遊戯王Connect   作:ハシン

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Ep53 - 残虐の魔剣 後編

赤見 手札1 LP3500

魔裏裏裏ー

ーーシーー

 シ ー

ーーーーーフ

ーーーーー

ネロ 手札4 LP2800

 

「んじゃ、いくよー。僕のターン、ドロー! このスタンバイフェイズ、フィールド魔法【魔導書院ラメイソン】の効果を発動! 墓地の"魔導書"カードを1枚デッキボトムに戻すことで、もう1枚デッキからカードをドローできる。【ヒュグロの魔導書】を戻して、ドロー!」

 

「……くっ」

 

魔導書カードを使い続ける限り毎ターン2枚のドローが可能になるということか。

ますます時間が経てば経つほど不利になってしまう。

 

「僕は手札のスケール8の【黒牙の魔術師】とスケール2の【賤竜の魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

ネロはそう言うと2枚のモンスターカードを魔法・罠ゾーンの両端に発動する。

あれがペンデュラムモンスターの真価だ。

置いたスケールの間のレベルを持つモンスターを手札もしくはEXデッキから特殊召喚できる。

奴のEXデッキには既に場に出ていた【白翼の魔術師】が存在している。

よって、あのカードもペンデュラム召喚で場に戻すことが可能ということだ。

それが意味することは……再びシンクロ召喚……!

 

「ふふふっ、いくよー! ペンデュラム召喚! EXデッキより【白翼の魔術師】! そして、手札から【終末の騎士】!」

 

ーーー

【白翼の魔術師】☆4 風 魔法使い ②

ATK/1600

ーーー

【終末の騎士】☆4 闇 戦士 ③

ATK/1400

ーーー

 

「そして、【終末の騎士】の効果を使うよ? デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。僕は、【シャドール・リザード】を墓地へ送ることで、そのモンスター効果を発動! デッキから更なる"シャドール"カードを墓地へ送れる! さらに【シャドール・ファルコン】を墓地へ。そして、この【シャドール・ファルコン】は墓地へ送られた時、僕の場に裏側守備表示で特殊召喚される!」

 

ーーー

【シャドール・ファルコン】☆2 闇 魔法使い ④ チューナー

DEF/1400

ーーー

 

一気にモンスターが3体か……。

そろそろ本格的に動き出してくるといったところか。

 

「さーて、今度こそ君の体を切り刻んでやるよ……僕はレベル4の【終末の騎士】にレベル4の【白翼の魔術師】をチューニング! "剛毅なる光を放つ、真実の剣よ! 最善たる時を掴み、時空の狭間より来迎せよ! シンクロ召喚! レベル8! 【覚醒の魔導剣士】"」

 

ーーー

【覚醒の魔導剣士】☆8 闇 魔法使い ②

ATK/2500

ーーー

 

懲りずに現れたか【覚醒の魔導剣士】。

おそらく墓地に送られている【ヒュグロの魔導書】あたりを使ってくるんだろうが、いくら攻撃力を上げたところで無意味だ。

私の場の【BFT-漆黒のホーク・ジョー】は相手の効果の対象か、攻撃対象になった時に、他のカードへその対象を移し替える効果を持つ。

さらに、隣にいる【BF-アーマード・ウィング】は戦闘によっては破壊されず、自らへの戦闘ダメージも0になる効果がある。

よって、どんな攻撃であろうと1回は完全に防ぐことができるってわけだ。

 

「そのモンスターへの対処は万全。"魔導書"を手札に加えたところで無駄だ」

 

「あはははは! わかってないね赤見くん。僕は墓地に存在する魔法カード……【滅びの呪文-デス・アルテマ】を手札に加える!」

 

「なに……!? まさか……」

 

あの時か……【ペンデュラム・コール】の効果で手札を1枚捨てていた……。

その時に墓地へ送られたのがあのカードってわけか。

 

【滅びの呪文-デス・アルテマ】は相手のフィールド上のカード1枚を問答無用に裏側表示で除外する強力なカード。

あのカードで邪魔なカードを吹き飛ばし、【覚醒の魔導剣士】で相手モンスターを倒すっていうのがネロの十八番といったところだったな。

それだけは……許すわけにはいかない。

 

