※デュエル中の表記について
ーーー
【虹クリボー】✩1 光 悪魔 ③
→モンスター名、レベル、属性、種族、召喚位置
ATK/100 →表示形式とその数値 ATKなら攻撃表示、DEFなら守備表示
ーーー
ーー裏ーー
ーモーーー
リ シ
ーー裏モー
ーー罠魔ー
※1 上が先攻、下が後攻
※2 左から①~⑤ EXゾーンについては左が①、右が②
※3 "裏"はセットカード、"モ"はモンスター、EXデッキから出たものは頭文字にて召喚方法の頭文字(リンク召喚なら"リ")で表記。魔法は"魔"、罠は"罠"
俺は今までテーブルで並べるカードゲームとしてのデュエルしかやってこなかった。
デュエルウェポンでのデュエルがどんなものなのか興奮を覚えると同時に不安が襲い掛かる。
だけど、デュエルはデュエルだ。ルールはかつてやっていたものと同じはず……。
そう考えると不思議と気持ちが落ち着いてきた。
俺は小さい頃からずっとデュエルをやってきていた。
あの頃の友人相手ではほとんど負けることもなかった。だからデュエルの腕前にはそれなりに自信がある。
例えテロリストが相手だとしても勝てる可能性は十分にあるはずだ。
「せっかくだ、お前に先攻を譲ってやる。簡単にくたばられちゃつまらねぇ」
ヘルメットの男は俺を嘲笑うかのように笑いながら言った。
先攻を譲ってくれるのなら好都合だ。先に罠を仕掛けデュエルを有利に進めることができる。
覚悟しろよ……! このデュエル……絶対に勝ってやる!
「……後悔するなよ。俺のターン!」
デッキから引いた5枚のカードを眺める。
あまり良い引きとは言えないが、戦えなくはないだろう。
慎重に攻め手を考えなければな。
「俺は【マスマティシャン】を召喚!」
ーーー
【マスマティシャン】✩3 地 魔法使い ③
ATK/1400
ーーー
「このカードが召喚に成功したとき、デッキからレベル4以下のモンスター1体を墓地に送ることができる。俺はデッキから【光竜星-リフン】を墓地に送る」
ーーー
【光竜星-リフン】✩1 光 幻竜 チューナー
ATK/0
ーーー
「雑魚モンスターを召喚して、墓地に送ったのもレベル1の弱小モンスターだと? どうやらまともなカードを持ってねぇようだなぁ?」
ヘルメットの男は呆れたような様子をしている。
あのような何もわかっていない奴には言わせておけばいい。
墓地は第二の手札とも言う。
それほどこのデュエルモンスターズというカードゲームは墓地のカードも重要視されているのだ。
俺の取った行動は当然戦略のひとつだ。
「カードをステータスだけで判断するお前こそ、デュエルのレベルはたかがしれているな」
「強がりもそこまでしろよ。寄せ集めの雑魚デッキでこの俺が倒せると思ってんのか?」
どんなに弱いカードだとしても、俺にとっては一枚一枚が大切な宝物だ。
一枚のカードでは弱くても、カードとカードの効果を繋ぎ合わせることで強力な力になることもある。
それが……俺の父さんの戦術。強かった理由だ。
「一枚では弱くても、力を合わせれば大きな力を生む。雑魚だと言うなら俺を倒してから言え。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
繋吾 LP4000 手札3
ーー裏ーー
ーーモーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー
ヘルメットの男 LP4000 手札5
次は奴のターンだ。
一体どんなデッキを使ってくるのだろうか。
「ちっ、すぐにそんな口聞けなくしてやるよ! 俺のターン、ドロー! お前の場にモンスターが存在し、俺の場にモンスターがいない時、手札の【バイス・ドラゴン】は特殊召喚できる!」
ーーー
【バイス・ドラゴン】✩5 闇 ドラゴン ③
DEF/2400→1200
ーーー
