佐恵子にはまだ何も言ってないんです。少し気難しいところがありましてね。むしろ突然会ったほうが良いように思って」
どうやら訳ありらしい、と漠然とだが察した。でも、訳ありのほうが翔一との関係に現実味を帯びてくる。
「あれ、何ですかそれ?」
翔一が棚を指さした。棚には茶色の食器らしきものが並んでいる。単なる食器棚ではなさそうだ。どれもひびが入ったり割れていたりで、実用性はまったくない。「土器の類ですよ」と数樹は言った。
「妹が近くの湖から引き揚げたものです」
近くに寄ってまじまじと土器を眺める翔一は「凄いですねえ」と感慨深げに漏らす。自分が生まれるずっと昔の時代に使われていた品物。男性はそういったものにロマンを感じるらしいが、千歌には良さがあまり分からない。何せ昔なんて想像ができないから。千歌は尋ねる。
「佐恵子さんて考古学者なんですか?」
「いや」と数樹はかぶりを振り、
「私が考古学に携わってる影響でね。素人学者ってやつですよ」
「ちょっと触っても良いですか?」と翔一が少年のように期待を込めた声色で尋ねる。貴重な品々だと思うのだが、数樹は嫌な顔せず「どうぞ」と応じてくれる。
「お茶を淹れてきます。こんなもので良かったらいくらでも見てください」
そう言って数樹は客間の隣にあるキッチンへと向かう。わくわく、という様子で翔一は下半分が割れた壺を手に取った。あらゆる角度から、翔一は古代に使われた壺を見つめる。
唐突に、翔一の眼差しが変わった。「どうしたの?」と千歌が尋ねると「え、ああ……、うん、ちょっと………」とはぐらかされた。
3
涼がバイクを走らせた時間帯はまだ太陽が出ていたのだが、そこに着く頃には雲に隠れて地上全体に影が落ちている。湖の湖面は空と同じ灰色を映していて、底の見えない澱みは何かが潜んでいそうな恐怖を覚える。湖ならば潜んでいるのはネッシーだろうか。
佐恵子は車を湖畔に停めると、ウェットスーツに着替えて足にフィンを装着し、更に酸素ボンベを背負ってダイビングを始めた。長時間水中に潜ることができる、ライセンスが必要なダイビングだった。
一旦潜るとしばらくは上がってこない。もしかして溺れて湖底へ沈んでしまったのでは、と思ったところで上がってきて、その手には何かの破片のようなものを握っている。それを車のそばに置くと、再び潜っていく。
彼女の様子を、涼は離れたところから1歩も動くことなく眺めていた。隠れているわけではないから、佐恵子の側からも目を凝らせば涼を見つけることができる。でも、佐恵子は涼の存在にまったく気付くことなく、湖畔と湖の往復を繰り返した。まるで湖から拾ってきた破片以外など眼中にないように。
そう、佐恵子は湖以外何も見聞きできないように思えた。湖までの道中も、涼はずっと佐恵子の車を追ってバイクを走らせた。かなり杜撰な尾行にも関わらず、佐恵子は振り切る素振りも見せず真っ直ぐに湖へと向かっていた。バイクの運転手が先ほど自分を訪ねてきた男と気付いていないのか、それとも後続する涼のXR250など見えていなかったのか。
太陽が西に傾いた頃になって、佐恵子はダイビングを終わらせた。服を着替えて荷物を車のトランクに収めるまでの作業は手際よく、彼女が何度もこの湖に通い詰めているのが分かる。車のエンジン音が甲高く響いたが、車体は全身せず留まっている。ギアの入れ忘れかと思ったのだが、見れば車の後輪が空振りしている。浜の地面が柔らかくタイヤが沈んでしまったらしい。涼は駆け出した。佐恵子は何度もエンジンを吹かして無理矢理にでも前進を試みるが、タイヤの回転はただ砂を巻き上げるだけだ。
車のもとへ近付くと、涼は車体を後ろから押す。バックミラーに映ったのか、それとも後方からの力を感じ取ったのか、佐恵子は窓から顔を出してこちらを一瞥する。何か言ってくるものかと思ったが、佐恵子は無言のまま顔を引っ込めエンジンを吹かす。涼はそれに合わせて車体を思い切り押した。タイヤが自ら作った
「名前、何て言ったっけ?」
「葦原涼といいます」
「話がある、って言ったわね。良いわ。借りは返さないとね」