「だが、全てがお前の思い通りになると思うなよ……! カウンター罠発動! 【ブラック・バード・クローズ】!」

 

「ふーん……カウンター罠……」

 

「あぁ。このカードは、場の"BF"モンスター、【BFT-漆黒のホーク・ジョー】をリリースすることで、相手のモンスター効果の発動を無効にし、破壊する! 消え去れ、【覚醒の魔導剣士】!」

 

突如、黒い竜巻が出現すると、【覚醒の魔導剣士】を取り囲み爆発した。

 

「へえー。だけどシンクロモンスターを犠牲にしちゃったね?」

 

「それはどうかな。【ブラック・バード・クローズ】の更なる効果! この効果の発動後にEXデッキから【ブラックフェザー・ドラゴン】1体を特殊召喚できる! "漆黒を引き裂く反逆の咆哮! 紅き翼翻し、鮮烈に轟け! 現れよ、【ブラックフェザー・ドラゴン】!」

 

ーーー

【ブラックフェザー・ドラゴン】☆8 闇 ドラゴン ①

ATK/2800

ーーー

 

「すごいじゃん! もっと強い大型モンスターも呼び出してくるとはね! 切り刻み甲斐があるよ……」

 

「やれるものならやってみろ。私の"赤き羽"を落とせるというのならな!」

 

「なら根こそぎ削いであげるよ! 僕は【黒牙の魔術師】のペンデュラム効果を発動! 相手モンスター1体の攻撃力を半分にする! 落ちろ! 【ブラックフェザー・ドラゴン】! "ハーフ・ゲイン!"」

 

「くっ……」

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】

ATK/2800→1400

 

「だが、お前の場にはモンスターは……」

 

「まぁまぁ焦らないでよ。この効果を使った後、【黒牙の魔術師】は破壊される。そして、このカードが破壊された時、墓地の闇属性・魔法使い族モンスター1体を復活させる! 蘇れ、【覚醒の魔導剣士】!」

 

ーーー

【覚醒の魔導剣士】☆8 闇 魔法使い ③

ATK/2500

ーーー

 

くそ……また出てきやがったか。

あいつの執念はとんでもないな。意地でも【覚醒の魔導剣士】での攻めを貫くというのか。

 

方向性さえ間違っていなければ……エースモンスターを大切にする良いデュエリストだったんだろうがな。

一体何が彼を変えてしまったのだろう。ましてやまだだいぶ若いだろうに。

 

いや……むしろ変わったのではなく、元からそう育った……の方が正しいのだろうか。

まぁ今はそんなことはどうでもいい。

このまま【ブラックフェザー・ドラゴン】を狙われれば私は2500ポイントのダメージを受けてしまうこととなる。

 

「バトルだ! 今度こそ消えてよ、【覚醒の魔導剣士】で【ブラックフェザー・ドラゴン】を攻撃! "リインバース・デュランダル!"」

 

【覚醒の魔導剣士】

ATK/2500

【ブラックフェザー・ドラゴン】

ATK/1400

 

二つの双剣が迫りかかってくる。

次に繋げるためにここは耐えなければならない!

 

「リバースカードオープン! 罠カード【BF-アンカー】を発動! 自分の場の"BF"モンスターをリリースして、他の自分のシンクロモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時までリリースしたモンスターの攻撃力分アップさせる!」

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】

ATK/1400+2500→3900

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】に黒いオーラのようなものが纏い、攻撃力が上昇していく。

 

「くっ……やるね。なら攻撃はキャンセルだ。僕はカードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

赤見 手札1 LP3500

魔ーー裏ー

ーーーーー

 シ ー

ーーシ裏ーフ

ペー裏裏ー

ネロ 手札0 LP2800

 

よし……ここに準備は整った。

これ以上デュエルを長引かせても勝機はない。

このターンに……私の5年間の思いを込める……!

