ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト   作:hirotani

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第4話

   1

 

「これがどうしたっていうんです?」

 Gトレーラーのカーゴで、誠から受け取った空の瓶を眺めながら尾室が訊いてくる。この空瓶は今朝発見された被害者の住んでいたアパートから、誠が回収してきたものだ。結論から述べれば、被害者はごくありふれた独身男性だった。六畳一間の部屋で、散らかっているというほどではないにしろ物の整理が多少杜撰(ずさん)な。釣りが趣味だったらしく、壁には魚拓が飾られ押し入れには釣り道具が収納されていた。そんなどこにでもいる市民の居室で、この瓶は危うく見落としてしまいそうなほど自然に、窓際の棚の上に佇んでいた。誠以外の刑事が捜査していたら、銭湯へ行った際に買った牛乳瓶として見向きもしなかっただろう。でも誠はその瓶から見出した。

 被害者の間に繋がる共通点の、その一端としての価値を。

「ちょっと見せて」

 尾室から瓶を受け取った小沢が、ガラスの容器を振ってみる。カチャカチャ、と軽い音がして、底を見ると100円硬貨が縁日の屋台で売られているラムネのビー玉のように収まっている。

「なるほど、言いたいことは分かるわ」

 流石は小沢だ。これだけで誠の意図を汲み取ってくれるとは。「何がですか?」と未だに飲み込めていない様子の尾室に、小沢はすぐに答えず財布から100円硬貨を出して瓶の飲み口に当てる。硬貨は飲み口よりも大きい。

「ほら、入らないでしょ100円玉が」

 尾室も硬貨を瓶に入れようとする。角度を変えても硬貨は飲み口から入らない。これを持ち込んできた理由を、質問という形で誠は告げる。

「一体、どうやって被害者は100円玉を瓶の中に入れたんでしょう?」

 「何かのマジックじゃないんですか?」と尾室が言う。確かに、普通はそう考える。「じゃあ、これはどうです?」と誠はポケットから出した写真を見せる。佐伯信彦と、既に埋め立てられたはずの沼を写した写真を。

「今では存在しない10年前の場所に、つい先日殺された被害者が写っています。確かに単なる合成写真かもしれない。でもそうじゃないとしたら、何の種もないとしたら――」

 「普通じゃあり得ませんね」と尾室が引き継ぐ。その言葉を誠は待っていた。

「普通じゃなかったとしたらどうです。被害者たちが」

「何が言いたいんですか?」

 そう訊いてすぐ、尾室は何かを悟ったように「まさか――」と誠を見据える。「ええ」と誠は頷いた。こんな推理、刑事として馬鹿げているだろう。でも、この沼津で立て続けに起こっている事件は「あり得ないこと」だらけだ。樹の中に埋められた死体。形跡を残さず地中に埋められた死体。人智を越えた未知の存在アンノウン。アンノウンを倒した「アギト」と呼ばれる存在。普通の発想で捜査しては何も進展する気配がない。

 「分かった」と小沢はスマートフォンを手にする。

「そっち方面の話に詳しい人がいるから紹介してあげる。大学時代の同期なんだけどね」

 

 

   2

 

「あなたは待機ではないんですか?」

 誠の隣を歩く北條が訊いてくる。今のG3の状況を、このエリートと期待されている若手刑事が見落とすはずもない。分かった上での皮肉だろう。

「河野さんからの指示です」

 誠が短く言い返すと、北條は露骨に不機嫌そうな顔をして護衛対象に目を向ける。河野も随分と意地悪な人員配置をしたものだが、G3が修理中の今、小沢の知り合いに会う日を待つだけの誠にできることは捜査一課と被害者遺族の護衛くらいしかない。G3ユニットのふたりに話したことを北條にも聞かせたところで、否定されて捜査協力を拒まれるのは目に見えている。