「さらに手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動! 手札のモンスターカード1枚を墓地へ送り、デッキからレベル1のモンスター1体を特殊召喚する。
手札の【仮面竜】を墓地へ送り、デッキから来い! チューナーモンスター、【ガード・オブ・フレムベル】!」
ーーー
【ガード・オブ・フレムベル】✩1 炎 ドラゴン チューナー ④
DEF/2000
ーーー
「"チューナー"モンスターとそれ以外のモンスター……」
「シンクロ召喚くらいは知ってるか。少しはデュエルがわかるようだなァ?」
チューナーモンスターと呼ばれるモンスターとそれ以外のモンスターを場から墓地へ送り、その合計のレベルを持つモンスターをEXデッキと呼ばれる特殊なデッキからモンスター呼び出す召喚方法。それがシンクロ召喚。
複数のモンスターを代償とするため、呼び出されるモンスターは非常に強力である。
奴はシンクロ召喚を使い……そしてドラゴン族を使用するデュエリストであることがわかった。
「余計なお喋りはいい、さっさと進めろ」
デュエルについての知識はそれなりに持っている。
その知識が例えテロリストでも通用することがわかり、だんだんとこのデュエルに余裕が出てきた。
「ったく人がせっかく褒めてやってるのに……。教育がなってねぇなぁ最近のガキはよ! 俺はレベル5の【バイス・ドラゴン】にレベル1の【ガード・オブ・フレムベル】をチューニング!」
「"燃え盛る炎の翼、万物を焼き尽くす力となれ! シンクロ召喚! レベル6【レッド・ワイバーン】!」
ーーー
【レッド・ワイバーン】✩6 炎 ドラゴン シンクロ ②
ATK/2400
ーーー
真っ赤に燃える炎を翼に纏ったドラゴンがヘルメットの男の前に現れる。
まずは切り込み役な役割をもったモンスターだろうか。
レベルは6。攻撃力はそこまで脅威というわけではない。
「お前の雑魚モンスターなんて、すぐに消し炭にしてやるよ。バトル、【レッド・ワイバーン】で【マスマティシャン】を攻撃! "ボルケーノ・ダイブ"!」
【レッド・ワイバーン】は赤く燃える翼を大きく広げ、滑空し始める。
そして、【マスマティシャン】へ直撃すると、その爆風が俺に襲いかかった。
【レッド・ワイバーン】
ATK/2400
【マスマティシャン】
ATK/1400
「くっ……うああ!」
繋吾 LP4000→3000
なんだ……今の衝撃。体全身が熱く焼かれているような痛みが……。
だけど、俺の体には大きな傷跡はなく、多少の擦り傷程度の跡が残っているだけだった。
これがデュエルウェポン……いや、デュエルモンスターズの力で、俺の体が守られているということなのか。
「はぁ……はぁ……」
驚きのあまり自分の体を眺めていると、ヘルメットの男が声をかけてくる。
「言っただろう、デュエルウェポンを用いたデュエルはそこらの遊びとは違う。デュエルモンスターズの力は現実となり、プレイヤーへのダメージは痛みとなってプレイヤーを襲う。
そして……そのライフポイントが尽きれば……あとはわかるな?」
なるほど。これじゃ本当に生死をわけた決闘というわけか。
もしデュエルウェポンがなしで今の攻撃を受ければ、俺の体は丸焼きにされていたのかもしれない。
「ふざけてるなこれは……。こんなものがなければ……くそっ!」
かつて父さんと楽しくデュエルしていた光景がフラッシュバックする。
それも全てこのデュエルウェポンという物のせいでなくなってしまったかと思うと俺の中で怒りの感情が込み上げてきた。
「おうおう怖いねぇ、でも"こいつ"のおかげで俺たちは助かってんだよ……。これさえあれば……警察だろうが、国の軍隊にだって負けはしないからなぁ!」
「なんだと……!」
デュエルモンスターズを犯罪のための道具としか思ってないのかこいつは。
こんな腐った奴がいるからデュエルテロなんてものが……!
