勧善懲悪BanG Dream!   作:光の甘酒

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第4話 迫真の断熱ドア

「えっ、奏也くん一人暮らしなの?」

 

「ああ、大したところじゃないけど入って、どうぞ」

 

 

ガチャッ!コン!(迫真)

 

 

「あ、お邪魔しまーす」

 

やたら丈夫な防火仕様ドアくんの迫真の開閉音を聞き、美咲を玄関に招き入れる。

 

「悔い改めて」

 

「・・・は?(威圧)」

 

「・・・いいよ上がって!」

 

 

聡明な諸君なら114514回くらい見たであろうやり取りをしたのち、美咲を家の中に招き入れるが、少し落ち着かない様子のようだ。

おたえはちょっと家に戻らなければならないといってすぐまた合流するようだ。

他の皆ももう間もなく来るだろう。

 

 

「まー聞きたいこといっぱいあるけど結構ああいうことやってたりするの?」

 

「まあな。相変わらずこの町は治安がワリィからよ」

 

「まあ、確かに戻ってきて1年目でこんなことに巻き込まれるなんて思ってなかったけどね」

 

「それにあのミッシェルな」

 

「あー・・・うん。なりゆきで」

 

「難儀だねえ。それにあのメンツ、変態が二人に中間が一人、まともが2人ってとこか?頭痛くなりそうだが楽しそうだな」

 

「まあ・・・楽しくないといえば嘘になるかな。なんだかんだ言って私の居場所だし」

 

「ほう・・・こころたちが聞いたら喜びそうだな」

 

「・・・絶対に言わないでよ?絶対調子乗るし」

 

「ああ」

 

 

ガチャッ!コン!(迫真)

 

 

「奏也ー!来たわよ!話したいところって何かしら?って美咲じゃない!」

 

「奥沢さん?なぜここに?」

 

「やっほー!あれ!美咲ちゃんだ!」

 

「や、さっきぶり」

 

 

するとタイミングよく勢ぞろいだ。

知っているおたえ以外は美咲がいることに驚きを隠せていない。

 

「え!?こころ!?なんでここにいるの!?」

 

「美咲こそ!みんなに紹介したい人がいるって奏也から連絡があったから飛んできたのよ!まさか美咲とは思わなかったわ!」

 

 

この野郎・・・面倒持ち込みやがって・・・って顔で美咲が俺を睨む。

まま、そう焦んないで。

 

 

「さてと。皆美咲のことは知っているようだが改めて紹介しよう。奥沢美咲。俺たちの姉弟子にしてオッサンの孫にあたる」

 

 

「「「「えーっ!?」」」」

 

 

 

その後、俺たちが幼少期に一緒に稽古をしたことを話した。

皆当然知らなかったようで、さらに驚きを隠せないでいる様子だ。

こころ以外は・・・・

 

 

「すごいわ美咲!まさか先生のお孫さんが美咲だったなんて!そしてその美咲が全く関係のないところでハロー、ハッピーワールド!のメンバーとして活動しているなんて・・・運命だわ!」

 

「あーはいはい、薫さんみたいなこと言ってないで・・・私もまさかこころ達がおじいちゃんの弟子だったなんて驚きだよ。それに氷川さんたちまで・・・」

 

「確かに驚きですね。しかし・・・先生のお名前は奥沢ではなかった気がしますが・・・」

 

「あ、それお父さんの姓です」

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

納得した、といった感じで紗夜がうなずく。

最初は驚いていたが今は紗夜が一番冷静だ。ちなみにこころはすでに順応しておりまるで昔からの仲間かのように美咲を扱っているあたりすごい奴だと思う。

おたえはマイペースに話を聞いている感じだ。

日菜は新しい発見に目をキラキラ輝かせている。

 

「さて、紹介はこれくらいにしておいて皆を集めたもう一つの理由を話すぞ」

 

ここで俺は先ほどまでかかわっていた事態を話した。

瀬田さんが狙われたこと。そして羽丘女子にはクズ共の手によって薬物依存にさせられた被害者が存在すること。そして裏で手を引いている黒幕がいること。

 

「・・・とまあ、こんな感じだ。とりあえず売人やってたゴミは廃棄場に連絡しておいたから大丈夫だと思う。問題はその黒幕のほうだな。今蘭に洗ってもらっている」

 

 

「えー・・・うちの学校でそんなこと起こってるのかー・・・それは全然るんっ♪てこないなあ・・・」

 

 

日菜は口ではだるそうに言いつつもその雰囲気から強い怒りを感じる。

そりゃ自分たちのテリトリーでそんなことが起こっていたとなればそうかもしれない。

 

「・・・・」

 

 

そして俺はさっきから違和感を感じていた。

それはなにか?そう、先ほどから沈黙してるこころだ。こころは作戦会議中だろうが何だろうが好き放題やって引っ掻き回す。しかし今回は珍しく黙っているのだ。

顔はいつも通りニコニコしており、話は聞いているようであるが・・・

 

 

「なあ、こころ。今日はやたらおとなしいじゃねえか」

 