 

「私のターン、ドロー! 魔法カード【闇の誘惑】を発動! デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスター【BF-銀盾のミストラル】を除外。そして、【BF-南風のアウステル】を召喚!」

 

ーーー

【BF-南風のアウステル】☆4 闇 鳥獣 ④ チューナー

ATK/1300

ーーー

 

「そして、永続魔法【黒い旋風】の効果発動! デッキから【BF-熱風のギブリ】を手札に加える。さらに【南風のアウステル】の効果で先ほど除外した【銀盾のミストラル】を守備表示で特殊召喚!」

 

ーーー

【BF-銀盾のミストラル】☆2 闇 鳥獣 ② チューナー

DEF/1800

ーーー

 

「チューナーばかり並べて……何か企んでるね?」

 

「すぐにわかる。私は罠カード【ナイトメア・デーモンズ】を発動! 私の場のモンスター、【南風のアウステル】をリリースし、相手の場に【ナイトメア・デーモン・トークン】3体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

ーーー

【ナイトメア・デーモン・トークン】☆6 闇 悪魔 ①と②と⑤

ATK/2000

ーーー

 

「くっ、それは最初に手札に加えていたカード。なんだか嫌な予感がするね」

 

「ふっ、お前に敗者の苦痛というものを教えてやる! 墓地から【南風のアウステル】を除外し効果発動! 相手の場のカードの枚数分の黒羽カウンターを【ブラックフェザー・ドラゴン】へと乗せる! そして、カウンター一つにつき、攻撃力は700ポイントダウンする」

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】

カウンター0→8

ATK/2800→0

 

「なに? そうか、僕の場のカードを増やしたのはこのため……。ってことはこの後に狙いが……」

 

「あぁ。受けてもらうぞ! 今まで俺たちSFSの仲間達が受けてきた苦痛を! 【ブラックフェザー・ドラゴン】の効果発動! 自らのカウンター全てを取り除き、相手の場のモンスター1体の攻撃力をカウンターの数×700ポイントダウンさせ、そのダウンさせた数値分のダメージを相手に与える!」

 

「なに……!?」

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】の羽が黒色から真っ赤に染まると、ネロを目掛けて大きく羽ばたいた。

そこから発生する赤黒い竜巻はネロのモンスター達を襲い始める。

 

「対象は……私が送りつけた【ナイトメア・デーモン・トークン】だ! 攻撃力を2000ポイントダウンさせ、お前には2000ポイントのダメージを与える! "レジスター・リベレーション!"」

 

「ふふふ……さすが赤見くんだね……。この効果と攻撃を合わせれば僕のライフはあっという間になくなるってわけか。だけど、僕には通用しないよ! 罠カード発動! 【ブレイクスルー・スキル】! 相手モンスターの効果を無効にする!」

 

 

くそ、私の【ブラックフェザー・ドラゴン】による戦術は止められてしまったか。

だが、ここまでは想定内だ。ネロのことだから"この一手だけ"ではトドメはさせないと思っていたところだ。

 

「ならば、バトルだ! 【ブラックフェザー・ドラゴン】で【ナイトメア・デーモン・トークン】を攻撃! "スカーレッド・ストーム!"」

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】

ATK/2800

【ナイトメア・デーモン・トークン】

ATK/2000

 

【ブラックフェザー・ドラゴン】は口元に赤黒いエネルギーを溜め込むと、自らの翼で飛び立ち、【ナイトメア・デーモン・トークン】に向かってエネルギーを解き放った。

 

「くっ……うわあああ! だけど、この程度じゃ僕のライフは痛くも痒くもないよ赤見くん?」

 

ネロ LP2800→LP2000

 

「まだだ! 【ナイトメア・デーモン・トークン】は破壊された時、コントローラーに800のダメージを与える!」

 

「まったく……邪魔なカードだね……!」

 

ネロ LP2000→LP1200

 

「だけど、君の場は【ブラックフェザー・ドラゴン】以外は木偶の坊だよ? これ以上僕にダメージを与えるのは不可能だ。意外と大したことなかったね?」

 

「黙れ……。いい気になれるのも今のうちだネロ。【ブラックフェザー・ドラゴン】の効果を止められるのは想定内だ」

 

「へぇ。でも、もうバトルは終わっちゃったから僕にダメージを与えることはできないよ?」

 

