ラブライブ!サンシャイン‼︎ feat.仮面ライダーアギト 作:hirotani
1
「薫?」
ドアを前にして鞠莉がいくら名前を連呼しても、何の反応も帰ってこない。鍵は掛かっていないらしく、ノブを掴んだら簡単に回りドアは開け放たれる。随分と不用心なんだな、と思いながら、涼はバイクのシートに腰掛けながら部屋へ入る鞠莉を見送る。
木野薫。その名前は父の遺した手帳にも住所と共に記されていた。わざわざ東京にまで出向いたのだが、その頃には既に彼は転居した後で、近隣住民にも話を聞いて回ったが手掛かりは掴めず仕舞いだった。まさか彼が沼津にいたとは。相良や関谷も接触していたらしいから、考えてみれば納得はできる。それに鞠莉も、随分と信頼しているようだが。
鞠莉はあまり時間を要することなく、部屋から出てきた。「どうだった?」という涼の質問に、肩を落としながら無言で首を横に振る。
「前に来た時と一緒。荒らされたままね」
「荒らされた?」
すぐさまアンノウン、という可能性が浮上してきた。他のあかつき号の乗員と同じく、木野薫もアギトの力に目覚め始めている可能性がある。それならアンノウンの標的だ。どこかに逃げているのか、それとも既にこの世にいないのか。
「最後に会ったのはいつだ?」
「2年前………」
「2年? そんなにか?」
「わたし、今年の春まで留学していたから。こっちに戻ってから何度も連絡はしたけど、返事こなくて………」
事情があるなら仕方ないが、それでは行方を辿れない。関谷と相良が涼を殺そうとしたのは木野の指示らしいから、少なくともその頃にはまだ無事だったのかもしれない。
でも、ここでいくら考えたところで無意味だろう。警察に行って捜索願を出す外ない。
「今日はもう遅い。家まで送ってやる」
俯いたままの鞠莉にヘルメットを差し出す。ただでさえ夜も更けた時間帯に女子高生を連れ回しているなんて、それこそ警察に見つかったら誤解を招きそうだ。
鞠莉がヘルメットを取ろうとしたとき、涼の脳裏に戦慄が走る。同時にこの世のものとは思えない吐息交じりの声が。
咄嗟に涼はシートから降りた。鞠莉をバイクの後ろへと下がらせたとき、数メートルほど前に人型の異形が降り立つ。ピラニアのような牙を並べた口から吐息を漏らし、アンノウンはこちらへと向かってくる。
「変身!」
剛腕を受け止めた腕が、ギルスの緑色に変化する。筋力が増した涼の体でもその衝撃は受け止め切れず、宙に投げ出された隣の工事現場の角材をばら撒きながら砂利の上に倒れる。
アンノウンの、文字通り魚みたいな目が鞠莉に向けられた。標的に向かおうとするその体に掴みかかり、顔面に拳を突き出す。だがアンノウンの反応も早い。涼の首元を掴んできて、涼も相手の首を掴むことで互いの力が拮抗し押しも引きもしない。
拮抗はすぐに終わる。アンノウンが涼の腹に重い拳を沈めた。ごふ、と咳き込んだ口元にも一撃を見舞われる。追撃の拳は寸でのところで掴み捻り上げるが、力は敵のほうが上らしく簡単に振り払われる。胸に渾身の拳を受け、涼の体は再び砂利の上に投げ出された。
起き上がろうと地面についた手から、力が抜けていく。まるで全身の血液を抜かれたかのような脱力感と共に、涼の体は人間に戻っていく。変身に伴う苦痛がなくなったとはいえ、パワーアップしたわけではないらしい。
「涼!」
鞠莉が駆け寄って肩を貸してくれるが「逃げろ」と振り払う。
「もう、何言ってるのよ!」
と鞠莉は無理矢理にでも涼の方に細い腕を回した。邪魔者を排除できたアンノウンは、急ぐことなくゆっくりとこちらへと歩いてくる。もう1度変身しようと意識を集中させてみるが、裡から何も湧き上がってこない。
