特殊機動班室を後にした俺は、郷田さん達が練習している訓練場に向けて足を進めていた。
後ろには微妙な距離を置いて結衣がついてきている。
喋りかけた方がいいのか、そのまま黙って歩いた方がいいのかなんとも言えない距離なので、俺としては少し気まずかった。
というかこれ道は合っているんだろうか。
本音を言うとまたSFS内の構造は理解しきれていなかった。
向かっている訓練場が郷田さん達がいる訓練場なのかも正直自信はなかったが、結衣のやつが何も言わないところを見ると多分大丈夫なのだろう。
自分の記憶を信じて通路を突き進んでいくとやがて大きめの扉と決闘訓練場と書かれた看板が見えてきた。
SFSにはいくつか決闘訓練場があるが、たぶんここだろう。
「あ、遊佐くんー!」
歩みを進めていると後方から聞きなれた声が聞こえてきた。
後ろからではあるが、その声は結衣ではない。そう、野薔薇さんだった。
「野薔薇か。イースト区の時以来だな」
正確にはSFS本会議の時にも会ったといえば会ったが、会話したのはあのイースト区の時だった。
色々とあったが、あの一件で知り合いが増えたというのは嬉しい限りだな。
「そうだね! あの時は本当に助かったよー……。ってあれ、結衣ちゃんもいたんだ」
野薔薇は結衣の様子を見ると少し口元をにやつかせながら言った。
なんというか……仲が悪いんだがいいんだか……。
野薔薇は結衣のことをどう思っているんだろうな。少し気になる。
「なんですか。そのついでみたいな言い方。というか私、遊佐くんよりも手前にいたんですけど」
野薔薇が来たのは後方だ。つまり俺の後ろにいた結衣の方が先に目に付くことになる。
結衣にとってはそれは気に入らないだろう。
「ごめんごめん! 遊佐くんに用があったからさ」
「俺に用? 何かあったのか?」
「ちょっと聞きたいことがあって……」
聞きたいことか。いったい何だろう。
「……ちょっと野薔薇さん。今私たちは忙しいんです。くだらない話なら後にしてもらえますか?」
先ほどの件も含めて結衣は少し不機嫌そうにしながら野薔薇を睨みつける。
正直俺としてはその話が気になるんだが……。
「くだらなくなんかないし! 遊佐くん、今忙しいの?」
「いや、まぁ……話くらいなら大丈夫だけど……」
一瞬、結衣がすごい勢いで俺のことを睨みつけてきたような気がしたが、嘘はついていない。
俺は視線を野薔薇からそらさないように意識しながら話を続ける。
「んで、何が聞きたいんだ?」
「あのね、この間のイースト区の任務の時にさ。遊佐くんの最後のターン。ペンダントが光って……それのおかげで勝てたって言ってたじゃん? あれってどういうことなのかなって気になって」
そういえば野薔薇は間近で見ていたんだったな。
正直俺もどういう力が働いたのかはわからないが、わかる限り話してみるか。
「あぁ。正直なぜあのタイミングでペンダントが光ったのかはわからないけど、それに応えるように俺のデッキの一番上のカードが光り出してな。それをドローしてみたらデッキに入れた覚えのないカードがあった。なぜそうなったのかまではわからないな」
「ペンダントが光るって……元々電池か何かが入ってて光ったってわけじゃないのかな?」
「もらってから一度も光ったことはないし、そういうスイッチがついている代物でもない。どうやれば光らせられるのかもわからないな」
そもそもネジ穴のようなものもないし、中に電池等も入ってないだろう。
それにソーラー電池のようなものがあったのなら、今までずっと路上生活してたんだから、1回くらいは光ってるだろう。
「へえー……。不思議なものなんだねぇ。その入れた覚えのないカードって今でもあるの?」
「ちょっと待っててくれ」
そういえばあの後は逃げるのに夢中で確認してなかったな。
俺はポケットから自らのデッキを取り出し中を確認する。
めくっていくと途中で例のカードが見つかった。
ということは……新しくカードが作られたってことなのか……?
