遊戯王Connect   作:ハシン

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Ep46 - 令嬢の機龍 後編

結衣 手札2 LP4000

ーー裏ーー

ー裏モーー

 ー ー

ーーエーー

ーーー裏ー

茶髪の女性 手札1 LP2625

 

「私のターン、ドロー」

 

茶髪の女性は口元をにやつかせながら、そっとカードを1枚ドローする。

さて……どうくる……。私の手札には攻撃を守る【ランタン】。そして、【ランタン】を利用して攻撃をさらに止められる【ゴーストリック・ロールシフト】もある。

守備表示モンスターも2体いるし、そう簡単に私にダメージを与えることはできないはず……。

 

「では……手札より【セイクリッド・ソンブレス】を召喚! 効果を発動、墓地の"セイクリッド"モンスターを1体除外することで、墓地から"セイクリッド"モンスターを手札に戻すことができる。私は【セイクリッド・ポルクス】を除外して、【セイクリッド・カウスト】を手札に加えるわ」

 

ーーー

【セイクリッド・ソンブレス】☆4 光 天使 ④

ATK/1550

ーーー

 

墓地からカードを回収できるカードか……。エクシーズ召喚の損失を抑えるようなカードだろうけど、単体では恐るに足らない。

 

「さらに! この効果を使った後に、もう一度だけ"セイクリッド"モンスターを召喚できるわ! 来なさい、【セイクリッド・カウスト】!」

 

ーーー

【セイクリッド・カウスト】☆4 光 獣戦士 ②

ATK/1800

ーーー

 

「これで2体……」

 

更なるエクシーズ召喚が可能になってしまった。

そして、【セイクリッド・カウスト】の能力を用いればランク3からランク5まで好きなモンスターを出せるってところからすると出せるモンスターの種類は幅広い。

どんな方法で攻めてくるかは未知数だ。

 

「ふふふ。エクシーズ召喚したいところだけど、ここはバトルが優先ね」

 

「いいでしょう……」

 

私の壁モンスターを崩す方を優先してきたか。迎え撃つのみ!

 

「【セイクリッド・ソンブレス】で【ジェット・シンクロン】を攻撃! "セイント・フェザーレイン!"」

 

「くっ……」

 

無数の白く輝く羽のようなものが【ジェット・シンクロン】へ突き刺さり、たちまち破壊されてしまった。

 

「さらに、【セイクリッド・プレアデス】でセットモンスターを攻撃! "ギャラクシー・スラスター!"」

 

「セットされた【魔神童】が破壊されますが、リバース効果を発動! デッキから悪魔族モンスターである【ティンダングル・イントルーダー】を墓地へ送ります」

 

「さてと、手札の厄介な子にも出てきてもらうわよ? 【セイクリッド・カウスト】でダイレクトアタック! "シャイニング・アロー!"」

 

【ゴーストリック・ランタン】はさすがに読まれているか。

 

【セイクリッド・カウスト】の手に持つ弓から矢が私に向かって放たれる。

だけどダメージを通すつもりはない!

 

「手札から【ゴーストリック・ランタン】の効果を発動! このカードを裏側守備表示で特殊召喚することでダイレクトアタックを無効にする!」

 

「このターンも止められちゃったかー。防御が固いこと……あなたが固い喋り方なのも納得だわ」

 

「余計なお世話です」

 

これが私のデュエルスタイル。私の性格は……まぁ自分でも自覚してるくらいには歪んでるとは思うけど……。

それは……そうでもしないと生きてこれなかったんだ。

赤見班長に会うまでは……。うん、だからしょうがないんです。

 

いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。

ここまでの攻撃も私の読み通り。次のターンの反撃の準備はもうできてる。

 

「そして、ここで墓地の【ティンダングル・イントルーダー】の効果を発動します! 私の場にモンスターが裏側守備表示で特殊召喚されたことで、このカードを裏側守備表示で特殊召喚します!」

 

「なるほどー……。しっかり次のターンを考えての行動だったわけね。なかなかやるじゃない?」

 

「無駄口叩くくらいなら早くターンエンドしたらどうですか?」

 

