遊戯王Connect   作:ハシン

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Ep48 - 宿敵

俺の目の前に突如現れた黒髪の青年。

あの顔を忘れるわけがない。

 

今から5年前、俺の目の前で父さんを殺した張本人。

あの時とは髪型も姿も多少変わってはいるが、見間違えるわけがない。

 

ようやく見つけたぞ……俺の5年間の願望を達成できる最大のチャンスが予期しないところで舞い込んできたのだ。

あの青年をぶっ倒すために俺はSFSに入り……このデュエルウェポンという対抗手段を身につけた。

絶対に逃がさない。ここで俺が父さんの無念を晴らす!

 

「ようやく見つけたぞ……人殺しがッ!」

 

俺は青年に向かって叫びながらデュエルウェポンを構える。

 

「あれー? 僕のこと知っている様子? おかしいなあ……初対面なはずなんだけど」

 

「とぼけるんじゃねえ! 忘れたとは言わせねぇぞ……。今から5年前。俺の父さんを殺したお前の罪……。絶対に許さねぇ……!」

 

「5年前……。ああ、なるほど。遊佐ってことは、あの時窓にいたガキが君だったってわけか。あの時は僕も後悔したよ。君のことをもっと注視してあの場で殺しておけばよかったってね。まさか遊佐 真吾が自らの子供にペンダントを渡しているなんて思いもしなかったよ」

 

「ふざけるんじゃねえ……。私欲のために人の命を弄びやがって……。自分が何をしているのかわかっているのか!」

 

「ああ、わかっているさ。この腐った世の中には少しだけ罰が必要なんだよ。それをこの僕が与えたあげただけさ」

 

何が罰だ。

それが何にも罪のない人間を殺すことだって言うのかよ。

そんなこと認められるはずがない……!

 

「それはお前の身勝手な考えだ! 結局はデュエルウェポンという強大な力を用いて、自分が気に入らない人たちを殺しているだけだろうが!」

 

「ふっ……君は何もわかってないね? 僕たちジェネシスがそんなちっぽけな理由だけで活動していると思ったのかい? そのペンダントのことも何も知らないくせにさ!」

 

「なんだと……?」

 

確かに奴が言うとおり、俺はこのペンダントに関してはよくわからない。

だけど、このペンダントにはとてつもない力が宿っているのは、さっきの結衣を守った謎の光からも理解している。

強大な力も使いようだ。悪意を持った人物が使えばそれは大変な兵器となる。

 

「まっ、僕たちの活動理由を知ろうが知りまいが、君はここで死んでもらうよ。ま、その胸元のペンダントを渡してくれるっていうのなら命だけは助けてあげてもいいけど?」

 

奴らがこのペンダントを使って何をしようとしているのか目的はまったくわからないが、ただでさえ人殺しをしている奴らに渡せたもんじゃない。

絶対に渡してやるか……。この際命なんて惜しくない……!

 

「この期に及んで命乞いなんてするわけねえだろ! 上等じゃねえか……。むしろ俺はお前を倒すためにここまできたんだ。やってやるよ……かかってきやがれ!」

 

「僕とデュエルする気? いいよ。国防軍の連中って手応えなさすぎて飽き飽きしてたところだったんだ。少しは楽しませてくれよ! 遊佐 繋吾!」

 

「その口利けなくしてやる……!」

 

不思議と負ける気がまったくしない。

今ならどんな相手でも叩き潰せる気がする。

ここ5年間ずっと願っていたものが達成できようとしているんだ。これほど俺にとって嬉しいことはないだろう。

喜びと憎しみの気持ちが入り混じって言葉では言い表せないようなよくわからない気分になっていた。

 

早く……モンスターの攻撃であいつがひれ伏す姿が見たくて仕方がない……。

あいつの痛がる姿……それを目の当たりにしてこそ、俺のこの怒りは満たされる……。

 

俺の考えはどんどんエスカレートしていき、歯止めが効かなくなりつつあった。

 

しかし、後方より俺の名前を呼ぶ声が聞こえるのに気づき、振り向く。

 

「繋吾くん……」

 