「これだ。【英霊獣使い-セフィラムピリカ】」
俺はそのカードを野薔薇へと見せる。
「あーそうそう! 最後に召喚してたやつだよね! 遊佐くん本当にデッキに入れてなかったの?」
「間違いない。そもそも俺はペンデュラムモンスターなんて持ってなかったからな」
モンスターだけでなく魔法カードとしての性質も秘めているペンデュラムモンスター。
それがこの【英霊獣使い-セフィラムピリカ】だ。
魔法カードとして発動する効果があるだけではなく、ペンデュラムスケールという数字が記載されており、それを魔法・罠ゾーンの両端にあわせて2枚置くことで、そのスケールの間のレベルを持つモンスターを手札もしくはエクストラデッキから特殊召喚できるのが特徴だ。
エクストラデッキから出せると言ったが、このペンデュラムモンスターは場から破壊された時、エクストラデッキに加わる性質がある。
すなわち、ペンデュラムスケールが揃っている限り不死身といっても過言ではないのだ。
そんな【英霊獣使い-セフィラムピリカ】だが、これ1枚だけでは残念ながらその能力までは使用できない。
「確かにデュエル見ている感じだと、遊佐くんってリンク召喚とシンクロ召喚を使ってた感じだもんねー。するとそのカードはその場で作られた……? そのペンダントの光ってたのと何か関連があるのは間違いなさそうだけど、いったい何があったんだろうね」
「そうだな……。俺も気になってるところだ。このペンダントには何か特別な力でもあるんじゃないかって思ってな。デュエルモンスターズのカードのように」
カードには不思議な力が宿っていて、それを引き出すのがデュエルウェポンだと聞いている。
デュエルモンスターズのカードを新たに作り出したのであれば、何かしらの関連はあるだろう。
「それは言えてるかも。いっそのこと機器開発班に調べてもらえば?」
「いや……これは父さんからもらった形見なんだ。あまり手放したくはない」
「大事なものなんだね。それじゃ無理もないか」
野薔薇は少し残念そうに言った。
俺としても何かそれで解明できるのならいいが、この間の赤見さんの話からすると仮に機器開発班に渡したところをテロリストに狙われたらどうしようもない。
「そろそろいいですか? 野薔薇さん。もう十分なはずです」
「もうー結衣ちゃんうるさいよ! 私はいま遊佐くんと話してるんだから!」
「人の用事を割り込んできて偉そうに……。もうあなたの聞きたいことに遊佐くんは答えました。これ以上は無駄です」
「いいじゃんお喋りくらい! どうせ結衣ちゃん、遊佐くんともあんまり喋ってないんでしょ?」
「……ッ! さっきから勝手なことを! いいからそろそろ終わりにしてください。私たちはこれからやらなきゃいけないことがあるんです!」
結衣と野薔薇はお互いに睨み合いながら言い合っている。
これ以上話を続けたら色々とめんどうなことになりそうだな。
「すまない野薔薇。そろそろ訓練場に行かなきゃいけないんだ。またの機会に」
「むー……。遊佐くんがそう言うならしょうがないか。わかったよー! んじゃまたね。遊佐くん! それとうるさい結衣ちゃん」
「いちいち余計なことを……。早くどっかに行ってください」
野薔薇は俺に向かってウィンクすると小走りで来た道を引き返していった。
本当に野薔薇はペンダントのことだけを聞きにきたみたいだったな。それほどまでに気になったんだろうか。
それとも結衣を茶化しにきたのか。真意はいまいちわからないな。
「遊佐くん」
「ん……」
結衣の低い声が聞こえて振り向いてみると案の定結衣は怒ったような表情で俺のことを睨みつけていた。
「なんであんな奴の相手なんかするんですか! 裏でなに考えているかわからない奴ですよ! 少し優しくしすぎです」
「いや……そうは言われても頼まれたら断れないだろう?」
「ペンダントの話は危険だって言われてじゃないですか! それにあんなに仲良く……」
「いやでも報告書に書かれているような内容しか俺は……」
「いいから! あいつに向かって優しい態度なんて取らなくていいんです! なんていっても"あの"決闘機動班の腹黒い人間ですよ。今度からは無視してください」
いや、無視って言われてもな……。
確かにまだ野薔薇がどんな奴かは知りきれていないが、今のところあまり悪い奴って感じはしていない。
「それはちょっとさすがに……。なんで結衣はそこまで野薔薇のことをーー」
「あなたは意識が低すぎるんですよ! 決闘機動班みたいな連中との馴れ合いはいらないんです! 仕方がありません……この私が直接遊佐くんのその腐った根性を叩き直してあげましょうか」
「え……」
結衣にしては珍しく声を張り上げながら言った。
それはつまり……どういうことなんだろう。いまいち意図が掴めないが……。
「特殊機動班としての意識がまだ低いって言ってるんです! 私とデュエルしなさい。この私がせっかくやってあげるんですから、当然あなたには拒否権なんてありませんよ」
「まぁ……デュエルなら断る理由はないが……」
「勘違いしないでください。これは遊びじゃない。あなたがどうしようもなくて、このままじゃ特殊機動班に悪影響が出てしまうから仕方なくやるんです。赤見班長に代わって私が遊佐くんの意識を叩き直してあげます!」
何がどう悪影響出るんだかわかる気がしないが……まぁとりあえず乗るか。