もうすぐ陽が暮れようとしているのに、その女性は庭のベンチに腰掛けたまま宙を見つめている。力なくベンチに垂れた手元には毛色の玉があって、編み物をしていたようだが作業は全く捗っていないらしい。少なくとも誠が監視を始めてから、彼女がかぎ針を持つところを見ていない。ずっと空虚を見つめていて、今から夕飯の準備をする気配もない。
彼女の護衛に就いているのは誠ひとりだけだ。そもそも護衛の通達なんてされていないし、彼女自身にも護衛が就くことを伝えていない。彼女は不可能犯罪の被害者遺族でありながら、護衛対象からは外されている。アンノウンは血縁者を狙うから、いくら身内とはいえ血縁上は他人である配偶者は狙わない。捜査本部はそう判断したが、誠には引っ掛かるものがあった。刑事の勘、と言ったら北條は笑うだろうか。それでも気掛かりならば様子を見るに越したことはない。もし誠の勘が的中していれば、いや、できれば外れてほしいところだ。
だが幸か不幸か、誠の勘は的中してしまう。暗くなりつつある視界の隅で、間もなく訪れる闇に潜もうと異形の存在は動き出す。
「危ない!」
誠は咄嗟に叫んだ。それに反応した女性は誠の方を向いて、続けてアンノウンの足音を聞き取りそちらへと顔を向ける。馬のような顔をした黒い体躯のアンノウンはゆっくりと歩を進めた。誠は家の柵を飛び越え、恐怖のあまり動けずにいる女性の肩を抱く。
「警察です、逃げてください! 早く!」
4
家に着く頃になると、陽がすっかり暮れてしまった。佐恵子が玄関のドアを開けると、中から穏やかな男の声が聞こえてくる。
「遅かったな、お客さんだぞ」
夫だろうか。そんなことを考えていると、「こっちもね」と応じた佐恵子は振り向いて入って、と視線で促してくる。玄関へと脚を踏み入れ、涼は中で佐恵子の帰りを迎える男性に「お邪魔します」と礼をする。男性は戸惑い気味ながら、笑みを浮かべて礼を返してくれた。
「さっき湖で車が砂にはまっちゃってね。彼が助けてくれたの。葦原涼さんよ」
佐恵子がそう説明してくれると、男性は親しみを込めて「そうですか」と笑った。
「いやあ妹がお世話になりました。兄の数樹です。どうぞ上がってください」
夫じゃなくて兄だったのか。ほんのささやかな驚きを裡に留め、涼は家に上がる。客間に通されると先客がいた。学校の制服を着た、高校生くらいの少女だった。客間には彼女しかいないのだが、テーブルには3人分のお茶と茶菓子のパウンドケーキが置かれている。
「彼は?」
数樹が尋ねると、少女は罰が悪そうに「すみません」と、
「翔一くん急用で………」
女性を連れてアンノウンから逃走するのは困難を極めた。女性は妊娠していて、胎児を抱えた腹は大きく膨らんでいる。あまり走らせては胎児に影響が出かねないから、遠くへ逃げるよりもアンノウンから身を隠せる場所を近間で見つけなければならない。
「こっちへ」
工業地帯へ入ったのだろうか、コンクリート製の大きな建物が軒を連ねている。その一角へ女性を促し、「逃げなさい」と走らせる。建物の陰に身を隠したのだが、アンノウンは匂いでも嗅ぎ取ったのか工場の敷地へと入ってくる。
懐から拳銃を出し、誠はトリガーを引いた。当然、弾丸は目標の寸前で静止し砕け散る。それでも誠はトリガーを引き続ける。効かなくても、アンノウンの注意をこちらへ引けば女性が逃げ切るまでの時間稼ぎになるはずだ。狙い通り、アンノウンの目がこちらへと向けられる。誠は女性とは逆方向へと走り出し、自らを餌としてアンノウンを誘い込む。
建物の裏手へと回ったところで、ぶるぶる、という不気味な吐息が聞こえた。まさか、と思い振り返ると、まるで物理法則なんて無視できるかのようにアンノウンが足音も立てずそこにいる。トリガーを引くとかち、という音が虚しく響いた。弾切れだ。もっとも、弾がこもっていたところで有効打にはならないが。
誠は銃身を振り下ろし、アンノウンの馬面へ叩きつけようとした。だがアンノウンは容易く誠の手首を捻り、脇腹を強かに蹴り上げる。地面に身を投げ出しながら、誠は手加減されていると分かった。G3システムを装着しても敵わないのだから、生身なんて1発の攻撃で即死してもおかしくない。
