結衣 LP4000 手札3
ー裏裏裏ー
ーーーーー
エ リ
ーーシーー
ーー裏ーー
莉奈 LP4300 手札3
結衣のターンが終了し、莉奈へと移る。
どんな攻撃を見せてくるのだろうか。
「よーし、そろそろ本気見せちゃうから! 私のターン、ドロー! 私は【プチトマボー】を召喚!」
ーーー
【プチトマボー】✩2 闇 植物 チューナー ②
ATK/700
ーーー
「チューナーモンスターですか……」
「うん、これでもっと高レベルのモンスターが出せるってこと!」
今度のレベル合計は7だ。
いよいよ真打登場ってところだろう。
「いくよー! 私はレベル5の【マジカル・アンドロイド】にレベル2の【プチトマボー】をチューニング! "光風霽月! 月明かり照らされし一輪の薔薇よ! 清き雫を宿し、偽り見透かす力となれ! シンクロ召喚! 来て! 【月華竜ブラック・ローズ】!"」
ーーー
【月華竜ブラック・ローズ】✩7 光 ドラゴン ③
ATK/2400
ーーー
澄んだ光に包まれた、真っ赤な薔薇のような翼を持つドラゴンモンスターが出現する。
その翼の煌めきは思わず見蕩れてしまうほど美しかった。
「これが、あなたのエースモンスターですか」
結衣はそのモンスターを見てぼそっと呟いた。
まだ警戒してる様子は見受けられない。余裕そうだ。
「エースモンスターの"1体"ってところかな? さてと、この子の力を受けてもらうよー? 【月華竜ブラック・ローズ】の効果発動! 特殊召喚に成功した時、相手モンスター1体を手札に戻す!」
「戦闘を介せずに私のモンスターを無力化するということですか」
「その通り! その【ゴーストリックの駄天使】ちゃんにはご退場いただくよ! "ローズ・リクデーション!"」
【月華竜ブラック・ローズ】が羽ばたくと、そこから眩い光が照らされ、【ゴーストリックの駄天使】を襲う。
「そう簡単に触れさせるものですか。リバースカード発動、【迷い風】! 相手のモンスター効果を無効にし、その攻撃力を半分にする」
結衣の発動した【迷い風】から紫色をした竜巻のようなものが出現すると、その竜巻は【月華竜ブラック・ローズ】を包み込む。
たちまち【月華竜ブラック・ローズ】は、大人しくなり沈黙してしまった。
「えー! 無効だけじゃなくて半分にもするの? やるじゃんやるじゃん」
「その程度じゃ私を倒すなど程遠いですよ。野薔薇さん」
「そんなことはわかってるよ。だからさっき言ったでしょ? エースモンスターの"1体"だってね」
「なるほど。ここからが本命ってことですか」
「ふふっ、そんなところ。あなたが止めてくるのはわかってたからね」
結衣も莉奈も余裕そうな態度を一切崩さない。
お互いに相手の動きを読み切っているかのようだ。
この拮抗状態を打ち崩すのは果たしてどちらからなのだろうか。
「さらにーまたまた【アロマセラフィージャスミン】の効果を発動するね! リンク先の【月華竜ブラック・ローズ】をリリースして、デッキから【シード・オブ・フレイム】を特殊召喚!」
ーーー
【シード・オブ・フレイム】✩3 炎 植物 ③
ATK/1600
ーーー
「そしてこれ、【怨念の魂 業火】は、私の場に炎属性モンスターがいる時に、特殊召喚できるよ! 来て、【怨念の魂 業火】!」
ーーー
【怨念の魂 業火】✩6 炎 アンデット ④
ATK/2200
ーーー
今までの植物モンスターから一変。
いきなり不気味なモンスターが出てきたな。その姿は人魂のような……まるで幽霊のようであった。
「【怨念の魂 業火】が特殊召喚された時、私の場の炎属性モンスター1体を破壊しなくちゃいけないんだ。これで【シード・オブ・フレイム】を破壊するよ! だけど……」
「その破壊することが本当の狙いってことかしら?」
「お、結衣ちゃん鋭いね! この破壊された【シード・オブ・フレイム】はカードの効果で破壊された時に効果を発揮するカード。墓地からレベル4以下の植物族モンスターを特殊召喚するよ! また力を貸してね、【グローアップ・バルブ】!」
ーーー
【グローアップ・バルブ】✩1 地 植物 チューナー ⑤
DEF/100
ーーー
これで莉奈の場には再びレベル合計7のチューナーと非チューナーモンスターが揃った。
更なるシンクロ召喚を行うつもりだろう。
「さらに、効果はまだあるんだ。結衣ちゃんの場に【シードトークン】1体を守備表示で特殊召喚させるね?」
ーーー
【シードトークン】✩1 地 植物 ③
DEF/0
ーーー
「私の場にモンスターを特殊召喚……?」
相手の場にわざわざモンスターを出すなんて、普通に考えればデメリットでしかないだろう。
壁モンスターを与えるだけで、結衣の守りがさらに強固になるだけだ。
墓地からモンスターを出すための代償として考えているのか、それともこの相手の場に出したモンスターを利用するのか。
莉奈の表情を伺う限り、後者の方が可能性は高いだろう。