だけど、こんなところで怒りに身を任せ、我を忘れてしまっては正常な判断が出来なくなるかもしれない。
冷静さを欠いてはいけない。
全てはデュエルが終わったあとだ。ここはぐっと堪えるんだ。
そういえば【マスマティシャン】が戦闘で破壊されていたな。効果を使わなければ。
「……俺は戦闘破壊された【マスマティシャン】の効果発動。デッキからカードを1枚ドローする」
「その1枚で逆転の方法でも考えておくんだな。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
繋吾 LP3000 手札4
ーー裏ーー
ーーーーー
ー シ
ーーーーー
ーー裏裏ー
ヘルメットの男 LP4000 手札1
一つ気になることがある。
こいつは金目的で俺に近づいてきていた。いわゆる強盗って奴だろう。
だが、実際やっている行為は、街全体を襲撃するというあまりにも大規模過ぎるテロ行為だ。
ここまでの規模でやる意味はないだろう。強盗が目的ならもっとこそこそとやるはずだ。
まったく関係ない人達の自由を奪ってまで……ここまで大きなリスクを背負う意味は一体なんなんだ……?
「ひとつ聞かせろ。なぜお前たちは無差別に街の住民を襲う? 何が目的なんだ……!」
「目的? そんなもんお前なんかに言ってなんになる? まぁ、上の奴らがどう考えてるかなんかはどうだっていい」
「なに……?」
「俺は頼まれたから仕事でやっているだけだ。命令に従えば大金が手に入るからな。それに……今みたいに気に入らねえ奴を潰すこともできるしな!」
「そんな私欲のためだけに……。関係のない街の住民を巻き込んで……」
自分の私利私欲のためだけに、平気な顔して街を破壊し、人から略奪をしているということなのか。
こいつはどうしようもないクズらしい。許しておけるか……!
「ふざけるな……俺は今受けた痛みで決心したよ……。お前に……今までの犯した罪の痛みを……刻みつけてやるとな!」
「ガキがいちいちうるせぇな! できるもんならやってみろってんだ! あ?」
俺の叫びを聞き、ヘルメットの男は少し怯んだ様子を見せたが、すぐに怒り返すように高圧的な態度で言い返してきた。
あいつも動揺しているのだろうか。
それであれば今がチャンスだ。あの【レッド・ワイバーン】をこのターンで倒し、勝利への道を開いてみせる……!
「……俺のターン、ドロー! 俺は【ジャンク・シンクロン】を召喚! こいつは召喚に成功したとき、墓地からレベル2以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。蘇れ! 【光竜星ーリフン】!」
ーーー
【ジャンク・シンクロン】✩3 闇 戦士 ③ チューナー
ATK/1300
ーーー
【光竜星-リフン】✩1 光 幻竜 ④ チューナー
ATK/0
ーーー
「おいおい、チューナー同士じゃシンクロ召喚はできねぇぞ? てめぇどんだけ素人なんだよ」
いちいちうるさいやつだ。
小さきモンスターの力を繋ぎ合わせる方法。それは何も"シンクロ召喚"だけではない。
「……モンスターとモンスターの繋がる絆が、大きな力を生む」
「なに言ってんだ? わかるように言って――」
「現れよ! 心を繋ぐサーキット!」
ヘルメットの男の言葉を遮り、俺は右手を広げて空へ掲げる。
すると目の前に四角形の板のようなものが出現した。
「なるほどねえ……リンク召喚を行うつもりか」
リンク召喚とは、場から複数のモンスターを墓地へ送り、そのモンスターの数分のリンクを持つモンスターをEXデッキから特殊召喚する召喚方法だ。
一見お手軽な召喚方法だが、リンクマーカーという唯一無二の能力を持っており、場のモンスターの位置によって戦況を大きく変化させる。
「俺は【ジャンク・シンクロン】と【光竜星ーリフン】の2体をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン!」
2体のモンスターが目の前の板に吸収されていく。
板には2つの矢印が示されていた。これがリンクマーカーである。
