遊戯王Connect   作:ハシン

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第三章 イースト区アジト襲撃
Ep23 - ジェネシスの痕跡


ーーデュエル交流会を終えた俺は夕食とお風呂を済ませると、自分の部屋のベッドで横になっていた。

 

すぐに寝ようかとも思ったが、今日の出来事が頭から離れずになかなか寝付くことができなかった。

 

桂希 楼とのデュエル。

彼とのデュエルは俺の中では色々なことを再認識させられるデュエルだった。

自分の実力はまだまだで、世の中には強いデュエリストがいっぱいいるということ。

これからのテロリストとの戦いでは、負けたら死へ繋がる可能性があるということ。

そして、この世界で生き抜くためには、確固たる戦う意志を持たなければならないということ。

 

デッキの調整とデュエルの練習はもちろんだが、なによりも俺自身復讐と思っている自分の意志は一体どこまでのものなんだろうかと考えてしまう。

 

SFSに入隊してからの日々でだいぶ気持ちは落ち着いてきたが、いざテロリストを前にした時に冷静に戦っていられるか。

そして、なによりもデュエルで痛みを受け続けたとしても、くじけずに前を向いていられるか。

まったくのダメージを受けずにテロリストを倒せるほどデュエルは甘くない。

 

初めて戦った時は……相手を倒すことだけ考えて無我夢中だったし、倒した後は我を忘れてしまっていた。

 

仮に父さんを殺した青年に会えたとしても、このままじゃ勝つことはできないだろう。

冷静さを欠いてしまっては、デュエルに勝つことなど到底できない。

自分自身をもっと強く保つ必要がある。

 

さて、どうにもこうにもまだ実戦経験が浅い以上どうしたらいいのかがまったくわからない。

こう……結論が出ないと頭の中がもやもやして、どうもすっきりしないな。

今日は難しいことは考えずに寝たいところだ。

 

それに明日は貴重なジェネシスに関する情報が聞けるとともに、赤見さんにデュエルウェポンの使い方を教えてもらう大事な日だ。

 

俺は無理やり頭に浮かんでくる悩みを打ち消しながら、なんとか眠りについたのだった。

 

 

 

ーー気が付くと窓から太陽の日が差し込み、朝となっていた。

 

えっと今何時だ……。そういえば目覚ましをセットするのを忘れていた……。

ベッドに備え付けられている時計を見ると"9時50分"と表示されていた。

これはまずい。今日は大事な日だし遅刻するわけにはいかない。

 

俺は急いで着替え、デュエルウェポンを腕に装着すると昨日夕食ついでに買ってきたパンを口にくわえながら特殊機動班室へと走り出した。

よくある女子高生スタイルとでも言ったらいいだろうか。

まぁ今このタイミングで誰かとぶつかったりでもしたら、遅刻は間違いないし、大変なことになるが。

 

向かう途中でなんとかパンを食べきり、気が付くと特殊機動班室前へたどり着いた。

デュエルウェポンを見ると時間は"9時58分"と書かれている。なんとかセーフだ。

 

ゆっくりと部屋の扉を開けると、そこには四角形状にテーブルと椅子が並べられており、右側には見慣れたメンバーである特殊機動班。左側と奥には見慣れないメンバーがそれぞれ5名ほど座っていた。

 

「遅いぞ繋吾ぉー! もうちょっと遅ければ遅刻だったのに……」

 

「おいおい、まるで遅刻して欲しそうな言い方じゃないか颯」

 

「それだったらお前をいじる理由になるだろう? なぁ?」

 

いや、既に颯にいじられているようなものだろう。

俺は苦笑いをしながら他の班の人に軽く頭を下げると、右側の一番端っこに座っていた颯の隣に座る。

 

「さて、これで全員揃ったか? 赤見?」

 

声を上げたのは奥に座っている5人の内、中心に座っているスキンヘッドをした男だ。

なかなかの筋肉質な体型をしており、まるでスポーツマンのような……よく言う細マッチョと呼ばれるような人だった。目つきは鋭く少し恐ろしい。

 

「あぁ、悪かったな。一樹」

 

「いや、いいんだ。まだ定刻じゃないしな。紅谷も大丈夫か?」

 

「ええ、はじめていただいて大丈夫よ」

 

