翌日、俺を含め多くのSFS隊員達はSFS大ホールへと招集されていた。
もちろん辞令を行うためにだ。
周囲を見渡すと、大半は見たことのない顔ぶれだった。
おそらくほとんどが今回臨時で募集した新規隊員達だろう。
当初の予定では辞令は午後からのはずだったんだが、昨夜急遽朝一番で行うとの連絡があったものだから、赤見さんへ相談する時間もなかった。
一応デュエルウェポンでのメール機能で伝えてはみたが……。まだ返信はない。
ここまで来たら今後司令直属班でどうしていこうかを考えていった方がいいかもしれない。
幸い斉場副班長や闇目さんとは面識があるから、うまくやっていきたいところだな。
ホールの壇上では、開発司令部の人と思われる人たちが集まってパイプ椅子へ腰掛けており、そのうちの一人が辞令の進行を行っていた。
何やら100名ほどの新規隊員が追加されたらしい。かなりの人数だな……。
それほどまでに白瀬班長は本気で迎撃するつもりなのだろう。金銭面で慎重だった開発司令部もよく了承したものだ。
しばらく話を聞いていると、デュエル実戦部隊の班長たちが壇上へと上がっていく。
そこには見知った顔の白瀬班長や宗像班長の姿。そして赤見さんの姿もあった。
なんだか赤見さんを見るのは久しぶりなような気がするな……。しばらく新規隊員試験の試験官をやっていたから会えていなかった。
やっぱり赤見さんがいてこその特殊機動班だ。
そんなことを思いながらぼんやりと赤見さんを見ていると、赤見さんと目が合った。
俺の様子に気がついた赤見さんは驚くような様子もなく、静かに笑みを返してきた。
俺がこの場に呼ばれることは知っているのだろうか。俺が特殊機動班から司令直属班へ移動するということを……。
再び壇上の喋る人の声に耳を傾けていると、一人一人の名前を読み上げた後にどこの班への配属かを伝えていた。
やはり大半は決闘機動班。ちらほらと偵察警備班や救助護衛班の名前も聞こえた。
しかし……。特殊機動班の名前はまったくと言っていいほど聞こえてこなかった。まぁ無理もないだろう。
特殊機動班を希望先として書く人なんてよほどの物好きなんだろうからな……。
「ーー続いて……遊佐 繋吾隊員。特殊機動班より司令直属班への異動を命ずる。続いて……」
そして俺に関する辞令も聞こえてきた。
やはりこのような場で言われると実感が湧いてくるな。今日から俺は司令直属班か……。
とりあえず一通りこの辞令が終わったら赤見さんや特殊機動班のメンバーに連絡を取ってみよう。
今後どうするかはその後考えるのでもいいはずだ。
「以上、辞令伝達を終了します。続きまして開発司令部長より緊急連絡がございますので、もうしばらくその場でお待ちください」
緊急連絡……? 一体どうしたのだろう。
そのアナウンスと共にホール内はざわめきはじめた。
しばらくすると壇上へ黒沢部長の姿が見えた。
「SFS隊員の諸君。せっかくの晴れ舞台の日にお時間をいただき申し訳ございません。緊急事態が発生しましたのでこの場でお知らせします」
黒沢部長は俺たちに向かって一度頭を下げると、手元にある書類を開き始めた。
「昨日の夜。かのデュエルテロ組織ジェネシスよりSFSへ宣戦布告のメッセージが届きました。その内容はSFSを攻撃し破壊するというものです」
ジェネシスからの宣戦布告だと……!?
いつか攻めてくるだろうと思ってはいたがまさか堂々と宣戦布告してくるとは……。
もしかして……辞令がこんな朝方からやるとなったのはそれが原因だろうか。
「彼らはSFSの持つ極秘の品を要求しており、それを本日の夜までに渡さなければ攻撃をしかけるとメッセージには書かれています。そこで異動者はともかく新規隊員にもこの防衛戦に参加していただこうと考えている」
新人に対していきなりジェネシスとの戦闘をさせるのか?