その時、光が涼たちを照らした。向くと、それはバイクのヘッドライトだった。騒ぎを聞きつけた近隣住民か、と思った。バイク乗りは明らか人でないアンノウンを目にしても慌てる様子はなく、ヘルメットを脱いで素早くシートから降りる。
現れたのは昼間の男だった。鳥のようなアンノウンに襲われた女性を病院まで運んで、しかも彼女の手術を自ら行った。
彼を見た鞠莉の口から出たものが、涼を更に驚愕させる。
「薫⁉」
「何⁉ あいつが……」
木野薫を認めたアンノウンが、微かに唸ったように聞こえた。木野は怯えた様子を微塵も出さず対峙する。
彼の腹が光を放った。光は球形を成して、その両端からベルトのように腰に巻き付く。
まさか――
涼はただただ絶句した。これから起きようとしている事を瞬時に悟って、一瞬先にそれが現実になる。
「変身」
その言葉が静かに告げられ、木野の体が光を放ち視界を塗り潰す。すぐに視界が回復すると、そこには人でもアンノウンでもない存在が周囲に残滓を散らしながら立っている。
鎧のように隆起した、全身を包む筋肉。額から伸びた金色の角。顔面の半分以上を占める大きな赤い双眼。
その姿は紛れもなくアギトだった。翔一が変身するのとは別の、言うなれば
その姿は完全にアンノウンにとっては標的で、最優先に始末する相手としてアナザーアギトに向かっていく。振るわれた拳をアナザーアギトは一切の無駄を排した動きで避け、敵の腹に重い拳を沈める。苦し紛れの反撃を避けつつ背中に肘を打ち付け、前のめりになったところを膝で胸を蹴り上げる。
蹴り飛ばされても、アンノウンは何とか倒れることなく地面に立つことができていた。そんな往生際の悪い敵に、アナザーアギトは牙を剥いた。その足元に紋章が光を放ち、翔一と同じように渦を巻いて足に集束していく。
跳躍したアナザーアギトは右脚を突き出した。力を集中させたキックがアンノウンの胸に命中し、その体を宙に舞い上がらせる。今度の攻撃はアンノウンも堪えたらしく、受け身も取れずに砂利の上を転がった。
それでも敵は起き上がろうとする。だが頭上に光輪が浮かぶと苦しみだして、蹴られた胸を掻きむしりながら倒れると同時、その体は爆炎に呑まれて消滅した。
勝利を飾った戦士は酔いしれる素振りを見せず、ただその場に佇んでいる。体が光を放ち、収束するとそこには人間に戻った木野薫がひとまずの戦いを終えた安堵なのか表情を和らげている。
「薫!」
緊張が解けたのか、鞠莉が木野へ駆け寄っていく。
「薫、とうとうアギトになったのね!」
「ああ」と応えながらも、木野の視線は涼に向けられている。こんな時でも、あなたは昼間の、なんて言っているかのような顔だ。
パトカーのサイレンが聞こえてくる。先ほどの爆発で、近所の誰かが通報したのだろう。面倒事に巻き込まれるのは御免だから早いところ撤収したいが、涼は言わずにはいられなかった。
「まさか、あんたが木野だったとはな」
その言葉に木野は無言で微笑を返す。
2
離島に建つホテルオハラのスイートルームは、白を基調とし一切の染みも許さないとばかりに掃除が行き届いている。それなりの宿泊費だから満室になることは稀なようで、木野にあてがうには十分に部屋は余っていたらしい。あまりにも綺麗すぎると微かな汚れを残すことも後ろめたく、どうにも涼はこういう高級な部屋は落ち着かない。とはいえ、場を自宅にしたとしてもリラックスはできそうにないが。何しろ、スイートルームに気負いせずソファでくつろぐこの男は、アギトなのだから。
「今までどこにいたの? 何度も連絡したのに」
そう尋ねる鞠莉は、まるで久しぶりに主人と再会した子犬のように見えてしまう。
「済まなかった。とても皆に会える状況じゃなかったんだ。アギトになるために、私には私の試練があった」
木野は右の上腕をさすりながら、
「肉体がアギトであることに適応するまで、一定の苦痛が伴うんだ」