「リンク召喚! 来い、リンク2! 【コード・トーカー】!」
ーーー
【コード・トーカー】リンク2 闇 サイバース ①
ATK/1300 上 下
ーーー
白き鎧を纏った戦士のようなモンスターが出現する。
「いっちょまえにリンク召喚したのはいいが、たったの攻撃力1300じゃないか。驚かせやがって……」
「……少しは静かに見ていろ。モンスターを通常召喚したターンにこのカードは手札から特殊召喚できる。来い、【ワンショット・ブースター】!」
ーーー
【ワンショット・ブースター】✩1 地 機械 ②
DEF/0
ーーー
【ワンショット・ブースター】が【コード・トーカー】の背後に出現すると、【コード・トーカー】に微かな光が纏い始める。
【コード・トーカー】
ATK/1300→ATK/1800
「攻撃力が上がっただと……?」
「あぁ、【コード・トーカー】はリンクマーカー先のモンスター1体につき、攻撃力を500ポイントアップさせる効果を持つ」
「ほう。リンクマーカーを使いこなすとはな。だけど、状況はなにも変わらねぇよ」
「俺は魔法カード【一騎加勢】を発動! 場のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで1500ポイントアップさせる!」
【コード・トーカー】
ATK/1800→ATK/3300
「なに!? 攻撃力が上回っただと!」
「バトル! 【コード・トーカー】で【レッド・ワイバーン】を攻撃! 切り裂け! "イノセント・スラッシュ"!」
【コード・トーカー】
ATK/3300
【レッド・ワイバーン】
ATK/2400
「甘ちゃんだなぁお前は! 俺は【レッド・ワイバーン】の効果を発動! このモンスターよりも攻撃力が高い相手モンスターがいる時に、一度だけそのモンスターを破壊することができる! ハッハッハ、残念だったなぁ?」
【レッド・ワイバーン】はその大きく口を開き、【コード・トーカー】に向かって火球を発射した。
しかし、【コード・トーカー】はその炎を受けても動じずに【レッド・ワイバーン】へと近づくと、その鋭利なる剣で【レッド・ワイバーン】を切り裂いた。
「うおお! ぐっ……」
ヘルメットの男 LP4000→LP3100
ヘルメットの男は想定外のダメージに驚き怯んだが、すぐに何事もなかったかのように体勢を立て直した。
「おい、どういうことだ! なぜ【コード・トーカー】が生きている!?」
「……【コード・トーカー】はリンクマーカー先にモンスターがいる場合、戦闘、そして効果では破壊されない効果を持っている」
【コード・トーカー】の背後には【ワンショット・ブースター】が存在している。だから【レッド・ワイバーン】の効果は通用しないってことだ。
1枚1枚のカードが繋がり合うことで、大きな力を倒すこともできる。これこそがデュエルの奥深いところだ。
「なるほど。【レッド・ワイバーン】の効果を把握した上での攻撃ってわけか……」
「お前には俺の戦術が見抜けなかったようだな」
「んだよ、いちいちムカつく野郎だ……。やることねぇならとっととターンエンドしやがれ」
「言われるまでもない、俺はーー」
「左近さん! 左近さん! ッ……反応が? 応答してください!」
ターンエンドを宣言しようとした瞬間、突如自分のデュエルウェポンより女性の声が響き渡る。
通話機能というやつか。どうやら随分と便利な代物らしいなこれは。
相手の声に応対するべきか悩んだが、勝手にデュエルウェポンを借りている立場上、無視するわけにもいかない。
俺はその声に答えることとした。
「悪い……俺はその……左近って奴じゃないんだ。」
「左近さん……じゃない? あなたは一体誰ですか。」
俺の回答を聞いた女性はあからさまに冷たい態度へと変わる。
まぁ無理もない。仲間だと思っていた相手先から見知らぬ声が聞こえるんだからな。
なんとか状況を説明したいところだが、どうしたものか。
「左近さんのデュエルウェポンをなぜあなたが身に付けているんですか。まさかあなたはテロリスト? そんな、左近さんが……」
