遊戯王Connect   作:ハシン

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第二章 SFS入隊
Ep9 - SFS活動初日


――郷田さんとのデュエルを終えた翌日。

 

なんやかんやでSFSに入隊はできたが、これからどう過ごしていけばいいのだろう。

昨日入隊したばかりの俺にとっては、まだSFS内のルールみたいなものもまったくわからない状況だ。

 

まぁ今日から赤見さんが色々教えてくれるみたいだし、その話を聞いてからどう過ごすかは考えてみようかな。

 

起床した俺は部屋のトイレで顔を洗いながらぼんやりとSFSについて考え始める。

 

民間軍事組織SFS。やっぱり真跡シティとかでデュエルテロが起きたら出撃してテロリストと戦う感じなのだろうか。小さいデュエルテロなんかはしょっちゅう起きてるみたいだし、そうなれば毎日のように出動してもおかしくはない。

その他には……当然、出動すれば記録なんかも残すだろうしそういった文書作成とかもあるのかな。俺、そういうの本当に苦手……というは読み書きなんてしばらくはデュエルモンスターズのカード以外ではしたことがない。

ちゃんと俺に務まるのだろうか……。

 

そんなことを考えていると部屋ベッドの近くから機械音が鳴り出す。

携帯電話の着信音と言えばわかりやすいだろうか。

 

顔を洗い終わった俺はすぐさまベッド付近の音の主を確認すべくあたりを探し始める。

 

ベッドの脇にはデュエルウェポンが置いてあった。

どうやら音の主はこいつのようだ。

そういや昨日寝る時にここに置きっぱなしにしてたっけ。

デュエルウェポンの画面には、新着メッセージ1件と表示されていた。

 

俺は手探りでそのデュエルウェポンを操作し、なんとかそのメッセージを閲覧できる画面までたどり着く。

 

"本日は朝礼にあわせて特殊機動班会議を行いますので、よろしくおねがいします。 あかみ "

 

赤見さんからのメールだった。

ひらがなで緩さアピールでもしているのかわからないが、いつもこんな感じなのだろうか。

 

そういえば通常時の朝は特殊機動班室で朝礼をやると言っていた。その開始時間と内容なんかは昨日教えてくれていたな。

ふと気になり俺はデュエルウェポンで時間を確認する。

 

すると時刻は既に朝礼開始の10分前を切っていた。まずい……このままでは遅刻してしまう。

 

俺は急いでSFS用の制服に着替えると特殊機動班室へ向かった。

 

――「失礼します!」

 

中に入ると、既に特殊機動班室には赤見さんと結衣、上地の三人がいた。

 

「開始2分前。ぎりぎりセーフだな繋吾」

 

赤見さんがにやにやしながら言ってくる。

 

「すみません……しばらく朝に早起きすることなんてなかったから慣れてなくて……」

 

しばらく路上生活をしていたものだから、時間なんて気にすることはほとんどなかった。

ゆえに時間通りに行動するっていうのはまだ慣れない。

 

「あのなぁ繋吾くん。俺たちSFSは何か事件が起きたらすぐに急行しなきゃいけないこともある。こんなギリギリじゃ作戦に支障がでてしまうんだよ」

 

上地が嫌らしい笑みを浮かべながら俺に言ってくる。

時間に間に合ってはいるのに……ダメなんだろうか。

 

「悪かったよ……。だけど時間には一応間に合ってる。遅刻はしていない」

 

「ふん、その程度の心構えで本当に何か起きたときに大丈夫なんだか……」

 

どうやらこいつはどこまでも俺に文句を言いたいタチのようだ。

あまり気にしないようにしよう。

 

「上地くん。悪いけど決闘機動班と違ってここは日常的なデュエルテロに急行するってことはほとんどないですよ」

 

上地の発言に対して結衣が横槍入れてきた。いいぞもっと言ってやれ。

味方につくとこれほどまでに頼もしい奴はいない。

 

「おっと、去年まで決闘機動班だったからつい……」

 

そういえばこの上地ってやつは、数ヶ月前から特殊機動班にいるとか言ってたか。

今の話だと前までは決闘機動班所属だったようだ。1年で異動なんて何かあったのだろうか。

 

