ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
1
梨子から提案されたことは、一夜明けたその日のうちに千歌の口から告げることにした。正直、これが正しいものなのかは分からないけど、もうアイディアが出次第に次々と提案していく。それほどにまで猶予はなくなっているのだから。
「ふたつに分ける?」
放課後、部室でこの提案を聞かされたメンバーの中で、果南がそう反芻する。「うん」と千歌は頷き、
「5人と4人。ふた手に分かれて、ラブライブと説明会、両方で歌う。それしか無いんじゃないかな?」
これが、現状での最善。ダンスや歌唱パートの調整はしなければならないが、どちらか片方の曲が未発表のまま終わってしまうよりは良い。
メンバー達の表情は、あまり好意的とは言えない。一様に眉を潜め、本当にそれで良いのか、と言うように沈黙している。
「でも――」
ようやくルビィが口を開くも、言い辛いのか口をつぐんでしまい、見かねた善子が引き継ぐ。
「それでAqoursと言えるの?」
千歌自身もそれは同意見だ。2分割してステージに立ったとしても、果たしてそれは本当にAqoursのパフォーマンスと言えるだろうか。最高のパフォーマンスは、メンバーが半減しては不可能だろう。
「それに、5人で予選を突破できるか分からないデース」
鞠莉からも痛い所を突かれる。これはあくまで、両方出るための妥協案でしかない。観客が「9人いるAqours」を応援してくれているのなら、メンバーが欠けてしまっては両方のステージで果たして支持を集められるだろうか。下手をすれば、両方出るために分けたことがかえって裏目に出るかもしれない。これは殆ど博打に近いもの。
「嫌なのは分かるけど、じゃあ他に方法ある?」
梨子の問いに、代案を提示するメンバーはいなかった。分割は認められない。Aqoursとしての最高のパフォーマンスは、メンバーが全員揃っていなければ有り得ない。皆のグループへの情と互いの信頼がこのどっちつかずな状況を作り出してしまっていることに、千歌は息が詰まるような錯覚に陥っていた。
他に代案がないのなら、メンバー分割ということで準備を進める。半ば強引に押し切る形で部室でのミーティングは終了。それぞれ煮え切らない想いを抱えて帰路につくメンバー達を見送り、千歌たち2年生も丘の下り道を歩くも重い足が進まず道端のガードレールに腰を預けていた。
日が暮れかかり、地面に落ちた影が自分たちの背よりも長く伸びている。
「本当に良かったのかな?」
ぼそ、と呟いた曜に、案を出した梨子が「良くはない」と答える。
「けど、最善の策を取るしかない。わたし達は、奇跡は起こせないもの。この前のラブライブの予選のときも、学校の統廃合のときも」
奇跡は起こせない、か。千歌は裡で反芻する。毎日のように祈ってきた奇跡が、自分たちにはとうとう降って来てはくれなかった。だからこそ待つのは止めた。いつまでも待ち続けるのではなく、自分たちで行動を起こし望んだものを手にする。そうすれば何かしら残る。そう信じてきたのに。
涼を蘇らせるなんて奇跡は起こせたのに、学校の存続やラブライブ優勝の奇跡は過程の段階で踏みにじられてしまう。
「だから、その中で1番良いと思える方法で精いっぱい頑張る」
努めて明るい口調で梨子は言う。笑顔を浮かべてはいるが、本心での笑顔だろうか。それを問うのは野暮だし、本心でないことを看破したところで他に良い案もない。
「それがわたし達じゃないか、て思う」
