この素晴らしい世界に灼熱の怪獣王を!   作:千本虚刀 斬月

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機動要塞陥落

 当初の予定とは些か異なるものの、機動要塞デストロイヤーが遂に地に墜ちた。

 

だが、このまますんなりと終わるとはとても思えない。サキエルが事前にもたらした情報によると自爆機能が組み込まれているのだ。

 

だがそこでKYに定評のある駄女神がフラグをおっ立てる。

 

「あははははは、やったわ!さすがゴジラ!さーあ、帰って乾杯よ。報酬はお幾らかしらね?」

 

「このバカ!なんでお前はそうお約束が好きなんだよっ!?」

 

案の定

 

『当機体は甚大な被害を受けました。よって自爆機能を作動します。繰り返します。当機体は甚大な被害を受けました。よって自爆機能を作動します。搭乗員は可及的速やかに退避して下さい。』

 

カウントダウンが開始された。

 

爆発まで、あと30分

 

 

仮に、このままデストロイヤーが丸ごと大爆発した場合、その威力は水爆クラスになるだろうとサキエルは推測する。

 

街そのものを吹き飛ばす規模の爆発である。今更全力で逃走したところでもう間に合わない。テレポートにしても、使い手の数が圧倒的に不足している。

 

冒険者達に残された道はただ1つ。デストロイヤーが自爆する前に、機体内部に直接乗り込んで自爆装置を停止させるか、動力源であるコロナタイトを破壊するしか無い。

 

決死の覚悟を抱いて突撃を敢行する冒険者達。

 

「「「「「ウウオオオォォォ!!!」」」」」

 

そこに、自立飛行式小型ゴーレムが飛来し最終通告をする。だが、冒険者達には既に撤退という選択肢は無い。この期に及んでは前進あるのみである。

 

 

 

 

 

 

 最終通告を聴いて尚も進撃を開始する冒険者達に対して、本当に久方振りに見た生きた人間なのに、ポートダーウィンは感慨を抱く事さえ無かった。己の創造主が死んで以来、延々と唯独りであったのだ。感情が摩耗し果てるのも無理からぬ事であろう。

 

「クルナ、ト・・・イッテイル、ノニ・・・」

 

もはや是非も無し、敵勢と判定を下し排除に掛る。

 

搭載飛行機からメーサーバルカンの斉射で機体内部への侵入を防ぎつつ、デストロイヤーの周囲に屯している者達に対してもメーサーバルカンで攻撃。しかし元々牽制のための武装故に、如何に数で補おうとしても冒険者達を殲滅するにはやはり火力不足。

 

しかし、だからといって侵入者達に蹂躙されるを良しとする気は無い。蟻の群に蝕まれるような末路だけは御免だった。何より、静かに眠る創造主の躯を暴かれるのは断じて許せない。

 

デストロイヤーと共に爆散するのはいい。それは最初から想定されていた事で、最期の任務でもある。

 

あの破壊の権化にデストロイヤー諸共完全破壊されたとしても、受け入れよう。最期の相手があれほどの規格外であれば、寧ろ清々しくさえある。

 

彼の破壊神を見て、ふと創造主が最期に残した願いを思い出す。

 

『俺はもう長くない。今更この世に未練は無いが、お前の事だけは心残りだなぁ。・・・もしもこれから先、この暴走したデストロイヤーが負けてぶっ壊される時が来るかも知れない。そん時、律儀にデストロイヤー諸共自爆するこたぁ無いんだぜ?出来る事なら、お前にはこの世界を見て回って欲しいなぁ。デストロイヤーを攻略した連中の中に、お前の眼鏡にかなうヤツが居たらソイツについってってみるのもいいかもな?』

 

 

 

 

 アクアを始めとしたプリースト達の支援魔法によってフルブーストされている上に、一部の男共は異様にモチベーションが高い。とある事情で隠れた実力者が多かったりするのもあり、多少の被弾はものともしないのだ。その様は頼もしくはあるのだが、正直言って引く。

 

飛行型ゴーレムはビオランテ・リコリスの樹液や種弾、各種魔法や矢射といった飛び道具で撃墜していく。射撃についても、耐久値の低い後衛はダクネス等のクルセイダーが常にカバーしているため、重傷者は未だ出ていない。

 

だが、突出した前衛達に対して飛行型ゴーレムが自爆特攻をし出した。

 

「まだだ!まだ終わらんよ!」「何のこれしき━━━!!」「おんどりゃああぁぁぁ!!」

 

少なく見積もっても炸裂魔法程度の威力はあるだろうに、漢達は突き進む。幾たびの空襲を越え未だ負けず、唯の独りも脱落は無く、唯の一度も(事情を知らない女性陣には)理解されない。漢達はひたすらに煩悩(りそう)に向かって突き進む。故に、その生涯は決して果てず。彼の者達の魂は、きっと────

 

 

そうして遂に辿り着いた勇敢なる冒険者達。そこに居たものとは!