「犯人は現れるんでしょうね?」

 苛立ちを隠さず北條は訊いてくる。「ええ」と誠は意に介すことなく応え、

「佐伯家は一家全員殺されています。今回も親族が狙われるかもしれません」

「あなたの言うアンノウンに、ですか?」

「ええ」

「戯言に付き合うほど私は暇ではありませんがね」

 沼津の市街を歩く被害者の弟、本間悟(ほんまさとる)は時折後ろを歩く誠と北條へ振り返った。特に言葉を交わすことなく、うんざりと言いたげな視線をくべてくる。一応護衛のことは説明しているが、こうして行動を監視されることに対してストレスが生じることは容易に想像できる。兄を亡くしたばかりの疲弊した状況で気の毒だとは思うが、これは必要な措置だ。次の被害者になるかもしれないのだから。

 護衛に就いてから2日が経とうとしている。本間は1日目こそ家から出ず大人しくしていたのだが、まだ若い身体で何もしないことに耐えかねたのか、2日目の今日は昼を過ぎた頃から外を出歩いている。特に目的地もなく、気分転換の散歩らしい。行動の制限は特にないから好きに過ごしてくれても構わない。ただ、誠と北條も同行することが条件だが。

 本間は駅前の通りを歩いたのち、港付近の公園で脚を落ち着けた。本居宣長と勝田香月の記念碑がある公園のベンチに腰掛け、来る途中に立ち寄ったコンビニで買った缶コーヒーを啜っている。もう夕刻で、遊具のない公園で遊ぶ子供と見守る親もいない。身内を失っての虚無からか、本間は深く溜め息をついた。

 まだ外を出歩く気力があるだけましなものだ。被害者遺族に事情聴取の途中でトイレに行くと席を外されてしばらく経ったら隣室で首を吊っていた、なんて河野の若手時代の体験談のようにはならないだろう。

 誠の裡で本間への同情が湧こうとしたところで、意識が揺れる樹々に向けられる。風なんて吹いていないのに、何故揺れているのか。しかも枝ではなく、幹が。根本へ目を向けると、そこに人ならざるものが、まるで切り傷のように細い目を対象へと向けている。

「あれは………」

 アンノウンを初めて見たであろう北條が、普段の振る舞いからかけ離れた狼狽を晒している。それに対する皮肉など飛ばす間もなく、誠は駆け出した。アンノウンに気付き悲鳴をあげる本間の前に立ち、誠は人外の生命体と対峙する。前回に遭遇した個体とはかなり容姿が異なっている。人型でありながら、甲羅を背負うその姿は亀のようだ。

 ゆっくりと、だが猟奇性を感じさせる足取りでアンノウンがこちらへと歩いてくる。

「止まれ!」

 携行を許可されたM1917を構える北條が吼える。アンノウンは止まらず、北條はトリガーを引いた。銃声と共に発射された弾丸は照準を定めたアンノウンの眉間寸前で静止し、砕け散って宙に塵と消える。

「無駄です北條さん!」

 同じ現象を既に体験済みの誠は唖然と口を開いた北條へ言う。だが北條はきっ、とまなじりを吊り上げ、再びアンノウンに発砲する。アンノウンは北條のもとへ歩き出す。飛んでくる弾丸を塵と変えながら。「よせ!」と誠が飛び掛かるが、アンノウンの太い腕が誠の胸を強かに打ち付ける。肺が圧迫され、中の空気が咳として吐き出される。ようやく無駄と北條が判断したときには、既にアンノウンの手が届く範囲にまで接近を許していた。

 アンノウンの手が北條の首にかけられる。喉元を圧迫されて声が出せない北條はひゅー、と空気が漏れる音のみを吐きながら恐怖に顔を歪ませる。誠は懐から出したM1917を発砲するが牽制にもなっていない。

「逃げてください! 早く!」

 背後で腰を抜かしている本間に告げる。本間はよろよろ、と膝を笑わせながら立ち上がり、缶コーヒーを握ったまま決して平坦ではない公園の地面に足を取られながらも走り出す。