「そうだね」としか千歌には言えなかった。どの選択を取っても、全力で取り組むことに変わりはない。実を結ぶかは分からないが、何もしないよりはずっと良い。突きつけられた現実と提示された条件の中で、自分たちにできることをするしかない。そう自身を納得させなければ、今は前に進めないのだから。
気分転換に夕陽でも眺めようかな、と振り向いたとき、「あ」と声をあげる。視界の中にあるのは、夕陽を燦々と浴びている、橙色の果実を実らせる樹々の森。森の中で荷台に大量の収穫物を積載したモノレール。
「ミカン?」
視線を同じくした曜が言うと、梨子も感心しながら、
「もうこんなに実ってるんだ」
そういえば、梨子は収穫期に入ったミカン畑を見るのは初めてか。
「そりゃあ、内浦のミカンは美味しくて有名だもんね」
曜の言うように、内浦のミカンは特産品として全国各地へと出荷されている。気候が温暖な内浦だからこそ採れる作物で、この地方集落にとっては貴重な産業品だ。この辺りの住民で、親戚がミカン農家なんてことは珍しくない。十千万も昔から贔屓にしている農家からミカンを安値で卸してもらっていて、千歌は幼い頃からお腹が空けばミカンを食べて育ってきた。
千歌にとっては珍しい光景でもない。毎年見ているものだし、何か感じるとしても季節の移り変わりといった程度のもの。
でもこの時、千歌はこの光景はまさに奇跡と思えた。この内浦でなければ、決して起こらなかったもの。
「ミカン! ミカンだよ!」
2
一度アイディアが出ると、次から次へと浮かぶものだ。朝食の後片付けも落ち着いてから借りることのできた十千万の厨房は、楽しげな声が行き交っている。
「はい、一丁あがり。ヨーソロー!」
と曜が敬礼しながら、湯気をくゆらせる出来立ての品を見せてくれる。
「え、曜ちゃんはや!」
作り始めてまだ10分程度しか経っていないというのに、相変わらずの器用さが羨ましい。「簡単に作れちゃうから」と嫌味さがないことも。
「わたしも出来たわ」
と梨子が満足そうに、完成した品を皿に乗せている。集まった3人の中で、後は千歌だけになった。お椀に落とした卵に混ざってしまった殻を慎重に取って、箸でかき混ぜていく。
「砂糖ってどれくらい入れたら良いのかな?」
「大さじ1杯くらいで良いよ」という曜のアドバイスに倣い、砂糖を入れて溶け残りがないようかき混ぜる。
「千歌ちゃーん」
厨房の入口からの声に振り返ると、ルビィが笑みを浮かべながら「お邪魔します」と入ってくる。続けて花丸と善子も。
「皆ごめんね。せっかく休みなのに」
「良いずら」と花丸は笑顔で返してくれる。「リトルデーモンのためならば」と善子も不敵な笑みで応える。
ダイヤと鞠莉が説明会の準備で、果南はふたりの手伝い。そのため今日の練習は休みになったのだが、その休日を利用して千歌は志満に頼んで十千万の厨房を借りることにした。
「これ、お姉ちゃん達から預かってきたんだ」
と、ルビィは両手に抱えた風呂敷をテーブルに置く。解くと、黒く艶光りする重箱が出てきた。赤く描かれた梅の花が散りばめられた3段重ねの箱は、きっと漆塗りの一級品だろう。
「うわあ、凄いね」
その美しさに全員で魅入った。「未来ずら」と花丸が感嘆の声をあげて、「いやこれは未来じゃないわよ」と善子が突っ込む。因みに漆塗りは日本の伝統工芸。
「お姉ちゃんが、いっぱい入るから持っていきなさい、て」
これほどの銘品、決して安くはないだろう。もしかしたらオーダーメイド品かもしれない。こんな代物を持っているなんて、流石は網元の家柄。
「良いの? こんなの使っちゃって」