「可愛くない子……なら私はメインフェイズ2に現れなさい! 銀河を導くサーキット! 私は【カウスト】と【ソンブレス】の2体をリンクマーカーにセット。サーキット・コンバイン! リンク召喚! リンク2、【ハイパースター】!」

 

ーーー

【ハイパースター】リンク2 光 天使 ②

ATK/1400

ーーー

 

リンク召喚をしてきたか。

あれは……確か私の使ってる【見習い魔嬢】と同類の効果を持っていたモンスターだったはずだ。

 

「このカードが存在する限り、光属性モンスターの攻守は500ポイントアップし、闇属性は400ポイントダウンする」

 

「私のモンスターはステータスが下がるということですか……」

 

「その通りよ。そしてあなたも見せてくれたランクアップ。あの程度私だって当然できるのよ?」

 

「ランクアップ……!」

 

RUMカードを用いたランクアップとモンスター効果で手軽にランクアップできる二種類のランクアップがある。

私のデッキは両方扱えるデッキだけど、あの女性はどっちだろう……。

 

「私は……【セイクリッド・プレアデス】1体でオーバーレイネットワークを再構築! "天上に響く龍の轟咆! 煌めく龍機に魂宿し、星々の黄昏より降臨しなさい! ランクアップ、エクシーズチェンジ! 【セイクリット・トレミスM7】!"」

 

ーーー

【セイクリッド・トレミスM7】ランク6 光 機械 ③

ATK/2700→3200

ーーー

 

純白の体をした細長い機械竜のようなモンスターが夜空のような模様をした翼を広げながら出現する。

セイクリッドモンスターの進化した姿というべきだろうか。

攻撃力は先ほどの【プレアデス】よりも高くなっている。その力はランク6にふさわしいといったところか。

 

「【セイクリッド・トレミスM7】は自身の効果でエクシーズ召喚した場合は、そのターン効果を使うことができない。ふふふ……私はターンエンドよ」

 

結衣 手札1 LP4000

ーー裏ーー

ー裏裏ーー

 ー リ

ーーエーー

ーーー裏ー

茶髪の女性 手札1 LP2625

 

どんなに強い効果を持っていたとしても、次のターンで倒してしまえばいいだけの話。

私を舐めてもらっては困りますね……。

それはさておき、このターンは何が引けるかな……。

 

「私のターン、ドロー!」

 

よし! この状況ならいい感じのカードを引けたかな?

相手もエクシーズ使いだとちょっと使いづらいけど、相手がリンクモンスターを出しているのなら、ちょうどいい機会だ。

 

「私はフィールド魔法【エクシーズ・テリトリー】を発動!」

 

「あら? 私もエクシーズを主体としているのに、そんなカード使っていいのかしら?」

 

「ええ。あなたの場にはリンクモンスターがいますからね」

 

「この【ハイパースター】が狙いってわけね」

 

「はい。そして、セットされている【ティンダングル・イントルーダー】を反転召喚! リバース効果で同名モンスターを手札に加えた後、場の【ゴーストリック・ランタン】をリリースして、アドバンス召喚!」

 

ーーー

【ティンダングル・イントルーダー】☆6 闇 悪魔 ②と③

ATK/2200→1800

ーーー

 

「レベル6のモンスターが2体……真打登場ってところかしら?」

 

「ええ。覚悟してください。私はレベル6の【ティンダングル・イントルーダー】2体をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! "紅き月満ちる闇よりいでし、血塗られた翼よ! 幻影より誘われし闇夜を穿て!" エクシーズ召喚! ランク6、【No.24 竜血鬼ドラギュラス】!"」

 

ーーー

【No.24 竜血鬼ドラギュラス】ランク6 闇 幻竜 ①

ATK/2400→2000

ーーー

 

フィールドに紅き月が出現するとそこから割って出てくるように吸血鬼のような風貌をした竜が出現した。

今日も頼みますよ。【ドラギュラス】。

 

「さて、何を見せてくれるのかな?」

 