 アンノウンは対象の走り去った方向を見やる。北條の首から手を放すと、その足元の地面が波のようにうねりをあげた。まるでそこだけが沼になったように、アンノウンは足元からどろどろになった地面に体を沈めていく。駆け出した誠は、アンノウンが頭まですっぽりと隠した地面に触れてみる。何の変哲もない、硬い土の地面だった。

「北條さん、北條さん!」

 すぐさま白目を剥いて倒れている北條に呼びかけ、口元に手をかざす。息はある。酸欠で意識が混濁しただけのようだ。スマートフォンを通話モードにして耳に当てて相手の応答を待たず、

「小沢さん、アンノウンが出現しました。G3の修理のほうは」

『まだ時間が掛かるみたいね。今すぐ出動は無理だわ』

 誠は唇を噛む。何てタイミングの悪い。破裂しそうな怒りを押し留め、「分かりました、何とか対処します」とだけ言って通話を切る。ひとまず北條を安全なところへ。意識を失った北條の腕を自分の肩に回して立ち上がったところだった。

 本間の悲鳴が、公園の空気を震わせたのは。

 

 

   3

 

 バスが十千万近くの停留所に着こうとしたところで、1台のバイクがバスの前に割って入った。内浦はツーリングスポットとしてバイクの交通量も多く、法定速度をしっかりと守るバスが走り屋に追い越されるなんてよくあること。

 千歌にとって学校帰りの日常風景として意識から遠ざけることができなかったのは、そのバイクのナンバーが翔一のものだったからだ。

「あれって、翔一さんだよね?」

 隣の座席に座る曜が驚いた様子で言う。翔一は法定速度をしっかり守る性分だ。血気盛んな走り屋じゃない。

 下車ボタンを押していないにも関わらず、運転手は千歌のために停留所でバスを停車させてくれた。その気遣いに礼も告げず、千歌は走り去っていく翔一のバイクを視線で追う。

「降りないんですか?」

 運転手が言ってきた。

「出してください!」

 千歌が言うと「え?」と運転手は困惑の声をあげるが、何も追求せずにバスを発車させる。

「どうしたの、千歌ちゃん?」

「追いかけよう」

 梨子と初めて会ったときも、翔一はバイクを猛スピードで走らせていた。様子がおかしくなったのはその日の帰ってきた頃からだ。やはり、あの日に何かがあった。そして今日も何かが起こった。

 とはいえ、千歌の焦燥に反してバスは追跡に向いていない。終点の沼津駅までにはまだ停留所がいくつもあって、待っている乗客がいればバスは停車して乗せなければならない。翔一のバイクとの距離はどんどん離れていって、そう時間がかからないうちに見失ってしまう。

「翔一くん、どこ行ったんだろう?」

 焦りを口に出す千歌の隣で、曜が不意に額に手をかけた。「曜ちゃん?」と彼女の顔を覗くと、曜はうわ言のように呟く。

「港……」

「え?」

「翔一さん、港公園に行ったんだと思う」

「どうして分かるの?」

「分からないけど、何となくそんな気がする」

 つまりは直感だろうか。でも、翔一の目的地が分からない今はそれしか頼るものがない。

 千歌と曜は港付近でバスを降りた。狩野川にかかる橋を通り、遠くからでも見える水門を目指して走る。公園は水門のすぐ隣だ。曜の予感の通り、公園の敷地内にある小さな(やしろ)の傍に翔一のバイクが停まっている。「ううっ!」という呻き声が聞こえる。声の方角へ目を向けると、乱雑に植えられた樹々の合間で翔一が拾い上げた枯れ木で誰かを殴っている。一瞬人かと思ったが、翔一の枯れ木を平然と受け止めるそれは人ではなかった。まるで亀が人間のように進化を遂げたような生物だった。恐竜が絶滅した後に知的生命体として進化した種が人間ではなく爬虫類だったら、というような。

