――デュエル訓練場。
おおきなホール場の中心に俺と郷田さんが向き合うように対峙している。
これだけ大きなところでデュエルするのは初めてだから少しだけわくわくするな。
隅にある椅子には赤見さんと結衣と上地の姿があった。
いわゆる観戦用の席である。
「さぁて、繋吾と言ったか! 準備はいいかぁ?」
「あぁ、いつでもいい。かかってこい」
「おっしゃ、デュエルウェポンを構えろ! いくぞ!」
「デュエル!」
郷田 LP4000 手札5
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繋吾 LP4000 手札5
先攻は郷田さんのようだ。まずはお手並み拝見と行かせていただきますか……。
デュエルがはじまると外野席から話し声が聞こえてきた。
「さぁて、どんなデュエルになるか……。楽しみだな」
「赤見班長。あの男は……本当に特殊機動班に相応しいのですか? とてもデュエルに強いとは思えませんが……」
どうやら結衣が赤見さんに質問しているようだ。
「それはこのデュエル次第でわかるだろう。お前らにはないものをあいつは持ってる」
「私たちにないもの……ですか」
赤見さんがなんの言ってることはよくわからないが……。
とりあえず、俺のデュエルをとくと見てもらうぞ。特殊機動班!
「俺様のターン! 【レスキューキャット】を召喚するぜえ!」
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【レスキューキャット】✩4 地 獣 ③
ATK/300
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ヘルメットを被った可愛らしい猫が出現した。
「見た目に寄らず可愛いモンスターを使うんだな」
「こいつはまぁマスコットキャラクターみたいなもんでな! これからとんでもない奴がボンボン出てくるから覚悟しておけよ……?」
「なに……?」
「【レスキューキャット】のモンスター効果! このカードを墓地へ送ることでデッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する! いでよ! 【XX-セイバーダークソウル】、【X-セイバーエアベルン】!」
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【XX-セイバーダークソウル】✩3 地 獣 ②
ATK/100
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【X-セイバーエアベルン】✩3 地 獣 チューナー ③
ATK/1600
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一気にチューナーモンスターとそれ以外のモンスターが並んだ。
ということは1ターン目からシンクロ召喚をしてくるつもりらしい。
これは油断できなさそうだ。
「俺様のデッキは高速の大量展開を得意としててなぁ! 容赦なく行かせてもらうぜ! 俺はレベル3の【ダークソウル】にレベル3の【エアベルン】をチューニング! "大地の力、鋼鉄なる鎧に宿し、神速の槍を貫けぇ! シンクロ召喚! 駆け抜けろ、【大地の騎士ガイアナイト】!"」
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【大地の騎士ガイアナイト】✩6 地 戦士 ①
ATK/2600
ーーー
二本の赤き槍を構えながら青き馬に乗馬した騎士のようなモンスターが出現する。
「郷田のやつ……あれ試験用のデッキじゃねぇ……。本人のデッキだ。マジで本気で戦ってるようだなあれ……」
外野の上地は郷田の様子を見ながら呟く。
「あれでは遊佐くんはどうしようもないですね。勝ち目がないと言いますか……」
「勝つなんて無理だよなー。でもまあせっかくだからどこまで足掻けるか見てあげようぜ、結衣ちゃん?」
「はぁ、あなたに言われるまでもありません。あの人がどこまで足掻けるかは少しだけ興味がありますから」
上地の問いに対して結衣は素っ気なく答えていた。
まったく俺が負ける前提で話しやがって。
だけど、逆に俺からしてみればチャンスでもある。
本気の郷田さんを倒せば、それこそ特殊機動班に勝てる能力があるって認められることにもなるからだ。
このデュエル、絶対に勝ってみせるぞ……!