一樹と呼ばれたスキンヘッドの男は俺たち特殊機動班からは真正面にあたる左側の席に座っている5人へ問うと、おなじく一番中心に座っていた女性の人が声を上げた。

黒髪のショートカットからほのかに赤い目を覗かせる。

結衣達より少し歳上といった印象だ。野薔薇さんほどではないが、出るところは出ている程よいスタイルをしている。

 

「それでは、ジェネシス対策会議を始めさせていただこう。確か特殊機動班には新入りがいると聞いていたが……」

 

スキンヘッドの男は俺のことを見つめながら言った。

この人に見つめられるとちょっと怖いな……。

 

「あぁ、こいつは遊佐 繋吾だ。入隊して1週間くらいになるかな。繋吾、この人は偵察警備班の班長、宗像 一樹だ。よく覚えておいてくれ」

 

この人が宗像班長。

こんな人が警備してたら、テロリストも迂闊に手は出せなさそうだ。

 

「初めまして。特殊機動班に所属することとなった遊佐 繋吾です。よろしくお願いします」

 

俺は席を立ち、宗像班長に挨拶をした。

宗像班長はしばらく俺の様子を眺めると、頷きながら口を開く。

 

「遊佐……か。なるほど。なかなか良い目をしてるなお前」

 

「そう……ですか?」

 

郷田さんにも言われたセリフだが、この人に言われるとちょっと身構えてしまう。

 

「まぁそう緊張するなよ遊佐。赤見班長とは2期生同士の仲だ。よろしくな。さてと、そっちの姉ちゃんも自己紹介しといた方がいいんじゃないか? なぁ?」

 

宗像班長は救助護衛班の中心に座っていた黒髪の女性へと話を振る。

 

「はいはい、かずくんのダル絡みが終わるのを待ってたんだよ? どうもー、遊佐くん!」

 

黒髪の女性は笑顔で俺に手を振りながら言った。

 

「お初です。あなたは……?」

 

「私は救助護衛班の班長やってる紅谷 煉って言います。出撃する時は何かと救助護衛班もお世話になると思うから、顔は覚えておいてね?」

 

「こいつの治療は荒療治だから気をつけろよ? 繋吾」

 

「ちょっと何言ってるの仁くん! 繋吾くんも治療されるならやっぱり女の子の方がいいでしょ?」

 

「ハハハ……」

 

班長同士の会話を俺は苦笑いすることしかできなかった。

どうやらこの紅谷班長も赤見さんとは仲がいいようだ。

 

「あぁ、繋吾。なんか緩い感じですまないな。一応この紅谷班長も宗像班長も私と同じ2期生の同期なんだ。少し大目に見てくれ」

 

なるほど、それならば少し納得だ。

班長同士の仲が良いことは任務においても強い連携が期待できるしいいことだ。

 

「相変わらず仁くんは固いねー、さて無駄話してばっかだと班員のみんなに呆れられちゃうからこの辺で……」

 

「紅谷、お前がこの空気作ってるんだろうよ……」

 

宗像班長が呆れた顔をしながら紅谷班長の方を見る。

 

「あ、あはは……まぁまぁ遊佐くんの緊張をほぐすためにと思ってさ」

 

確かに俺としてはおかげさまで両班へ対する緊張というものがほぐれて助かってはいる。

 

「さて……気を取り直して今日は真面目な話だから真面目にやらせてもらう。国家指定テロ組織であるジェネシスと思われる情報を昨日ようやく掴むことができた。その内容についてまず報告させていただこう」

 

宗像班長は自らの手元にある資料を見ながら喋り始めた。

 

「我々偵察警備班は、先日襲撃のあった真跡シティの中央区を中心に、近隣警備と併せて各地で調査や情報収集を行っていた。その中で妙な情報が入ってな」

 

真跡シティとは、俺の故郷……そして、ホームレス時代にもずっとお世話になっていた街のことだ。

5年前の襲撃が起きたのもこの街であり、何かとジェネシスには狙われる場所である。

 

この近辺では大都会と呼べる街で、一番栄えている中央区をはじめ、ノース区、サウス区、イースト区、ウェスト区の4つの区に分かれている。

先日の襲撃では俺の寝泊りしていたノース区もそれなりの襲撃だったが、人口の一番多い中央区は特に被害がすごかったらしい。

ニュースによると国防軍の迎撃もむなしく、多くの家屋が倒壊し、死傷者は数千人に及んだとされている。

 

SFSの本部については、この真跡シティの区外の山岳地帯に位置しており、周辺は山に囲まれている。

したがって、この襲撃の際は被害をまったく受けることはなかったようだ。

 

「比較的田舎であるイースト区の住民から聞いたのだが、どうやらここ最近、"赤見"という人物を探している男に会ったそうだ」

 

赤見って……うちの班長の赤見さんのことか?