 怪物の太い手が、翔一の頬を打つ。体を半回転させてよろめいた翔一に更に追撃の一手を与え、地面に倒れた彼の首を掴むと、剛腕で持ち上げて樹の幹に押し付ける。

「何、あれ………」

 千歌と曜は咄嗟に社の陰に隠れた。助けなくちゃ、翔一くんが殺される。その思考ができても、体は未知の怪物に対する恐怖を抑えられず、千歌の脚は震えるばかりで踏み出すことができない。

 苦悶に歪む翔一の目が、かっ、と見開かれた。怪物の腹に蹴りを入れ、体から突き放す。千歌は目を剥いた。翔一の腹が光を放っている。光は渦を巻き、球形を成して両端からベルトのように翔一の腰に巻き付く。

 翔一は吼えるように、

「変身!」

 怪物が拳を振り上げた。拳が自分の顔面に迫るより速く、翔一の拳が怪物の胸に打ちつけられる。怪物はよろめいた。さっき翔一に枯れ木で殴られても平然としていたというのに。脇腹に蹴りを入れる翔一のベルトが、更に強い光を放っている。光は際限なく強まり、遠くで傍観する千歌の視界を白く塗り潰すほど眩く周囲を照らした。

 一瞬で光が収まる。まだ視界に残滓がちらつくなかで、千歌は翔一の姿を捉えた。「あれって……」と声を詰まらせる曜のあとを、千歌が引き継ぐ。

「………翔一くん?」

 怪物を殴り倒したそれは、翔一の姿をしていなかった。金色の鎧を身に纏った、額から2本の角を生やした戦士だった。戦士は赤い両眼で怪物を見据える。再び襲い掛かってきた怪物の腕を戦士は掴み、そのまま背負い投げる。立ち上がろうとしたその顔面に拳を見まい、怪物の体が再び地面に伏す。

 そこで、戦士の背後で地面が盛り上がった。土をまき散らして、全く同じ姿をしたもう1体の怪物が戦士の背中に組み付いてくる。姿形はまったく同じだ。違いといえば初めから交戦していた個体は銀色の体で、新しく現れた個体は金色の体という程度。

 不意打ちと剛腕で、戦士も拘束を解けずに身を強張らせる。そこへ、起き上がった銀色がタックルをかましてきた。追撃の拳を浴びせようと腕を引いたとき、戦士は金色の拘束を振り払い銀色が拳を突き出すと同時に跳躍する。本来の標的が消えて、銀色の拳が仲間らしき金色の顔面を打ち、勢いを抑えられないまま共に倒れてしまう。

 着地した戦士は焦った素振りを見せず、2体に増えた敵へと向く。その角が開いた。まるで翼のように見えた。戦士の足元が光っている。身を屈めた戦士へ金色が駆け出した。戦士は向かってくる金色を1撃の拳でねじ伏せ、敵の背負う甲羅を踏み台にして跳躍し銀色へ右足を突き出す。銀色は背を向けた。甲羅に右足が直撃し、前のめりに数歩だけよろめく。振り返った銀色がふん、とせせら笑ったような気がした。

 戦士の角が閉じる。背後から金色が再三で向かってきた。戦士は仰向けに身を捨てて、金色の腹を足で押し上げる。巴投げの容量だった。投げ飛ばされた金色の体が銀色に衝突し、倒れると同時にどぷん、とまるで入水したかのように地面に沈んでいく。

 戦士は2体が沈んだもとへと駆け寄り、次に周囲に視線を巡らせる。殴打の音が鳴り響いていた公園に、どこか恐ろしい静寂が漂った。思い出したかのように波の音が聞こえてきて、悪夢から醒めたように千歌は錯覚してしまう。

 戦士の体が光った。変わったときと同じように光は一瞬で消えて、晴れるとそこには翔一の姿が。

 踵を返した翔一の視線が、社から顔を出した千歌の視線と交わる。翔一は視線を曜へと移し、再び千歌へと戻す。

「千歌ちゃん、曜ちゃん………」

 翔一の顔は驚愕を浮かべていた。千歌もそれは同じだった。ただし千歌のほうは驚愕と同時に、恐怖が混在している。あれほど動かなかった脚が、まるでバネのように素早く動き出した。隣にいた曜も同じように。千歌は振り返ることなく夕暮れの茜に染まった街へと全速力で駆けた。

