この素晴らしい世界に灼熱の怪獣王を!   作:千本虚刀 斬月

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女神エリス/盗賊クリス

 ゴジラとサキエルがギルドの扉をくぐると、なにやら騒がしい。

 

騒動の中心に居るのはアクアとカズマ、そして以前知り合った紅魔族の爆裂少女、見知らぬ金髪の聖騎士の少女、そして泣きべそをかいている盗賊職とおもしき少女。

 

「公の場でいきなりぱんつ脱がされたからって、いつまでもめそめそしててもしょうがないよね!よし、さっそくで悪いけど何でも良いから稼ぎのいいクエストを探そう!下着を人質に盗られてあり金失っちゃったしね!」

 

「おい、待てよ!?なんかすでに、女冒険者達の目が軒並み冷たいものになってるからほんとに待って!!」

 

実際はもっと酷く、冒険者以外の女性と、良識ある男性もドン引きしていた。佐藤 和真に「カスマ」「クズマ」「鬼畜」と言った異名や称号が定着した瞬間であった。

 

もっとも、ゴジラはそういった空気を意に介する事なく受付に行く。仮にも、日夜モンスターを相手にしている冒険者達が畏れを成して戦き道を譲る。その様はさながらモーセの海割りの如く。

 

しかし、受付の人間にはゴジラ語が理解できず、不機嫌そうに呻っているようにしか認識できない。その反応に、ますます不機嫌になっていくゴジラ。ついには泣き出してしまう受付の職員。遅々と進まぬ状況にキレかけるゴジラ。今やギルドの受付は阿鼻叫喚の地獄と化した。

 

見るに見かねたサキエルが事情を説明し、一先ず事なきを得る。まあその大天使様は大きなため息をつきながら胃の辺りを擦っていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 アクセル近辺の怪獣は粗方掃討された事で、今まで碌に街の外を出歩く事が出来ずに居た者達は大きく沸き立ち、新たに掲示板に張り出されたクエストを吟味している。だが、この世界には魔王が召喚した怪獣達が各地で跳梁跋扈している。そして怪獣に太刀打できる人材は非常に限られている。能力的にも実力的にもそれが可能な存在の需要は高まる一方だ。故に、短期間の間に5体もの怪獣を立て続けに撃破したパーティーなど、周りが放っておく筈も無い。例えば、傲慢な権力者。

 

しかし、典型的な御貴族様などゴジラが最も忌み嫌うタイプの人間である。もしも居丈高に命令などされたなら、ガチギレ待った無しであろう。場合によってはカチコミかますまであるかも知れない。

 

いや、やらかしそうなのはゴジラだけでは無い。ドMの癖に潔癖で頭の固いクルセイダーと、なんだかシンパシーを覚える銀髪の盗賊は未だ大丈夫としても、頭のおかしな爆裂少女、安楽少女より厄介でアンデッドよりしぶといと言われるアクシズ教の女神、この世界の常識を知らず無礼な態度を取りそうな元ヒキニート。新たに常識人の胃痛枠(クリス)が加わったとは言え、果たしてこの面々を御せるだろうか?うん、不安要素しか無い。

 

と言うか、新メンバーとの顔合わせが済んだので、ゴジラがもう帰ろうとしている。一応、まだギルド職員がクエストの内容を説明している最中なのだが。家格はそう高くないとは言え貴族から直々の依頼なのだが、ゴジラに貴族の権威など通じる訳も無い。

 

「まあ、成り上がり貴族(ドネリー家)からの依頼など無理をしてまで受ける事はあるまい。喫緊の内容でも無さそうだしな。」

 

「ん?なんだよ、随分と知った風な口ぶりだな?」

 

「・・・まあ、多少な。最近当主に成ったばかりの娘がな、実に我侭で見栄っ張りな性格なんだ。おおかた、噂の大天使と怪獣王を侍らせている様を周りに見せ付けたいのだろう。」

 

「商売繁盛で有名な貴族だけあって、報酬は良いんだけど、ダクネスの言う事ももっともだね。本当に困っている人達からの依頼を優先しようよ。例えば、これとか。」

 

報酬の良いクエストなら幾つかあるのだ。なにせ今は秋最中。木々は実り、動物たちは冬越しの為に必死に蓄える時期だ。その中には当然、畑や家畜を食い荒らす獣もいる。そして、そういったモンスターを捕食せんとする強力なモンスターも。白狼の群勢や一撃熊などだ。

 

「ん~、どっちも今一インパクトに欠けるわねぇ。せっかく美しくも麗しい女神と名高いこのアクア様と、私には及ばないとは言え大天使であるサキエル、最強の怪獣王ゴジラがいるのよ?どうせならもっと大物を狙いましょう!」

 