「・・・・」ニコニコ

 

「こころー?どうしたのー?」

 

 

美咲も明らかにいつもと違うこころの様子をみて顔を覗き込む。

 

 

「ってうわ!?」

 

「えっどうした美咲?ってうお!?」

 

 

そしてこころは目を開く。

しかしその目は瞳孔が開いており、光は失われていた。顔は笑っているが体中からドス黒いオーラが漂ってきている。

 

 

「ねえ、奏也」

 

「は、はい!なんでありましょうか!?」

 

「薫はなにか悪いことをしたのかしら?」

 

「いえ!何もしておりません!理不尽で、勝手極まりない黒幕のせいであります!」

 

 

軍隊の上官に対するような口ぶりになってしまった。

これは間違いない。俺もこいつと10年付き合ってきて1回しかみたことのない、怒りが頂点に達したこころ・・・俺は”シャドウこころ”というクッソダサいあだ名で呼んでいる。

 

実はこころは小学生のころ、あの性格と金持ちということが災いしていじめにあっていたことがある。俺たち全員クラスが違ったためこれは間接的に聞いた話ではあるが。しかし当の本人はあの性格でいじめを全くいじめだと気づかず、むしろ遊んでくれているとまで思っていて全く気にしていなかったとか。

 

ちょうどそのころ、学校の取り組みの一つとして一人一つ、鉢をもらって花を育てるということをやっていた。モノを作る、育てるという経験がゼロだったこころはそれが大層楽しかったらしく、さらにああ見えて天才肌であるため花もきれいに咲いたのだ。

しかしそれに対しいじめ側は、いじめが全く通用しないうえにこんな時まで自分たちの上をいくこころを見て面白くないと感じたようで、なんとこころが育てた花を踏みにじり、こころを罵倒し、大笑いした。

 

 

「きゃああああああああああああああああ」

「つ、弦巻さん落ち着いて!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!!」

「やめてええええええええ!!!」

 

 

ある日、突然悲鳴が上がった。そこに弦巻という声を聞いた俺はすぐに現場にいくと、こころがいじめっ子たちを地面に侍らせ、頭を踏み、瞳孔の開いたニコニコした顔で立たずんでいたのだ。

 

 

「あなたちは私の大事なものを奪ったわよね?だったら私も奪う権利があると思わない?」

 

「ごめ゛ん゛な゛ざい゛・・・・ゆるじでええええ・・・」

 

「あら?私はやめてって言ったわよ?やめてって言ったのにやめなかったのに自分たちだけやめてもらえるなんて都合がよくないかしら?」

 

「こころ!落ち着け!」

 

「あら奏也?今ね、私のお花にひどいことをした人たちに話を聞いてるところなの。もし奏也も邪魔するっていうなら・・・・奏也からもお話し聞かなきゃいけないわよ?」ギロッ

 

「・・・!」ゾクッ

 

 

結局あの後、俺たち幼馴染と一緒にもう一回花を育てるということで落ち着かせ何とかなった。ちなみにその時育てた花は繁殖に成功し弦巻家の庭の一角でプチ花畑みたいにまでなっている。

しかし、あの時みたこころの冷たい目はいまでも忘れられない。

 

 

「え?こころ?どうしちゃったのこれ・・・」

 

「こころがガチギレしてるんだよ・・・こいつは大事なものを壊されることをトリガーに怒りが頂点に達するとこうなるらしいんだ。いつものこころから笑顔をなくして凶暴性を加えた感じになる」

 

「うっそ・・・あのこころが信じられない・・・」

 

 

10年以上の付き合いになる俺たちですら見ることがほぼないからな。

美咲が知らないのはある意味当然だ。

 

 

「奏也?それでいつ黒幕と遊ぶのかしら?」

 

「・・・まだ蘭が調べている。それとな、こころ。お前は今回の作戦から除外する」

 

「・・・!?奏也の言っている意味がわからないわ。なんで?私の大事なものを壊そうとした・・・薫を、ハロハピを壊そうとした。ってことは自分が壊される覚悟もあるってことよね?なんでダメなの?ねえ?ねえ?ねえ?なんで?なんで?なんで?」

 

「お前がその状態だからだよ。そんな状態じゃおめえ、怒りに支配されてどんなヘマやるかわからねえし、加減ができずに下手したら殺しちまうかもしれない。俺たちの力は悪を断つための力だが・・・俺たちの手で、命を直接奪ってはならない。今のお前にはそれを約束できるように見えないんだよ」

 

「わからない・・・わからないわ!じゃあ下手をうたなきゃいんでしょ?殺さなきゃいいんでしょ?そんなの簡単よ。奏也がダメっていうなら奏也を倒してでもいくわ!蘭から返事を待つ時間も惜しいし私が独自で調べるわ!」

 

 

そんなことをおっしゃりやがる。目は相変わらず光が失われたままだ。

 

 

「ちょっと!こころん!奏也!ケンカはダメだよ!!」

 

「日菜に同意ね。敵がいるのに仲間同士争っている時間はないわ」

 