「悪いな結衣。こいつは俺の問題だ。必ず勝つから安心してくれ」

 

「違うんです。今のあなたは冷静さを欠いてしまってます。さっき言ってたじゃないですか。奮戦と無謀は別物だって……」

 

「俺じゃあいつには勝てないって言いたいのか? そんなことはやってみなきゃわからないじゃないか。口出し無用だ」

 

「あの人は……赤見班長でも逃げ出すくらいの……そして、過去に特殊機動班をほぼ全滅に追い込んだ程の人物なのですよ……」

 

「だからなんだって言うんだ! 悪いな結衣。俺はこいつを倒すために生きてきた。ここで戦うことこそが俺の生きる意味なんだよ!」

 

「お願いです……考え直して……」

 

結衣は真剣な眼差しで俺のことを見つめてくる。

くそ、調子狂うじゃないか。こんなチャンス二度とないっていうのに……。

 

「ふふふ……さて行こうか!」

 

黒髪の青年はデュエルウェポンを構えこちらへと歩いてくる。

結衣の先ほどの発言が脳内に残り、徐々に思考が混乱してきた。

俺がもし負けたら……。いや、あいつに負けるはずがない。だが……その自信や根拠はどこだ……。

待て待て、俺は何を考えているんだ。

集中しろ。目の前には俺がずっと倒したいと望んできた人物。戦わない理由はない。例えこの命が果てたとしてもだ。

 

「待て!」

 

その俺の思考を打ち砕くかのように倉庫の入口から聞き慣れた声が倉庫内に響き渡る。

そして、その人物はあっという間に黒髪の青年へ近づくと、デュエルウェポンを構えだした。

 

「赤見くんか。いちいち邪魔しやがって……」

 

そう、その人物は赤見さんだった。

そういえば赤見さんもこっちに来ると言っていたか。

 

「悪いな、繋吾。こいつの相手は俺がする」

 

気が付くとデュエルウェポンには、先ほどの接近で始まったのか黒髪の青年と赤見さんの二者でのデュエルモードと表示されていた。

 

「なんで……邪魔するんですか、赤見さん! 言ったでしょう! 俺はこいつを倒すためにSFSに入ったって!」

 

「わかってる! だがな、お前一人の問題じゃないんだよそのペンダントは! それに……お前は結衣を見殺しにできるのか?」

 

「……っ! 結衣……」

 

そうか……。仮に俺がこいつに負けたら……俺だけの問題じゃない。

後ろにいる結衣もこの青年に殺されるどころか、ペンダントを奪われれば世界が大変なことになる……。

それこそ俺自身の個人的な理由だけで……場合によっては大惨事になるってことだ。

いくら目の前に自分の生きる意味があったとしてもだ。

 

ふと俺の脳裏に桂希とデュエルした時の台詞が蘇る。

 

ーー「遊佐、お前はどうだ? 例えば何かを代償としたとしても戦い続けることができるか?」ーー

 

その時俺は……。大事なものを失ってまで貫く意志に意味はないと決めたじゃないか……。

それなのに俺は……せっかく分かり合えた結衣という仲間と父さんからのペンダントを失う覚悟で戦うつもりでいた。

もちろん俺はあいつなんかに負けるつもりはない。だが……。冷静に考えれば今の状況はハイリスクすぎた。

 

「繋吾。結衣を頼む。一緒に逃げてくれ。こいつとは私が決着をつける!」

 

「赤見さん……。だけど……それなら俺が戦います! 赤見さんが結衣を運んでください。ペンダントも預けます! 俺の復讐は……俺の生きる意味は……その男をぶっ倒すこと一つなんですよ!」

 

「あぁ……だけどダメなんだ! 私も約束をした! 繋吾を守り続けるとな!」

 

「約束……?」

 

赤見さんは目を閉じ深呼吸をすると、真剣な表情をしながら言葉を続ける。

 

「今から5年前、当時特殊機動班長だった遊佐 真吾班長は……5年前の襲撃の時に私に一つの任務を言い渡した。緑のペンダントをジェネシスの手から守るため、息子の遊佐 繋吾に渡す。だから、テロリストの手に渡らないように襲撃から守ってくれと」

 

「なに……? まさかそれじゃあの時、赤見さんは父さんのすぐ近くにいたってことですか!」

 

「そうだ。真吾班長はジェネシスから狙われているのはわかっていた。だからこそ、戦闘前に念のためを考えて、繋吾。お前にペンダントを渡したんだ。5年前、お前の後頭部を殴り気絶させたのは私だ。隠していてすまなかったな」

 

5年前に……襲ってきたのは赤見さんだったのか!