その苦痛を涼は想像できた。涼自身、肉体の変化で酷い副作用に長く苦しめられた。彼の部屋が荒らされていたというのは、アギトへの苦痛にのたうち回って自ら部屋を壊していたのかもしれない。あの裡から何かが産まれようとしているかのような感覚は今でも記憶に張り付いている。身の回りにあるもの手あたり次第に発散させなければ、膨れていく力に体が破裂してしまいそうだった。
苦痛とは、大きな力を手にするための通過儀礼のようなものか。翔一も同じような苦痛を経てアギトになったのかもしれない。本人は記憶喪失でいつアギトになったのかも覚えていないらしいから、苦痛のことも忘れてしまっただろうが。鞠莉もいずれアギトになるのなら、彼女はその苦痛に耐えられるだろうか。この華奢な体で、あれほどの苦痛と力を受け止め切れるだろうか。
「ひとつだけ、訊かせてくれ」
告げる涼を、木野は見上げる。
「あんたは何故アギトになったんだ? あかつき号で何があった?」
「それは言えません。言ってはいけない約束になってるんです」
何故言えないのか。約束とは誰と交わした。恐怖する乗員たち総出で口を閉じ、船での出来事を忘れようとしているとでもいうのか。立て続けに出てくる涼の問いを抑え込むように、木野は続ける。
「それにあかつき号で何があったか、そんなことは大した問題じゃない。大切なのは、これから私たちが何をするかだ」
はぐらかされた気がしてならないが、間違ってはいない。過去はもう過ぎてしまったこと。過去を経て形成された今と、これからをどう生きるかに重点を置くべきなのかもしれない。
「葦原さんでしたか。仲間から連絡を受けていましたが、驚きましたよ。あかつき号のメンバー以外にも、アギトと同じような力を持った者がいるとは。赦してください。一時はあなたのことを敵だと思っていましたが、私の勘違いだったようだ」
「ああ、お陰で随分ひどい目に遭ったが」
文字通り死ぬほどの災難だった。でも無事に生きている今、木野に対する怒りや憎しみは沸かない。もう過ぎたことだし、今の彼は決して敵なわけじゃないから、その皮肉に留めておく。何より、鞠莉に血生臭い様相は見せたくない。
「薫、これからどうするの?」
鞠莉の問いに、木野は「単純なことだよ」と優しく応える。
「恐らく敵は、アギトになる可能性のある人間を狙っている。ならば私は、私と同じ運命の人々を助けたい」
最初こそ鞠莉のほうを向いて言っていたが、後半に差し掛かっていくうちにその顔は涼へと向けられる。その言葉に嘘偽りは感じられない。他にアギトになることでアンノウンに狙われ、また裡から目覚めようとしている力に苦しんでいる者の助けになりたい。既にアギトになった者として。そんな意思を、彼は力強い瞳で告げている。
唐突に着信音が鳴った。木野らしく、ポケットから出したスマートフォンの通話に応じる。
「はい」
電話口の声は、深夜という時間帯の中でそれほど大きくはなくとも涼の耳に届いた。
『木野先生ですか? こちらにいらっしゃると聞きました。手術をお願いしたいんですが』
「病院はどちらですか?」
『沼津総合病院です』
「分かりました。すぐに伺います」
通話を終えると、木野はソファから腰を上げる。
「鞠莉、済まないが船を貸してほしい」
「
「ああ、緊急らしくてな」
鞠莉は何か言いたげだったが、顔を俯かせ逡巡を経て「そう……」とだけ呟く。そんな彼女に溜め息をつきながらも、木野は微笑しながら言う。
「君の気持ちは嬉しいが、私を必要としてくれる人々がいる。私はその人たちのために戦いたい。それはドクターとしても、アギトとしても同じことだよ」
木野が部屋から出て行くと、鞠莉はソファに深く腰掛けうなだれる。
「相変わらず続けているのね、闇医者」