デュエルウェポンから聞こえる女性の声は徐々に小さくなっていく。
「おい待て、俺はテロリストじゃない! その……事情があってその左近ってやつからデュエルウェポンを借りているだけだ」
このままテロリスト扱いされては犯罪者になってしまう。それだけは避けなければいけない。
聞く限りこの女はテロリストではないはずだ。下手に敵を作る必要はないだろう。
「え? それなら……国防軍の方かしら。デュエルウェポンを勝手に使わないでもらえます? 窃盗ですよ」
国防軍? いやいや、国家の公務員様が泥棒なんてするわけないだろう。
ただの住民と言ったら信じてもらえるだろうか。
認定された組織以外にはデュエルウェポンの所持は認められていないだろうから難しい話だが……。
「待ってくれ! 俺はこの街に住んでる住人で……」
「もういいです。今からそちらへ向かいます。そこから絶対に動かないでください」
女性の声はその発言を最後に途絶えてしまった。
ダメだ。まったく話にならなかった。
相手が何者なのかはわからないがこちらに来るらしい。
デュエルウェポンにはGPS機能でもついているのだろうか。
まったく調子狂うな……。
俺はデュエルウェポンを見つめながら思わずため息をついてしまった。
「おい、何をべらべら喋ってんだ! とっととターンエンドしろ!」
ヘルメットの男はもたついている俺の様子にイラついたのか怒号を飛ばす。
さっきの女のことは忘れよう。今はデュエルに集中だ。
「……ターンエンドだ」
繋吾 LP3000 手札2
ーー裏ーー
ーモーーー
リ ー
ーーーーー
ーー裏裏ー
ヘルメットの男 LP3100 手札1
「クソッさっきから生意気な態度取りやがって……! このターンでぶっ潰してやるわ! 俺のターン、ドロー! リバースカードから永続罠【リビングデッドの呼び声】を発動!
墓地からモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する! 復活しろ、【レッド・ワイバーン】!」
ーーー
【レッド・ワイバーン】✩6 炎 ドラゴン シンクロ ③
ATK/2400
ーーー
先ほどのドラゴンが蘇って来たか。
攻撃力が高くとも【コード・トーカー】の背後にはモンスターがいる。
戦闘でも効果でも破壊されないから、そう簡単には突破されないはずだ。
「さらにチューナーモンスター【クレボンス】を召喚!」
ーーー
【クレボンス】✩2 闇 サイキック チューナー ②
ATK/1200
ーーー
更なるチューナーモンスターってことは、もっと高レベルのシンクロモンスターを出してくるつもりか。
【レッド・ワイバーン】より強力なモンスター相手となると……警戒する必要がありそうだ。
「俺の切り札でその生意気な面をぶっ潰してやるわ! 俺はレベル6の【レッド・ワイバーン】にレベル2の【クレボンス】をチューニング! "暗黒を漂う力、不滅の漆黒となりて王の威厳を示せ! シンクロ召喚! レベル8【魔王龍ベエルゼ】!"」
ーーー
【魔王龍ベエルゼ】✩8 闇 ドラゴン シンクロ ②
ATK/3000
ーーー
禍々しき二頭の頭が特徴的なこのドラゴン、先ほど左近と呼ばれた男にトドメを刺していたドラゴンだ。
攻撃力も3000ある。こいつは見るからに強そうだ。
だが、このモンスターを倒すことができれば、左近という奴の敵討ちができそうだ。
デュエルウェポンを借りた恩義は返さないとな。
「このモンスターを召喚したデュエルで俺が負けたことはないぜ……覚悟しなぁ! さらにもう一枚の罠カード【タイラント・ウィング】を発動! このカードは場のドラゴン族モンスター1体の装備カードとして装備され攻撃力を400ポイントアップさせる! さらにそのモンスターは一度のバトルフェイズに2回までモンスターを攻撃できる!」
【魔王龍ベエルゼ】
ATK/3000→3400
【魔王龍ベエルゼ】の禍々しき体に白く輝く翼が合わさり、黒白に輝く混沌な姿へと変貌した。
攻撃力3400で2回攻撃。その直撃を受けたらたまったもんじゃない。