結衣の奴……頭もいいだろうし、デュエルもすごい強いはずなんだが、どうにもこういうところを見るとなんとも少しポンコツに見えるな。
まぁ俺が言えたもんじゃないか。完璧な人間なんていないってことだろう。
「わかったよ。結衣がそう言うんならよろしく頼む」
「ふん。では訓練場に行きますよ」
今度は結衣が前に進み俺がそれについていく形で訓練場へと向かった。
ーー訓練場には郷田さんと颯がデュエルをしている姿があったが、結衣はそれに目もくれずに、別のデュエルリングにてデュエルウェポンを構えだした。
俺もそれについていき結衣と対峙する形でデュエルウェポンを構える。
「決闘機動班との馴れ合いよりもまずは実力の向上です。あなたのデュエルなど所詮は素人あがり。特殊機動班員としてもう少し自覚していただきます」
なんだか今日はよく喋るな……。変なスイッチが入ったみたいに。
よほど俺が野薔薇と話をしていたことが気に入らないのだろうか。
だが、デュエルなら俺は全力で取り組むだけだ!
「素人あがりでもデュエルの実力なら俺も負けるわけにはいかない。全力で来い!」
「ならその実力、私に証明して見せてください。いきますよ」
「デュエル!」
結衣 手札5 LP4000
ーーーーー
ーーーーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー
繋吾 手札5 LP4000
先攻は結衣のようだ。
前回の野薔薇とのデュエルからかなり守備型のデッキなのはわかっている。
あとは無駄のない動きか。隙を見せればワンターンキルをされるかもしれない。
気をつけて攻め込まないとな……。
「私、手加減しませんから。私のターン。モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドです」
結衣 手札2 LP4000
ー裏ー裏ー
ーーモーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー
繋吾 手札5 LP4000
さすがに今回は何もせずターンエンドってことはないようだ。
さっそく伏せカードも2枚あるし、何かしらの罠は仕掛けられていそうな感じだな。
さて、ドローしてからどう戦っていくか考えるか。
「俺のターン。ドロー!」
守りに行ってもいいが、ターン数を稼ぐごとに結衣の守りが固くなっていく可能性がある以上、悠長なことも言ってられない。
ここは少し無理をしてでも攻めに行き、少しでも罠を消費させて行ったほうがいいだろうか。
「俺は【ジャンク・シンクロン】を召喚!」
ーーー
【ジャンク・シンクロン】☆3 闇 戦士 チューナー ③
ATK/1300
ーーー
「さらに手札の【ブースト・ウォリアー】は場にチューナーがいる時、特殊召喚できる!」
ーーー
【ブースト・ウォリアー】☆1 炎 戦士 ④
DEF/200
ーーー
「先に行かせてもらうぞ結衣。来てくれ、心を繋ぐサーキット! 俺は【ジャンク・シンクロン】と【ブースト・ウォリアー】の2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! リンク召喚、【水晶機朽ーハリファイバー】!」
ーーー
【水晶機朽ーハリファイバー】リンク2 水 機械 ②
ATK/1500
ーーー
「きましたか。リンク召喚」
「ああ。そして、ここからだ! 【ハリファイバー】の効果発動! デッキからチューナーモンスター1体を特殊召喚する。来てくれ【光竜星ーリフン】!」
ーーー
【光竜星ーリフン】☆1 光 幻竜 チューナー ②
DEF/0
ーーー
「そして、再び現れよ! 心を繋ぐサーキット! 俺は【リフン】1体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! リンク召喚、【リンクリボー】!」
ーーー
【リンクリボー】リンク1 闇 サイバース ④
ATK/300
ーーー
「さらに、リンク2の【ハリファイバー】とリンク1の【リンクリボー】の2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! 正しき心を導く守護の神星! 今ここに絆を繋ぐ閃光となれ! リンク召喚! リンク3、【セフィラ・メタトロン】!」
ーーー
【セフィラ・メタトロン】リンク3 光 幻竜 ②
ATK/2500
ーーー
右手に宿る水晶の槍と左手に持つ杖を交差して構えながら、黄金色の鎧を纏った騎士が出現する。
やはり俺のデュエルにはこいつは欠かせないな。
「【セフィラ・メタトロン】……。遊佐くんのエースモンスター……」
「こいつで一気に攻めさせてもらう! このままバトルだ! 【セフィラ・メタトロン】でセットモンスターへ攻撃! "ヴェンジェンス・ディバイニング!"」
【セフィラ・メタトロン】は右手に宿る水晶の槍を構え、白き翼で羽ばたくと、セットモンスターに向けて突き刺した。
「この戦闘を行うダメージ計算時に罠カードを発動します。【迷い風】! 相手モンスターの効果を無効にし、その攻撃力を半分にします」
「なに!?」
あれは野薔薇とのデュエルでも使っていたカードか。
これでは攻撃力は1250まで落ち込んでしまう……!