最後のひと言を、涼は尋ねる。
「闇医者? どういうことだ?」
「薫はね、医師免許を剥奪されているの」
鞠莉は言うのも辛そうだったが、続けた。
「詳しいことは教えてくれなかったけど、薫は右腕を失ったの。今の腕は、亡くなった弟さんの腕よ。そのせいで、もう手術はできないと医師会から判断されたみたい」
「そんな理由で免許を取り上げられるのか?」
「それは不当よ。あくまで腕の移植は建前。薫は凄いDoctorだけど、医師会の上役にとっては自分の地位を横取りしかねない存在だったの。だから些細な医療ミスをわざと大袈裟にして、医師会は彼を追放したのよ。彼のお陰で沢山の患者が助かるのに、上役のエゴのせいで………」
弟と腕を失って、上からはもう医者じゃない、と資格まで奪われた。更に苦痛に苛まれアギトという得体の知れない存在にまでなった。それでも彼は落ちぶれず、免許こそなくても医者としての矜持までは捨てず自分のできることを行っている。先ほどのように依頼を受けているということは、木野薫という闇医者は業界に知れ渡っているのだろう。無免許で手術をしても警察に追放されないのは、まだ医師たちの水面下で彼は必要とされているから。上役たちがいくら抑えつけようが、彼の技術はそれ以上、ということかもしれない。
決して称賛はされないだろう。陽の当たらない過酷な道でも、彼は迷わず進んでいる。自らの運命と、そしてこれから現れるかもしれない同胞たちのために戦おうとしている。
「戦ってみるか。俺も彼と一緒に」
自分を殺そうとした過去は、もう意味を持たなくなっている。彼と共に戦うことで、涼もまた自分の生きるべき道を見つけられそうな気がする。
「わたしも……」
震えた声だが、鞠莉も振り絞るように告げる。
「わたしも、アギトになったら戦いたい。薫や、あなたと一緒に」
とても頼もしいが、涼にとって彼女の決意は肯定できるものでもなかった。まだ子供の彼女に、自分たちの抱えるアギトの宿命は過酷すぎる。
だからといって、鞠莉の勇気を頭ごなしに抑えつけることもできなかった。
3
Aqoursが練習場として借りているプラザヴェルデの屋上は、大小様々な樹や芝生が植えられた庭園になっている。一般に開放されていて、地上とはひと味変わった空中庭園が誰でも楽しめる。
施設の一室を借りているAqoursの面々も、休日の練習で昼休憩を取る際はこの庭園をよく利用している。少しずつ気温も下がってきたこの時期、外は心地いい。
「バイト?」
練習の合間、庭園のベンチで休憩を取っていた2年生たちの中で、千歌が不思議そうに言う。続けて梨子が「しょうがないわよ」と少し気疲れしたように言った。こんな気分の良い場所なのだから颯爽とマイナスイオンを浴びたいところだが、ダイヤは物陰に隠れて後輩たちの様子を窺っていた。何となく会話の内容は察しがついたが、タイミングを見計らって3人が同時に深く溜め息をついたところで意を決し近付いていく。
「あら、今度は何ですの?」
わたくしは何も知りません、という体で訊く。芝居をするむず痒さが出ていたのか、少し体を揺らしていたダイヤが珍妙に映ったのか千歌が訊いてくる。
「お腹痛いんですか?」
「違いますわ!」
と危うく普段の調子に戻ってしまいそうになったから「い、いえ」と繕い直す。
「何か見てらしたような………」
「はい」と曜が手に持っている冊子を見せてくれる。タウン誌らしい。活動費確保のためだろう。
「内浦でバイト探してて。コンビニか新聞配達かなあ、て」
やった、とダイヤは裡でガッツポーズする。会話に入る余地が出た。この好機を逃さず、僅かに空いたベンチのスペースに半ば強引に腰掛ける。
「なら、沼津のほうが良いかもしれませんわね」