「確か……【コード・トーカー】はリンクマーカー先にモンスターがいれば、戦闘でも破壊されなかったよなァ……?」
「あぁ、その通りだ。」
「お互いのモンスターの攻撃力差は1600…。戦闘破壊されない【コード・トーカー】に2回攻撃を行ったら……あとはわかるな?」
俺の残りライフポイントは3000ポイント。
【魔王龍ベエルゼ】の攻撃を2回受けたら俺のライフポイントは0だ。
戦闘破壊されないことをいいことに、モンスターにのみ2回攻撃できる【タイラント・ウィング】を使い、一気にケリをつけようって考えらしい。
「さぁ死ぬ覚悟はできたか? バトル、【魔王龍ベエルゼ】で【コード・トーカー】を攻撃! "マリシャス・ストリーム"!」
【魔王龍ベエルゼ】
ATK/3400
【コード・トーカー】
ATK/1800
二頭の口より黒き稲妻を纏った光線が放たれる。
こんなもん直撃したら俺の体は黒焦げになっているだろう。だが……。
「……リバースカードオープン! 罠カード【ダメージ・ダイエット】を発動!」
「なに!? あれは最初から伏せていたカード! 温存していやがったか……」
「このカードを発動したターン、受ける全てのダメージを半分にする」
シャボン玉のような泡が俺の周りにまとわり付き、モンスターから受ける衝撃をやわらげる。
それでもダメージは半分。当然、俺の体には相応の痛みが伴うこととなる。
「ちくしょう! 命拾いしたか……。ならば少しでもダメージを上げてやる。速攻魔法【虚栄巨影】を発動! 【魔王竜ベエルゼ】の攻撃力をバトルフェイズ終了まで1000ポイントアップする!」
【魔王龍ベエルゼ】
ATK/3400→4400
【コード・トーカー】
ATK/1800
ということは、4400から1800を引いたダメージの半分の数値ライフが削られる。
つまり1300ダメージを受けることになる。なんとかこのターンは耐え切ることができそうだ。
「くっ……うぅ!」
繋吾 LP3000→LP1700
【コード・トーカー】が軽減してくれているとはいえ、奴の攻撃で体をえぐるような痛みが襲ってくる。
耐えろ……耐えるんだ……!
「まだ攻撃はまだ終わっちゃいない! 【魔王龍ベエルゼ】、2回目の攻撃をやれ!」
再び、【コード・トーカー】に黒き光線が直撃し、爆風が広がる。
「ぐあああ!」
繋吾 LP1700→LP400
二度目となる衝撃に耐え切れず、俺の体は宙を浮き飛ばされる。
なんという衝撃だ……。これを何度も受けていたら身が持たないぞ……。
「ハッハッハ! いい気味だ! 生意気なてめぇにはお似合いの姿だな!」
「……ハァハァ。まだだ。こんなところで……」
俺は無意識に胸からかけているペンダントを握り締め、倒れた体を起こそうとする。
こんなところでくたばってるわけにはいかない。
俺はまだ負けていない。あんなふざけた奴相手に何もできずにやられるなんて御免だ。
そう自分に言い聞かせ、ふらふらした体をなんとか起こしながら奴を睨みつける。
まだ立てる。まだ俺は負けたわけじゃない。
「まだ戦うつもりか? ハハハ! こりゃいたぶりがいがあるってもんだな!」
「……俺のために戦ってくれているモンスターのためにも……。俺にデュエルウェポンを貸してくれたあの男のためにも……。俺は負けるつもりはない」
「とはいえ残りライフたったの400。リンクモンスターは守備表示に変えられない以上、次のターンがお前のラストターンだ!」
確かに、リンクモンスターは守備力が存在しないため、守備表示にしてダメージを防ぐことができない。
次のターン【魔王龍ベエルゼ】をなんとかしなければ戦闘ダメージを受けて俺のライフは0だ。
「ハッハッハ、俺はターンエンド。【タイラント・ウィング】の効果で、装備されているモンスターが攻撃したエンドフェイズ時に、【タイラント・ウィング】は破壊される」
【魔王龍ベエルゼ】
ATK/3400→3000
繋吾 LP400 手札2
ーーーーー
ーモーーー
リ シ
ーーーーー
ーーー罠ー
ヘルメットの男 LP3100 手札0