「それにしても特殊機動班でもちゃんと時間を守って動ける結衣ちゃんはさすがだね! 尊敬しちゃうよ俺」

 

上地ってやつは、やたらと結衣のことを持ち上げるな。

好意を抱いているのだか知らないが、にやにやしながら喋るあたり露骨な反応なのが伺える。

 

「当たり前じゃないですか。私は入隊試験を主席で通過しているのですから」

 

「主席……? ってことはお前1番成績よかったのか?」

 

俺は思わず結衣に問う。

 

「ええ。あなたのようなホームレスとは格が違うんです。わかりましたか?」

 

「そうそう、お前のようなやつが気安く結衣ちゃんに話かけるんじゃねぇよ」

 

「……はいはい」

 

下手に話しかけるんじゃなかった……。

そんな話をしていると特殊機動班の最後の一人が部屋に入ってきた。

そう、郷田さんだ。

 

「悪い悪い、遅くなったな!」

 

郷田さんは頭をかきながら近くの椅子に座る。

その瞬間、赤見さんが自らのデュエルウェポンで時刻を確認し始めた。

 

「郷田、5分遅刻だぞ」

 

「いつものことだからわかってるだろう赤見! 俺は朝苦手なんだよ……。いつも言ってるじゃねえか。俺がいなくてもはじめちゃっていいって」

 

「ハハハ、そういうわけにもいかないんだよ郷田。まぁまぁ全員揃ったようだし、はじめるとするか」

 

どうやら郷田さんは遅刻常習犯のようだ。

こういう仲間がいると少し気が楽になるな。なんというか他にも遅刻している人がいると遅刻しやすい……みたいな。

 

「さてと、それでは今週の特殊機動班についてだが……先日のジェネシスの大襲撃がおわったところで各自報告書の作成等で忙しいところだろう。よって、今週いっぱいはその情報整理期間も兼ねてのデュエルの強化週間とする」

 

あれだけ大規模なデュエルテロ対応だとやはり色々と事務も大変なのだろうか。少し気が遠くなりそうだ……。

それはそれとしてデュエルの強化週間というのは一体なんなんだろう。

 

「デュエルの強化週間。班員同士でデュエル訓練するもよし、デッキの強化をするもよし。先日のデュエルテロの経験を通じて、各々のデュエルの腕を磨きなおす期間ってことだ。今週末くらいには、偵察警備班よりテロリストの調査報告が上がってくることになっているからそれまでは自由に行動してもらって構わない」

 

なるほど、つまりは各自自らの事務をこなしつつ、デュエルの腕を上げる週間ってことか。

正直、俺は報告書みたいなものはないし、自由にデュエルの特訓してていいってことになる。俺からしてみれば最高だ。

 

「おっし! なら久しぶりに筋力トレーニングし放題じゃないか!」

 

郷田さんが嬉しそうに大きな声を上げる。

デュエルじゃなくて体のトレーニングをするつもりかこの人は。その表情を見るによほどトレーニングが好きなのだろう。

彼のガタイの良さにも納得がいく。

 

「郷田、前みたいにSFS抜け出してトレーニングしに行ったりするなよな……」

 

「おう、颯。あの日はどうしても行きたくてしょうがなかったんだ。もうしねぇよ」

 

過去にSFSを抜け出してまでトレーニングしに行ったこともあるみたいだ。

一応、何かあれば出撃なんてこともあるんだろうし、無断で出て行くことはさすがに許されないんだろう。

 

「さて、新規に入隊した繋吾くんは何をしていいのかよくわからないと思う。なので、誰か1名繋吾に案内訳として、デュエル強化週間についてと併せて特殊機動班の活動について教えてやってくれないか?」

 

確かにデュエル強化週間といってもみんなが一体どういうことをしているのかがわからない。

教えてもらえるのであればそれは非常にありがたい話だ。

 

「おいおい、そういうのは赤見がやるんじゃねぇんか?」

 

郷田さんが不満そうに声をあげる。

 

「悪い。そうしたいとこなんだが、今日は国防軍へ出張に行かなくてはならないんでな……」

 

国防軍への出張。この間の左近さんの関係だろうか。

なんだか赤見さんはデュエル強化週間関係なく忙しそうだな。

 