「……メインフェイズ2。私はレベル8の【ブラックフェザー・ドラゴン】にレベル2の【銀盾のミストラル】をチューニング! "収束せよ、黒き旋風! 黒鉄に輝く武装に宿り、劣勢覆す嚆矢となれ! シンクロ召喚! 【BFフルアーマードウィング】!"」

 

ーーー

【BF-フルアーマード・ウィング】☆10 闇 鳥獣 ①

ATK/3000

ーーー

 

全身に黒鉄に煌く鎧を纏い、冷たく光る大剣とガトリングを装備したまさにフルマーマー呼ぶに相応しい鳥獣モンスターが出現した。

これが私の最後の希望。決着をつける切り札だ。

 

「レベル10のシンクロか……なかなかやるじゃん」

 

「感心してられるのも今のうちだ。もうお前のターンはないからな」

 

「もうバトルフェイズが終わったというのに僕を倒せるっていうの?」

 

「あぁ、当然だ。ここで決着をつける。速攻魔法発動! 【異次元からの埋葬】! 除外されているカードを3枚まで墓地へ戻す! 私は除外されている【南風のアウステル】を墓地へ戻し、再び除外することで効果発動! こいつにはさっき使った効果とは別にもう一つの効果がある。相手フィールドの表側表示モンスター全てに楔カウンターを1つずつ乗せる!」

 

「楔カウンター……?」

 

【ナイトメア・デーモン・トークン】①と②

楔カウンター1

【覚醒の魔導剣士】

楔カウンター1

 

「そして、【フルアーマード・ウィング】の効果は、エンドフェイズ時に場の楔カウンターが置かれたモンスターを全て破壊することができる!」

 

「僕のモンスターが破壊されるってことは……つまり……」

 

「あぁ、破壊されるモンスターのうち2体は【ナイトメア・デーモン・トークン】。よって合計1600ポイントのダメージを受けるってことだ!」

 

「僕のライフは残り1200……」

 

「終わりだ、ネロ! 私はエンドフェイズ時に【フルアーマード・ウィング】の効果発動! 場の楔カウンターの乗ったモンスター全てを破壊する! "ブラックウェッジ・ヴァレット!"」

 

【フルアーマード・ウィング】の腕に装着されたガトリング砲より、数多の銃弾が放たれ、ネロのモンスター達に襲いかかる。

 

「くっそお……赤見くん……!」

 

「命の尊さを……その身に刻め! ネロォォォォ!」

 

私の叫びと共に、大きな爆発が発生し、あたりに煙が立ち込める。

 

やったぞ……。私はとうとうあのネロを打ち倒すことができた……。

5年間の悲願の達成だ。これで……特殊機動班長としての……いや、私の憧れであった真吾班長からの任務を達成することができた。

 

長かったな……。本当に長かった。

毎日のように生きるか死ぬかの瀬戸際で生きてきた身としてはな。

 

「ふふふ……ふふふふふ……」

 

ふとネロの笑い声が聞こえ私は奴の下を見つめる。

まさかと思い私はすぐさまデュエルウェポンの画面を確認する。

するとそこにはまだネロのライフポイントが残っている表示が映されていた。

 

ネロ LP400

 

「なんだと……馬鹿な」

 

「いやあお見事だったね赤見くん。思わず負けるかと思っちゃったよ」

 

「なぜだ。なぜライフポイントが残って……そのカードは……」

 

「いやあね、僕は【フルアーマード・ウィング】の効果にチェーンして、罠カード【闇の閃光】を発動したんだ。この効果で、僕の場の闇属性で攻撃力が1500以上ある【ナイトメア・デーモン・トークン】リリースし、このターン特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果を発動させてもらったんだ。だから破壊されたのは1体だけってこと。僕が受けたダメージはたったの800だったってわけさ」

 

「くそ……! だが、私の場の【フルアーマード・ウィング】はカードの効果を受け付けない効果を持っている。したがって、【闇の閃光】の効果では破壊されず健在だ」

 

「なるほどねー。だけど今度は僕がチェックメイトだ。赤見くん」

 

「……っ!」

 