いくらなんでも無茶じゃ……。訓練もろくにしてないんじゃ戦力になるわけがない。見殺しにするつもりか……。
「今回の入隊試験において、実戦演習を試験内容に取り入れたのは即座にテロリストと交戦を可能にするためです! その演習を無事乗り越えここに来ている君たちであればジェネシスが相手だろうと遅れを取ることはありません! 我々には奴らを迎え撃つ作戦がある! 安心してください」
黒沢部長はホールにいる隊員に強く呼びかける。
だが、俺の予想に反してホールにいる多くの隊員はその黒沢部長の発言に応えるように右腕を振り上げ大声をあげていた。
なるほど……。試験の段階である程度の演習をしたということなのか。
赤見班長を含め全班長が試験官をやらされていたのはそういうことだったのかもしれない。
しかし……それでも本当に大丈夫なのだろうか。
戦う術はあっても肝心なのは連携だ。生半可な戦力ではジェネシスには通用しない……と思う。
「あ、あの……」
突然隣にいた新人であろう背の小さな少女が話しかけてきた。
その表情は見るからにおびえている様子であり、小さく震えていた。
「これって……今日いきなり戦えってことですよね……?」
少女は震えた声で話しかけてくる。
そりゃ怖いよな。そこらへんの小さなゴロツキならともかくかの有名な巨大なデュエルテロ組織ジェネシスといきなり戦えっていうのだから。
「だろうな。怖いか?」
「え……いや……あの……」
少女はもじもじしながら口ごもってしまう。
今すぐにでも逃げ出したそうだ。
「大丈夫だ。お前の反応が普通だと思うよ俺は。むしろこんなに命知らずの人がいるなんて驚いているところだ」
「そ、そうですよね。やっと就職先見つかったと思ったのにいきなり戦わなきゃいけないなんて……私死にたくないです……」
「死ぬと決まったわけじゃないさ。それはお前次第だろう? デュエルは得意なのか?」
俺の発言を聞いた少女は少し驚いた表情をしながら俺のことを見つめてきた。
「デュエルは……強くはないですけど好きです。だからSFSに入ろうと思って……」
「好きという思いが強さに繋がるはずだ。自信を持てばきっと生き残れるさ」
「はい……」
少女は少し笑顔を見せると小さく頷きながら答えた。
うまく励ませられたかな……? まぁ今はそれよりも俺は今後のことを考えなければいけない。
ジェネシスが攻めてくるということは狙いは当然俺だ。
いつ攻められても戦えるように準備をしておかないと……。
「遊佐 繋吾。こっちへ来なさい」
続いて背後から聞き慣れた女性の声が聞こえた。
斉場副班長だ。今日からは同じ班としてお世話になる。
「斉場副班長。よろしくおねーー」
「いいから、こっちへ」
挨拶しようとしたが斉場副班長はそれを遮り俺の手を引っ張っていく。
どうやらかなり急いでいるようだ。
「どこへ行くんですか」
「内緒。いいから黙ってなさい」
言われるがままに俺は斉場副班長へ引っ張られSFSのどこかの一室へ連れ込まれた。
ーーしばらくすると狭い会議室のようなところに連れて込まれ、椅子に座るように斉場副班長に言われる。
「はぁ。まったくとんだ面倒ごとに巻き込まれたわね」
部屋についた途端斉場副班長はため息をつく。
一体何がどうしたのいうのだ。
「あなたにはちゃんと説明するから待ってなさい。もうすぐ来るはずだわ」
「来るって……誰が?」
俺がそう問いかけると同時に部屋の扉が開き一人の人物が部屋に入ってきた。
「久しぶりだな。繋吾」
赤見班長だ! ようやく会うことができた……。
「赤見班長! 一体何があったんですか! 俺が司令直属班へ異動したのも何か関係があるのですか?」
「ああ……。お前には何も伝えることができなくてすまなかったな。今回の一件は全て生天目社長の指示だ。お前のペンダントを開発司令部へ渡そうとしたことも、お前を異動させることも……な」
開発司令部の人たちが俺に対して行ってきたことは全て社長の指示だというのか……!
あのSFS本会議で社長自らが結論は出していたというのに……一体どういうことなんだ。
「もちろん私は社長には反論したがダメだった。社長はそれが繋吾のためになると言っていたんだが私にはそれが信じきれなくてな。何が正しいかわからなくなってしまった」
「そこで赤見班長は私に遊佐 繋吾を極秘に合わせられる場所を設けてくれと頼み込んできたってわけ。ここまでの経緯を話すためにね」
「ありがとう……ございます。しかしなんで斉場副班長が?」
「今あなたは司令直属班の身……というのも理由だけど何より私自身も赤見班長から話を聞いてどうかと思ったから協力してるってわけ」
そんなに今SFSはめちゃくちゃになっているのか……?
