みんなー、げんきー?
最近あんまり更新できなくてごめんねー。
気まぐれで友達の海外旅行に付き合ったのね。
そしたら、なんと!
危険情報が入ってきて、もう大変!
外務省の基準でいうと、たぶんレベル4に相当すると思うんだ。
一応、ちうは出発前に行くのやめようよって言ったんだよ?
でも、友達がどうしてもって言うから出発しちゃったんだよーーーー。
でね、せっかく海外まで来たのに、テロを警戒してずーーーっと、ホテルに缶詰めだったんだよ!
ホントは、すぐにでも帰りたかったんだけどね、船も飛行機も、滅多に出ないからホテルにいるしかなかったの。
もうね、周りに何もないし、晴れてればオーロラが見えるのが唯一の楽しみだったの。
でもでも、普段からけっこう家に居るのは慣れてるから、あんまり苦でもないし、インターネットも使えるから、住めば都かなって思ってたら本当にテロに巻き込まれちゃったの!
ホテルは爆発するし、街に逃げ出せば一面火の海で瓦礫の山だし、誰か助けてーーー!
いや、ホント☆ネタじゃないってば、証拠に写メうpするよーーーー。
普段の方針変えて、リア友とつるもうとか考えたのが運の尽き。
スマホに『ちうのホームページ』の日記を下書き保存すると、電子精霊に指示を出す。
「お前ら! これよりこの街の監視カメラや警備システムを掌握して何が起きたのか確認しろ!
警察署とか、警備会社や燃えていないビルやなんかで、非常電源が生きてるところもあるだろうし、何らかの情報は集められるだろ」
「ちうたま」
「どうした、こんにゃ」
「ぼくたち、もう消えます」
「はぁ!? スマホのバッテリーならまだ90%以上残ってるぞ。それにモバイルバッテリーだって用意してあるんだぞ」
スマホの待ち受け画面を表示させ、電池残量を見せつける。
「電気じゃありません」
「はんへ゜!?」
「ネギ・スプリングフィールドが死にました」
しかし、電子精霊は力なく告げると次々と消えていく。
「きんちゃまでって、本当にパクティオーカード死んでるじゃねーか!」
「というか、人類は滅亡しました」
その言葉を最後に、ちくわふも消える。意味消失を避けるため、カルデアに残って私を観測するよう指示してた電子精霊も消えている事だろう。
しばらく茫然としていたが、内から話しかけられて歩き出す。
事前に八雲紫と超の二人から人類滅亡する事を聞かされていても、MMRの人類滅亡説を読んでいるような気分だった。
カルデアで爆発が起きた時でさえ、事件の影響はカルデアだけに留まり、世界は明日も続いてゆくと信じたかった。
幻想郷に連れ去られ、古明地さとりに前世を想起させられ、前世に覚醒して力の使い方を覚え、弾幕ごっこを覚え、ごっこではない戦い方を覚え、カルデアに介入するための資金を稼がされ……。
全部自分の意思ではなく、やらされた事だからこそ、当事者意識なんてなかった。
最初こそは嫌々だったけど、弾幕ごっこや気のいい連中とのつるむのが楽しかったのも事実。
レイシフトする直前に覚悟したつもりになっていたが、なんだかんだと長い時間共に過ごした電子精霊が居なくなった事で早々に揺らいでいる。
「あーあ、どうしようかなって、こうなったらやる事は考えるまでもないんだがっとっと……」
愚痴をこぼしながら歩き、道路にまであふれ出した瓦礫に躓いてバランスを崩す。
それでも、私は無力ではない。
仲間と離れ離れになり、魔法世界に放り出された時とは違う。
身を守る力もあるし、自身にはサポートしてくれる妖怪が憑いている。ひとつの小さな世界のサポートを受けられるのだから、心強かった。視線は足元ではなく、前に。
そして、右手を目線の高さに掲げ、甲に宿る令呪を確認して歩き出す。
「キャア―――っ!」
悲鳴を聞いて駆け出した私が見たものはスケルトンに追われるアニムスフィア所長だった。
「何なのよコイツら!? なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの!?」
(こいつ、幽霊じゃねーか!)