それじゃ……赤見さんは俺を守って……。そして父さんは……。

 

「なんで隠してたんですか! 言ってくれれば……」

 

「お前をこの戦いに巻き込みたくなかった。そしてお前の命を守るにはSFSに所属させた方が一番安全と考えたから入団させたんだ。それに……結果的に私は真吾班長を見捨てる形となってしまった。それを知られたら……合わせる顔がなくってな」

 

「そんな……悪いのはジェネシスだ。赤見さんは悪くはない」

 

「ありがとう。だからこそ私はこいつと決着をつけなきゃいけない。繋吾を守ること。そして真吾班長の無念を晴らすためにも!」

 

そう言い、赤見さんは黒髪の青年を睨みつける。

 

「5年前はペンダントを隠されて……今は妨害をしてくる。本当に面倒なことしかしないね赤見くん」

 

「ふっ、今でも鮮明に思い出す……。逃げ惑う特殊機動班員を片っ端から潰していくお前の姿が……!」

 

「あはは! 怖いのかい? まぁ君ごときが僕に勝てるわけがないけどね!」

 

「黙れ……。散っていった多くの隊員の意思を背負って私はここにいる……! 今度こそ決着をつける!」

 

赤見さんもあの様子だと玉砕覚悟な感じだ。

正直、俺自身ここから撤退するのは気が進まない。

だが……赤見さんに言われた内容。父さんが赤見さんに託した思い。

それを無下にするわけにはいかない……!

 

「さぁ早く逃げろ! 繋吾!」

 

「赤見さん……すみません……!」

 

俺は赤見さんに深く頭を下げると、再び結衣を抱え部屋から脱出する。

その際にネロが俺たちを逃すまいと走り出してきた。

 

「おっと邪魔はさせないぞ、ネロ」

 

「くっ……ほんっとに赤見くんは邪魔だね!」

 

赤見さんが立ちふさがり、ネロを足止めしてくれているようだ。

今のうちに……。赤見さん、父さんの仇討ち、頼みました……!

 

「さぁ、デュエルを受けてもらおうか!」

 

「とっとと終わらせるよ、赤見くん! デュエル!」

 

部屋を抜け出した俺と結衣は赤見さんたちのデュエル開始の声を聞きながら廊下を走り出していった。

 

 

ーーしばらく走っていると、徐々に外が近づいてきているのがわかった。

とりあえずグラウンドまで出れれば外門を出て国防軍基地から脱出できる。

外にさえ出られればどこかしらで結衣を休ませられることもできるだろうし、SFS本部に救助をお願いすることもできるだろう。

 

「繋吾くん……ごめんなさい。あなたの目的を踏みにじるようなことをしてしまって……」

 

もうすぐ玄関にさしかかろうとした時に、結衣が声をかけてきた。

彼女もだいぶ回復してきたのだろうか幾分か楽そうな様子が見受けられる。

 

「いや、いいんだ。俺自身、急な出来事で周りが見えなくなってた。謝るのは俺の方だよ。お前のことを見殺しにしようとしてた」

 

「いえ……私はもう死んだようなものですから……今、生きていられるのも繋吾くんのおかげです。ですけど、一人でできることには限度があります。もっと周りを頼ってください。私が言っても説得力がないでしょうけど……」

 

「そんなことない。お前は誰よりも誰かと一緒にいたいという気持ちを持ってるはずだ。そして、一人の力の限界もよく知ってるだろう?」

 

「ええ……さっき話しましたもんね。私も怪我なんてしてなければ一緒に戦えたんですが……」

 

「今は気にするな。とりあえずは赤見さんが無事なことを祈ろう……」

 