「日菜も紗夜も邪魔をするのね?なら・・・」

 

やばいな。こころは今怒りで目が曇っている。

このままだとマジで単独行動するような状況になりかねん。

仕方ない、ここは俺が・・・

 

 

「・・・・こころ、そこまでだよ」

 

「え?美咲・・・?」

 

 

と、思っていたら美咲が声を上げる。

これには全員驚きの色を隠せない。

 

 

「こころ。今回のこと、こころの気持ちよくわかるよ。理不尽な理由で薫さんが狙われて、こころ・・・ううん、私たちのハロハピが壊されそうになった。それに対して怒っているのは・・・こころだけだと思う?」

 

「じゃあ美咲、あなたも一緒に行くのよ。それならいいでしょ?」

 

「いや、ダメだよこころ。こころとの付き合いは奏也くんほど長くないけどね、ハロハピの一員としてこころのことは精いっぱい理解しようとしたつもり。その目から見ても今のこころはダメだと思う」

 

「そう・・・美咲も私の邪魔をするのね。じゃあ、力づくでいってもいいかしら?」

 

「・・・いいよ」

 

「・・・え?」

 

「いいよ、こころ。おいで?」

 

「み、美咲ちゃん!?」

 

「日菜さん、大丈夫です。奏也くんも、花園さんも、紗夜さんも。ては出さないでください」

 

 

美咲には何か考えがあるようだ。飛び出そうとした俺は踏みとどまり、そのさまを見守る。他の3人もそんな感じだ。

 

 

「そう・・・じゃあ行かせてもらうわね」シュッ

 

 

こころが歩みを進める。そしていつもの戦闘時の雰囲気を身にまとい、出口へかけようとする。

・・・・あれここって室内だぞ?20帖のLDKとはいえ。

 

 

「こころ・・・」ドゴッ!

 

「・・・・ぐっ!美咲・・・」

 

 

しかしとんでもないものを見た。美咲はこころを視界から外さず適切に捕捉した。そしてそのまま、目にも止まらぬ速さでこころに一撃、無力化するためのパンチを放ったのだ。

 

 

「ねえ、こころ。あとは私がやっておくから。今はゆっくり休んで?きっとなんとかするからさ」

 

「・・・みさき・・・・ごめんね・・・・わたし・・・」ガクッ

 

 

こころは最後に冷静さを取り戻したように見え、そのまま眠りについた。

この様子なら目を覚ましても大丈夫だろう。

 

 

「ふう・・・あれ?みんなどうしたの・・・?」

 

 

纏っていたオーラを解除し、美咲が素に戻る。

いやあどうしたもこうしたもないぞこれ。あのこころを一撃で無力化するとは想像以上だ。

 

 

「いやあ・・・・これは・・・」

 

「ええ、驚いたわ・・・」

 

「こころが手も足も出ないなんて・・・」

 

「さすがは俺たちの姉弟子といったところか」

 

「えっ・・・急に褒められると困惑するんですけど」

 

「よし、じゃあ作戦を立てるぞ!今回はメイン行動は羽丘生である日菜に任せる」

 

「はーい!まかされたよ!」

 

「そして戦闘になった場合は美咲と俺だ」

 

「うん、了解」

 

「それと紗夜とおたえ。お前たちはこころについていてくれ。もう大丈夫だと思うが万一の時は頼む」

 

「わかった」

「了解です」

 

 

作戦はこんなもんか。

 

 

「さあ、ミッションスタートだ!」

 

 

ガチャッ!コン!(迫真)

 

 

「奏也・・・ってあれ、みんな揃ってる」

 

「お、蘭か」

 

「頼まれてたものの結果出たよ」

 

「早すぎやしませんかね・・・?」

 

「ま、案外隠ぺいがザルだったから。それで、多分黒幕はこいつで間違いないと思う」

 

「ほう・・・っておいおい、これマジ?」

 

「多分ね。まさかこの人とは・・・・」

 

「よし、さっそく明日行動に移そう。そうだな・・・じゃあ日菜・・・」

 

 

こうして最後のすり合わせが始まった。

これで終わらせる。ここにいる皆はその気持ちを表情に出し、翌朝を迎えるのであった。

 




こころにすげー違和感を持った方。多分間違っていません。
ま、設定からしてキャラ崩壊してるし多少はね?
あと最近紗夜さんが空気になっているのでそろそろ・・・

あとスミマセン・・・
想像以上に長くなりました。次こそがハロハピ編ラストです!
引き続きよろしくお願いいたします!


★元ネタ解説★

●美咲が神剣家に入るときのやり取り
人によっては親の顔より見たかもしれないご存知真夏の夜の淫夢第4章「野獣と化した先輩」の冒頭部分。
独自のイントネーションや「悔い改めて」に聞こえる「いいよ上がって」や「入って、どうぞ」など野獣先輩の華々しいデビュー作となった。
でもクッソ汚いから元ネタを見る際は自己責任で、どうぞ。

●114514
いいよ!こいよ!→114!514!
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