これからジェネシスが攻めてくるというのに大丈夫なのだろうか……。
「さて、まず社長が仰っていた話を話そう。この前のSFS本会議が終わったあと、私は社長室に呼ばれた。今後の作戦行動についての話だったよ。本会議での話のとおり増強したSFSの戦力でジェネシスを迎え撃つ。そこまでは同じだ。だが……その作戦では遊佐 繋吾の存在を隠し通す。それが社長の意向だった」
「俺の存在を……隠す……ですか?」
「ああ。おそらくジェネシスの標的になり得る繋吾は戦線には出さずに戦うってことなんだろう。それだけならまぁ……納得はできたが……。作戦次第で逆に繋吾を理由にジェネシス幹部をおびき寄せることもできる。私はそう考えた。そして社長に言ったんだ。だが……」
そこで赤見さんはひと呼吸を置く。
確かに、俺の存在を見つければネロをはじめとした幹部連中はすぐさま狙いに来るだろう。
そこを叩くという戦術は有効的だ。
「社長はその目的を白瀬班長から繋吾の存在を隠すため……と言っていた」
「白瀬班長だと……? 一体何が目的で?」
「実は私は生天目社長に少し前から白瀬班長の動向を見張るよう指示されていた。話が遡るが前に決闘機動班と特殊機動班で行った合同訓練があっただろう? あれのきっかけとなった日……うちの結衣と野薔薇が戦った日を覚えているか?」
確か……俺たちがデュエル訓練場を使っていたら決闘機動班の連中が割り込んできて……。
それで揉めてたら野薔薇が来て……デュエルすることになったんだっけ。
そういえばあの時赤見さん、来るの遅かったな。
「はい、赤見さんが後から来て白瀬班長の提案に乗ったやつですよね?」
「ああ、そうだ。あの日、私は国防軍への出張結果を生天目社長に報告していたんだが……あの時社長から最近白瀬班長の様子がおかしいから見張ってくれないかと頼まれた。それで戻る前に白瀬班長の後を付けていたから遅くなってしまったんだ。私は白瀬班長がよく特殊機動班への嫌がらせをするからそのためかなと軽く考えていたんだが……。生天目社長からの話によると白瀬班長はどうやら国防軍の時田長官と繋がっているらしいんだ」
時田長官ってあの国防軍真跡支部の頂点に立つ人物のことか。
あの人と白瀬班長に繋がりがあったなんで驚いたな。
「国防軍との繋がりですか……それで見張られるということは何か悪いことでもしてたってことですか?」
「あの日見張っていた時は、白瀬班長がSFS全てのデュエル訓練場を確保し、特殊機動班と決闘機動班でデュエル訓練場を奪い合うという事象作り出したという話をしていたのを盗み聞きした。他にも作戦は予定どおりだ……とか話していたな。だが結局社長の目的はわからなかった」
「なるほど……それは誰と話していたんですか?」
「電話で話していたみたいだからわからない。国防軍の人間かもしれないな。その直後にデュエル訓練場の中へ入って……あとはお前も知るとおりだ」
相手先は一体誰なんだ……? それに作戦って一体……。
だけど、それが今回の俺の存在を隠し通すこととどう関係してくるんだろう。
「白瀬班長が何か怪しい動きをしていたとして……なぜ俺の存在を隠さなければならないんでしょう?」
「そこからの出来事をよく思い出してくれ繋吾。イースト区の襲撃作戦、国防軍でのジェネシス襲撃、そして、先日の司令直属班と特殊機動班の騒動……。全ての出来事で関連する内容がある」
全ての出来事での関連……。
共通することと言えば……。
「桂希……がいたこと……。ですか?」
「あぁ、そうだ。全ての事柄においてあいつは私たち……いや、繋吾の側にいたことになるな。それはおそらく白瀬班長の命令によるものだろう」
「だけども赤見さん。桂希はいつだって俺を守るように……味方となって戦ってくれました。それに対して何か悪いことってあるんですか?」
「正直なところ私にも白瀬班長の目的がわからないからなんとも言えないな。だが、生天目社長はもしかしたらわかっているのかもしれない。社長から言われたのは"遊佐 繋吾を白瀬班長のコントロール下には置くな”ということだったんだ。つまり白瀬は繋吾を狙っていると想定される」
なるほどな……。まぁ俺というよりかは緑のペンダントなんだろうが……。