【セフィラ・メタトロン】
ATK/2500→ATK/1250
【魔神童】
DEF/2000
「私の守備モンスターは【魔神童】。守備力は2000なので反射ダメージを受けてください」
「くっ!」
繋吾 LP4000→LP3250
まさかいきなり守りに入ってくるとは。
だけど、迷い風を使わせたと思えばいいんだ。そう思えばこの戦闘は決して無駄ではない。
「さらに【魔神童】のリバース効果を発動します。このカードがリバースした時、デッキから悪魔族モンスター1体を墓地へ送ります。私はもう1体の【魔神童】を墓地へ送り、墓地へ送った【魔神童】の効果発動。このカードを裏側守備表示で特殊召喚します!」
リバース効果というのは裏側表示から表側表示になった時に発生する効果だ。
【魔神童】の2つの効果を駆使して1体から2体に増やしてきた。そして、もう1体は裏側表示。
さらに増やすことも可能になったということだろう。
これはなかなか厄介だな……。
「仕方ない、俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
結衣 手札2 LP4000
ー裏ー裏ー
ーーモモー
ー リ
ーーーーー
ー裏裏ーー
繋吾 手札2 LP3250
「やはり甘いですね、遊佐くん。その程度の攻めでは私を倒すことなど到底不可能です。野薔薇さんみたいなのとつるんでるからそうなってしまうんですよ」
「まだデュエルはじまったばかりだ。勝てる勝てないなんてまだわからないだろう」
「まぁ……そうですけど……。あなたは特殊機動班のことだけ考えていればいいんです! 決闘機動班……ましてや野薔薇さんなんて……」
うーん、決闘機動班を嫌っているのは前々からわかっていたが、まさかこれほどまでとはな……。
下手に口を出せばもっと取り返しのつかないことになりそうだ。
「それはわかったよ結衣。俺だって特殊機動班、そして赤見さんを裏切るようなことはしたくない。だけど決闘機動班も同じSFS内の組織だ。少しくらい交流を持っても……」
「あぁもう! あなたみたいなホームレスさんには口で言っても無駄みたいですね。直接デュエルで黙らせてあげます! 私のターン、ドロー!」
あれか、決闘機動班というよりも野薔薇のことがすごく嫌いだから話すのをやめろってことなのか……?
結衣の素直じゃない性格からするとそんな気がしてきたぞ。
だけど、それを言ったところで「そういうわけじゃありません!」とか言われてしまうんだろうが。
まぁとりあえずデュエルでなんとか収まればいいんだが……。
「反転召喚、【魔神童】。そしてリバース効果でデッキから【ティンダングル・イントルーダー】を墓地へ送ります。そして、来てください。心を変えるサーキット! 私は【魔神童】2体をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! リンク召喚、【彼岸の黒天使ケルビーニ】!」
ーーー
【彼岸の黒天使ケルビーニ】リンク2 闇 天使 ①
ATK/500
ーーー
結衣もリンク召喚を使ってくるとは。
これが彼女の本気ってところか。
「【彼岸の黒天使ケルビーニ】の効果発動。デッキからレベル3のモンスターを墓地へ送り、場の"彼岸"モンスターの攻撃力を墓地へ送ったモンスターの攻撃力分アップさせます。私は3枚目の【魔神童】を墓地へ送ります。このカードの攻撃力は0のため、攻撃力は上がりませんが、デッキから墓地へ送られたことで再び裏側守備表示で特殊召喚できます!」
さらに【魔神童】を呼ぶためだったのか。
しかし、それにしても攻撃力は500しかない。
いくら【迷い風】で攻撃力が半分になったとはいえ、【セフィラ・メタトロン】には届かないはずだ。
「さらに墓地の【ティンダングル・イントルーダー】の効果を発動。私の場にモンスターが裏側表示で特殊召喚された時、このカードを裏側表示で特殊召喚します。来てください、【ティンダングル・イントルーダー】!」
なるほど。ここまでの展開を考えてだったか。
あの【ティンダングル・イントルーダー】は上級モンスターのようだったし強力ではあるが、今は裏側表示。
普通の相手なら攻撃できないと安心するところだが、おそらく結衣の伏せカードにはそれを解決するカードがあるに違いないな……。