優しい笑顔、優しい笑顔、と自身に言い聞かせながら告げる。「沼津でかあ」と千歌は言い、「だったら色々あるよ」と曜は冊子のページを捲る。
内浦だとあまり商店が無いから働き口も限られてしまうが、沼津市街ならそれなりに充実している。沼津駅前の商店街ならカフェや花屋もあるし、変わったところだと写真スタジオのモデルも募集していたはずだ。
その充実ぶりに千歌は目を輝かせる。
「おお、何か楽しそう! バイトは沼津に決定!」
と一切の迷いがない。良く言えば前向き。悪く言えば浅薄で世間知らずな物言いに、ダイヤは我慢できずベンチを降りて後輩たちの前に仁王立ちしてしまう。
「ブッブー、ですわ!」
大声に3人は驚いてダイヤを注視する。
「安直すぎですわ。バイトはそう簡単ではありません。大抵週4日からのシフトですので9人揃って練習、ていうのも難しくなります。大体何でも簡単に決め過ぎてはいけません。ちゃんとなさい!」
早口でまくし立てた後、沈黙の中で秋の風が過ぎ去っていく音が聞こえた。その風が頭を冷やしてくれたのか、ダイヤは自らの失態に気付く。
しまった、つい――
「確かに、ダイヤさんの言う通りね」
梨子が顎に指を添える。「流石ダイヤさん」と千歌に言われたあたり、嫌悪感まで抱かれてはいないらしい。「でもじゃあどうするの?」と曜が建設的な会話を切り出して、アドバイスを素直に聞き入れてくれる。
「何かあります、ダイヤさん?」
と千歌に訊かれた。結局目論みは外れ、ダイヤ「さん」として後輩と話す羽目になった。
「アンノウンによる被害者の中にあかつき号に乗っていた人がいる、て? どういうこと?」
Gトレーラーで報告すると、小沢は驚きを隠すことなく出す。
「先日北條さんにあかつき号のことを訊かれ、気になって調べてみたんです」
今までの不可能犯罪の被害者とあかつき号の乗員乗客を照合してみたら、数人がヒットした。篠原佐恵子、相良克彦、関谷真澄、橘純、高島雅英。別件だが、翔一が重要参考人だった事件の三浦智子もあかつき号に乗っていた。船に乗っていた人間の約半数がアンノウンに殺されているなんて、偶然にしては出来過ぎている。
「間違いありません。今まで気がつかなかったのが迂闊でした」
「そんなことは無いわよ。あなたは暴風雨の中たったひとりで救助活動を行った。しかも会ったのはそのとき1度だけ。気付かなくても無理はないわ」
確かにあの時は暴風雨で視界もままならない状況だったから、乗客たちの顔をひとりひとり確かめている余裕なんてなかった。それにもうひとつ、あかつき号の乗客リストをデータベースから引っ張り出して驚いたことがある。リストの中に松浦果南という名前があった。まさかと調べてみたら浦の星女学院の果南と同一人物で、更に小原鞠莉と黒澤ダイヤの名前も列挙されていた。同姓同名の別人なんかじゃない。鞠莉もダイヤも、スクールアイドルグループAqoursに所属しているメンバーたちだ。
唐突に尾室が口を開く。
「でもアンノウンとあかつき号の人たちと、一体何の関係がある、ていうんです?」
「それをこれから調べてみようと思うんですが………」
アンノウンは超能力を狙っている。超能力はアギトになる前触れ。アンノウンに殺されたあかつき号の乗客たちもまた超能力者――アギトになる可能性を持っていた者たちかもしれない。
全ての仮説を統合しても、やはり疑問は残る。何故同じ船に乗っていた全員が、同じ力を持つようになるのか。彼らが同じ力を持つことが、あの日の現象へと繋がるのだろうか。
分からない。ここで考えても、何も答えは浮かび上がってこない。
木野「肉体がアギトであることに適応するまで、一定の苦痛が伴う」
涼「ああ、俺も酷く苦しんだ」
翔一「俺も頭痛くなりましたよ。あれ辛いですよね家事できなくて」
木野&涼(え、それで済んだの………?)