「さぁて、最初のターンはこんなものか。俺はカードを1枚伏せてターンエンド。エンド時に墓地へいった【ダークソウル】の効果が発動。デッキから"X-セイバー"モンスター1体を手札に加えさせてもらうぜ? 俺は【XX-セイバーフォルトロール】を加える。さぁ繋吾、お前のターンだ」
郷田 LP4000 手札4
ーー裏ーー
ーーーーー
シ ー
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繋吾 LP4000 手札5
俺にターンが回ってくる。
しかし、あの郷田という奴。大型モンスターを出しつつも減った手札のケアも万全。
それに伏せカードも用意してくるあたり前戦ったテロリストとはレベルが違う。
さすがはSFS特殊機動班のデュエリスト。生半可なデュエルじゃ一瞬でやられてしまいそうだ。
「俺のターン、ドロー! 俺はモンスターを1体セット。カードを3枚伏せてターンエンドだ」
どうも俺のデッキは1ターン目からバリバリに動くのは難しい。
郷田さんのデッキはかなり攻撃的なデッキみたいだし、守るなら万全にしておかなければ……。
「おいおい、セットして守るだけかよ? やっぱり大したことねぇんじゃね?」
外野から聞こえるのは上地の言葉だ。
気にしていては俺が疲れるだけだ。今はデュエルに集中しよう。
郷田 LP4000 手札4
ーー裏ーー
ーーーーー
シ ー
ーー裏ーー
ー裏裏裏ー
繋吾 LP4000 手札2
「おうおうおう、随分と大人しい一手じゃねぇか。お前は守備型のデッキなんか?」
郷田さんが俺の様子を見て不思議そうに言ってくる。
守備型……ってわけでもないけど、どっちかっていうと守るタイプなのかな?
「まぁ……そんなところかもですね」
「残念だったなぁ。俺様のデッキは固い防御を打ち砕くのに特化しててな。いくぞ、俺様のターン、ドローッ!」
どんなに強いとしても、伏せカード3枚のこの布陣はそう簡単には突破できないはずだ……。
「俺は【XX-セイバーボガーナイト】を召喚するぜぇ!」
ーーー
【XX-セイバーボガーナイト】✩4 地 獣戦士 ③
ATK/1900
ーーー
「こいつが召喚に成功した時、手札から"X-セイバー"モンスター1体を特殊召喚できる。ってことで来い! 【X-セイバーパシウル】!」
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【X-セイバーパシウル】✩2 地 戦士 チューナー ④
DEF/0
ーーー
「まだまだ!俺様の場に2体以上の"X-セイバー"モンスターがいる時、こいつは手札から特殊召喚できる! 【XX-セイバーフォルトロール】!」
ーーー
【XX-セイバーフォルトロール】✩6 地 戦士 ②
ATK/2400
ーーー
「くっ……」
目の前に一気に3体のモンスターが出現した。
なんという展開力なんだ……。彼の"X-セイバー"デッキは。
「ハッハッハ! これだけじゃないぜ! さらに魔法カード【セイバー・スラッシュ】を発動! 自分の場の"X-セイバー"モンスターの数まで相手のカードを破壊できる!」
「つまり合計3枚、俺のカードを破壊するってことか……!」
たった1枚で3枚のカードを破壊するなんてとんでもないカードだ。
せっかく俺が用意した伏せカードだが、このままでは全部破壊されてしまう……。
「さぁて、このカードに対して何か発動するカードはあるか? このカードは対象を取らねぇ効果だから、その伏せカードを発動するのであれば、発動した後に破壊するカードを選ぶことになる」
「なるほどな……。ならば俺は1枚伏せカードを発動! 【トゥルース・リインフォース】! デッキからレベル2以下の戦士族モンスター1体を特殊召喚する。来い、【ドッペル・ウォリアー】!」
ーーー
【ドッペル・ウォリアー】✩2 闇 戦士 ②
DEF/800
ーーー
「壁を増やすか……だが無意味よ! 俺は残りの伏せカード2枚とその伏せモンスターを破壊する!」
「くっ!」
俺の伏せカードであった【援軍】と【攻撃の無力化】が無残にも破壊されてしまった。
だが、破壊されたモンスターは別だ。
「だがそれだけじゃ俺の守りを全て壊しきったわけじゃない! 俺は破壊された伏せモンスター。【光竜星ーリフン】の効果発動!」
「なに? モンスターにも小細工があったってことか。しぶといやつめ」
「簡単に負けるわけにはいかないんでな。デッキから"竜星"モンスター1体を特殊召喚する。来てくれ、【炎竜星ーシュンゲイ】!」
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【炎竜星ーシュンゲイ】✩4 炎 幻竜 ③
DEF/0
ーーー
「おっし、それじゃさらに展開させてもらうとするか! 来い、闘志を導くサーキット!」
郷田の前に四角い円盤が出現する。リンク召喚だ。
「俺は【大地の騎士ガイアナイト】と【パシウル】の2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! リンク召喚! 吼えよ、【ミセス・レディエント】!」
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【ミセス・レディエント】リンク2 地 獣 ①
ATK/1400 左下 右下