たまたま同じ苗字ということもあるが、比較的珍しい苗字だし、そう多くはないだろう。

 

「それは……私のことなのか。一樹」

 

「間違いない、その住民はその男からSFSの話も一緒に聞いたらしいからな。気になった我々はイースト区にて調査を続けていたんだが、イースト区の多くの住民が"赤見"という人物について聞かれたと言っていた。どうやらその男はかなり熱心に聞き込みを行っているみたいだな」

 

「まぁ私のことを探していたとしても、それがジェネシスとどう関係してくるんだ?」

 

「それだけだったら我々も気にしなかったし、今日の報告も軽いものにする予定だったのだが……。実はな、昨日小規模なデュエルテロがあったんだよ。このイースト区で」

 

昨日だと……。昨日は肝心の決闘機動班も特殊機動班もデュエル交流会をやっている状態だった。

特殊機動班はまだしも、決闘機動班は襲撃があったのであれば、すぐさま現場に急行するはずじゃないのか?

 

「おい……それは本当なのか。デュエルテロがあったのならなぜ決闘機動班は動かなかった?」

 

「本当に小規模なものであったから、たまたまイースト区で調査を行っていた我々偵察警備班と現地に常駐していた国防軍だけで、その場はすぐに鎮圧できてしまったんだ。2~3件ほどの家屋の損傷と怪我人が数名。テロリストと交戦しようとしたが、ほとんどは我々の姿を見たとたんに逃げ出してしまった」

 

「何か妙だな……。もしジェネシスがやったのだとしたら規模が小さすぎる。何が目的だったんだろうか」

 

「物を盗んだりする様子もなし。おそらくはあちらも我々がいることを察しての"偵察"か何かが目的だと踏んでいる。今後大規模襲撃をするためのな。それともう一つ、俺と対峙したテロリストがやたら俺たちの身元を確認してきた。答えはしなかったが、SFSであることの確認からどこの班か。そして、最後にやはり"赤見"という人物について聞かれたんだ。おそらく住民と話していた人物と同じだろう」

 

「なに……? 私のことを探しているのがテロリストだと」

 

赤見さんは腕を組みながら、険しい表情をし考え込んでいた。

 

「2年くらい前だったか。赤見、言ってたな。ジェネシスのとある幹部の部隊に自分が狙われていると」

 

「あぁ……そうだな。私の顔を見かけては追い掛け回してくるやつ。奇襲を仕掛けてくるやつ。色々といた」

 

「だからこそ俺は今回の襲撃はジェネシスが首謀者なんじゃないかと思ったわけだ」

 

なるほど。前々から特殊機動班を狙うジェネシス幹部の存在。

そして、今回SFSの赤見さんの名前を指定して情報収集をしたテロリストの存在。

それから導き出されるものとして、この宗像班長はジェネシスのしわざではないかと考えたわけだ。

 

「なるほどな。可能性は十分にある。だけど一樹、どう手を打つつもりだ? 私が囮にでもなるのか?」

 

「いや、そこは安心してくれ。逃げたテロリストを追って行ったら、怪しげな建物を見つけたんだ。もしかしたらそこがジェネシスのアジトである可能性がある」

 

さすがは偵察警備班だ。

事前に作戦は考えてあるようだ。

 

「確証はあるのか?」

 

「そこを昨日一日見張っていたら、デュエルウェポンのようなものを持ちながら出入りする人物を何回か確認したよ。おそらく間違いない」

 

「なるほどな。つまり今回の任務はそこへの襲撃を行い、アジトの殲滅とテロリストの拘束といったところか。建物の構造はどんな具合だ?」

 