「おっと、紅魔族随一の魔法使いたるこの私を忘れて貰っては困りますよ。でも、いいですね!いかなる強敵であろうとも、我が爆裂魔法にて葬り去って見せましょう!!」

 

 

 喧々囂々の末に結局、クマちゃん退治をする事になった。おまけに、その肝は高く売れる。

 

「なあ、本当に大丈夫なのか?俺とか、首を一撫でされただけで死んじまいそうなんだが。」

 

「大丈夫よ。これだけの面子が揃っているのよ?むしろ負ける要素が見当たらないわね。だいたいねぇ、カズマにはどんどんレベルを上げて貰って、魔王を倒してくれないと困るんですけど!じゃないと私、天界に帰れないじゃない!?」

 

ゴジラの頭上をちょむすけと取り合った末に負けて泣かされたアクアが偉そうに曰う。

 

「・・・・・なんか、フラグを積み重ねたような気がして、もの凄く不安なんだが。まあ確かに、そのポジティブさは見習うべきかもな。よし、やるか!」

 

「そうそう、その意気だよ。さあ、いってみよう!」

 

 

 

 

 

 いきなりだが、修羅場に出くわした。

 

修羅場と言っても、男女間による痴情の縺れ云々では無く、野生の生存競争的なやつである。

 

一行が依頼書に書かれていた目撃場所に到着したのは良いのだが、そこには地球でのグリズリー級の巨熊が数頭が群れを成していた。そして一撃熊達と相対する、倍以上の大きさの蝦蟇を無理矢理直立させたような醜悪な姿をした謎のモンスターが一体。

 

「おいおい、なんだよアレ!?たった一匹なのに無双してるぞ!」

 

一撃熊の群が獲物を狩ろうとしている最中なのだと判断した一同は、少し離れた場所にある林に潜伏しながら様子見していたのだが、実際はその逆だった。毒の粘液を撒き散らし、怯んだ熊に掴み掛かって電流を浴びせ、更に毒を振りかける事で戦闘不能にして次にいく。

 

「しかし、この状況はむしろチャンスなのでは?あのカエルは一撃熊達を倒して油断したところを、私の爆裂魔法でまとめて薙ぎ払うのです!」

 

その提案は、確かに悪くない。先ずカズマが『バインド』で物理的に動きを封じ、クリスが『スキル・バインド』を重ね掛して反撃の余地すら与えず、めぐみんの『エクスプロージョン』で諸共一掃する。

 

「ねえカズマ、私は?私達は何をすれば良いの?」

 

「えっと・・・アクアは念のために皆に支援魔法を、ダクネスはめぐみんの護衛。ってかぶっちゃけ、ゴジラとサキエル様なら余裕で瞬殺できんじゃね?と思うんだが。」

 

確かに討伐のみを考えるならそれでも良いかもしれない。しかし、今回のクエストは新しいパーティーメンバーの能力や相性等の確認も兼ねている。カズマとてその事は理解している。なので、両名には待機して貰う。

 

しかし、忘れてはならない。このパーティーには特級のアンデッドホイホイが2柱も揃って居るのだ。何も起こらないはずが無かった。

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!な、なんだあれ━━━!!?」

 

作戦自体は首尾良くいき、カエルとクマ2頭をまとめて葬り、残りの、毒で身動きできないクマ達にトドメを刺そうとしたところにソレは来た。

 

腐った死体、腐った魔獣、幽霊、骸骨、死霊の騎士、更にはドラゴンゾンビまで。

 

真昼の明るさのもとで見るアンデッドモンスターのグロさと腐乱臭にドン引きするカズマ。今日明日中はまともに飯が食えそうに無いくらい酷い。カズマに背負われているめぐみんも顔を顰めて鼻をつまんでいる。

 

そんな中、無双ゲーの如く蹴散らしていく3人(柱)と1頭。アクアがワンパンで2桁を昇天させ、サキエルが光線で一帯を薙ぎ払い、ゴジラがドラゴンゾンビを焼尽くす。クリスは40万エリスは下らないと豪語していたマジックダガーを逆手に握り、瞬く間に亡者達を斬り刻んでいく。ちなみにダクネスは全く役に立っていない。

 

アンデッドが相手だからなのか、流石は女神アクアの戦果はずば抜けている。しかし、意外にもクリスも相当な奮闘振りだった。人間の盗賊で在りながらキルスコアは2位タイという快挙である。

 

「あの容赦の無さ、後輩のエリスを思い出すわね。あの子も、あれで結構過激なんだもの。特に、悪魔とアンデッドには私以上よ。」

 

まあ実際の処、まるでも何も本人であるので当然と言えば当然なのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

ゴジラVSキングギドラ ~ご機嫌なキャベツ山盛り添え~
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