遊戯王Connect   作:ハシン

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Ep58 - 開発司令部の接触

SFS本会議も終わって、本格的に対ジェネシスの準備をはじめることとなったSFS。

俺たち特殊機動班は偵察警備班の人たちと共同でジェネシスの情報収集にあたることとなった。

赤見さんの知り得たジェネシスの本拠地は地下にあるという情報だけでは、どこからその地下へ入れるのか、どの程度の深度なのかがわからなかったため、現状では手のうちようがないのが現実だった。

だからこその情報収集だ。もし見つかれば一気にジェネシス殲滅の目標は現実的なものとなる。

 

だが、もっと着実に進んでいるものがある。もう一つの大きな準備。

SFSの新規隊員の臨時募集だ。

 

赤見さんに聞いた話だとどうやら100名近くの応募があったらしい。特殊機動班にいる身としてはとても大人数に感じる。

聞いたところによると臨時の募集にも関わらず、通常の採用の時と同じくらいの人数の応募とのことで、SFSとしては想定外だそうだ。

 

要因はいまいちわからないらしいが……この間から立て続けに真跡シティで起こっているジェネシスの襲撃に影響を受けたか……身を守る術がほしいからと志願してきたか……。まぁそんなところだろう。

 

班長クラスの人たちはその採用試験の試験官に回されているらしく、赤見班長もその試験官となっていた。

もしかしたら特殊機動班も人が増えるかもしれないしな。赤見さんの活躍に期待だ。

 

そんな中俺たちはというと、情報収集の休憩がてらデュエル訓練場で特訓をしていた。

眼前にはデュエルをする颯と郷田さん。俺の隣には結衣がいた。

 

「く、くそおお! また負けちまった!」

 

「やっぱり颯は負けるのがお似合いだぜ! ハハハ!」

 

デュエルの勝敗がついたみたいだ。結果は郷田さんの勝ち。

お互いに笑いながら話している姿は、楽しいデュエルができた様子が伺える。

 

デュエルを楽しんでできるのもこういう時くらいだろう。実戦ではそうはいかない。

たまにはこういう息抜きをしてないとデュエルが嫌いになっちゃいそうだよ本当に。

 

「繋吾くん。ちょっとおかしいと思いませんか?」

 

結衣が少し目を細めながら訊ねてきた。

おかしいって何に対してだろう。まったくわからん。

 

「何がだ?」

 

「上地くんですよ。今日郷田さんと何度もデュエルしてますけど、全部負けてます」

 

「まぁ……颯の勝率はうちのメンバーの中じゃ一番低いし……。今日は調子が悪かったんじゃない?」

 

「それならいいんですけど……。いずれも伏せカードが残っている状態で負けているんですよね。そんなに死に札になるカードを入れていたのかなと思ったんです」

 

確かに……今のデュエルなんかは2枚も伏せカードが残っている状態で負けていた。

本当に使えないカードだったという可能性はあるが……。

 

「……わざと負けているとか?」

 

「うーん……彼の性格的にそれもちょっと考えにくいですね……。まぁ、どうでもいいですけど。なんだかすっきりしませんね」

 

気にしてるんだか気にしてないんだか……。

まぁせっかくだから聞いてみるか。

 

「なぁ颯。最後伏せカード2枚もあったけど、けっこう手札が事故っていたのか?」

 

「あ、ああ……そうなんだよ繋吾。新しく発動条件は厳しいけど強いカード入れてみたんだけどさ。うまくいかねえぜ」

 

「なるほどな。どんなカードを入れたんだ?」

 

「いやあー……それは内緒だぜ! 繋吾くん! 手のうちはあまり知られたくないんでな!」

 

そう自信満々そうに答える颯。一体どんなカードを入れたのかすごく興味があるが教えたくないのなら仕方がないか。

そんな会話をしていると訓練場の扉が開く音が聞こえた。

入口を見てみると3名の人物がこちらに向かって歩いてきていた。

 

「開発司令部の連中かありゃ……」

 

黒縁メガネに茶髪のポニーテールの女性とその脇にはおなじく黒縁メガネのスーツを着用した眉毛の濃い男性。そしてその反対側には白衣を着た50代後半くらいの男性がいた。

いずれも見たことのない人だ。

 

「訓練中失礼。郷田副班長。そして、遊佐 繋吾隊員」

 

そう発言したポニーテールの女性は俺たちのことを一通り眺める。

誰なんだこの人は。

 