「繋吾ちゃん。すまんが俺はあまり教えるのとかはできないタイプでな! 俺は無理そうだわ。話はそれで全部か? 赤見?」

 

郷田さんは頭で考えるより行動ってタイプみたいだしな。

教えるのは柄じゃなさそうだ。

 

「あぁ、今日の話はこれで全部だ」

 

「そうか。じゃあ俺はお先に失礼するぜ。何かあったら連絡くれよ」

 

郷田さんはそう言い、椅子から立ち上がると部屋を後にした。

 

「俺もですね赤見班長。習うより慣れろって主義なんですよ俺は。案内役はちょっと遠慮させてもらいます。それにこの間のデュエルテロの報告書。まだまったく手をつけていないんで作らなければいけませんから。では失礼しますわ」

 

次に上地までも声を上げ、部屋から出て行ってしまった。

おいおい、このままじゃみんないなくなってしまうぞ。

 

「仕方がない。結衣、任せられるか?」

 

ため息をつきながら赤見さんは結衣に声をかける。

 

「はぁ、わかりました。どうしてもやらなきゃいけないのであれば私が引き受けます」

 

まぁ結果的にそうなるわな。

嫌がらずにちゃんと教えてくれればいいんだけど。

 

ってか本当にこの特殊機動班大丈夫なのか。

人的な意味で少し心配だ。

 

「ならば繋吾、結衣から色々と教わってくれ」

 

「……わかりました」

 

赤見さんに言われて俺は渋々返事をする。

 

「悪いな結衣。無理のない範囲で大丈夫だから案内役頼んだぞ」

 

「いえ、大したことではありませんよ。赤見班長も出張お気をつけて」

 

「あぁ、ありがとう。それでは私はそろそろ行く時間だから先に失礼するよ、また後でな」

 

そう言うと赤見さんは俺たちに軽く頭を下げ足早に部屋から出て行ってしまった。

 

つまりこの特殊機動班室は結衣と二人きりの空間になったわけだが、なんて声を掛けようか迷っていると、結衣の方から話かけてきた。

 

 

「……まったく、なんで私があなたみたいなどうしようもない人の案内をしなくちゃいけないんだか……」

 

「悪かったな。そんなに嫌なら他の班員に頼めばいいだろ」

 

「何を言っているんですか。あの状況じゃ誰にも頼めないじゃないですか! それに……赤見班長がどうしてもと頼んで来たから引き受けたまでです。私は不本意ながら引き受けたことを予め申し伝えておきます」

 

いきなり不穏な空気なんだけども……。

一応今後同じ班員として活動していく仲間だ。

できることなら今後のためにも良好的な関係は築いておきたいところだが……。

とりあえず怒らせないように気をつけよう。

 

「わかってるよ……。とりあえず俺はどうしたらいいんだ?」

 

「そうですね……。あなたの部屋は空いてますか?」

 

俺の部屋で話をするってことか?

まだ何も置いてないような殺風景極まりない部屋だし来る分には問題はないが。

 

「あぁ、構わないよ」

 

「それならあなたの部屋で特殊機動班の説明をさせてください。ここで話すのは難なので」

 

幸い部屋は散らかっていなかったはずだ。

散らかってでもしたらこいつはあらゆることに口を出してくるだろう。

文句を言われるポイントは少ないほうがいい。

 

「あ、勘違いしないでくださいね。別に私があなたの部屋に行きたいわけではなく、特殊機動班の説明をあまり班員以外の人に聞かれたくないので、仕方なくあなたの部屋に行くだけですから」

 

「特殊機動班の内容ってそんなに極秘にしたいような内容なのか?」

 

「ええ。まぁ……。ジェネシス関係の話は重要事項ですし、赤見班長にあまり他の班の人に聞かれないようにと言われてますから」

 

赤見さんに? 一体どういうことなんだろう。

何か考えがあるのかもしれないな。気を付けておこう。

 

「それよりもさっさとあなたの部屋に案内してください。時間が惜しいので」

 

「まぁそう急かすなよ……。こっちだ」

 

嫌そうな表情をする結衣を連れて俺たちは自らの部屋へ向かった。

 

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