何故か少し怯えた声色で善子が訊く。「自分の作ってきたものが恥ずかしいずら?」と花丸がいたずらに笑う。「んなわけないでしょ!」と喚くと、善子は鞄から出したタッパーの蓋を開いて中身を見せつけてくる。
「しっかりと渡しなさい。堕天使の慈悲を!」
得意げなのだが、こんなの人に食べさせていいものか。まあせっかくの厚意だから渡しておくが。
「3年生の皆が作ってくれたのはもう詰めてあるんだ」
そう言ってルビィは重箱の蓋を開ける。上段には隙間なく綺麗に料理が詰められていた。ひとつだけ何やら怪しいものもあるのだが。何となく予想はつくが、千歌は件のものを指さして「これ、誰の?」と尋ねる。
「これは、鞠莉ちゃんの………」
とルビィから返され、「やっぱり」と全員で苦笑する。「あ、それで」とルビィは自分の品を出した。「マルはこれずら」と花丸も得意げに持参してきたものをテーブルに置く。どっちもふたりの個性が溢れている。
「皆、ありがとう」
これならきっと、彼も元気を出してくれる。浅はかだと言われようが、これが千歌たちのできる精いっぱい。
「さ、後は千歌ちゃんの分だね」
と曜に言われ、まだ自分の品ができていないことを思い出す。急いで作業に取り掛かろうとしたとき、
「千歌ちゃん、お客さんよ」
厨房の外から志満の呼び声が聞こえた。
旅館の若女将には千歌を呼んでもらうよう頼んだのだが、奥の方から涼を出迎えてくれたのは千歌と、彼女の友人たちだった。その友人の中から、思いがけない声があがってくる。
「ずら⁉」
その訛りは聞き間違えようがない。驚愕の表情で涼を見つめる彼女に、涼も驚愕の表情を返す。
「マル……?」
まさかこんな所で再会することになるなんて、全く予想していなかった。しばらく何て言葉をかけたらいいか分からず硬直していると、髪をシニヨンで纏めた少女がぽん、とマルの背中を押して涼の前に突き出してくる。
「助けてくれたんでしょ。ちゃんとお礼言いなさいよ」
「あ、ずら……」とやや緊張した面持ちで涼を見上げてくる。
「あの……、あの時は助けてくれて、ありがとうございます」
仰々しく頭を下げるその姿が、全部嘘にする、だなんて生意気なことを言っていたあの時とは別人みたいで笑ってしまう。
「そういえば、互いに名前も知らなかったな」
そう言うと、頭を上げた彼女はまだ緊張が解けていないのか「あ、おら……、いえマルは――」としどろもどろに訛りを言い直し、
「国木田花丸です」
「葦原涼だ」
「葦原、涼さん……」とマル、もとい花丸は名前を反芻すると、まるで宝物を貰った子供のように無垢が笑顔を広げた。
「やっと聞けたずら」
そこで千歌が「葦原さん」と、
「わたし達からも、花丸ちゃんを助けてくれてありがとうございます」
その場の全員から、一斉に頭を下げられる。その向けられる純粋な感謝に涼は戸惑った。思えば、今まで戦って誰かに感謝されたことなんて1度もなかった。だからこそ、ギルスとしての姿を知っても涼を見捨てずにいてくれた果南と、涼のために涙を流してくれた花丸のことは命を賭してでも守ろうと思えた。
「礼を言うのは俺の方だ。君たちのお陰で、俺はこうして生きてる」
皮肉なものだ。守ると決めた少女たちに命を救われたなんて。蘇った時は、苦悩を終わらせてくれなかったことの戸惑いが大きかった。でも今目の前にいる恩人たちの眩しい笑顔を見ると、そんな自分がひどく矮小に思える。千歌や果南だけじゃない。彼女たちから貰った命は、彼女たちのために使おう。その恩に報いることが、涼にとってはこの力を与えられた意味なのかもしれない。
「あ、そうだ!」
何かを思いついたのか、千歌は玄関でサンダルを履いて外へ飛び出す。
「葦原さん、こっち来てください」