「私は司令直属班の副班長。"斉場"と申しますわ。隣にいるのは同じく司令直属班の"闇目"。そして、こちらは機器開発班の"研"班長よ」

 

紹介された二人の男性は軽く頭を下げる。

そして、そのうち白衣を着た方の男性が口を開く。

 

「急ですまないが、遊佐くんの持っているペンダントのことで相談があってね。少しお話してもいいかな?」

 

「俺のペンダントですか?」

 

「ああ! 君も聞いたと思うがそのペンダントには大きな力が宿っている。その力についてはあの国防軍ですらどのように操るのかを解明することはできなかった。だが、ジェネシスができてSFSにできないことはない! そこでぜひそのペンダントを機器開発班に貸していただきたいのだよ! そのペンダントの研究がしたい!」

 

なるほど。このペンダントの力を現実のものにできないか研究したいと。

 

「すまねえが国防軍でできなかったものをうちでできるわけねえだろう? 帰りな」

 

すかさず郷田さんが突き返すように言う。

だが、研班長はまったく動じる様子がなかった。

 

「何を言う! 私を筆頭にした機器開発班はこの真跡シティでもトップレベルの科学者だ! 国防軍ですら作れなかった【空間移動】のカードも作り上げることができた! この私に不可能はない!」

 

この力がどのようなものなのかわかるのは確かに便利かもしれないけど……それじゃやっていることはジェネシスと同じだ。

もし、悪意のある人がペンダントを手に入れれば誰だって大きな力を得ることとなる。それは良いとは思えない。

それになんといってもこれは……父さんが俺に残してくれた大事なペンダントだ。

 

「そうだとしてもこれは父親からもらった大事なものなんです。例え大きな力があったとしても、手放したくはありません」

 

「遊佐隊員。これは真跡シティの存続がかかっているの。私情は挟まないでくれないかしら?」

 

「あなたたちは……このペンダントの力を用いて何をするつもりですか?」

 

「決まっているわ。ジェネシスがペンダントの力を用いてきた時に対抗できるように抑止力として使用する。あなたはどうやら既に何度かこのペンダントの力を使用したみたいじゃない? あなたの協力さえあれば、SFSは十分にジェネシスに対抗できる武器を手に入れることができる。だからこそ研究する必要があるのよ」

 

抑止力……か。聞こえはいいけど、武器に変わりはない。

使う人次第で、その力はいくらでも変わる。貸したところで俺に戻ってくる保証はないしな。

 

「俺はこの力を使おうとして使ったわけではありません。ペンダントが俺の危機を守ってくれたまでです。これは意図的に操れるものではないんですよ。それを無理やり使おうと言うのであればやっていることはジェネシスと同じだ」

 

「物分りが悪いようね。まったく……少しは賢い人間であることを期待したのだけども……本会議での様子はそのままね。ペンダントなしにペンダントの力を持つジェネシスに勝てっこないのよ。根性論だけでは無理。ジェネシスのデータから戦闘をシミュレーションした結果、今のままだとSFSが敗北する可能性は99%なのよ。ペンダントの力は必要不可欠、現実を受け入れなさい」

 

なんだよそのシミュレーション結果。そんなの信用できるか!

反論しようとしていると隣にいた颯が突如大きな声をあげた。

 

「待てよ! お前ら勝手なことばかり言ってるけどな! 俺たちはジェネシスの奴らと交戦してんだよ! 実際に繋吾は幹部クラスの構成員を倒してる。お前らの手を借りなくても特殊機動班はやってけるんだよ。ペンダントに手を出すんじゃねえ」

 

「その幹部クラスの構成員が何人いるかも知らずによく言うわね。もちろんその交戦データは全てこちらで分析しているわ。それでも今の現状じゃ到底無理ね」

 

「だからこそ、一丸となってジェネシスへ対抗するための準備をしているんだろうが! 新規隊員を増やして、デュエルの腕を磨き、作戦を立案する。それが俺たちSFSの方針だろう。お前らの思い通りにはさせねえ! ペンダントは渡さねえよ!」

 

「はぁ、それだと無理だって言ってるのよ! 開発司令部はあらゆるデュエルモンスターズの情報を知り得ている。そして、それに基づいた正確なシュミレーションができる。今までSFSがテロリスト相手に好成績を収めてここまで大きくなれたのもそのシミュレーションのおかげなのよ」

 

「戦場はシミュレーションだけでは計りきれねえ! なにが起きるかわからねえんだ。ろくに戦場に行きもしない司令直属班に言われる筋合いはねえ!」

 

「言うわね……。なら、見せあげようじゃない。闇目、行きなさい」

 

斉場副班長に指示を受けた黒縁メガネの男性が自らのネクタイを整えながら俺たちの前へと来る。

ペンダントは俺の問題だ。ここは……俺が受けて立つ!