もう私はターンエンドしてしまった。よって何もすることはできない。

だが、私の場にはカードの効果を受けない【フルアーマード・ウィング】。さらに手札にはいざという時の盾となる【熱風のギブリ】。

どんな手でも守り抜けるほどの防御力は備わっている。

対してネロは現在の手札が0枚。【魔導書院ラメイソン】の効果を含めても2枚だけでは……さすがに1ターンでやられることはないと思いたい……。

 

赤見 手札1 LP3500

魔ーーーー

ーーーーー

 シ ー

ーーー裏ーフ

ペー裏ーー

ネロ 手札0 LP700

 

「次こそ、君の肉体を切り裂いてあげるよ! 僕のターン、ドロー! 【魔導書院ラメイソン】の効果で【グリモの魔導書】を戻し、もう1枚ドロー! 【シャドール・ファルコン】を反転召喚、そしてリバース効果発動。墓地から【シャドール・リザード】を裏側守備表示で特殊召喚する!」

 

ーーー

【シャドール・リザード】☆4 闇 魔法使い ②

DEF/1000

ーーー

 

「さらに手札の【黒牙の魔術師】を再びセッティング! この時、もう片方にいる【賤竜の魔術師】の効果発動! EXデッキの"魔術師"Pカード1枚を手札に戻せる。僕はもう1枚の【黒牙の魔術師】を手札に戻し、このままペンデュラム召喚! 手札より【黒牙の魔術師】、【シャドール・ビースト】」

 

ーーー

【黒牙の魔術師】☆4 闇 魔法使い ①

ATK/1700

ーーー

【シャドール・ビースト】☆5 闇 魔法使い ⑤

ATK/2200

ーーー

 

チューナーと非チューナーが並んだ。狙いはシンクロ召喚か……?

いや、だがまだ【黒牙の魔術師】のペンデュラム効果があったか。

 

「そして、【黒牙の魔術師】のペンデュラム効果発動! 【BF-フルアーマード・ウィング】を効果の対象とし、このカードを破壊。その後、墓地から【覚醒の魔導剣士】を再び特殊召喚!」

 

ーーー

【覚醒の魔導剣士】☆8 闇 魔法使い ③

ATK/2500

ーーー

 

「だが、攻撃力を半減する効果は【フルアーマード・ウィング】には効かない。その攻撃力では私のモンスターを倒せないはずだ」

 

「それはどうかなあ? 本当の切り札を見せてあげるよ……僕はレベル8の【覚醒の魔導剣士】にレベル2の【シャドール・ファルコン】をチューニング! "平穏なる未来を照らす、真実の剣よ! 混沌より顕現し、真に正しき道を照らせ! シンクロ召喚! 【涅槃の超魔導剣士】!"」

 

ーーー

【涅槃の超魔導剣士】☆10 闇 魔法使い ②

ATK/3300

ーーー

 

あいつもレベル10のシンクロモンスターを出してきやがったか……!

攻撃力は私の【フルアーマード・ウィング】を凌駕している。

このままでは……。いや、だが私のライフポイントはまだ3500もある。大丈夫だ……。

 

「僕にこのモンスターを出させたのは久しぶりだよ赤見くん……褒めてあげる! だからこそ、とびっきりの断末魔を聞かせてよ!」

 

「ふざけるな! デュエルモンスターズは他者を痛みつける兵器なんかじゃない! 人類に夢と楽しさを与える、かけがえのないものだ!」

 

「その通りだよ……。でもね……僕にとっては……忌々しい政府の犬どもを痛みつけるのが最高に楽しいんだよ……! これが僕の夢なのかなぁ!」

 

「ネロ……お前……」

 

目を見開きながらも満面の笑みでそう訴えかけてくるネロにもはや私は何も言い返せなかった。

これが……お前にとってのデュエルモンスターズの最高の形だとでも言うのか……。

 

「さぁさぁバトルだ! 【涅槃の超魔導剣士】で【BF-フルアーマード・ウィング】を攻撃! "リリービングソウル・ジャッジメント!"」

 

【涅槃の超魔導剣士】

ATK/3300

【BF-フルアーマード・ウィング】

ATK/3000

 

【フルアーマード・ウィング】の放つ数多の銃弾を掻い潜りながら、【涅槃の超魔導剣士】は急接近し、手に持つ剣でその喉元を切り裂いた。

 