何だ、と思いながら、残された友人たちと千歌の後を追って旅館の裏手へと回る。開けた裏庭には青々とした苗が生い茂っていて、涼の背丈を越えそうなほどに伸びている。
「うわあ、もうこんなに育ったんだ」
「キュウリのお裾分けいっぱい貰ったけど、まだこんなにあるのね」
ショートカットの少女と、髪を長く伸ばした少女が苗を見上げながら嬉しそうに言う。
「これが、津上の作った菜園か」
苗には大振りのキュウリやナスやトマトが実っている。翔一の人柄を知れば知るほど、アギトであることが信じられない。こうして野菜を育む彼が、アンノウンが現れたら戦士へ変貌するだなんて。
「あれからどうですか? 翔一くん」
千歌に訊かれ、涼はここを訪問した理由を思い出してズボンのポケットからメモ用紙を出して手渡す。
「これを君に渡してくれと」
何枚も束ねられた紙を、千歌を囲むように友人たちも覗き込む。
「菜園の手入れの仕方が書いてあるらしい。よろしく頼むと言っていた」
さっきまでの笑顔が、千歌の顔から消えていく。翔一が熱心に書き込んでいたメモの文字を追っていくその目に悲哀の色が浮かんでいく。
――もう、あの家には帰れないので――
メモを涼に託したとき、翔一はそう言っていた。大切な人を自分の運命に巻き込みたくない。相手を想っての決断が痛いほど理解できるからこそ、涼はその頼みを請け負った。彼の決断は正しいと思っている。でも、そのせいでかえって悲しい顔をする彼女たちを見ると、その正しさが揺らいでしまう。
引き戸が開いて、先ほどの若女将が顔を出す。
「あら、ここにいたのね。どうぞ上がってください。初めてです、翔一君のお友達が来てくれるなんて」
若女将の隣に、そう歳の変わらなそうな女性が顔を出す。
「ほら千歌、上がってもらいな。外での翔一がどんなか色々と聞きたいし」
「美渡、皆のお茶淹れて」
「はーい」
奥へと引っ込んでいくふたりの背中を、涼は見つめる。翔一の名を口に出したふたりは笑っていた。彼女たちは、彼がアギトだと知っているのだろうか。もし知ったらふたりの翔一への笑顔は消えてしまうのだろうか。
いや違う、と涼は思える。千歌たちも翔一の別の姿を知っても、それもまた彼と受け入れている。
「贅沢だな、津上は」
ふと零した涼の言葉に「え?」と千歌は首を傾げる。
「あいつは幸せだ。俺なんかよりずっと………」
奥の方から声が聞こえる。
「ちょっと美渡、お茶葉入れ過ぎよ」
「え、翔一はいつもこんくらいじゃない?」
俺と同じと思っていたのに、あいつは俺と違って全てを持っているじゃないか。あいつが津上翔一である意味を。戦うに、生きるに足る理由を。もし少しでも運命が違っていたら、俺も得られたのだろうか。そんな羨望を抱かずにいられない。
「こんなに温かい場所がある。心配してくれる人がいる」
この日、涼は翔一に代わって別れを告げるつもりだった。直接言いに行くのは酷だろうから、せめて涼の口からでも、と。でもそれは間違いだ、と断言できる。同じ力を持つ者でも、涼と翔一は違う。決して同じ生き方を探す必要なんてない。翔一は既に、自分の「居場所」を持っているのだから。
「葦原さん」
ふと花丸に呼ばれる。彼女は赤く実った大振りのトマトを「食べてみるずら」と指さす。言われるまま手に取ったトマトは掌に収まる大きさだが、ずっしりと重みを感じる。もいでかぶりつくと、裂けた皮から汁が溢れ出て涼の口を潤してくれる。ほんのりと酸っぱくて甘い。
「美味いな」
自然と笑みが零れた。何かを食べて笑顔になるなんて、いつ振りだろう。
3