 

「颯、下がってくれ」

 

「おい、繋吾……。やる気か?」

 

「ああ。特殊機動班の力、見せてやる」

 

相手は司令直属班員。

優秀な人材が集うと言われているその班員の力がいかほどか……試させてもらうか。

 

「遊佐隊員。初のお手合せがこんな形になって残念だが……覚悟してもらおう」

 

「望むところだ。いくぞ!」

 

「デュエル!」

 

繋吾 手札5 LP4000

ーーーーー

ーーーーー

 ー ー

ーーーーー

ーーーーー

闇目 手札5 LP4000

 

先攻は俺からか。

手札を見るに悪くはない。まずは様子見をさせてもらうかな。

 

「俺の先攻。俺はモンスターをセット。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

繋吾 手札3 LP4000

ー裏ーーー

ーー裏ーー

 ー ー

ーーーーー

ーーーーー

闇目 手札5 LP4000

 

「それだけか? その程度の布陣。すぐに崩してくれよう。私のターン、ドロー! 手札から【ダーク・ホルス・ドラゴン】を墓地へ送り、手札から【ダーク・グレファー】を特殊召喚!」

 

ーーー

【ダーク・グレファー】☆4 闇 戦士 ③

ATK/1700

ーーー

 

「【ダーク・グレファー】の効果発動。手札から闇属性モンスターの【ダークストーム・ドラゴン】を墓地へ送り、デッキから【デッド・ガードナー】を墓地へ送る。さらに【終末の騎士】を通常召喚」

 

ーーー

【終末の騎士】☆4 闇 戦士 ④

ATK/1400

ーーー

 

「このカードは召喚に成功した時、デッキから闇属性モンスターを墓地へ送ることができる。これによって【ネクロ・ガードナー】を墓地へ送ろう。バトルフェイズ、【ダーク・グレファー】でセットモンスターを攻撃! "ヘルシアス・ソード!"」

 

目を赤く光らせた禍々しき戦士が鈍く光る剣を構え、俺のセットモンスターへと斬りかかる。

 

【ダーク・グレファー】

ATK/170

【光竜星ーリフン】

DEF/0

 

「【リフン】が破壊された時、デッキから"竜星"モンスターを特殊召喚できる。俺はデッキから【闇竜星ージョクト】を守備表示で特殊召喚!」

 

ーーー

【闇竜星ージョクト】☆2 闇 幻竜 チューナー ③

DEF/2000

ーーー

 

「【終末の騎士】では勝てないか。ならばメインフェイズ2に入り、レベル4の【ダーク・グレファー】と【終末の騎士】をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! "束ねし闇より生まれし力よ、我が勝利へ導く標となれ! エクシーズ召喚! ランク4、【No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル】!"」

 

ーーー

【No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル】ランク4 闇 昆虫 ①

ATK/2500

ーーー

 

カブトムシのような大きな一本角を持つ、巨大なモンスターが出現した。

その攻撃力は俺の【セフィラ・メタトロン】と並ぶ2500。なかなかに強力だ。

 

「私はカードを2枚伏せて、【マスター・キー・ビートル】の効果を発動! オーバーレイユニットを一つ使い、私の場のカード1枚を選択する。選択したカードはカードの効果によっては破壊されなくなる。私は2枚伏せたうちの【マスター・キー・ビートル】の真後ろのカードを選択しよう。これでターンを終了だ」

 

繋吾 手札3 LP4000

ー裏ーーー

ーーモーー

 エ ー

ーーーーー

ー裏ー裏ー

闇目 手札0 LP4000

 

あの伏せカードはよほど大事なものなのだろうか。わざわざカードの効果破壊から守るとは。

何か考えがあるに違いない。

 

効果的な戦術としては手札やデッキに戻す"バウンス"だが、現状バウンス効果を持つモンスターを出せそうにはないな。

わざわざあの罠を踏みに行くのも危険ではあるが……むしろ攻撃を躊躇させるための戦略という可能性もある。

 

どうするかな……。とりあえずドローしてから考えるか……。

この戦いは開発司令部へ俺の実力を示すためのいい機会だ。絶対に負けられない。

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