「白瀬は繋吾の動向を伺うために偵察を兼ねて桂希を繋吾の側においた可能性がある。そこから考えると……私の仮説だが白瀬班長は誰かしらと通じていて、繋吾の緑のペンダントを狙っているのかもしれない。それが国防軍なのか……ジェネシスなのか……」
「ジェネシスだとしたら、今回の襲撃で裏切る可能性もあるということですか……?」
「あぁ、そうかもしれない。内部で大きな勢力を持つ決闘機動班に裏切られたら私たちに勝ち目はないだろうな」
白瀬班長がジェネシスと繋がっているというのは信じたくはないが……。
いずれにしても白瀬班長がペンダントを狙っているのだとしたら社長からしてみれば疑うのも無理はないって話か。
「だが、繋吾。生天目社長は国防軍との繋がりを睨んで私に白瀬班長を監視させた。ってことはジェネシスと繋がっていることはないんだと思う。それにもしそうだとしたら今夜の襲撃ではっきりするだろうしな。まっ、いずれにしても最悪の想定をしておいた方がいいんだろうが……」
「そうですね……。しかし、国防軍は一体何を……」
「国防軍も赤のペンダントを保管していた。主に研究のためにな。力を検証するために……研究材料を集めたいってところだろうな。特にレッド・ペンダントは奪われてしまったから余計に……というところがあるんだろう。国家の部隊、国防軍はテロリスト以外に対しては真っ当な理由がなければ武力行使できない。つまりSFSからペンダントを奪うことは到底できないだろうからな。ましてやこのペンダントについては極秘事項だ。そこで白瀬班長を使って極秘のうちに奪おうとしているのかもしれない」
それならばありえそうな話だな。うちの開発司令部の機器開発班長の研って人だって研究したさそうにうずうずしてたし。
「まったく、影でこそこそとしているのは本当に気に食わないわね。堂々と言えばいいのに。ああいうの苦手だわ」
「まぁ……斉場さんは部屋に殴り込みに来るくらいだしな……」
「あれは命令だったから仕方がなかっただけ。勘違いしないでくれるかしら?」
まぁ……結果的には社長命令だったわけだ。
今となってはどうでもいいか。
「それで……赤見さんは社長のことが信じきれなくなってきたって言ってましたけど……。今回どうするんですか?」
「あぁ。今夜の襲撃には……とりあえず表向きには作戦のとおりに従う。そして……無事生還できた時には社長に話をつけにいくつもりだ。繫吾を特殊機動班に戻させるために。私たちに求められているのは国防軍や白瀬班長といった味方の問題よりも先にジェネシス殲滅への一歩を踏み出すことだ。そんなことを気にしていてはいつまでたっても前に進めなくなる」
こればっかりは赤見さんの言うとおりかもしれない。
もしジェネシスを倒せれば国防軍が持っていたであろう赤のペンダントだって取り戻せる。
俺を狙う必要だってなくなるはずだ。
「赤見班長。本当にあの作戦に賛同するつもり? 決闘機動部……下手したら壊滅するわよ?」
「壊滅……? どんな作戦なんだ?」
「決闘機動部全班はSFS基地正面へ。駐屯決闘班は裏門の配置。司令直属班は社長室及び遊佐 繋吾の防衛。正面の部隊は特殊機動班を囮にジェネシスの戦力を集中させ、敵を迎撃。だけど実はSFSの大半の人には遊佐 繋吾が戦線にいないことは伝えられていない。特殊機動班の配置にいるものとされ伝えられている」
「白瀬班長に知られないためってことか?」
「おそらくそうね。今回、既に国防軍への援軍要請はしている。国防軍の援軍が来て混戦化してきた時に白瀬班長がどさくさに紛れてあなたからペンダントを奪い取ったっておかしくはない。例えば……あえてあなたをジェネシスに倒させるとかしてね」
そんなとんでもないことをしやがるっていうのか……。例えばの話とはいえ恐ろしいな。
しかし……白瀬班長であればやれないことはないんだろう。国防軍と決闘機動班のコントロールができる人物だ。
人員配置を操作すれば、俺のところだけ手薄にするっていうことだっていくらでもできる。
だけどわざわざ研究のためにそんな危険な橋を渡るなんておかしいだろう。
ひとつ間違えればジェネシスにペンダントを奪われてしまう。いや、そもそもが例えばの話か……。考えないようにしよう。