アパートに着くと、涼は千歌に部屋の鍵を手渡す。その意味がよく分からない千歌に、涼は穏やかに告げる。
「君の口から言ったほうが良い。それが津上のためだ」
言葉に背を押され、千歌は「はい」と応じ風呂敷を抱え部屋へ向かう。鍵を開けて中へ入ると「葦原さん?」という翔一の声が聞こえた。
「翔一くん、入るね」
と彼のいるベッドへ近付くと、拒むように翔一はベッドから身を起こし、
「千歌ちゃん? ほんとマズいって、俺の傍にいちゃ」
「分かってるけど、どうしてもこれ翔一くんに渡したくて」
抱えた荷物をベッドの空きスペースに置いて風呂敷を解く。姿を現した重箱をまじまじと見つめながら、翔一は「何よ?」と尋ねる。びっくりするかな、とはやる気持ちで、千歌は重箱の蓋を開けた。3重の箱の詰められた料理の数々を、翔一は呆けた顔で見下ろしている。
「Aqoursの皆で、翔一くんに元気になってほしくて作ったんだよ」
ひと品ずつ、誰からのものなのか指さしながら千歌は説明する。
「これは梨子ちゃん」
彼女の好物でもあるたまごサンド。
「これは果南ちゃん」
海で獲れたてのサザエのつぼ焼き。
「これはダイヤさん」
香り高く仕上げたという手作りの抹茶プリン。
「これは曜ちゃん」
海の家でも大好評だったヨキそば。
「これは善子ちゃん。食べるときは気を付けてね………」
曰くタバスコ倍増しだという堕天使の泪。
「これは花丸ちゃん」
吟味した末に選んだというのっぽパンはちみつミカン味。
「これは鞠莉ちゃん。味は美味しいと思う………」
見た目はゲテモノだが食材は一流なシャイ煮。
「これはルビィちゃん」
ダイヤに教わりながら作ったというスイートポテト。
「それで、これはわたしの」
重箱とは別で包んでおいた弁当箱を、少し照れながら開ける。しらすご飯、トマトとしらすの炒め物、玉子焼き、キュウリの塩もみ、豚肉炒めレタス添え。いつも翔一が作ってくれる弁当の中で、千歌が好きな献立を詰め込んだ。
「翔一くんの菜園で採れた野菜で作ったんだ。葦原さん、菜園のトマトを食べて美味しい、て言ってたよ」
翔一は無言のまま、弁当から千歌へと視線を移す。
「翔一くんは幸せだ、て。翔一くんには翔一くんの場所がある。だから俺なんかよりずっと良い、て」
何か言いたげ、と翔一の視線から感じたが、彼はそれを口に出さず目を背ける。怯えている彼にとって、千歌の望みは単なる我儘なのかもしれない。守られている立場でありながら、翔一の辛いときに立ち上がれ、なんて都合が良すぎる。
「翔一くん」
それでも千歌は言わなければならなかった。
「人の居場所を守るために戦ってきたのに、何で自分のためには戦えないの?」
そこでようやく、翔一は口を開いた。まるで今まで考えもしなかった、とでも言うように。
「自分のため?」
「そうだよ、人のためならあんなに勇敢だったじゃん。なら自分のためにも勇気を出してよ。最初から怖がっていたら、勝てるものも勝てないよ。自分のためにも戦ってよ、翔一くん」
そう、翔一は今まで誰かのために戦ってきた。千歌たちのため、アンノウンに襲われる見知らぬ誰かのために。そこに翔一自身の望みなんて、一切なかった。だからこれは誰のためでもない、翔一のための戦い。それに勝利するために、千歌たちは彼のために料理を作った。彼に理解してほしいから。
わたし達はあなたに守られるためにいるんじゃない。あなたの肩を支えるために、あなたの背中を押すためにいることを、分かってほしい。
「よく分からないけど、それが人を守ることになるんじゃないの?」
翔一は重箱に目を落とす。千歌がいくら声を大にして告げても、翔一はだんまりを決め込むだけだった。