レイシフトした結果、生きている人間のように見えているが、本物の幽霊を知っている私には分かってしまう。
「もうイヤ、助けてよレフ!」
「知らないとはいえ、自分を殺した相手に助けを求めるなよ」
小さく呟いて、スケルトンに弾幕を放つ。
「ガント!? って全然効いてないじゃないのよ! この役立たず!」
「うるせーな、いつもの癖で、見た目だけ派手なのを撃っちまっただけだ。
魔術の名門なら自力でなんとかしろ!」
「先輩、指示を!」
「千雨さん、今助けるです! 雷の斧!」
私たちが口喧嘩している間に駆け付けた綾瀬とキリエライトがスケルトンを始末した。
マシュがデミ・サーヴァントになっている事にひと悶着あったが、カルデアと通信を確立し、アニムスフィア所長とDr.ロマンが方針を決定する。
「これより綾瀬夕映、藤丸立香、マシュ・キリエライトの3名を探索員として特異点Fの調査を開始します」
ここで夕映がアニムスフィア所長の言葉に疑問を挟む。
「あの、所長。千雨さんも適格者なんですが……。それと、さっき千雨さんも魔法を使ってましたけど、いつの間に覚えたんですか?」
「そうよ、そもそも長谷川はなんでこの時期に視察に来たのよ?
視察を受け入れないと綾瀬の派遣を認めないなんて、ISSDAを使って圧力までかけて!」
魔法という言葉に眉をしかめながら無視して怒鳴り散らすアニムスフィア所長。
モニター越しも含め、多くの視線に晒され、口を開く千雨。
「詳しくは言えないけど、こうなるって知ってたからだよ」
「そんな事言って、本当はあなたが爆破したんじゃないでしょうね」
「爆破の犯人なら、映像記録がある」
私の言葉に従い、Dr.ロマンが監視カメラの映像を再生する。そこにはカルデア各所に爆弾を仕掛けるレフ・ライノールの姿があった。
作業中に通りかかった魔術師に笑顔で挨拶する場面すら映っていた。機械に疎い彼らは技術顧問がレイシフト実験を前に施設の点検・整備をしているとしか思わなかったのだろう。
「…………」
重い沈黙が流れる。
アニムスフィア所長は頭を抱えてしゃがみ込んでカリスマガードし、「どうしてよ、レフ…」と呟く。
「私は人類が滅亡する可能性のリークを受けて、それに備えてきただけだ。
その映像も事前に確認していたが、私があんたに忠告したとして、信じたか? 話を聞こうともしなかったんじゃないか?」
「そうね」と呟き、アニムスフィア所長はさらに視線を落とす。
「どうしてネギ先生や私たちに相談してくれなかったんですか?」
「お前たちも知っての通り、レイシフトするには適正が必要だ。そして、ネギ先生をはじめとした3-Aの連中で適正があるのは綾瀬だけだった。それも分かったのは今年の4月だ。事前にお前の私物として魔法溶液を大量にカルデアに輸送する事で綾瀬が戦うための手筈だけはしておいた。他に手がないのに混乱されるのも困るから、話はしなかったけど、レイシフト実験がはじまる前に避難するよう言っておいただろ。
あと、私がレイシフトできるのは、詳しく言えない方面の伝手だ」
「それに、私もここに来るまで、半信半疑だったんだよ。信じたくなかったと言った方が近いか……」
納得していない表情を浮かべるも、それ以上の追求は無かった。
その後、散発的に襲い来るスケルトンを綾瀬とキリエライトが順調に蹴散らしていたが、ついにその時がやってきた。
「も、もるです~~」
綾瀬は戦闘が始まる前に各種呪文を練り込んである溶液を数リットル飲むため、トイレが近いのだ。
ただでさえ、レイシフトする前に変なジュースも飲んでいるというのに……。あの巨大フラスコ、1ガロンは入りそうだよな。
「っ!」
運の悪い事に、綾瀬がトイレから戻る前にスケルトンがキリエライトに殺到する。
大盾振り回すが、多勢に無勢。デミ・サーヴァントになって間もないため、戦い方を確立していない。
「マシュっ、瞬間強化!」
藤丸が令呪を切り、キリエライトが大盾で暴れまわる。
「やったわ!」
「おい、フラグ建てんじゃねーよ」
そして、アニムスフィア所長が建てたフラグが即回収される。
私も弾幕を放つが、次から次へに集まるスケルトンを前に焼け石に水だ。
人類の滅亡を無かった事にできたとして、後が面倒になりそうだがもっと力を出すべきかと考えたところで、体の主導権が奪われる。
『完全憑依』
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「大変だ! 冬木中のスケルトンが集まってるぞ。
早く撤退するんだ!」
ロマニの言葉にマシュが反応する。
「先輩! みなさん!