「はい、そうですね……」

 

赤見さんは……あのネロって奴に勝てるだろうか。

どんなデュエルをするのかはわからないが、デュエルでは相当強かった俺の父さんを打倒し、特殊機動班を過去に全滅間際まで追い込んだ人物だと聞くと正直不安が強い。

だけど、結衣を放って赤見さんの援護に行くわけにもいかないし、今は逃げることしかできない。

誰か……国防軍の人が向かっていってくれればいいが……。

 

国防軍基地玄関を抜けると外には交戦中の国防軍隊員とテロリストの姿があった。

ざっとそれぞれ50人くらいはいるだろうか。デュエルをしている姿はほとんど見受けられず、デュエルウェポンを駆使して遠距離からの攻防を繰り広げている。

 

施設を守るように国防軍隊員が配置されており、対してデュエルウェポンで具現化された障害物をグラウンド上に多数配置し施設を攻撃するようにテロリストが配置している。

この基地を出るにはこの攻防が繰り広げられているグラウンドを通過しなければならない。

結衣を運んでいる今じゃ無事に切り抜けるのは至難の業だろう……。

どうしたものか……。

 

「まずいな……」

 

「これじゃ抜けられませんね……。デュエルウェポンで何かしらモンスターを呼び出したりしたとしてもこんなに激しい攻防じゃ守りきれないと思います……」

 

「だろうな。どこかに隠れて……襲撃が終わるのを待つか……」

 

「いや、その必要はない」

 

玄関で立ち尽くしている俺たちにまたもや聞き覚えのある声が響き渡る。

 

「遊佐、無事か?」

 

「お前は……桂希? なんでお前がここに」

 

「白瀬班長から国防軍基地が襲撃にあっていると聞いてな。災難だったな」

 

「決闘機動班……!」

 

結衣は桂希の存在に気が付くと鋭い目つきで睨み始めた。

 

「ふっ、助けに来たというのにそこの佐倉というやつは相変わらずだな。力がないのに無茶しようとするからそうなる」

 

「あなたに……何が……!」

 

桂希と結衣のやつも仲が悪いのか……?

とりあえず今は仲間同士で争っている場合じゃない。

 

「まぁまて。今はそんなこと言ってる場合じゃない」

 

「あぁ、そうだな。だが、また決闘機動班に助けてと言った覚えはありませんとか言うようならお前は見殺しにするまでだが?」

 

「……」

 

結衣は無言で桂希を睨み続けている。

前にそんなことがあったのか……。そうなると桂希としてはあまり良いイメージはないのかもしれない。

結衣の性格が思いっきり出てしまってるやつだな……。

 

「悪い桂希。俺からのお願いだ。結衣も助けてやってほしい」

 

「冗談だよ遊佐。さぁ脱出するぞ」

 

「脱出ってどうする気だ……?」

 

「これだ」

 

桂希は1枚のカードをこちらに向ける。

そこには【空間移動魔法陣】を書かれたカードがあった。

 

「これは【空間移動】の派生カードだ。【空間移動】よりも発動に少し時間がかかるが、指定した座標に移動できる魔法陣を作成し、その魔法陣上の人物を移動することができる。3人くらいなら間に合うだろう」

 

なるほどな。それを用いてSFSまで帰還できればというところか。

それにしても桂希はよくもまぁそんな珍しいカードを入手しているな。白瀬班長の力なのかはわからないが……。

 

「では魔法陣を発動するまで、ちょっと待っててくれ」

 

桂希は【空間移動魔法陣】のカードをセットし、何やらデュエルウェポンの操作を始めた。

しばらくすると俺たち3人のいる地面に青色をした魔法陣が浮かび上がってきた。

 

「よし……もう少しだ……」

 

桂希が操作をしている最中、周りの様子を伺っていると、国防軍基地玄関に人影が見えた。

誰かが近づいてきているのか……?