「あとは……社長としては疑いがかかっている白瀬班長の部隊を弱体化させる目的もあるんじゃないかしら? 全指揮権は神久部長にあるとはいえ、大部隊の直属の班長は白瀬班長だしね」
「それって決闘機動部の人間を殺すってことじゃないですか……! 社長は殺して解決しようとしているんですか!」
「さぁ? 真意は私にも赤見班長にもわからない。だけど……なんか社長に関しても白瀬班長に関しても隠し事をしている気がして信用できないのよね。それで私は赤見班長に協力しようって思ったわけ」
「あぁ。だから我々特殊機動班は戦闘が始まったら持ち場を離れ臨機応変に行動するつもりだ。作戦で描いた囮にはならない。決闘機動部の連中を見殺しにしたくはないからな。ただ、繋吾を司令直属班に防衛させるという点だけは社長の作戦のままがいいと思う。だから今回はひとまず作戦の通りに従うつもりだ」
「ジェネシスに対しては有効的に使える策ってわけね。いいわよ、この子の面倒は私が預かりましょう」
「すまないな斉場副班長。我々は今回、繋吾の情報をネタにジェネシスの動きを攪乱するつもりで動く。そうすればジェネシスの部隊も分散させて被害も分散させられるしな」
赤見さんは俺の偽情報は伝え回ってジェネシスの攻撃を分散させることが目的みたいだ。
実際には俺の居場所を知るものはほとんどいないんだから味方でさえ混乱しそうだな。
「念のため結衣と颯にはこのことは伝えておく。郷田はまぁ……伝えたところで無駄だろうが……」
「わかりました。皆と一緒に戦えないことは少し残念ですが……」
「我慢してくれ繋吾。この作戦さえ乗り切れば次は我々が奴らへ攻め入る番だ。偵察警備班との合同での調査はうまく進んでいるようだしな」
真跡シティ地下にあると言われるジェネシスの本拠地。
その情報さえ掴んでしまえばいくらでも作戦は立てられる。もうしばらくの辛抱か。
「安心して頂戴赤見班長。この子がこの部屋から出ないように厳重に見張っておくから」
「あぁ頼んだぞ。繋吾の存在がばれたら今回の作戦は一気に辛いものとなる。どれだけ被害を受けようとペンダントが奪われなければ我々の勝利なのだからな」
「そうね……。あとは……向こうがペンダントの力を使ってこなければいいのだけども……」
赤のペンダントは結衣の状況からしてダメージの増幅。カードの破壊力をあげられてはもはやSFSの施設ごとぶっ壊される可能性だってある。
そうなれば本当にどう戦えばいいのだろうか……。
「もし何かあれば私に連絡を頼む。仮に想定外の事態が起きたとしても特殊機動班なら小回りが効く」
「わかったわ。だけどきっと連絡することはないと思うわ。司令直属班の力侮らないでよね?」
「ははっ、これほど頼もしいものはないな。それじゃ私は色々と準備があるからこれで失礼するよ。繋吾、必ずまた会おう」
「はい、赤見さん。お気をつけて」
その言葉を最後に赤見さんは部屋から出て行った。
正直、ここ最近は衝撃を受けるような話ばかりでもう頭がおかしくなりそうだ。
ひとまず赤見さんの指示に従っておこう……。独断で行動したことには何が起こってもおかしくない。
誰が味方で誰が敵なんだかわけがわからなくなりそうだ。
この斉場副班長は……信用していいんだよな……?
桂希と繋がっている可能性もあるが……。まぁ最悪は反抗すればいい。今は自分のデッキもあるしな。
「さてと、夜までしばらく待機ね。安心しなさい。あなたがここにいることはほんの一部の人間しか知らないわ」
「わかりました。一応聞いとくが……桂希と繋がってたりしてないだろうな?」
「大丈夫よ。別にあなたの思うほど私はあいつと仲良くはない。前も言ったでしょ? 私は自らの行動には筋を通したい。今は赤見班長の行動が正しいと思うから協力してるってだけよ。私は情とかで流されるような人間じゃない」
ここまで言うのなら……信用してもいいのかな。
考えてもキリがない。自分の身のことだけを考えていよう……。
「まぁ無理もないわよね。しばらくそこでゆっくりしてるといいわ。何か用があったら声をかけてちょうだい」
さてと……今夜にくるべき襲撃に備えるべく自分のデッキ調整でもするかな……。
果たして今夜どうなることやら……。