アンノウンが誠との距離を詰めようと足を踏み出したとき、その肩が穿たれる。誠はアンノウンとほぼ同時に、弾丸が飛んできた方を向いた。牽制とはいえアンノウンに命中させるだけの威力を持ったGM-01。それを扱うことのできるG3が、暗闇のなかオレンジ色のセンサーアイを煌かせている。
確かG3ユニットは装着員選考のために活動停止状態にあるはずだ。装着員が早く決まったのか。
G3はゆっくりと足を進めながらGM-01を発砲する。発射された弾丸は全てアンノウンに吸い込まれるように命中していく。あの精密な射撃は北條か。
G3が肉迫して近接戦へ持ち込もうとしたところで、弾丸に怯んでいたはずのアンノウンが待っていたかのようにGM-01を払い落とした。焦る素振りを見せずG3は蹴りを脇腹へ入れるが、アンノウンは腕で防御し反撃の拳を浴びせる。馬面のアンノウンは筋力自慢らしく、G3の体が容易く突き倒された。立ち上がろうとするG3を、アンノウンは容赦せず蹴り伏せる。それでもG3は敵の腹に蹴りを入れて離し、素早く立ち上がって拳を打ち付ける。だがまったく効いていない。反対にアンノウンの拳はG3の胸部装甲に火花を散らしていく。1発1発が強烈で、火花が飛ぶ度にG3の装甲がひしゃげていくのが見えた。
アンノウンの拳がG3の腹を打ち抜いた。金属の鎧を纏った体が宙を舞い、工場の廃棄物が積まれた鉄屑の山に身を伏す。
「北條さん!」
誠が叫ぶも、G3はまるで鉄屑の仲間入りを果たしたかのように沈黙している。誠がまだ痛みで軋む脇腹を抑えながら立ち上がると、アンノウンがこちらへ向いた。
だが、その視線はすぐに横へと移る。同じ方向を見やると、その先には金色の鎧を纏った戦士が立っている。その姿を捉えたアンノウンが、呻きとは異なる声を発した。
「アギト………」
アギトは駆け出し、アンノウンの顔面に拳を見舞う。アンノウンは反撃の拳を突き出すが、手で払われてまた顔面に1発食らう。アギトなら、この窮地を救ってくれるかもしれない。アンノウンは鉄屑の山へ跳躍した。逃すまいとアギトも足場の悪い鉄へと跳ぶ。着地と同時に、アギトの右足が沈んだ。足を取られたか。そう誠が思ったとき、アギトの体が投げ飛ばされ、同時に鉄屑から別個体のアンノウンが姿を現す。
もう1体いたのか。
新しく現れた個体も馬のような姿だが、こちらの体には縞模様がある。まるでシマウマのようだ。流石のアギトも2体の敵を相手取るのは分が悪いらしい。黒馬がアギトを背後から羽交い絞めにして、シマウマががら空きの腹に拳を打ち付ける。効いたのかアギトは呻くも、黒馬の腹に肘打ちを浴びせて拘束から逃れた。それでも形成逆転とはいかず、シマウマに背中を殴られてバランスを崩し、鉄屑から転がり落ちる。すかさずシマウマはアギトの傍へと降り立ち、立ち上がろうとしたその腹を踏み付ける。
誠の視界に、先ほどG3が取りこぼしたGM-01が入った。咄嗟に銃身を掴み、照準をシマウマに合わせる。トリガーを引いた瞬間、誠の体が大きく仰け反った。遅れて腕全体に傷みが走る。G3システムの装着を前提として設計された装備なだけに、反動はかなりのものだ。照準も大きくずれて鉄屑の一部を吹き飛ばしている。
痛みを堪え、誠は再びGM-01を構えてトリガーを引いた。痛みが来る前に、反動で照準がずれないよう腕にしっかりと力を込めて2発目と3発目のトリガーを引く。今度は全弾命中した。アンノウンの注意がこちらへ逸れる。更に4発目と5発目。そして6発目でとうとう腕に限界が来た。力が緩んだせいで反動が体を走り、受け身も取れず地面に倒れる。
右腕に力が入らない。痙攣で小刻みに震え、その感覚すらも曖昧になっていく。負傷がどれ程のものか判断がつかない。思考が痛覚という危険信号に覆われていき、やがて遠のいていく。
状況はどうなった。
アギトはアンノウンを撃破できたのか。
なけなしに浮かべた問いも、すぐに意識と共に暗闇のなかへと沈んでいった。