「では、さっそく【ドラギュラス】の効果発動! 自らのオーバーレイユニットを一つ使い、場のEXデッキから特殊召喚されたモンスターを裏側守備表示へ変更します!」

 

「それで私の【トレミス】を裏側にして戦闘破壊が狙いってところかしら」

 

「いえ、私が裏側にするのは【ドラギュラス】自身です。"クローズド・ブラッド!"」

 

私がそう宣言した後に、【ドラギュラス】は自らの羽を閉じ、裏側表示へのカードへ姿を変えた。

 

「そう、つまりは何か考えがあるようね?」

 

「もちろんですよ。ではバトルフェイズに入りリバースカードオープン! 【ゴーストリック・ロールシフト】発動! バトルフェイズ中に私の場の裏側表示モンスターを表側攻撃表示に変更させます! 姿を現して、【竜血鬼ドラギュラス】!」

 

ーーー

【No.24 竜血鬼ドラギュラス】ランク6 闇 幻竜 ①

ATK/2400→2000

ーーー

 

再び紅き月と共に【ドラギュラス】は姿を現す。

だが、その場所は私の前ではなく【セイクリッド・トレミスM7】の背後だった。

 

「【ドラギュラス】がリバースした時、場のカード1枚を墓地へ葬ります。消えてください、【セイクリッド・トレミスM7】! デッドリィ・スローター!」

 

「くっ……なるほどね」

 

【トレミス】は喉元に当たる部分を鋭利な爪で引き裂かれ、悲鳴をあげながら消滅した。

 

「さらに、【ドラギュラス】で【ハイパースター】を攻撃! この瞬間、フィールド魔法【エクシーズ・テリトリー】の効果により、攻撃力がランク×200ポイント……つまり1200ポイントアップします。"ブラッディ・サンクション!"」

 

【竜血鬼ドラギュラス】

ATK/2000→3200

【ハイパースター】

ATK/1400→1900

 

続けて【ドラギュラス】は【ハイパースター】へ接近し、自らの両翼を大きく広げると、振りかぶりながら赤黒い衝撃波のようなものを解き放った。

その衝撃波は【ハイパースター】へ直撃した後に、貫通するようにして茶髪の女性にもその衝撃は届いていた。

 

「くぅぅ……思ったよりやるじゃない……」

 

茶髪の女性 LP2625→LP1325

 

茶髪の女性は衝撃によって、後ろに吹き飛ばされ思わず手を付きながらバランスを崩すが、すぐに受身を取ると再び立ち直した。

あの身のこなしはやはり只者ではなさそうだ。

 

「ふふふ……」

 

だが、その表情は不気味な笑みに包まれていた。

一体何を考えているのだろうか。どう見ても状況的にはこちらが有利。

負けそうになって頭がおかしくでもなってしまったのだろうか。

 

「急に笑い出して、気味が悪いですね」

 

「あら、失礼じゃない。随分といい気になっちゃって……。だけど、ここまでやらせてあげたんだからもう私も思いっきりやっていいわよね? 君?」

 

「……どういうことですか?」

 

「まさかあなた自分が勝てる……だなんて思ってない?」

 

そりゃ……私の方が優勢だし、それにライフポイントはまだ無傷のままだ。

【ドラギュラス】がいれば、大体のエクシーズモンスターは裏側表示にして無力化できるし、見た限りもうひと押しで勝てそうな状況だろう。

もちろん、油断しているわけではないけど……。あの人は何かを企んでいる……?

 

「まぁいいわ。私は【ハイパースター】の効果を発動。破壊された時、墓地の光属性モンスターを手札に加えることができる。私は【セイクリッド・ソンブレス】を手札に戻すわ」

 

一応、念には念を……できるだけの準備はしておこうかな。

 

「わかりました。ではさらに魔法カード【ダーク・バースト】を発動。墓地から【ゴーストリック・ランタン】を手札に戻し、私はターンエンドです」

 

これで、守りも大丈夫だ。

最悪、【ドラギュラス】がやられたとしても、手札の【ゴーストリック・ランタン】と【ゴーストリック・ロールシフト】のコンボで大体の攻撃は防げるし、次のドロー次第ではあるけど、なんとか巻き返しは狙えるはず。