赤見 LP3500→LP3200

 

「くっ……ぐああ」

 

「そしてこの瞬間、【涅槃の超魔導剣士】の効果発動! 相手モンスターを戦闘で破壊した時、相手のライフポイントを半分にする!」

 

「なんだと……ぐおわ!?」

 

赤見 LP3200→LP1600

 

これは……私の体から力が吸い取られていくような感覚だ。

かすかに見える紫色をした光が私のところから【涅槃の超魔導剣士】の元に吸収されているのが見える。

 

そして、私のライフポイントが半分になったことが意味するのは私の敗北。

手札の【BF-熱風のギブリ】だけでは到底防げそうにない状況となってしまった。

 

やはり私は……。どんなに努力したところで真吾班長を超えることは……ネロという宿敵を倒すことは叶わなかったということか。

 

「ふふふ……続けて、【黒牙の魔術師】でダイレクトアタック! 死ねえ!」

 

「くそ……手札の【熱風のギブリ】の効果発動! 相手がダイレクトアタックしてきた時、このカードを守備表示で特殊召喚する!」

 

【黒牙の魔術師】

ATK/1700

【BF-熱風のギブリ】

DEF/1600

 

「そのまま砕け散れ! そして……これで今度こそおしまい! 【シャドール・ビースト】でダイレクトアタック! ばいばい、赤見くん」

 

【シャドール・ビースト】

ATK/2200

 

【シャドール・ビースト】が私の眼前まで迫ってくる。

そして、その鋭利な爪で私の体を引き裂いた。

 

赤見 LP1600→LP0

 

体にえぐられるような衝撃が走る。

それと同時にライフポイントが0になる音が聞こえると、更なる痛みが私の体を襲った。

この感覚……久しぶりだな……。だが、もう二度と味わうことはないだろう……。

 

朦朧とする意識の中、私の体はその場へ崩れ落ちるように倒れた。

 

「さーて、君をギタギタに切り刻んで、SFSの奴らに見せてあげればそれはいいエサになるんじゃないかな? ねえ赤見くん?」

 

「……くそ」

 

痛みに耐えながらもなんとか言葉を発し、ネロのことを睨みつける。

だが、もはやこの状況では私になすすべはなかった。

 

やがて、ネロが【覚醒の魔導剣士】を召喚し始める。

 

あの鈍く光る剣でこれから体を切り刻まれると思うと寒気がする。

だが、既に意識が朦朧としているんだ。

あまり痛みに苦しむことなく死ねそうだな。

 

「まずは……邪魔な手足から削ぎ落としていこうかな! ふふふ……やれ、【覚醒の魔導剣士】!」

 

頼むから……さっさと急所を一突きしてくれないだろうか……。

これが拷問ってやつか……。助からないとわかっていると思うと本当に早く殺してほしいと思ってしまう。

恐怖に目を閉じ、来るべく痛みを待つ……。

 

だが、しばらくすると急遽大きな金属が擦れ合うような音が聞こえ、思わず目を開く。

 

「おらおら! 貫け、"スプリント・スピア!"」

 

馬と一体化した騎士が操る大きな槍が【覚醒の魔導剣士】に向けて突き刺されており、それを【覚醒の魔導剣士】は2本の剣で受け止めていた。

 

あれは間違いない。郷田のモンスターだ。

そうか……助けが来てくれたか……。

 

郷田はデュエルの腕はまぁまぁだが、カードを使用した戦闘においては右に出るものはいないといっても過言ではない程の暴れん坊っぷりを見せる。

距離が遠い今ならデュエルに発展する危険はないし、ネロに対して遅れを取ることはないだろう。

 

「【ガイアナイト】! 撤収だ。ここは退くぞ!」

 

郷田がそう叫ぶと、【ガイアナイト】は私の服をうまい具合に槍で突き、洗濯物を運ぶかのように宙吊りにしながら、駆け抜け始めた。

 

「あぁー! せこいよ君!」

 

ネロが思わず叫ぶが、【ガイアナイト】のスピードはとても早く、部屋を飛び出した後、あっという間に廊下を駆け抜けていった。

 

こうして、郷田の助けを経て私は生き残ることに成功した。

 

 

 

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