ここは私が食い止めますから、行ってください!」
決死の覚悟をしたマシュだが、返事はなかった。
ただ、フォウの唸り声だけが聞こえる。
隙を見て振り向くと、空間の裂け目に腰掛ける金髪の女性が居た。
「え? サーヴァント?」
オルガマリーの疑問を無視し、口元を扇子で隠した女性は音を立てて扇子を閉じ、スケルトンの集団に向ける。
『無人廃線車両爆弾』
スケルトンの集団の周囲にいくつもの空間の裂け目が出現し、電車が飛び出してきて大爆発を起こす。
「え? 何これ……」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
八雲紫が私の体から離れると、ようやく体が動くようになる。
「スレイブのくせに、勝手に主導権持っていくのはどうなんだ」
軽口を叩くが、八雲紫は浮いたまま、冷やかに私を見下ろす。
「な、なにがあったですか!?」
綾瀬が険しい表情で問う。
「違う、これはサーヴァントじゃない!
現代にこんな怪物が生き残っていたなんて」
「ねえ、千雨」
騒がしい外野の言葉は耳に入らない。眼前の妖怪の背筋が凍るような声だけが頭に突き刺さる。
「どうして着替えてないのかしら。頑丈な服、こっちでは礼装と言ってもいいものがあるでしょ」
目の前で指を立て、ゆっくりと言葉を放つ妖怪。
「どうして貸与された宝具を手にしてないのかしら」
顔がすごい近い。
「こっちの世界では舐めプと言ったかしら。力を出し惜しみして死なれると、困るのよ」
普段の胡散臭さはなりを潜め、ただただ冷たい視線が突き刺さる。
「千雨は違うと思っていたのだけれど、前世のあなたのように油断してあっさり死なれてしまうと、幻想郷を救うために協力している皆さんが困るのよ」
プレッシャーを受けて方向感覚が狂う。自分が立っているのかどうかも分からなくなる。
「今回の件で、私は千雨を見限りました。
貴女が死に次第、過去に戻って『また』やり直します」
膝が崩れ落ち、両手を地につけて、ようやく自分がどのような姿勢なのか把握する。
私の顔の位置に合わせてか、スキマをさらに下げて顔を覗き込む八雲紫。もう地に足が着いている。
「一応、後ほど別の妖怪を憑けます。まあ、精々頑張りなさい」
八雲紫は言い放つとスキマに消えた。
「イイっ! これが養豚場の豚を見るような視線ってやつか。うらやましいぞ」
Dr.ロマンは黙ってろ!
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
あれから、他の連中にはものすごい残念な奴という扱いを受けている。
今を生きる同位体である比那名居天子から貰い受けた礼装(サイズ違いの同じデザインの服)を着て、世界の危機故に特例で貸し出された宝具緋想の剣を振るってばったばったとスケルトンを斬り捨て、要石で押しつぶして大活躍するも、最初から全力出せよと言われる始末。
心機一転。スケルトンを倒した場所で広い集めた聖晶石を使い、サーヴァントの召喚を試みる。
待望のガチャタイムだ。
藤丸はキリエライトとの契約に加え、連戦して消費した魔力が回復していないので、後でガチャを回す事になった。
「では、私から召喚するです」
大盾から光の柱が立ち上る。
「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。
ここに参上つかまつった」
優雅な陣羽織の剣士は「此度のマスターは可憐だな」と呟き、目を細める。
「マスターの綾瀬夕映です。よろしくお願いいたします」
「佐々木小次郎だってー! 有名な剣士じゃないか! なんでセイバーじゃないんだ!?」
相変わらずDr.ロマンが騒がしい。交流を深める綾瀬主従を横目に宣言する。
「さぁ、次は私の番だ。ソシャゲーで数々のSSRを引いた運を見せてやる!」
「ゲームとサーヴァント召喚システムFateを一緒にするんじゃないわよ!」
アニムスフィア所長の言葉を無視して、教わったばかりの呪文を唱える。
「すごい霊基だ!」
Dr.ロマンの言葉に期待が高まる。
「キャスター、ネギ・スプリングフィールド。
本日からこのクラスの担任になります」
「今を生きる人物じゃないか!
そうか、星の開拓者だ!
まだ建設中の軌道エレベーターに、ブルーマーズ計画による火星のテラフォーミング!
どれも実現した未来からすれば間違いなく星の開拓者だ!
しかも魔術師じゃないけど、魔法世界の英雄だ! 英霊になっていてもおかしくない!」
もう、Dr.ロマンは雷電に改名した方が良いのでは……。
ようやく光が収まる。
「って、なんでだよ!」
現れたネギ先生は、麻帆良女子の担任の頃の容姿。
子供先生だった。