この素晴らしい世界に灼熱の怪獣王を!   作:千本虚刀 斬月

6 / 20
水の女神

 ゴジラとサキエルはギルドを訪れていた。ガイラ討伐の報告と報奨金の受け取り、ついでにマナタイトの売却のためである。ガイラを斃して得たマナタイトの質はお世辞にも良いとは言えず、そこいらの魔道具店で投げ売りされている物と大差ないレベルの物だった。量だけは無駄に多いから、全部を一度に消費すれば爆裂魔法一撃分の魔力は賄えるかも知れないが。

 

ギルドの職員が金を用意するまでの間に次の獲物を見繕っていたが、不意に強大な力を感じ取る。

 

それは魔力というにはあまりに強大すぎた。甚大で、重厚で、濃密で、そして清浄すぎた。それはまさに神気だった。

 

 

 

 

 

「ではクエスト達成の報酬と引き取ったマナタイトの金額、併せて七千五百万エリスになります。」

 

サキエルが金を受け取った丁度その時、ギルドに見知った女神が少年と共にやって来た。

 

「いいかアクア、一先ずは冒険者ギルドへの登録と最低限の装備を調えられる程度の軍資金の調達、そして宿泊場所の確保までは今日中に進めるぞ。」

 

「分ったわ。とりあえず私も冒険者として登録すればいいのね?」

 

「そういう事だ。よし、行こう!」

 

二人は意気揚々と受付の列に並ぶ。しかしこの二人には、冒険者として登録するには致命的に足りない物が在った。

 

受付嬢のルナが、ある意味死刑宣告にも等しい言葉を吐く。

 

「では登録手数料が掛りますが大丈夫ですか?」

 

そう、この二人は全くの無一文だったのである。

 

この光景を見ていたサキエルは一瞬見なかった事にしたい衝動に駆られたが、流石に見るに見かねて助け船を出すことにした。

 

「あの、アクア様、宜しければ私が支払いましょうか?」

 

「え?ってサキエルじゃない!よかったー、アナタが居てくれて助かったわ。あのねあのね、私、女神なのにそこにいる冴えないヒキニートに無理矢理連れてこられたの!だからお金も何も碌に持ってないから困ってたのよ。だからお願い、お金貸して!」

 

「え、ええ。構いませんよ。」

 

一万エリス紙幣一枚をアクアに渡す。正直に言えば一束(1000000)くらいポンと渡す事も出来た。つい先程多額の収入を得たばかりだし、自分はともかくゴジラに到っては「金?何ソレ、美味いのか?」状態でほぼ使わないのである。だが此処で甘やかしては碌な事にならないだろうし、本人の為にも為らない。

 

「ふふん、どーよ?これが世界中で数多の信者達から崇拝されるアクシズ教団の御神体、水の女神アクア様の仁徳ってやつよ。なんならこの私を崇め奉り、アクシズ教に今すぐ入信してもいいのよ?」

 

一万程度を偶々居合わせた部下から貰っただけなのに、もの凄いどや顔をかます女神様。しかし同行して来た少年からのリアクションは無く、怪訝に思った両者が目をやると

 

「──────────!!?!?」

 

腰を抜かして、絶句していた。無理も無い。日本のオタクであるなら彼の怪獣王を知らぬはずは無く、そのゴジラと何の心得も無いまま対面してしまったのだから。

 

 

ゴジラ。地球で最も有名な大怪獣であり、長きにわたって築き上げた数多の功績により『怪獣王』の尊称を冠する。VSシリーズは「特撮冬の時代」と呼ばれるほど、特撮作品の放送が激減していた時期でありながらも観客動員数は二百万人越えは当たり前。『ゴジラVSモスラ』に到っては驚異の四百二十万人と言う記録を打ち立てた。また『ゴジラVSデストロイア』の製作が発表された時には世界中で大ニュースになる程騒がれ、告別式や葬式が行われた。

 

 

二十分の一にサイズダウンしていようとも、生きている本物のゴジラと真逆の遭遇を果たして驚かない日本人など居るだろうか?否、居る訳が無い。

 

まあゴジラの方はひ弱なタダの人間になど興味も無いのだが。

 

『それで、何故お前が此処に居る?さっき無理矢理連れてこられたと言っていたが、何か想定外の問題でも起きたのか?』

 

「あ、そうなのよ!ねえ二人とも、聴いて聴いて!あのね

 

「っておい駄女神!コレは一体どういう事だ!?ちゃんと説明しろ!!」

 

その人間は漸く動き出したと思えば女神に詰め寄り詰問し出す。そこへサキエルが仲裁に割って入る。

 