私の戦術に抜かりはない……はず。

 

 

結衣 手札1 LP4000

ーー罠ーー

ーーーーー

 エ ー

ーーーーー

ーーー裏ー

茶髪の女性 手札2 LP1325

 

「ふふふ……そろそろ頃合ね……! いくわ……私のターン……!」

 

やたら自信有りげに女性はデュエルウェポンへと手を伸ばす。

さっきのターン【セイクリッド・ソンブレス】を手札に戻していたからそのカードを使って何かしらエクシーズ召喚するつもりだろうけども、【ドラギュラス】の効果を使えばそのエクシーズモンスターを裏側表示にすることができる。

問題は残りの1枚の手札とこれからドローするカード。そしてずっと伏せられたまま発動しない伏せカードの3枚か。

何かタイミングを伺っていたのだとしたら、あの伏せカードに何かありそうな気はするな……。

 

「そろそろ私の本気を見せてあげるわ!」

 

女性がそう叫ぶと、再び手に持つ赤いペンダントが光りだした。

今はバトルフェイズじゃないけど……一体何が……。

 

「ドロー! ふふふ……なるほどね。これが"破壊"のために導き出された最善のカードってことか。私は【セイクリッド・ソンブレス】を召喚!」

 

ーーー

【セイクリッド・ソンブレス】☆4 光 天使 ③

ATK/1550

ーーー

 

何を引いたかはわからないけど、私の予想通り【セイクリッド・ソンブレス】を召喚してきた。

また、【セイクリッド・プレアデス】でも出してくるのかな……?

 

「狙いはエクシーズ召喚ですか」

 

「ええ、もちろん! 効果によって、墓地から【セイクリッド・プレアデス】を除外することで【セイクリッド・カウスト】を加えた後、追加効果によりそのまま【セイクリッド・カウスト】を召喚するわ!」

 

ーーー

【セイクリッド・カウスト】☆4 光 獣戦士 ④

ATK/1800

ーーー

 

「私は【ソンブレス】と【カウスト】の2体をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! "解き放たれし閃光よ! 星々煌く夜空の彼方より正義の鉄槌を! エクシーズ召喚! ランク4、【セイクリッド・ビーハイブ】!"」

 

ーーー

【セイクリッド・ビーハイブ】ランク4 光 機械 ②

ATK/2400

ーーー

 

先ほどの【プレアデス】に似た格好をした聖騎士と呼ぶにふさわしいモンスターがその自慢の大きな拳を振り上げながら出現する。

見た目からするとなかなか攻撃的なモンスターな印象を受けるけど、効果を使うべきか否か。

あれが本命ではない可能性もあるし、効果を受けてから考えてみようかな。

 

「そして、ここからが本番よ……手札から魔法カードを発動!」

 

女性は大きな声で一枚のカードをこちらに見せながら叫んだ。

あのカードは……うん。私が知らないはずがない。

 

ーーー

【RUMーアストラル・フォース】

通常魔法

ーーー

 

モンスターをランクアップさせる魔法カード。

その中でもあの【アストラル・フォース】はモンスターのランクを2つも上げる強力なカードだ。

【プレアデス】を出さなかったのは、さらに強力なモンスターを呼べる状況下にあったからか。

私の読みは間違ってなかった。

 

あのカードにも一つ大きな弱点がある。

発動時点に対象となるエクシーズモンスターが存在しなければそもそもエクシーズ召喚扱いの"ランクアップ行為"自体ができなくなるのだ。

つまり……あの【アストラル・フォース】にチェーンして、私の【ドラギュラス】の効果を使い、【セイクリッド・ビーハイブ】を裏側守備表示にしてしまえば、あのカードは効力を発揮できずに墓地へ送られる。

 

ふふっ、あの女性の悔しがる姿を見れそうだ。

この勝負はもらいましたよ!