初任務ながら非常にヘビーな任務だ。

相手のアジトに乗り込んで殲滅だなんて、俺の目的からしたら好都合なんだろうが、不安な気持ちは隠せない。

 

「あぁ、建物は4階建てのマンション。端から見たら普通のマンションだ。管理人に頼んで実際に住んでいる住民を確認してみたが、見る限りは怪しい様子はなかった」

 

テロリストが一般住民のフリをして隠れていることだろうか。

 

「ってことは住んでる奴はテロリストの可能性は低いか。部屋ではなく何か別のところに抜け道でもあるってことか?」

 

「さすが赤見、その通りだ。このマンションの駐車場に大きな倉庫が置いてあってな。この倉庫の周辺にデュエルモンスターズのカードが落ちている痕跡があった。それにこの倉庫がちょうどマンションに設置されている監視カメラじゃ死角になっていてな。マンションの管理人もこの倉庫付近では何があったか確認できないってわけだ」

 

「なるほどな……。その倉庫から例えば地下に通じる通路があるとか……。そういったところか」

 

「あぁ、おそらくな。我々と交戦したデュエルウェポンを持った人物がマンション内に入れば監視カメラに映っているはず。だが、監視カメラ映像には奴は映っていなかった。ということはその倉庫が怪しいということになる」

 

ジェネシスという大きな規模の組織であれば、地下にアジトがあると言われても不思議ではない。

 

「では、その倉庫から調査をはじめて場合によっては潜入ということになるか。今回の件、国防軍は動くのか?」

 

「国防軍真跡支部の長官に話をしたんだが、国防軍は今、遠方で起きているテロ組織に占領された街の奪還作戦を行っているらしくてな。常駐部隊の一部を応援に回している関係で人手が不足しているみたいらしく、襲撃作戦の参加は難しいって話だ」

 

「なんともタイミングが悪いな……。つまりSFSの単独任務ってことか……」

 

どの程度の規模のアジトであるのかはわからないが、大手テロ組織のジェネシスのアジトともあれば、それなりの構成員がいるはずだ。

激戦は避けられないだろう。俺たちだけでなんとかなるのだろうか……。

 

「かずくん。今回の任務、決闘機動班は呼ばないの?」

 

「あぁ、白瀬班長に掛け合ったが、元々決闘機動班は民間人救助のための攻撃が先決。したがって、アジトへの襲撃についての協力は消極的だったよ。だが、マンション周辺の住宅街の警備やテロリストが逃げられないよう包囲網を張るという形なら応援は出してくれるみたいだ。だが、襲撃自体はこの3班でやらざるを得ないみたいだがな」

 

「なるほどねー……。私たち救助護衛班はもちろん協力するけど、やっぱり前線での侵入は特殊機動班にお願いできるかな……? 襲撃はちょっと不慣れで……」

 

紅谷班長は少し俯きながら言った。

 

「赤見、悪いな。俺たちもアジトの襲撃っていうのはあまり経験がない。偵察警備班は退路の確保や後方支援といった形でも問題ないか?」

 

続けて宗像班長も、申し訳なさそうな表情をして赤見さんに言う。

 

「そう言うと思っていたところだよ。安心しろ。うちには優秀なメンバーがいるからな」

 

赤見さんはそう言いながら俺たち班員の方を見てにやりと笑う。

そう思ってくれるのはありがたいが、たったの5人で可能な任務なんだろうか。

 

「いつもすまないな赤見。奴らに我々の行動がバレても困るからここは早急に作戦決行といこう。明日一日を準備期間として、襲撃は明後日の午後9時でどうだ? 赤見」

 

「それだけ時間がもらえるのなら十分だ。各班の準備割り振りはどうする?」

 

「そうだな。まず、救助護衛班は救助物資等の用意を頼めるか?」

 

「わかったよー、私に任せといて!」

 

紅谷班長は笑顔で宗像班長へグッジョブを送った。

 

「特殊機動班は襲撃のための作戦を考えておいてくれ。あと、当日の作戦指揮は赤見に任せてもいいか?」

 

「あぁ、任せてくれ。作戦が決まり次第一度班長同士で打ち合わせをしておきたい。いいか?」

 