一同はギルドの隅に移動し、サキエルが認識阻害の結界を小規模展開する。盗賊職の潜伏スキルに近い効果があり、コレで内緒話を憂い無く行えるらしい。効果に対して消費魔力が多めで持続時間が短いのが難点なので、普段からあまり多様は出来ないとの事だ。

 

女神とサキエルは人間に一通りの説明をした後、お互いの近況を報告し合う。

 

「・・・つまりアレか?ぶっちゃけるとお前の管理不行き届きが招いた事態って訳か?さっきの話を聞くに、今の魔王だって元はと言えばお前がチート持たせた日本人転生者みたいだし。」

 

「何て事言うのよクソニート。私はあくまで特典を与えて送り出してるだけよ!だって言うのにモンスターにおかしな名前を付けたり、生態系を大きく変えてくれたり、変な言葉や文化を流行らせたり、挙句の果てには魔王に成り代るだなんて。まったくもう!どいつもこいつも自重ってものを知らないのかしら?」

 

「お前がいってんじゃねぇ!!」

 

『・・・どうでも良いが、貴様等にじゃれ合っている余裕などあるのか?』

 

「そうですね。アクア様が佐藤 和真さんの転生特典として認められた以上は、恐らく佐藤 和真さんと共に魔王討伐を成し遂げなければ天界に帰還させてもらえないでしょうし。」

 

「?・・・・・はっ、そうだわ!カズマにはどんどん強くなっていって貰わないと、私が何時まで経っても天界に帰れないじゃない!ほらカズマ、ぼうっとしてないで早く受付で冒険者の登録をするわよ!」

 

大方の予想通り、小僧は最弱職の『冒険者』になった。小賢しく運だけはやたら良いが、その他のスペックは平均。伸び代も大して見込めないだろう。

 

「では次の方、って!?はああああっ!?何ですか、この数値は!!知力が平均より低いのと、幸運が最低レベルですが、それ以外のステータスは殆どがゴジラ様と同等って!?事に魔力については凌駕していますよ!!」

 

それを聴いた他の人間共が一斉に騒ぎ出した。

 

「・・・なん・・・だと・・!?」「頭のおかしいイタイ娘じゃなかったのかよ!?」「マジかよ・・・まさか本当に?」「・・・・・あれ、そういうのって普通は俺のイベントじゃね?」

 

「え、そ、そう?いやー、まあ私クラスの女神ともなれば、これくらいはね?」

 

女神は暫し懊悩していたが、回復と支援がメインでありながらも前衛もこなせる万能職『アークプリースト』と成った。確かにこの女神が全力でバックアップすれば貧弱な小僧でもそこそこ戦えるようになるかも知れない。

 

「「「「「冒険者ギルドへようこそアクア様。スタッフ一同、今後の御活躍を期待しております!」」」」」

 

そうして一同は、貧弱小僧を強化する為に討伐クエストを受けたのだった。

 

 

 

 




VSシリーズには海上自衛隊の護衛艦が幾度か登場している。
『ゴジラ』
近代改装前のはるな型護衛艦「はるな」「ひえい」が登場。P-3C対潜哨戒機やHSS-2B哨戒ヘリコプターとともにゴジラの捜索を行う。
『ゴジラVSビオランテ』
「ひえい」が登場。はつゆき型護衛艦「はつゆき」とともに、浦賀水道でゴジラを迎え撃つが熱戦が直撃し、爆沈してしまう。
伊勢湾防衛線展開の場面では、たちかぜ型護衛艦「たちかぜ」が登場。
『ゴジラVSキングギドラ』
冒頭、たかつき型護衛艦「たかつき」のレーダーがUFOを追跡したと言及されている。
「ひえい」が登場。主要人物である三枝未希と真崎洋典を、艦載機のHSS-2B哨戒ヘリコプターでゴジラが出現したと思われるベーリング海に輸送する。
あきづき型特務艦「あきづき」が米艦役で登場。
『ゴジラVSモスラ』
はつゆき型護衛艦「はるゆき」が登場。日本に向けて太平洋上を進む幼虫モスラの迎撃に出撃する。
『ゴジラVSスペースゴジラ』
はるな型護衛艦とはつゆき型護衛艦「しらゆき」が登場。国連Gフォースに参加しており、鹿児島湾に出現したゴジラを迎撃するも、はるな型護衛艦は撃沈される。
『ゴジラVSデストロイア』
引き続き「しらゆき」が登場。沖縄沖に出現したゴジラを追跡する。所属はGフォースではなく海上自衛隊である。
Wikipedia参照
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。