「何が起きるのかは、これからのお楽しみ! 私はレベル6の【怨念の魂 業火】にレベル1の【グローアップ・バルブ】をチューニング! "羞花閉月! 冷たき闇より開かれし一輪の薔薇よ! 美しき茨を宿し、愚者をいざなう力となって! シンクロ召喚! 来なさい! 【ブラック・ローズ・ドラゴン】!"」
ーーー
【ブラック・ローズ・ドラゴン】✩7 炎 ドラゴン ③
ATK/2400
ーーー
先ほどの【月華竜ブラック・ローズ】と似ながらも、先ほどの眩い光とは違い、冷たき漆黒の光を纏ったドラゴンが出現した。
「もう1体の薔薇モンスター……」
「うん! 表の顔があれば、裏の顔もある……ってやつだよ!」
「あなたみたいなモンスターってことですね」
「わ、私は裏の顔なんてないから! 変なこと言わないでよ!」
今の莉奈は明るい女の子って感じだが、いざ出撃という時はそうもいかないだろうし、なによりもこの優れたデュエルの腕だ。
もしかしたら、普段とは違った一面もあるのかもしれない。
「もうー……。結衣ちゃん変なことばっかり言うんだから……。そうやって私のイメージ悪くしようとするのやめてよね?」
「あなたが余計なこと言うからです。口は災いの元と言いますし」
「その言葉は結衣ちゃんに言ってやりたいくらいだね……」
「余計なお世話です。あなたがシンクロ召喚したことで、私は墓地から【迷い風】の効果を発動します。相手がEXデッキからモンスターを出した時、一度だけこのカードを墓地から再びセットできます」
「またそのカード使うの? まぁいいや、続けるよ。私は【ブラック・ローズ・ドラゴン】の効果発動! "ローズ・チャーミング!" 私の墓地の植物族モンスター1体、【シード・オブ・フレイム】を除外することで、相手の守備表示モンスターを攻撃表示にして、その攻撃力を0にする! こっちを向いて、【シードトークン】!」
「なっ!?」
相手の場にトークンをわざわざ出したのは、【ブラック・ローズ・ドラゴン】の効果を使用することで、攻撃の的にすることだったのか。
攻撃力が0のため、そのダメージはダイレクトアタックするのと同等だ。
「ふふっ、あなたが手札に持ってる【ゴーストリック・ランタン】は場の"ゴーストリック"が受ける攻撃も無効にできちゃう。なら、私がそれ以外のモンスターをプレゼントしちゃえば、その手も使えないよね?」
「くっ、少しは頭が回るようですね……!」
まるで手の内を読んだかのように莉奈は自信満々に言う。
結衣は少し焦りを見せたようだが、相変わらずその表情は揺らいでいなかった。
「バトル! 【ブラック・ローズ・ドラゴン】で【シードトークン】を攻撃! "ブレイジングローズ・ストリーム!"」
【ブラック・ローズ・ドラゴン】
ATK/2400
【シードトークン】
ATK/0
「そして、私はこのダメージステップに、速攻魔法【イージー・チューニング】を発動するよ! 墓地のチューナーモンスター1体を除外して、そのモンスターの攻撃力を【ブラック・ローズ・ドラゴン】に加える! 除外するのはこれ、【プチトマボー】!」
【ブラック・ローズ・ドラゴン】
ATK/2400→3100
「これで……攻撃力は3100ですか」
「そう! 結衣ちゃんのライフ、一気に削らせてもらうね!」
【ブラック・ローズ・ドラゴン】は黒き渦巻いた光線をその口元より放出する。
その攻撃は【シードトークン】をすり抜け、結衣を襲った。
「くっ、うぅ……!」
結衣 LP4000→900
結衣の守りをすり抜けた一撃で、一気にライフが3桁代になってしまった。
あと一撃でやられてしまうライフだ。今後、結衣には慎重なプレイングが求められるだろう。
「さてとー、これでもう後がないんじゃないかな? 次があなたの最後のターンかもね。私はこのままターンエンド!」
結衣 LP900 手札3
ー裏裏裏ー
ーーーーー
エ リ
ーーシーー
ーー裏ーー
莉奈 LP4300 手札1
ライフ差も場の状況も結衣が不利な状況だ。
せめてもの可能性があるとすれば結衣が伏せている3枚の伏せカードだが、1枚は【迷い風】、2枚目はおそらく前のターンでサーチした【ゴーストリック・ロールシフト】だ。
残りの1枚が気になるところではあるが、先ほどのターン発動してこなかったところを見ると、防御札というわけではなさそうだ。
幸い手札はまだ多く残されているが……今までの展開だと本当に手札が"事故"ってしまっている可能性も否定できない。
このターンが勝負だぞ……結衣。
「ではいきます。私のターン。ドロー!」
結衣はカードをドローするとそのカードをじっくりと眺める。
「さてさて結衣ちゃん。このターン何かしないとラストターンになっちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。もうあなたにターンは回ってきませんから」
「え? どういうこと?」
今の発言は……このターン中に莉奈に勝つってことか……?