「わかった、明日の夕方までには作戦を固めておきたいところだな。最後に我々偵察警備班は、現地の偵察を継続して、敵の情報等を可能な限り集める。何か情報が入ったらその打ち合わせの時に伝えよう」

 

宗像班長に言われて、赤見さんと紅谷班長が頷く。

さてと……いよいよ初任務か……。

一体どうなるんだかは分からないが、今は班長達を信じることとしよう。

 

「んじゃあ今日はこんなところか。一樹?」

 

「そうだな。今日はこの辺で終了としておこう。この後神久部長へこの作戦について内容を報告しに行く予定だ。各班から一人ずつくらい一緒に来てくれるか?」

 

「んじゃあー私と仁くんかな? 班長がいた方がいいだろうしね」

 

「そうだな……。午前中には済みそうか? 一樹」

 

「あぁ、そこまで時間はかからないとは思う。それでは会議はこれにて終了とする。各班員、お疲れ様」

 

宗像班長がそう言うと、一同は挨拶を交わす。

その後、偵察警備班と救助護衛班のメンバーはそれぞれ席を立ち、雑談等をしながら特殊機動班室を後にしていった。

 

「相手の規模はわからねぇが久しぶりに大任務になりそうじゃねぇか赤見」

 

郷田さんが赤見さんの肩を叩きながら声をかける。

 

「あぁ、特に相手の標的が我々である以上、心してかかる必要があるな」

 

一番の標的とされている赤見さんは気が気じゃないだろう。

だけど、なぜ赤見さんは狙われているんだろうか。聞いてみるか。

 

「それにしても、赤見さんってなんでジェネシスの奴らに狙われてるんですか?」

 

「あぁ……。過去にジェネシスの幹部がいる目の前で奴らにとって不都合なことをしてしまった。ってところかな。それから一部のやつらから狙われるようになったんだ。それにどうやらここ最近は私の名前も知れ渡ってしまったらしいな」

 

赤見さんは苦笑いしながら答えた。

 

「まぁ今は明後日の任務に集中だ。明日の夜までにはお前達にも作戦内容を伝えられると思う。夕食後の午後8時頃からにでも特殊機動班内で最終作戦会議を行うとするかな」

 

「いつも面倒ごとばかり任せてわりぃが頼んだぜ赤見。どうも俺は考えるのが苦手でな。その分切り込み隊長役は任せてくれや」

 

「わかった。郷田にはそれを頼むとするよ。では、各自作戦決行に向けて各自準備を進めてくれ。偵察警備班からの情報も明日の作戦会議で伝えさせてもらおう」

 

特殊機動班のメンバー一同が真剣な表情で頷く。

 

「赤見班長。私が力になれることがありましたら、いつでも呼んでください。それでは失礼します」

 

「同じく、俺もできる限りの協力はさせてもらいますよ! では」

 

そう言い、結衣と颯の二人が特殊機動班室を後にした。

 

「さて、繋吾ちゃんはこれから赤見とデュエルウェポンの練習だったな。赤見。神久部長への報告は俺が行っとくわ。繋吾ちゃんの方優先してくれよ」

 

「郷田……。それはありがたい。任せてもいいか?」

 

「いいってことよ! んじゃあ行ってくるわ!」

 

郷田さんはそう言うと走って部屋から出て行った。

 

「すみません。赤見さん忙しいのに付き合ってもらっちゃって」

 

「いや、いいんだ繋吾。お前の命を守る立ち場としては、当然のことだろう?」

 

俺が最初に生天目社長に言ったときの話を気にしているのだろうか。

今は俺の心配よりも赤見さんには自分の身の心配をしてほしいものだ。

この人なくして特殊機動班は成り立たない。

 

「だけど、俺よりも赤見さんの方が危ない立ち場なんじゃ……」

 

「大丈夫だ。もうかれこれ2年はずっとこんな感じだよ。それに終止符を打てるのならむしろ好都合だ」

 

赤見さんは少し笑いながら答えた。さすがだ、こんな状況でもまったく動じていないようだ。

むしろ喜んでいそうにも感じる。

 

「では繋吾。デュエル訓練場へと向かうか。予定よりも少し早いが、食堂で何か昼飯を買ってから向かうとしよう」

 

「はい、わかりました」

 

そうして俺は赤見さんと一緒にデュエル訓練場へと向かった。

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