 曜と並んで走っている間、千歌は何も考えなかった。思考する余裕もなくなった脳裏には、異形へと変わった翔一の姿だけが張り付いていた。

 

 

   4

 

「本間さん!」

 西の空が僅かに茜を残すなかで、誠の声が公園の空気へと拡散していく。北條を車へ乗せたあとすぐに戻ってきたが、先ほどの騒がしさは遥か彼方へと去っていったようだ。その静寂が誠の焦りを助長してくる。

 走れば1分もかからず一周できる公園の敷地に本間の姿は見当たらない。家に戻ったのだろうか。そう思いながら完全な夜へ沈もうとする公園を見渡し、視線が一画で留まる。

 コーヒーの缶が落ちている。いや、落ちているというより半分が地面に埋まっている。ただのポイ捨てと言ってしまえばそれまでだが、ゴミなら近所のボランティアか市の職員がすぐに拾う。誠は近付き、キノコのように突き出した缶を地面から引き抜く。

 間違いない。先ほど本間が飲んでいた銘柄と同じ、キリマンジャロの山がプリントされたブラックのコーヒー缶だった。

 

 

   5

 

 スマートフォンの時刻表示が、2時13分へと切り替わる。証明の消えた室内で、唯一の光源として液晶画面が寂しげに光を放つ。しばらく眺めているうちに液晶表示が消えた。それでも完全な暗闇にはならず、カーテンが開けられた窓から月光が射し込んでくる。今夜は満月だ。月が部屋のなかを覗き見しているように錯覚する。

「千歌ちゃん、大丈夫?」

 ベッドのなかで、声を潜めて曜が言ってくる。「うん」と弱く応じ、千歌はもぞもぞと頭を布団に埋める。

 翔一から逃げたあと、千歌は十千万に帰らず曜の家に上がり込んだ。幼い頃から知った仲だから曜の親も歓迎してくれたし、泊まることも特に何も追求してはこなかった。曜の家には何度も泊まったことがある。だから珍しいことじゃない。志満に電話したら「分かったわ」と怪しむ様子もなく了承してくれた。

 曜が顔を寄せてくる。ウェーブのかかった髪が千歌の頬を撫でた。寒くもないのに、触れている曜の肩から震えが伝わってくる。千歌が泊まらせてほしいと頼まなくても、曜の方から泊ってほしいと頼まれたかもしれない。

 恐怖を共有したところで、何の慰めにもならなかった。千歌は何度も眠りに落ちようと目を瞑った。眠れるようリラックスできることを思い浮かべた。曜と遊んだ思い出。μ’sのPV。そして翔一の顔。

 台所に立つ翔一。部屋を掃除している翔一。しいたけに餌をやる翔一。畑で野菜の種を植える翔一。

 そして、変身した翔一。

 いつか、翔一が冗談で言っていたことを思い出す。

 ――もし過去を思い出して、俺が凶悪な犯罪者だったらどうよ?――

 犯罪者よりもっと衝撃的だ。翔一のあの姿は、明らかに人間とかけ離れていた。翔一はいつ、あんな姿を持つようになったのだろう。記憶を失う前からそうだったのか。それとも記憶を失ってから、十千万で過ごしていた日々のなかでそうなったのか。だとしたら、何がきっかけなのか。

 いつも気になっていた疑問が、とても恐ろしい核心に迫ろうとしていたことのように思える。知ったら最後、いつもの日常が壊されて後戻りができないような。それでも千歌の中には疑問が鎮座し続けている。追い払おうにも、既に一端を目の当たりにした千歌を逃すまいとするように。

 

 翔一くんは、記憶を失う前はどこで何をしていたんだろう。

 翔一くんは、いつから戦っていたんだろう。

 翔一くんは、何で変身したんだろう。

 翔一くんは、何者なんだろう。

 

 

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