まさか自滅して負けるって意味ではないだろうし。
たったの1ターンでLP4300の莉奈を倒すつもりなのか。
「このターンで私が勝つということです」
「またまた変な冗談言うんだから……私のライフ4300もあるんだよ?」
「ですから……その4300のライフを削るって言ってるんですよ。私は【ゴーストリックの駄天使】の効果を発動。オーバーレイユニットの【金華猫】を墓地へ送り、デッキから【ゴーストリック・ブレイク】を手札に加えます」
「……本気なんだね、結衣ちゃん」
莉奈の表情が急に真面目になる。
結衣の態度を見て、ただの出まかせでないと察したのかはわからないが。
「そして、この【ゴーストリックの駄天使】をリリースして、【ティンダングル・イントルーダー】をアドバンス召喚!」
ーーー
【ティンダングル・イントルーダー】✩6 闇 悪魔 ③
ATK/2200
ーーー
「わざわざエクシーズモンスターをリリースしちゃうの?」
「ええ。更なるエクシーズ召喚を行うにはこれしかありませんから」
EXデッキから出すモンスターはリンクモンスターを使用しない限りはEXモンスターゾーンにしか出せない。
それゆえの戦い方ってことか。
「そして、【ティンダングル・イントルーダー】の効果発動! 召喚に成功した時、デッキから"ティンダングル"カードを1枚墓地へ送ります。私はもう一枚の【ティンダングル・イントルーダー】を墓地へ送り、その後魔法カード【死者蘇生】を発動。2体目の【ティンダングル・イントルーダー】を特殊召喚」
ーーー
【ティンダングル・イントルーダー】✩6 闇 悪魔 ③
ATK/2200
ーーー
これで結衣の場にはレベル6が2体。
ということはランク6のエクシーズ召喚が可能になったということだ。
「私はレベル6の【ティンダングル・イントルーダー】2体をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。"紅き月満ちる闇よりいでし、血塗られた翼よ! 幻影より誘われし闇夜を穿て!" エクシーズ召喚! ランク6、【No.24 竜血鬼ドラギュラス】!」
ーーー
【No.24 竜血鬼ドラギュラス】ランク6 闇 幻竜 ①
ATK/2400
ーーー
血塗られたような真っ赤な翼を宿した吸血鬼のようなドラゴンが出現した。
「きた! 結衣ちゃんのエースモンスター!」
隣の颯が興奮気味に叫んでいる。
あれが結衣のエースモンスターなのか。
随分と恐ろしい見た目のカードを使っているみたいだが、結衣の性格からすると案外似合っているのかもしれない。
「どうやらこれがあなたの切り札ってとこかな? 攻撃力は【ブラック・ローズ】より低いってことは、何か効果があるようね……」
「ええ。そんなところです。【竜血鬼ドラギュラス】の効果発動! 1ターンに1度、EXデッキから出ているモンスター1体を裏側守備表示にできます。"クローズド・ブラッド!"」
「裏側守備表示……それで【ブラック・ローズ・ドラゴン】を守備にして戦闘破壊でもするつもり?」
「いえ、私が対象にするのは自分自身。【竜血鬼ドラギュラス】です」
【竜血鬼ドラギュラス】の背後より真っ赤に光る月が出現すると、【竜血鬼ドラギュラス】はその場から姿を消した。
「自らを裏にするなんて……。それじゃ攻撃すらできなくなっちゃうよ」
「確かにこのままではそうですね。そして、手札からフィールド魔法【エクシーズ・テリトリー】を発動。このカードがある限り、エクシーズモンスターが戦闘を行う時、その攻撃力はランクの数×200ポイントアップします」
現状結衣は自らエクシーズモンスターを裏側にしてしまっている。
エクシーズモンスターの攻撃力を上げるカードを使っても、攻撃できないんじゃ意味をなさない。