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上品な装飾を身につけた大きな犬型モンスターが出現する。
「こいつがいる限り、場の地属性モンスターの攻守は全て500アップし、風属性モンスターの攻守は400ダウンする! そして、リンクマーカー先にもシンクロ召喚ができるようになったぜ!」
パワーアップさせるためにわざわざ【大地の騎士ガイアナイト】を素材にしてまでリンク召喚したのか。
それに更なるシンクロ召喚が可能になった。
これはまだ展開する方法がありそうだな。
「さらに【フォルトロール】の効果発動! 1ターンに1度、墓地から"X-セイバー"モンスターを復活させる! 戻ってこい! 【X-セイバーエアベルン】!」
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【X-セイバーエアベルン】✩3 地 獣 チューナー ④
ATK/1600
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「さらにレベル6の【フォルトロール】にレベル3の【エアベルン】をチューニング! "大自然の力! 獰猛なる牙に宿し、大地を喰らう咆哮を上げよ! シンクロ召喚! 【ナチュル・ガオドレイク】!"」
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【ナチュル・ガオドレイク】✩9 地 獣 ①
ATK/3000
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その姿はライオンとでも呼ぼうか。
オレンジ色のタテガミをなびかせながら、百獣の王が出現する。
「そして、全てのモンスターの攻撃力は地属性のため、【ミセス・レディエント】の効果で500ポイントアップ!」
【XX-セイバーボガーナイト】
ATK/1900→2400
【ナチュル・ガオドレイク】
ATK/3000→3500
【ミセス・レディエント】
ATK/1400→1900
「だが、俺の場のモンスターは全て守備表示だ。例え攻撃力をあげようとダメージは受けない!」
「それは甘いぜぇ。バトルフェイズ開始時に伏せカード発動! 永続罠、【野生の咆哮】! これは俺のモンスターがお前のモンスターを破壊し墓地へ送った時、俺の場の獣族モンスター1体につき300ポイントのダメージを与える永続罠!」
今郷田さんの場には2体の獣族。つまり俺の場のモンスターが破壊される度に600ポイントのダメージが飛んでくるってことか。
「さすがですね。こちらの守備をものともしないその攻撃に特化したデュエル」
「ふっ、俺はあまりこそこそ考えるのが嫌いでな。男はパワーあるのみよ!」
脳筋というやつか。嫌いじゃないな。
「バトル、【ミセス・レディエント】で【ドッペル・ウォリアー】を攻撃! "ゴージャス・ファング!"」
【ドッペル・ウォリアー】は大きな牙に噛み砕かれ消滅した。
「さぁまずは1回目! 600ポイントのダメージだ!」
「くっ!」
繋吾 LP4000→3400
「さぁいくぞ2回目! 【ボガーナイト】で【炎竜星ーシュンゲイ】を攻撃! "クロス・スラッシュ!"」
「ぐわああ!」
繋吾 LP3400→2800
「だが、破壊された【炎竜星ーシュンゲイ】の効果発動! こいつもまたデッキから竜星モンスター1体を守備表示で特殊召喚する効果を持つ。来てくれ、【風竜星ーホロウ】」
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【風竜星ーホロウ】✩1 風 幻竜 ③
DEF/1800→1400
ーーー
「このターン耐え切ったのは褒めてやる。最後だ、【ナチュル・ガオドレイク】で【風竜星ーホロウ】を攻撃! "オーバーパワー・ファング!"」
【ナチュル・ガオドレイク】は大きく口を開き、力強く【風竜星ーホロウ】を砕き潰した。
「うわああ!」
繋吾 LP2800→2200
「まだだ! 【風竜星ーホロウ】の効果発動! デッキから【闇竜星-ジョクト】を攻撃表示で特殊召喚する」
「くぅ……。それにしてもしぶといやつだなおい」
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【闇竜星ージョクト】✩2 闇 幻竜 チューナー ④
ATK/0
ーーー
「郷田の猛攻を耐え切った上で、逆転の布石を残す。見事なデュエルだ」
「確かにそうですね。あの郷田さんの本気の攻撃を耐え切るのはそう簡単なことではないですし」
「結衣、お前のデッキも守備タイプだったな。繋吾のデュエルは何か参考になるかもしれないぞ」
「ええ、確かに不本意ではありますが、似たタイプかもしれませんね……。赤見班長がそういうのであれば参考点を探ってみます」
今の赤見さんの話だと、結衣ってやつのデッキは守備型らしい。
あの性格だと嫌らしい戦術を使ってきそうな感じがするな。
いつかは見てみたいものだ。
「だが、繋吾。お前の場には所詮低ステータスモンスターが1体のみ。そこからどう巻き返してくるのか楽しみだぜ! 全力でかかってこい! ターンエンドだ!」
郷田 LP4000 手札1
ーー罠ーー
シーモーー
リ ー
ーーーモー
ーーーーー
繋吾 LP2200 手札2