「バトルフェイズ、永続罠【ゴーストリック・ロールシフト】を発動! バトルフェイズに場の裏側表示モンスターを攻撃表示にできます。裏側より【ティンダングル・イントルーダー】を攻撃表示に変更!」
ーーー
【ティンダングル・イントルーダー】☆6 闇 悪魔 ③
ATK/2200
ーーー
「やはりそのカードがあったか……。いいだろう、来い!」
「言われなくてもすぐにそのエースモンスターには消えてもらいます。まずは【ティンダングル・イントルーダー】のリバース効果発動。デッキから"ティンダングル"カードを手札に加えます。私は同じ名前の【ティンダングル・イントルーダー】を手札に。そして、【ティンダングル・イントルーダー】で【セフィラ・メタトロン】を攻撃! "ダーク・ディフューザー!"」
【ティンダングル・イントルーダー】
ATK/2200
【セフィラ・メタトロン】
ATK/1250
【ティンダングル・イントルーダー】の体より黒い球体のようなものが複数出現すると、【セフィラ・メタトロン】に向かって放たれた。
その球体が直撃した【セフィラ・メタトロン】は爆発とともに消失してしまう。
「くぅ……やられたか」
繋吾 LP3250→LP2300
「続けて【彼岸の黒天使ケルビーニ】でダイレクトアタック! "マリシャス・ウィング!"」
たかが500の攻撃力だが、ここは一瞬の隙も見せるつもりはない。
「リバースカードオープン! 永続罠【リビングデッドの呼び声】を発動! 墓地からモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。再び来てくれ【セフィラ・メタトロン】!」
ーーー
【セフィラ・メタトロン】リンク3 光 幻竜 ③
ATK/2500
ーーー
「なるほど。これで攻撃力もリセットされた状態で戻ってきたということですか」
「そういうことだ。次のターン、結衣のモンスターを殲滅させてもらう」
「ふっ、私がそう簡単に攻撃を通すと思っているのですか? 私は攻撃をキャンセルし、メインフェイズ2。【彼岸の黒天使ケルビーニ】をリリースして、【ティンダングル・イントルーダー】をアドバンス召喚。そして、2体の【ティンダングル・イントルーダー】をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
低攻撃力を場から退けた上でランク6のエクシーズ召喚か。
既に【ゴーストリック・ロールシフト】がある状況下だし、結衣のエースモンスターの【竜血鬼ドラギュラス】が出てくるとなかなか厄介だな……。
「"聖なる加護を受けし光よ! 永遠の時の彼方より女神の祝福をもたらせ!" エクシーズ召喚! 来てくださいランク6、【永遠の淑女ベアトリーチェ】!」
ーーー
【永遠の淑女ベアトリーチェ】ランク6 光 天使 ③
ATK/2500
ーーー
神々しい服装に身を纏った女性が出現する。その姿は今までの結衣のデッキのモンスターとは雰囲気がまるで違う。
にしても【竜血鬼ドラギュラス】を出してこないということはあのカードにも何か恐ろしい効果が……?
「【竜血鬼ドラギュラス】ではなかったか」
「私があのカードだけを使うと思ったら大間違いです。【永遠の淑女ベアトリーチェ】の効果を発動。オーバーレイユニットを一つ使うことで、デッキからモンスター1体を墓地へ送ります。私は【ミラー・リゾネーター】を墓地へ送ります」
さらに墓地へ送ってきたということは、次に繋げる準備ってことか。
これは長くターンがかかればかかるほど不利になっていくような予感がするぞ……。
次のターンあたりでいい加減大きなダメージは与えておきたいところだな……。
「私の方が絶対にあいつなんかより強いんですから……」
「ん……?」
「い、いえ……私はこのままターンエンドです」
結衣が何か言ったような気がしたが、とりあえず次は俺のターンだ。
場には【永遠の淑女ベアトリーチェ】が1体、伏せてある【魔神童】。そして【ゴーストリック・ロールシフト】か。
今のところそれ以外に伏せカードもないみたいだし、攻めるのなら好機。
この瞬間を逃す手はないな。
結衣 手札3 LP4000
ーーー罠ー
ー裏ーーー
エ ー
ーーリーー
ー裏罠ーー
繋吾 手札2 LP2300