 

「ならば! 私は【竜血鬼ドラギュラス】の効果を発動! EXデッキから特殊召喚されたモンスターを裏側守備表示にします! もちろん対象は【セイクリッド・ビーハイブ】。"クローズド・ブラッド!"」

 

「ふふ……その子も相手ターン中に効果を使えたのね。なるほどね……だからペンダントはこのカードを……。正しき破壊の衝動に応えてくれる力……いいものね」

 

「……何をぶつぶつと……いいから裏にーー」

 

私がそう言いかけた途端、【竜血鬼ドラギュラス】の体に電撃のようなものが流れ始め、動きが止まる。

一体何が……。

 

「チェーンして……速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動していたわ。相手のモンスター効果を無効にして、その攻撃力を400ポイント上昇させる」

 

【竜血鬼ドラギュラス】

ATK/2400→2800

 

「なっ……!?」

 

まさか私のカード効果を無効にしてくるなんて……。

これじゃ【アストラル・フォース】の効果は有効……?!

 

「ふふふ……今こそ見せてあげるわ……私の切り札を! 私は【セイクリッド・ビーハイブ】1体でオーバーレイネットワークを再構築! 虚空に轟く龍の障壁! 禍々しき龍機に魂宿し、終わり無き輪廻より降臨しなさい! ランクアップ、エクシーズチェンジ! いでよ! 【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

ーーー

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】ランク6 光 機械 ②

ATK/2100

ーーー

 

赤黒いボディに、所々が白く輝く翼を生やした機械竜がその場に出現する。

赤色の稲妻とでも言おうか。至るところで迸っており、いかにも強化されているような様子が伺える。

それにどこか狂ったような……暴走しているようなイメージを受ける。

 

攻撃力はさほど高くないみたいだけど……一体どんな効果が……。

 

「いつ見ても美しいわ……【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】……。ふふふ……」

 

「くっ……。だけど、攻撃力はあなたのカードのおかげでこちらの方が700ポイントの上。どうするつもりですか?」

 

「まぁ焦らないで君? この【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】は3つの効果があるの。まずは1つ目、このカードの攻撃力はオーバーレイユニット一つにつき、200ポイントアップするわ」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK/2100→2700

 

3つも効果が……。それなら私の【ドラギュラス】も似たようなものだけど……。

だけど、あのカードのオーバーレイユニットは合計3つ。それでも攻撃力なら私の【ドラギュラス】の方が上だ。

 

「残念ながら届きませんね。あなたの【禁じられた聖杯】のおかげです」

 

「せっかちさんね。そんなこと大した問題じゃないのよ。2つ目の効果! 1ターンに1度、相手の攻撃表示モンスターを吸収し、このカードのオーバーレイユニットとすることができる!」

 

「嘘……? オーバーレイユニットに……!?」

 

破壊でも墓地送りでもない。その上を行く効果を持っているとは……。

【ドラギュラス】はカードの効果等でフィールドを離れる場合は裏側守備表示で特殊召喚される強力な効果があるのだが、これではその効果の範囲外だ。

 

「ふふふ……あなたの大事な【ドラギュラス】。私のための贄となりなさい! "リミット・アブソーバー!"」

 

「そんな……やめて……! 私の【ドラギュラス】を……!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】が赤い電撃を迸はじめると、【ドラギュラス】は吸い寄せられるように接近していき、徐々にその姿は透明へと変わっていく。

そして、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】と重なるようにして、交わっていった。

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK/2700→2900

 

そんな……私の大事な【ドラギュラス】が……。

いつだって信頼のおけるカードがこうも容易く……なんといってもあいつに吸収されてしまうなんて……。

 

「あ……」

 

私が手を伸ばした頃には既に【竜血鬼ドラギュラス】の姿は跡形もなく消え去って一つのオーバーレイユニットとして【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の周りを漂っていた。

いつだって、どんな時でも私と一緒にいてくれたカード達。それをただの破壊ではなく奪われるという光景は、どうしても怒りがこみ上げてくる。

絶対に取り返してあげるから……待っててください……!