 

ボンキュッボンのムッチリボディ×ノースリーブの縦セタ横乳×膝立ち上目遣い=超ドエロい姉ちゃん

 

これには漢達も動揺を隠せない。だが即座に気を持ち直す。どの様な姿形をしていようとも、ギルドの看板受付嬢のルナをも圧倒し得る破格の胸部装甲を誇っていようとも、あくまでゴーレム。そうだ、安い値段でありながら至れり尽くせりの淫夢サービス、其れを失う事に競べれば何を畏れるモノがある?!

 

「お、おい!アイツの後ろ・・・」

 

恐らくは責任者と思われるが、まるで即身仏のように、操縦席に腰掛けたまま白骨化した遺体。そして、ボウリングボールくらいのサイズのコロナタイトが浮いた状態で輝いていた。赫灼(あか)く、紅焔(あか)く、緋炎(あか)く。

 

思わず、といった感じで部屋の中に1歩を踏み入れる冒険者の一人。

 

「ッ!!━━━入ッテ、来ルナ!!」

 

それに激しく反応する美女型ゴーレム。邪竜が咆哮を上げ、顎からミサイルが放たれた。

 

「「「「「ううおおおぉぉぉ!?!?!」」」」」

 

たった一発で鋼鉄の大扉諸共盛大に吹っ飛ばされる一同。その威力は明らかに飛行型ゴーレムの自爆特攻を上回っている。咄嗟にアクアが『セイクリッド・プロテクション』を展開して直撃を防ぎ、ウィズが『カースド・クリスタルプリズン』で爆焔を相殺していなければ多くが死んでいただろう。如かし、死んでないだけで戦闘不能な状態に陥っている。ウィズも今ので魔力を使い果たし、戦力外となってしまった。

 

「~~~っ!よくもやってくれたわね!?女神の鉄槌を喰らいなさいな!!『ゴッドブロー』!!」

 

アクアの放つ怒りと悲しみを乗せた拳に対して、相手のゴーレムも正拳突きを以て応える。超越者たる女神の聖拳と、鉄拳を凌駕するオリハルコン製の正拳が激突する。

 

轟音と衝撃波が生じ、尚も二人は拳を付き合わせたまま。先に動き出したのはアクアだった。アクアの表情が次第に変っていく。

 

(ᅙωᅙ)→(´;ω;`)→。゚(゚´Д`゚)゚。

 

「あっ、アクア────!?くっ、コレでも、喰らいやがれ!!『スティール』!!」

 

カズマの掌には()()()()()()ズッシリとした重みが。

 

「フッ、計画通・・・って、アアッチャ━━━!!?」

 

全ての原動力であったコロナタイトを首尾良くとは言い辛いが、とにかく奪取出来たのは大きい。デストロイヤーの機能を停止させたのだ、大金星間違いなしである。しかし、これで一件落着・・・とは行かなかった。

 

「ッ!?━━━マダダ、マダ私ハ戦エル。我ガ創造主ノ技術ノ真髄、ソノ一端ヲミルガイイ!!」

 

コロナタイトの影響もあってかなり高めだった室温が急激に低下していく。ゴーレムの周囲は霜が降り始めている。

 

「アイツ、ゴーレムのくせに氷結魔法なんて使えるのかよ!?」

 

「・・・いいえ、あれは恐らく、周囲の熱を吸収して自分の魔力に変換してるんだと思います。」

 

と、ウィズが。流石はかつて『氷の魔女』と畏れられた氷結魔法のエキスパートだけあり、即座に看破した。

 

つまり、これはあくまでエネルギーチャージでありながらも、使い方や状況次第では攻撃や防御としても機能し得ると言うわけだ。しかも、副次的に生じる物理現象に過ぎない為、対魔法用のスキルや装備品では防げない。

 