「攻撃力増加カード? ならやっぱり戦闘を行うつもりってことか……」
「そうですよ。なので私はバトルフェイズ、リバースカードから永続罠【ゴーストリック・ロールシフト】を発動!」
あれは【ゴーストリックの駄天使】でサーチしていたカード。
あのカードに結衣の秘策が隠れていたのか。
「このカードはお互いのバトルフェイズに1度、自分の場の裏側守備表示のカードを表側攻撃表示にすることができます! 再び来てください、【竜血鬼ドラギュラス】!」
空間に赤き穴が開くと、【竜血鬼ドラギュラス】がその穴をこじ開け出現する。
「そして、【竜血鬼ドラギュラス】が裏側表示から表側表示になった時、更なる効果を発動します! 場のカード1枚を墓地へ送る! 私が狙うのはその伏せカード。"ダーク・エクステンション!"」
「うそっ! なるほどねー……。わざわざ裏側表示にしてからバトルフェイズに入ったのは、私の伏せカードを潰しておくためかぁ。私の【砂塵のバリアーダストフォース】が墓地へ送られるよ」
これで莉奈を守る伏せカードはなくなった。
安心して攻めることができる場にはなったが、結衣の場には【竜血鬼ドラギュラス】1体のみ。
一体彼女はここからどのようにして4300のライフポイントを削っていくのか。
「バトルです! 【竜血鬼ドラギュラス】で【アロマセラフィージャスミン】を攻撃! "ブラッディ・サンクション!"」
【竜血鬼ドラギュラス】
ATK/2400
【アロマセラフィージャスミン】
ATK/1800
「【竜血鬼ドラギュラス】はランク6、したがってエクシーズテリトリーの効果で攻撃力が1200ポイントアップします」
【竜血鬼ドラギュラス】
ATK/2400→3600
「ううぅ……! なかなか手痛いダメージだね」
莉奈 LP4300→2500
「だけど、あなたより私のライフが多いから、【アロマセラフィージャスミン】は戦闘によっては破壊されーー」
「そう、私の狙いはそこですよ。野薔薇さん」
「えっ……?」
莉奈は結衣にそう言われると不審そうな表情をしていた。
結衣は【アロマセラフィージャスミン】の効果を知っているはずだ。
なのに、戦闘破壊できるはずの【ブラック・ローズ・ドラゴン】を狙わずに、あえて【アロマセラフィージャスミン】を狙ってきた。
結衣には何か狙いがあっての攻撃だったのだろう。
「罠カード発動、【かっとビング・チャレンジ】。自分の場の攻撃したエクシーズモンスター1体は、このターンもう一度攻撃することができます! 当然、【竜血鬼ドラギュラス】を対象に!」
「もう一度攻撃……!? そして、残り1枚のリバースカードは確か……【迷い風】……!」
「その通りです。私はこの時を待っていました。あなたの伏せカードがなくなって、戦闘破壊されない【アロマセラフィージャスミン】狙えるチャンスを。先ほどのターン私に大きくダメージを与えてくれて逆に助かりましたよ」
「結衣……! やってくれるわね……!」
「ふっ、あなたのデュエル、隙だらけでしたよ。【竜血鬼ドラギュラス】で【アロマセラフィージャスミン】を攻撃! この瞬間、リバースカードから【迷い風】を発動し、【アロマセラフィージャスミン】の攻撃力を半分にします」
【竜血鬼ドラギュラス】
ATK/2400→3600
【アロマセラフィージャスミン】
ATK/1800→900
「"ブラッディ・サンクション!"」
「いやあああ!」
莉奈 LP2500→0
結衣の勝利だ。本当にこのターン中に決着をつけやがった。
常に余裕そうにしていた態度に偽りはなかったようだ。まるで莉奈の手の内を読んで、攻撃を受けることも計算にいれたデュエル。
エリートだのなんだの言っていたのはあながち嘘ではないようだ。