 

「ふふふ……戦意喪失しちゃったかな?」

 

「……舐めないでください! 私がそんなに弱い人間だと? 絶対にそのモンスターを倒して、そして……あなたを倒します!」

 

「随分と自信のあること……そうは言ってもあなたの場はガラ空きなのよ? いずれにしてももう勝ち目はないわ」

 

「それはやってみなきゃわからないはずです! まだ私のターンで逆転するチャンスはあります!」

 

「試してみる? ならばバトルよ! 【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック! "ルナレイト・インフィニティ・バースト!"」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の口元に赤黒いエネルギーが充填されると、私目掛けて解き放たれる。

あんなもの喰らったらとんでもない衝撃を受けることになりそうだ。

でも……喰らうものか!

 

「……手札から【ゴーストリック・ランタン】の効果を発動! このカードを裏側守備表示でーー」

 

「私はね! 同じ光景を見るのが嫌いなのよ。【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動! 1ターンに1度、このカードのオーバーレイユニットを一つ使うことで、相手の発動したカード効果を無効にし、破壊する! 消えなさい、"エタニティ・インディグネイション!"」

 

「そん……な……!?」

 

私の手札にいた【ゴーストリック・ランタン】のカードに電撃が纏うと、徐々に灰色へと染まっていく。

これでは攻撃を防げない……!

 

「ふふふ……いい悲鳴を聞かせて頂戴……!」

 

茶髪の女性がそう言うと、手元の赤いペンダントの輝きがさらに増した。

痛みはもう……覚悟するしかないか……。

だけど、攻撃力はオーバーレイユニットを使ったことで200ポイントダウンし、2700になった。

私のライフポイントはまだ残る……! 

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK/2900→2700

 

目の前には膨大なエネルギーを充填させた【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】。

今にもその力が解き放たれそうな状況だ。

私は全身に力を入れながら、ダメージを覚悟で警戒体制を取る。

 

「くっ……ですけど私はまだ……諦めません……!」

 

「残念だけど、もう終わりなんだよね。リバースカードオープン。速攻魔法【リミッター解除】を発動するわ。場の機械族モンスターの攻撃力を2倍にする」

 

「【リミッター解除】……!?」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

ATK/2700→5400

 

眼前のエネルギーがさらに膨大な大きさへと変化していく……。

待ってください……これじゃ私の負け……? 私が……。

戦術に間違いはなかった。私の想定では勝てるはずの展開だったのに……どうして……。

ペンダントのことに気を取られすぎた……? 伏せカードを軽視しすぎたせいかもしれない。

もう過ぎたことを考えていてもどうしようもないか。

 

私……まだ死にたくない……。

だけど、一人できてしまった以上、助けが来るなんてことは……。遊佐くんには避難するよう言ってしまったし、赤見班長は忙しそうにしていたし……。

国防軍の人がいる可能性はあるかもしれないけど、期待はできないだろう。

 

私の手は無意識にデュエルウェポンの救難信号発信ボタンを押していた。

誰か……見ず知らずに人でもなんでもいい。助けてください……。

せっかく自分の生きる道を……SFSによって見つけられたというのに、死にたくない。

 

「あ……あぁ……」

 

私は【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の攻撃から逃げるように壁へと後ずさり、そして尻餅をついてしまう。

怖い。私は今まで戦場で負けたことは一度もなかった。負けたら一体どうなってしまうんだろう。

吸収されてしまったら、もう二度と喋ることも……デュエルすることすらできなくなってしまうだろうな。

 

「ふふふ……いい表情してるわよ? 消えなさい!」

 

「嫌……助けて……ください……」

 

私の呟きをかき消すように、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】から赤黒い光線が解き放たれ、私の体に直撃する。

そして、全身を焼き尽くされるような痛みが襲いかかってきた。

 

「いやあああああ!」

 

手足がちぎれそうな程痛み、そして焼けるような感覚が全身にくる。

とても立っていられるものじゃない。攻撃が終了した後、私はその場に突っ伏すように倒れてしまった。

 

だめだ……もう……。うごけ……ない……。

茶髪の女性の笑い声がかすかに聞こえたが、もはや言葉を返すほどの気力は私には残っていなかった。

そして、あまりの痛みに耐え切れず私の意識はそこで途切れていった。

 

結衣 LP4000→LP0

 

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