「あれだけ魔力を充填した以上、()()が来ますよ!!」

 

砲身がウィズに向けられ、対物ライフル弾並の大口径の実弾をぶっ放してきた。本来なら魔力のきれたアークウィザードに為す術など無い。だがウィズは不死王(リッチー)であり、唯の物理攻撃ではダメージを与えることさえ出来ないのだ。

 

ちなみに、対物ライフルによる対人狙撃は、ハーグ陸戦条約で禁止されている。まあ今回の使用対象は伝説級のアンデッドモンスターにして、魔王軍幹部の一角を務める者なのだが。ついでに言えば、正式には対化物戦闘用13mm炸裂徹鋼弾であり、化物を殲滅する為の特別な()()()()弾丸である。

 

しかし、再びアクアが『セイクリッド・プロテクション』を展開し、ウィズに放たれた3点バースト射撃を防ぎきった。だが聖光壁には亀裂が走り、フルオートでもされようものなら今度こそ御陀仏間違い無しである。

 

だがそこで

 

ズシン

 

ゴジラが復活したのだ。

 

「!?今だ、隙アリ!『スティール』!!」

 

相手はゴーレム、故に部品を奪うことが出来れば・・・しかし、カズマの掌に収まっているのは、一冊の古ぼけた手記。恐らく元から上等な品質とは言い難かった上に、長年に渡ってコロナタイトに晒され続けていた所為だろう。表紙は風化寸前、中の頁は黄ばんでいて、文字は滲んだり擦れたりが殆どで、ちょっとやそっとじゃ解読できない。

 

「!!?!・・・ソレヲ、カエセ・・!!

 

「おっとととっと~?はっはーん、どうやらコレはアンタにとってとても大事な物のようだな。なら、コレを返して欲しければ、一切抵抗することなく投降し、今後も一切の敵対行為をしないと誓え!!」

 

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悪辣な笑みを浮かべるカズマに、ゴーレムは憤怒の形相で睨み付ける。

 

その様子を見ていた他の冒険者達は須くドン引きしていたが。

 

▇▅▅▇▅▇▇▇▅▅▅▂!!▇▅▅▇▅▇▇▇▅▅▅▂!!

 

ゴジラの豪咆の直後、天井付近が赤色熱線によって消し飛んだ。そしてゴーレムは遂に観念したらしく、しかしせめてもの意地なのか、そこから中を覗き込むゴジラに対してのみ降伏を宣誓したのだった。

 

 

 




ポートダーウィン

艦これの港湾棲姫をモチーフに作られたオートマタ。

デストロイヤー開発責任者が侵入者迎撃用に制作した特別なゴーレム。戦闘行為に対してはやや消極的だが、本気出すとかなり強い。同型のプロトタイプが存在する。

基本的に、経験値の取得や戦闘行為によるレベルアップは望めない。回収・改造による強化も理論上は可能だが、創作・開発系のチート持ちクラスの技師か、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が必要。



スキル

自己精製
魔力さえあれば各種武装を自身で錬成できる。各種武装の中には自分自身も含まれているため、ある程度までのダメージならば自分で修復できる。

艦載機
飛行型ゴーレム。機体下部にメーサーバルカン砲一門が設置されている。超高感度カメラ・赤外線レーダー・アクティブソナー・サーモサーチャー・動体スキャナー・重力測定器・レーザー照準追尾システムが互いを補完。勿論、自爆機能も搭載されている。

スパイラルグレネードミサイル
艦載機の滑走路も兼ねている邪竜の顎から発射。搭載されている武装の中では間違いなく最強である。

スパイラルクロウ
両掌の鉤爪はオリハルコンで出来ていて、可変式ドリルアームでもある。

クラッシャードリル
額の角もまたオリハルコン製で、ドリルに変形させられる。

自熱ナパーム弾
砲塔より発射。本来はオーバーヒート防止用の排熱システム。

ヒートドレイン
周囲や触れたものから熱エネルギーを吸収し、自身の魔力に変換できる。

対化物戦闘用13mm炸裂徹鋼弾
ぶっちゃけアーカードが使ってたアレ。

水上歩行
水の上に直立しながら進むことが出来る。スピードは歩く程度。

ゴジラ一行の戦力について

  • ちょっとチート過ぎんよ~
  • まだまだ盛れるではないか。やれ
  • ん~、このままでいいんじゃね?

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