 

「結衣、ちょっとすまない」

 

俺は結衣を魔法陣の上に寝かせ、自らのデュエルウェポンを構える。

 

「桂希、誰かが来てる。こっちは任せろ」

 

「あぁ、頼んだぞ遊佐」

 

しばらくするとその人物たちが扉を抜けて姿を現す。

国防軍でもSFSでもない……つまり敵だ。

それに気がついたと同時にこちらに銃弾のようなものが発射される。

 

その銃弾は俺と桂希の肩あたりに被弾してしまった。

普通なら出血し、重症を負うところではあるが、デュエルウェポンによってダメージが軽減されることで外傷はなく、痛みが発生する程度に和らげられた。

それでも無敵というわけではない。デュエルウェポンでの耐えられるダメージにも限度がある。そう、デュエルにおけるライフポイントのようにだ。

 

すぐさま俺は数枚のカードをデュエルウェポンにセットした。

 

「来い、【セフィラ・メタトロン】! そして、【エンコード・トーカー】、【デコード・トーカー】!」

 

数多の発射される銃弾を【エンコード・トーカー】の大きな盾が凌ぎ、【セフィラ・メタトロン】が杖をひと振りするとその盾に阻まれた銃弾が宙を浮き、テロリストたちへと発射される。

そして、その弾に便乗するように【デコード・トーカー】がテロリスト達へと斬りかかった。

 

悲鳴が聞こえ、安堵したのも束の間、次々と玄関の中からテロリストが現れ始める。

 

「桂希、まだか!」

 

「もう少しだ……」

 

どうやらもう少し凌がなくてはいけないようだ。

持ちこたえてくれ……俺のモンスター達……!

 

しばらくすると銃弾を受けきれなくなった【エンコード・トーカー】が破壊され消滅し、それと同時に【デコード・トーカー】も銃弾にやられ破壊されてしまった。

【セフィラ・メタトロン】はまだかろうじて銃弾を自らの剣と杖で凌いでいるが、破壊されるのも時間の問題だ。

もう少しだけ……耐えてくれ……!

 

「受けよ、"シューティング・ディザスター!"」

 

耐えて欲しいと願っている最中、白きジェット機のような形をした龍が【セフィラ・メタトロン】に突撃し、その衝撃で破壊されてしまった。

あのドラゴンは……見たことがある。【シューティング・スター・ドラゴン】だ……。

持ち主はひとり、オリバーという人物……。

 

「お前は……!」

 

「逃がしませんよ……遊佐 繋吾!」

 

オリバーはメガネをクイッとあげながら、徐々に接近してくる。

そして、指を鳴らしながら再び【シューティング・スター・ドラゴン】に攻撃指示を与えようとしていた。

 

「行きなさい! 【シューティング・スター・ドラゴン】!」

 

「……っ!?」

 

このままではまずい! あれが直撃すれば桂希もただじゃすまないだろう。

つまり……魔法陣が解かれる可能性が……!

 

「罠カード……【聖なるバリアーミラーフォース】……!」

 

すると結衣が横になりながら1枚の罠カードを発動させていた。

それと同時にあたりを眩い光が包み込んだ。いきなりの光に思わず目を瞑る。

そして、しばらくの沈黙が続いた……。

 

ーー目を開くとそこには見慣れたSFSの入口の光景が広がっていた。

脇には桂希と結衣の姿もある。なんとか逃げ切れたみたいだ。

 

「大丈夫か? 遊佐、佐倉」

 

「ああ。結衣は平気か?」

 

「ええ……なんとか」

 

最後に結衣が発動してくれた罠カードがなければ転移前にやられていたかもしれない。

危なかった……。

 

「最後の罠カードはいい判断だったな。礼を言う佐倉」

 

「……いえ。当たり前の……ことです」

 

結衣は顔を逸らし少し不機嫌そうに答えた。

なんだか不機嫌そうな結衣を見るのも少し久しぶりな気がするな。

 

「それにしても桂希、助かった」

 

「お前が無事ならばそれでいい。それよりもそこの女を早く医療班に渡した方がいいぞ」

 

「あぁ、そうするよ。行くぞ結衣」

 

「……はい」

 

俺は再び結衣を持ち上げ、桂希に別れの挨拶を済ませると、SFSの医療班の下へと向かったのだった。

 

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